表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
17歳編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

137/174

第百十五話 悪あがき6

私は王太子殿下と隣国で暮らし始めて2週間たちました。

こんなにのんびりしていていいのでしょうか。王太子殿下は村の方々と馴染んで楽しそうに過ごされています。

今日は朝からクレア様とセシル第二王子殿下が来ました。

第二王子殿下が護衛騎士を貸してくださったので王太子殿下は村に遊びに行っています。


私は第二王子殿下の持ってきた書類を手伝っています。


「リリ、悪いんだけど翻訳してくれないか?」


仕方がないのでテーブルで頼まれた書類を仕上げます。


「リリア、これ、わからない」


「これは・・・」


「わかった。ありがとう」


「第二王子殿下、ここで仕事をしても平気なんですか?」

「王宮よりもはかどる。クレアが公務をするならと快く送り出されたよ」


私、いいように使われてませんか・・。お世話になってるのでいいでしょう。お土産にケーキを持って来てくださるので余計なことは申しません。


「第二王子殿下、なにかうちの国の情報はありませんか?」

「特に変わった感じの情報はないよ」

「追っ手は本当に来ないんでしょうか」

「ああ。絶対に来ないから安心しろ」

「わかりました」


この自信はなんなんでしょうか・・。

まぁいいでしょう。この二人のことは深く考えると疲れます。


3日に1回書類を持って現れる第二王子殿下に文句を言おうとしたら王太子殿下に止められました。王家は仕事が多くて大変なようです。気づいたら隣国の書類仕事を手伝っている王太子殿下に泣きたくなりました。暇だからって、しかもアドバイスしてますし…。うちの王太子殿下は優秀ですわ。家事能力は壊滅的ですが仕事に関しては優秀だと思います。わが国の第二王子殿下あなたのお兄様は優秀ですよ。



第二王子殿下夫妻が帰られました。今日は夜はお祭りがあるので王太子殿下と一緒に見に来ています。

セノンはお留守番です。人が集まっていますね。


「まだ来ないのか!?」

「はい、到着してません」


いつも、お世話になっている牧場のおじ様達が慌てています。


「どうされました?」

「リリ!!」

「楽団と神官様が来なくて、何かあったんだろうか。祭は始まっているのに」

「楽器はあるか?」

「笛なら」

「私が弾こうか?」


迷いもなく手伝おうなんて流石です。


「弾けるのか!?」

「どんな曲を演奏すれば?」

「踊れればなんでもいい」


王太子殿下の想像する踊りはきっとダンスです。


「ギル様、賑やかな明るい曲をお願いします。神官様は何をするんですか?」

「恵みへの祝福の祈りを」


王太子殿下が手伝うなら私もやりましょう。


「どなたか白いローブか大きな布を貸してください」

「リリ?」

「お世話になっているお礼です。私、巫女位をいただいていますが、内緒にしてくださいませ。」

「まさか、リリは」

「私はギル様と一緒にいたいので内緒にしてください。ギル様、引き受けてもよろしいですか?」

「ああ。リリがやりたいなら」

「おまかせください。」


おば様が白く大きい布を持ってきてくれました。

「リリちゃん布はこれでいいかい?」

「ありがとうございます」


白い布を頭からかぶります。これで顔は見れません。

村人に案内されたまま舞台に進みます。

祝詞を唱えて祈りを捧げます。せっかくなので光の祝福も捧げます。暗い中、キラキラ光ったらきれいですよね。


礼をして舞台から立ち去ります。

王太子殿下が笛の演奏をはじめました。

賑やかな曲って言ったのにどうしてワルツを演奏してますの!?

せっかくのお祭りです。王太子殿下の隣に座って、聖属性魔法を使ってキラキラと光を散らします。

幻想的ですね。目を見張る殿下に笑いかけます。

次はどうしような。氷の雨でも振らせましょうか。

暑いから気持ちがいいでしょう。笛の音に合わせて魔法を出すのは楽しいんです。ただ誰も踊らないんですけど!?



「あの、誰も踊らないんですが大丈夫でしょうか?」

「リリ、楽しめればいいんだよ」

「ギル様」


王太子殿下はいつも落ち着いてます。

この方が慌てたのって襲われてたときだけですわ。

王家の方は度胸がちがいますのね。この国の頼りない王太子夫妻とは違いますわ。オリビアと王太子殿下がおさめる国はどんな国になるんでしょうか。

私は人を見る目がないのかなぁ。最初に見捨てようとした王太子殿下がマトモで、頼りにしようとしてた人達は最低でした。


第二王子殿下はどうしてお兄様を殺してまで王位が欲しいんですか。オリビアは潔癖なので、兄を殺そうとする貴方の手は絶対に取りませんよ。私も兄を殺すような王にお仕えしたくありません。ニコラスがどうして第二王子殿下を選んだかわかりません。愛しい少女を王妃にするためですか?その未来に幸せはあるんですか?

ニコラスに切り捨てられたことは複雑です。でもニコラスの選んだ道の先にニコラスや領民の幸せはあるんでしょうか。

王太子殿下の笛の音に耳を傾けながら夜空を見つめます。

オリビア、私が王太子殿下を守るから絶対に生きて待っててください。ライリー様、オリビアをお願いします。

ニコラス、オリビアを傷つけたら黒魔術をかけるので覚悟していてください。

きっと次会うときも戦わないといけないんですよね。もっと強くならないといけません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ