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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
10歳編

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第十六話 約束

私はようやく外出許可が出ていたので市に出かけました。

破けたローブのかわりをニコラスから新しいローブを貰いました。

魔封じのローブのお礼と言われました。有り難いです。


「レア!!」


聞き覚えのある声に固まりました。もう関わる気ないんですが・・。


「会えてよかった。これを」


王太子殿下から渡された袋に首を傾げます。


「いただくわけにはいきません」

「高価なものではない。ギルとして。いつも世話になっているから」


包みをあけると瓶の中に色とりどりの石が入っています。


「こんな高価な物いただけません」


王太子殿下が笑い出しましたが、どうしてですか?


「それ、一つ口に入れてみて」

「はい?」


この石を!?王太子殿下の手が石を二つ取り出し、一つを口に含みましたが・・。もう一つを唇に押し当てられましても…。

仕方がありません。石を口に含むと甘い。これは石じゃなくて食べ物?

袋の中身をよく見ると色とりどりの小さい石が瓶の中に入っています。

王太子殿下、お顔が赤いですが毒ではありませんよね?


「飴というお菓子だ。俺はいらないから」


下賜なら受け取りましょう。


「ありがとうございます」

「そんなに喜んでもらえるとはな」

「初めて見ました。宝石かと思いました。こんなに綺麗なのに美味しいなんてすばらしい。どうやったら自分で作れるかな」

「もっと欲しいか?」

「いえ、これだけで十分です。すごく嬉しいです。」

「レアが喜ぶならいくらでも贈るのに」

「この飴だけで充分です。今日はどうされたんですか?」

「飴をレアに渡したくて。会えたらいいと探していた」

「私は時々しか市に来ませんのに。ではもう帰られます?」

「いや、せっかく会えたからもう少し一緒にいてもいいだろうか」


すばらしいものをいただきましたから、今日はお付き合いしましょう。


「構いませんが、護衛をお連れください」

「レアは私のことを知っても変わらないんだな」

「私はしがない子供ですから。無礼でしたら態度を改めますよ」

「いや、今まで通りでいい。レアにまでかしこまれたらつらい。息が詰まるんだ」

「お疲れ様です」

「なぁ、レア、こないだの男は恋人?」

「友人です。ありえません」

「そうか。その・・。好きな相手はいるのか?」

「いませんね。まだ出会ってません。」

「出会ってない?」

「色々あるんです。殿下はいらっしゃるんですか?より取り見取りですか?」

「殿下はやめてくれ。私には・・・・・。」


まだ話してもらえないか。愛しい少女の捜索手伝うのにな。


「ごめんなさい。胸に秘めておきたい思いもありますよね。お困りでしたら相談に乗ります」

「レアには相談できないよ」

「確かに子供の私では駄目ですね」

「婚約者を決めろと言われてるんだけど、中々な」

「頑張ってください」

「なんとも思わない?」

「高貴な方は大変だと思います」

「レア、年だけ教えてくれないか。他は詮索しないから」


年くらいならいいかな。


「10歳です」

「大人になったら一度でいいから私に会ってくれないか」

「意味がわかりません」

「伝えたいことがある」

「今では駄目なんですか?」

「ああ。」

「殿下、子供なら許されます。ただ成人した私達が会うのは殿下の婚約者に失礼かと思います」

「婚約者は作らない。」

「はい?」

「父上の命には従う。ただ婚姻は自由に決めていいと言われている。だから、成人したらレアの時間を一日だけ私にくれないか?」

「次に会うのは8年後ですか?」

「これからも会いたいよ。ただこれから頻繁には出歩けなくなる。だから8年後の今日いつもの木の下で待ってる」

「その時に生きてる保障はありませんが」

「その日だけは何があっても私は待ってる」

「わかりました。来れるかわかりませんが努力はします。」


本当に生きている保証はありません。でもこんなに真剣な顔で頼まれては断れません。

成人した私に愛しい少女探しを頼むのでしょうか。確かに子供の私より大人の私の方が力はありますよね。


「レア、最後に呼んでくれないか」


この方は何を考えてるんでしょうか。様子が変。追い詰められてる?


「殿下、なにを考えてるんですか?」

「レア」

「ギル様、何があったんですか」

「私は君と出会えてよかった。レア、いつかまた会えると信じてるから」


王太子殿下に抱きしめられてる現状はなに?

この諦めた感じは覚えがあります。


「ギル様、生きてください。私はちゃんと貴方の言葉を聞きます。」

「レア?」

「なにがあったのかはわかりません。でも貴方の周りには貴方の言葉を聞いてくれる人がたくさんいます。だから諦めないで。」

「いつか会いに来るから待っててくれないか」

「私も自由の身ではありません。でも努力します。貴方に加護があることを祈ってます」

「名残惜しけど、これで」


王太子殿下が去っていきましたが、なんだったんでしょう。

あんな暗い顔をしたのははじめて見た気がします。

不穏なことがおきないといいんですが。

いいです。とりあえずは買い物しましょう。カイロス様の差し入れの材料を買わないといけません。餌付けしようとは思ってませんよ。


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