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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
11歳編

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第四十三話 衝撃

ミリア様ことお姉様はお母様と一緒に社交をこなしています。

私は王家のお茶会に来てます。

そういえば王位争いはどうなったんでしょうか。


「正式な発表はまだだけど、特別にお教えます。ギルバートとオリビアの婚約が整いました」


当然の王妃様の言葉に息をのみました。王妃様の探るような視線に背筋を伸ばします。

笑顔をつくり賞賛の嵐に混ざります。


「おめでとうございます。王太子殿下、オリビア様」

「おめでとうございます」


「これからは二人を支えてください」


王妃様の言葉に皆で同意します。このお茶会は王太子殿下の派閥の集まりです。

私の出席するお茶会はお母様に選んでもらっています。

オリビアが悩んでたのはこの婚約でしょうか。王太子殿下とオリビアってそんなに相性がよくないような・・。私がいない間にかわったんでしょうか。


庭園の散策はなくお茶がおわればお開きになりました。

オリビアは大丈夫でしょうか。王太子殿下も悪い人ではないことは知っています。隣国の第一王子殿下のおかげでまともに見えます。セノンを傷つけたことは一生許しません。



「リリア、大丈夫よ」


オリビアと王太子殿下が来られました。


「今度、ゆっくり話しましょう」

「レトラ嬢、そんなに心配か」

「はい」

「オリビアが本当に好きなんだな」

「近々レトラ侯爵家に伺うわ。貴方の自慢のセノンを見にいくわ」

「わかりました。お待ちしております」


礼をして帰ることにしました。

自分の後ろで恐ろしい会話がされてることは気付きませんでした。


「オリビア、レトラ嬢は大丈夫なのか?」

「私のためにあんなに。殿下、相談していただければ妾を迎えてもいいですが、リリアに手を出したら許しません」

「レトラ嬢もいずれ結婚するんだろう」

「あの子の相手は決まっています。王宮なんてリリアには似合いません」

「自分は将来王宮入りするのに」

「私にそんな可愛げはありません。可愛げはどうぞご執心の妾に求めてください。私は王家として務めを果たしていただければ構いませんわ。私、殿下よりリリアの方が好きですもの」

「隠さなくていいのか」

「あら?夫婦に秘密は不要ですわ。うちの派閥をまとめるために協力が必要ですもの。王位争いに勝たねばなりません」

「私より乗り気か」

「ええ。内乱で国を乱すわけにはいけません。それに国としてもっと力をつけたいです」

「野心家か」

「私にも色々思いはありますの。私のリリアを泣かした方に報復を。第二王子派なんて蹴散らせてさしあげますわ」

「被っていた猫はどうした。」

「今は必要ありません。リリアの婚姻は私の許しがないと許可できないようにお願いします。あの子を取り込まれたらうちの派閥も私の心も大打撃です」

「私情で国を荒らすなよ」



私はオリビアの婚約がやっぱりショックでした。

家に帰って自室でセノンを抱き上げました。婚約止めたかったのに。

ノックの音に立ち上がり、ドアを開けます。お姉様です。


「お姉様、お帰りなさい。どうでした?」

「どこの国も社交は変わらないわ。」

「さすがです」


お姉様は頼りになります。お母様もお姉様の手腕を認めてます。

「リリア、顔が暗いけどどうしたの?」

「お友達の婚約が決まったのが寂しくて」

「まだまだ子供ね」


苦笑するお姉様を見て迷います。お姉様も凄い人です。公爵令嬢で元王太子妃でした。あのおかしい王家の一員で狂わず唯一まともな王族でしたもの。

お姉様に聞いたらわかるかな・・。

お姉様がお茶に誘ってくれたので、お茶を飲みながら相談することにします。


「すみません。お姉様、例えばの話をしていいですか?」

「ええ」

「とても魅力的な少女が高貴な殿方達を魅了するんです。少女に魅了された殿方達は少女の言いなりです。自分の婚約者に見向きもしなくなります。はては婚約者に罪をきせて断罪しだすんです。お姉様ならどうされますか?」


お姉様の視線が遠くを見つめています。


「似たようなことを目論む方がいたわ。男の心にうまく取り入って、見目麗しい方々を取り巻きにしようとしていた方が」

「何がしたかったんですか?」


お姉様が綺麗な笑顔を浮かべました。ちょっと怖いです。


「男が美女をはべらすのと同じよ。優越感に浸たりたいだけよ。」

「その方はどうなったんですか?」

「反逆罪で捕まったわ」

「魅了した殿方が助けようとしなかったんですか?」

「ええ。その方の味方をするなら同罪と」

「そうなんですね。」

「私はバカらしくて放っておいたけど、どうにかしたいならその少女に男をあてがって落とさせるわ。子供を作らせ婚姻させればいいのよ。その少女が他の殿方を魅了しなければすむのならできないようにするだけだわ。これが一番穏便よ」


一気に霧が晴れました。さすがです。こんな方法は思いもしませんでした。


「さすがお姉様。名案です。私、出かけてきます」

「リリア、もう暗くなるから明日にしなさい」


立ち上がるのをやめました。私は大事なことを聞かないといけないことを忘れてました。オリビアが大事です。でもお姉様も大事です。


「最近、お姉様がお母様みたいです。お姉様はこれからどうされますか?私が我儘を言って連れてきました。お兄様は素敵な方ですが・・・。」

「リリア、私は恋愛はよくわからないわ。でも王宮にいた頃よりも毎日が楽しいわ。ノエル様にも無理して婚姻しなくてもいいと言われているわ。私は王宮よりここの方があっているみたい。婚姻はノエル様の意思に任せるわ。貴方が思っているより好きにやっているわ。何よりバカな男の尻拭いをしなくていいことが幸せだわ」

「お姉様に不満がないならよかったです」


私、お姉様のことを心配していましたが大丈夫そうです。

一度王太子殿下にお会いして愛しい少女の話を聞かないといけません。

少女を探して、どなたか一人を選んでいただきましょう。そして、選ばれたご令嬢の婚約者を保護しましょう。


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