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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
17歳編

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最終話 前編

第二王子殿下は明日出立されるそうです。

私は第二王子殿下に呼び出されました。ギル様には会わなくてもいいとは言われましたがギル様が第二王子殿下と向き合うなら、私も向き合います。

ご結婚のための出立ですがおめでとうございますと言っていいか迷います。

私は敵対した人間ですし・・。

最後に恨み言でも言いたいんでしょうか。


「ごきげんよう。第二王子殿下」

「リリア、悪かった」

「え?」


第二王子殿下の手に頬を包まれてるのはどうしてですか。


「殿下?」

「お前が死んで後悔したんだ。冷たく当たってもいつも傍にいてくれたのに。疑ってすまなかった」

「殿下?」


言ってる意味がわかりません。私、生きてますよ?。

敵対したので疑って当然ですけど。


「私を恨んでいるか?」


この弱ったお顔は昔のギル様とそっくりです。やっぱり兄弟なんですね。王家は仕方のない人ばかりですね。


「恨んではいません。でもまたギル様やオリビアに手を出すなら容赦はしません。貴方のお兄様は立派な王になります」

「そうか・・。ニコラス、リリアを頼むよ」

「恐れながらいい加減にその手をリリアから離してくれませんか。」


いつの間にか抱きしめられていました。この声に聞き覚えがあるような・・・。・・・昔。


「リリアは殿下の幸せを誰よりも願ってます。幸せになってください」

「リリア!?」


目が覚めると寝室にいました。


「大丈夫か?」

「状況がわかりません」

「第二王子殿下との謁見中に倒れた。気分はどうだ?」

「大丈夫です。なにか夢を見ていたような」

「思い出さなくていい」

「そういえば殿下は?」

「出立されたよ」

「私、一晩寝てたんですか!?ニコラス、具合悪いんですか?」

「リリア」


慌てて起き上がると寂しそうな顔のニコラスの顔が目に入りました。わかりました。仕方のない人です。ニコラスの顔に手をあてます。



「ニコラス、第二王子殿下に置いていかれて寂しいですか・・?」

「違う。なんで、そうなんのかな。リリアは第二王子殿下といたかった?」

「はい?」

「ちゃんと答えて。一緒に、側にいたい?」

「特になんとも。オリビアとギル様の味方なら取り込めれば心強かったかもしれません。」

「俺の側にはいたい?」

「ニコラス?」

「頼むから、ちゃんと答えて」

「許されるなら。」

「そうか、なぁリリア」


ニコラスに頬を撫でられ、じっと見つめられます。そういえば大事なことを忘れてました。時間がありません。


「ギル様に会いに行ってきます」

「え!?嘘だろ。」

「一人で大丈夫です」

「いや、俺も行くから。リリア、いい加減もう少し雰囲気を」


ブツブツ言うニコラスは放って置いてベッドから抜け出しました。

私は謁見の手続きをして、ギル様にあるお願いをしました。

ギル様は快く引き受けてくれました。止めるニコラスは気にしません。ギル様の器の広さを見習ってほしいですが、王族とは比べてはいけませんね。


私はギル様に頼んで幽閉されている少女に会わせてもらえることになりました。

ニコラスは私の後にいます。


「ごきげんよう」

「何しにきたの」


行儀見習いの少女に嫌そうな顔を向けられるのは仕方ありません。少女が貴族牢に幽閉されてるのが救いです。ここならある意味安全です。


「ずっと話をしたかったんです。」

「私を笑いに来たの?」


プリンを鉄格子の間から差し入れます。


「プリン、食べませんか?」


呆れた顔のニコラスは無視します。少女が食べないので私は座ってプリンを食べはじめました。礼儀を咎める侍女もお母様もいません。


「私はあなたが何をしたかったのか知りたかったんです」

「え?」

「もしも第二王子殿下を愛していて、一緒にいたいなら魔封じを受けるなら追いかける方法もあります。他にもいくつか制約がありますが」

「何言ってるの?」

「だって私がギル様に勝っていただきたかったように貴方も必死で第二王子殿下を応援してたでしょ?」


この方は敵ですが、第二王子殿下を勝たせるために一生懸命だったと思います。

彼女が近づいた殿方は力のある貴族が多かった。きっとその家を全て派閥に取り入れられたら、負けたかもしれません。私も必死だったからわかります。


「あの人に私は必要なかった。あの人の目に映っていたのは私ではなかった!!」


声を荒げる少女に私の前に出ようとするニコラスを手で制します。


やっぱりオリビアが好きだったんでしょうか。でも第二王子殿下は理由もなく少女を側に置くことはないと思います。


「あんなに一緒にいたのに?」

「あの人は、捕らわれていた。」

「捕らわれていた?」

「存在しない世界を夢見ていた。あの人の夢をかなえれば何か変わると思ったのに、」


泣き叫ぶ少女になんて言葉をかければいいかわかりません。でも、負けたら彼女の立場は私だったでしょう。


「それで諦めんの?」

「え?」

「俺は諦められなかったよ。不幸になる友達を救いたい、俺はいつか自分を捨てるから離れてって訳のわからないことを言うリリアを。離れそうな手を何度も掴んで、逃げ出そうとするのを追い詰めて、今リリアが俺の隣にいるのは俺が足掻いたからだ。」

「ニコラス?」


突然静かに語り出したニコラスに少女の視線が向きました。

ニコラス、やっぱり彼女が好きなんでしょうか。


「第二王子が好きなんだろ?それなら追いかけて傍にいればいい。捕らわれているなら救い出せばいい。生きてる限り終わりはない。あんたも執念深いんじゃないのか」

「だって私は、失敗した、もうどうすればいいかわかんない」

「諦められる程度なの?そんなちんけな思いで追いかけてたのか」


二人の世界に入りません。


「リリア、」


私が言う必要あるのかな。ニコラスが言えば好感度上がると思うんだけど。


「ギル様にお願いしたの。魔封じをするなら国外追放でいいそうよ。追いかけますか?」

「どうして」


少女に縋るような目で見られてます。今の少女は可愛いし庇護欲をそそられます。ハンカチを差し出します。


「私は主人公の少女に出会ったら、協力するつもりでした。私はハッピーエンドを目指しているの。」

「いつかは私を見てくれるかな」


「わかりません。でも私は絶対に結婚しないと決めたニコラスと結婚しました。8年前に縁を切ると決めた彼と。人生なにがあるかわかりません」

「リリアは私が嫌いで邪魔したんじゃないの?」

「私は私のお友達が不幸にならないために必死でした。ギル様の勝利が絶対に必要なことだったから。貴方と第二王子殿下が幸せになれば最高のハッピーエンドだと思います。頑張って妾を目指してください」

「妾って・・」

「第二王子殿下は辺境の国のお姫様と婚姻が決まったそうです。お姫様と協力して支えてあげて」

「リリア、第二王子殿下の事どう思う?」


私はそんなに関わってないからわかりません。


「どうしようもない人です。お兄様と手をとってくれれば良かったのに。でももしこの国に手を出すなら容赦はしません。この国の牢で朽ち果てるのも国外追放を選ぶのも自由です。ただ私にできるのはここまでです。」

「ニコラスはリリアを捕まえてるの?」

「離すことはないよ。俺はリリアを看取って、体をもらう約束してるから」

「そんな約束してません」

「あとで証拠見せるから今は黙って。この国や俺達に手を出さないなら何もしない。」


少女は魔封じされ国外追放を選びました。兵に護送される少女の顔は清々しかったです。

どうか幸せでありますように。

どうしても恨む気にはなれませんでした。


「大丈夫だよ」

「ニコラス?」

「諦めないなら報われる。神の加護があるだろう」

「ニコラスが神の加護なんて言うとは。追いかけたい?」

「まさか。ただ報われればいいと思う。」

「そうですか」

「リリア、その目はなに?」

「ニコラスが肩入れするほど大事に思っていたとは複雑です。牢で彼女の心を手に入れるのかと思ってました。」

「バカ。同じ立場だからな。俺にはリリアだけだよ。二人が上手くいくのは俺達のためだ」

「え?」

「わからなくていい。知らなくていい。行くか。」

「ニコラス?」

「帰りに王都に寄ろう。絶対に喜ぶ店に連れてくよ」


私はニコラスに腕を引かれて後にしました。

なんと、ニコラスが連れて来てくれたのはケーキ屋さんでした。


「ニコラス、これは」

「クレア様達からの結婚祝いだって。」

「私、クレア様とお友達になって良かったです。今まで振り回されたことも水に流してあげます。お礼はどうしましょう」

「手紙を書けばいいだろう。好きなの買って、家でゆっくり食べよう」

「いくつ買っていいですか?」

「好きなだけどうぞ」

「私、ニコラスと婚姻して良かったです。今日のお夕飯はケーキです!!」

「マジかよ。いや、夕飯はちゃんと作って。」

「冗談です。」


私は色とりどりのケーキをいくつか買って帰りました。

この国でケーキが食べられるなんて思いませんでした。

美味しいケーキが食べられて幸せです。

美味しいものは人を幸せにします。

私の思い描いてたものとは大分違います。でも構いません。

これからは心を入れ替えて外交官として、レトラ侯爵家のためにしっかりお務めをはたしましょう。


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