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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
10歳編

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第二十一話 謀

私は第二王子殿下との婚約者との仲を取り持つという約束を一応叶えるために動こうとおもいます。

殿下とお会いした翌日にクレア・エクリ公爵令嬢に面会依頼をしたら午後に是非とのお返事をいただきました。

やっぱりお暇なんでしょうか。大体面会依頼をした翌日以降のお約束になります。


エクリ公爵夫人が出迎えてくれました。

「ようこそ。リリア様」

「ごきげんよう。エクリ公爵夫人。本日は」

「長い挨拶はいらないわ。どうぞ。クレアが待ってるわ」


挨拶、最後まで言わせてもらえませんでした・・。

いいです。気にしません。

案内されるのは、またエクリ公爵令嬢のお部屋ですか。

サロンとか客間で良かったんですが。

私室には私的な方しか中にいれないものです。


侍女に案内され入室したけど、ご令嬢がいないんですけど!?。


「失礼いたします。エクリ公爵令嬢、本日はお招きありがとうございます」


礼をしてみますが返答はなしですか。さすがに無礼すぎませんか?

面会依頼をして了承の返事を出したなら最低限のおもてなしは当然。

無礼者には3倍返しでは甘いかしらとあでやかに笑うオリビアの顔が浮かびます。

オリビア、3倍返しはやりすぎですよ。違います。


「申しわけありません。また伺いますわ。本日はこれで失礼させていただきます」


「待って」


出てきましたわ。カーテンの陰に隠れてるとかどういうことですの!?。


「失礼しました。お部屋にいるとは気づきませんでした。先日は無礼が過ぎましたので謝罪に参りました」

「そのかしこまった話し方やめて」

はい!?

「理由をお伺いしても?」

「気持ち悪い。綺麗な言葉をなげかけられてもわかるもの」

「貴族の薄汚い世界だからこそ綺麗な言葉が必要ですよ」

「そういうのはいらないって。お父様は殿下の望み通りにと」


あの第二王子殿下は愚かなんでしょうか。きっとお友達も取り巻きもできないのは彼の所為な気がします。

第二王子殿下、本音でのお付き合いは二人っきりでお願いします。他の方には貴族として相応しい対応をさせてくださいませ。


「綺麗な言葉でのやりとりができないと、令嬢のお友達はできませんよ」

「仲良くなってもすぐにいなくなるもの。」

「はい?」

「殿下は相応しくなかっただけって」


やっぱり第二王子殿下の所為です。

この方の世界は家族と第二王子殿下だけ・・。

さすがに可哀想に思えてきました。


「そうですか。でも大事なことなので覚えておいた方がいいと思いますよ。第二王子殿下が嫌いなんですか?」

「嫌いじゃないわ。でもお話みたいに燃えるような恋心はないわ」

「燃えるような恋ですか?」

「そう。人気のお話を知らないの?王子様が平民の少女と恋をするの。でも誰も二人の仲を許さない。二人は国外逃亡の約束をする。でも計画を知って怒った王妃様が少女の家に火を放つの。王子様は燃えさかる少女の家に飛び込み少女を抱きしめる。二人は炎の中、永遠の愛を誓うの。焼き後からは二人は見つからないところでお話が終わるの。神さまが二人の愛に救いの手を差し伸べたのよ。リリア、どうしたの?」


目を輝かせてますが、私はドン引きしてます。


「憧れるところが難しくて・・」

「反対されても二人の思いを貫くなんて素敵じゃない?」

「王子様が少女を愛妾にすれば良かったんですよね?」

「そんな!?リリアだったらそれでいいの?」

「どの立場ですか?」

「少女よ」

「生活力皆無の王子様と逃亡なんてごめんです。一緒にいられるなら愛妾で構いません」

「そんなの王妃や婚約者が許さないわ」

「それは説得次第ですよ。私が婚約者でしたら王子様が自分の務めを果たし私の地位さえ脅かさないなら愛妾を作ってもらって構いません。」

「え?」

「私のお友達の令嬢も同じ答えだと思います。もともと恋などに憧れてません。」

「どうして?」

「無駄ですから。私はお父様の選んだ方に嫁ぐだけですもの。貴族令嬢たるもの家の利のために嫁ぐのは当然です。恋心など無用です。」

「そんな品物みたいな扱いでいいの?」

「はい。平民と違った豪華な生活の代償です。望んでなかったは通じません。皆、生まれは選べません。」

「貴方、枯れてるって言われない?」


どう意味ですか!?


「この国の言葉は難しいですわね」

「ねえ、本当にお父様の命令に素直に従うの?」

「それは…。場合によっては要相談です。でもどうしてもなら従います」

「要相談?」

「はい。」

「私の話をお父様は聞いてくれないわ。皆殿下の味方よ」


頬を膨らませても・・。令嬢相手にする表情ではありません。この方には期待してはいけません。カイロス様のほうがよっぽどしっかりしてますわ・・。


「当然ですよ。王族には従う以外の選択肢は難しいですもの」

「あなたも?」

「はい。王家には逆らえません。ですがエクリ公爵令嬢は違います」

「え?」

「第二王子殿下に婚約者の可愛いわがままくらいなら許されます。公爵が駄目でも殿下なら貴方のお話を聞いてくださると思いますわ」

「殿下が?」

「ええ。一緒にお忍びにいきたいと言えば連れて行ってくれますよ。」

「お忍び?」

「市や公園、サーカス、平民の生活にも楽しみはありますよ。お部屋でうじうじしているより有意義かと。」

「うじうじ」

「失礼しました。ただせっかく公爵令嬢と第二王子殿下の婚約者という地位があれば、単なる侯爵令嬢の私よりもできることは多いですわ。一度ご自身の立場の利用仕方を考えてみてもよろしいかと。」

「リリアにできないこと?」

「例えば、私が自国でケーキが食べれるようにしてほしいと言えば、きっとお父様が外交のお土産に買ってきてくれます。ですが、貴女が望めば材料も料理人も用意されいつでもケーキが食べられる環境が整います。公爵家と王家の力で贅沢しほうだいです。」

「貴女はケーキが好きなのね。」


わかりずらい?


「第二王子殿下なら大抵の望みは叶えてくださると思いますよ。婚約破棄以外のわがままを言って困らせてさしあげたらスカッといえ気がまぎれますわよ。」

「わがまま?」

「お忍びに行ってらっしゃいませ。公園の花も見頃ですし、市も楽しいですよ。きっと喜んで連れて行ってくださいますよ。」

「殿下を困らせるなんて」


充分困らせてますけど、気づかないふりをしましょう。


「殿方を振り回すのも淑女の嗜みですわ」

「やっぱりリリアはおもしろいわ。」

「せっかくなので殿下をお手紙でお呼びして、二人っきりでお願いしてください。じっと見つめればイチコロですわ。」

「リリアも一緒に行く?」

「お忍びは二人っきりがルールですわ。お土産話を楽しみにしてます」

「また会いにきてくれる?」

「ご招待いただけばうかがいますわ。うちにくるなら、先触れで予定を確認してください。では、私はこれで」


私、どうしてエクリ公爵令嬢に懐かれているのかわかりません。これで、第二王子殿下とのデートが整いましたわ。

あとは殿下が口説けば終わりですわ。うまくやってくださいませ。


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