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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
17歳編

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第九十八話 人気取り

私は今日も王宮に来ています。なんと行儀見習いが入ったと側妃様に教えていただきました。しかも第二王子殿下の推薦ですって。

私は王太子殿下の派閥ですが、側妃様と親しくする許可は王太子殿下に頂いてますよ。王太子殿下は側妃様を大変そうだからって同情した目で見てました。王太子殿下はなんて寛大な人柄でしょう。ただ黒髪の令嬢はオリビア以外に見たことがないので、すぐに見つかると思ったのに中々見当たりません。黒髪は目立つのに、全く見かけないのはどういうことですか。

しかも第二王子殿下は見目麗しい侍従も引き入れたそうです。うちの派閥の方々も見惚れてしまうから油断なりません。ご令嬢達は私よりも社交レベルの高い方々なのでうっかり情報をもらすことはないと思いますが。


「ニコラス、成人したのに、私の護衛をしてる場合ではありません。いっそ王太子殿下の護衛についたらいかがですか?」

「父上の許可があるから問題ない。」

「ご令嬢方が見目麗しい侍従に夢中にならないように対抗しないといけません」

「いらないから。落ち着いて」

「侍従は見るのに、行儀見習いは見つかりません。側妃様が嘘をつくとも思えません」

「運がないんだろう。もう用は終わりだから帰ろう。こんなに歩いてもいないんだから今日は無理だよ」


王宮の自由に足を運べる場所を歩き周ったのに全然みつかりませんでした。


「行儀見習いの差し入れはおいしかったですか?」

「食べてない」

「え?第二王子殿下の名前での差し入れは人気取りになりますか?」

「下っ端は喜んでるな」

「私が王太子殿下の名前で差し入れすれば相殺できますか?」

「勝手に名前を使うな。差し入れよりも治癒魔道士として待機してるほうが役にたつ」

「私、お暇な時間は訓練場で読書をすることにします」


帰るのはやめて訓練場に向かいました。紙とペンで簡易の看板も作りました。


「リリア、何しにきた?」


知り合いの騎士に看板を見せます。


「私、ギルバート王太子殿下の魔道士、リリア・レトラはお手伝いするためにきました。治療しますので、何かあれば声をかけてください。」

「また訓練?」


遊びに来てませんよ。苦笑されてます。この騎士はいつも私のことを困った子供を見るような目でみるんです。失礼ですよ。不満は隠してにっこり微笑みます。


「いえ、人気取りです。第二王子殿下が差し入れでお腹を満たすなら、私は痛みをとって至福の世界に誘います。」


「なんかいかがわしいな」

「どこが?」

「昔の特等席用意してやるよ」


私は席を用意してもらいました。時々、怪我人に治癒魔法をかけながら訓練を見守りました。一部の騎士に物悲しい視線を向けられます。行儀見習いのように可愛く応援しないからですか?


「ニコラス、可愛くないからだめなの?」

「は?」

「物足りないって顔で見られるんです」

「気にしなくていい」

「人気取り…」

「そんなすぐには効果が出ないだろう。」


私は暇な日は王宮の訓練場に通うことにしました。一度だけ、行儀見習いの少女を見つけて、話しかけたかったんですが怪我人が出たのでお話できませんでした。ことごとく彼女に出会うのはタイミングが悪いんです。


騎士の皆様、怪我は治療しますよ。だからって、あえて怪我をおうような捨て身の攻防はどうかと思いますよ。ニコラスは時々訓練に参加しますが、基本は私の後に控えてます。少女が来ると一部の騎士が駆け寄っていきますね。愛嬌が足りないんでしょうか。遠目で眺めた少女の様子思い出します。すぐに治療するために担がれたので、見れたのは少しだけですが。


真似してみようかな・・。


「いつもお務めありがとうございます。無理せずがんばってください」

「リリア?」

「笑顔で愛想よく言えば、殿下の人気でますか?私にはあんなに集客力ありません。」

「レトラ嬢、無理だよ。小さい頃から見てるから。今更やってもわざとらしくて不気味なだけ」


お母様譲りのにっこりした笑顔で見つめます。


「いつも守ってくれてありがとう」


本当に効果ありません。目の前の騎士は呆然とするだけです。


「リリア、それやめて。絶対に。効果ないから」

「やっぱり大きいお胸がないと駄目か。詰め物しようかな」

「違うから!!。色仕掛けしなくていい。そんなんで殿下の人気取りにならないだろうが」

「ニコラス、何をそんなに慌ててますの?」

「今日は帰るよ。行くよ!!」

「もう少しだけ」

「駄目だ。」


私はニコラスに強引に手を引かれて馬車に向かいました。

途中で麗しの侍従とご令嬢が見つめ合ってます。あのご令嬢は婚約者がいます。こんな所で、見つめ合うのは誤解を招きます。声をかけるしかありません。


「ごきげんよう」


ご令嬢に声をかけても反応しないって・・。瞳を濡らして、侍従と見つめ合っているご令嬢の肩を叩いて、治癒魔法をかけます。精神異常ではない。気づかない?試しに浄化魔法をかけてみます。取りつかれているなんてことは・・。


「は!?え?リリア様?」

「大丈夫ですか?」

「え?私、どうして?」


侍従が礼をして、立ち去っていきました。


「ご用はよろしかったんですか?」

「私、声をかけられたあとの記憶が曖昧で」

「今日は休まれたほうがよろしいかと。馬車までご一緒しましょう」


私はご令嬢と一緒に馬車を目指しました。

ご令嬢は大丈夫でしょうか。ニコラスが考えこんでます。


「どうしましたの?」

「なんでもない」

「焼き餅ですか?」

「え?」


期待されたような顔でみられてます。


「行儀見習いの少女がニコラスのところに来てくれないから」

「ありえない。いらない。リリアだけでいい」


今度はがっかりした顔をしています。情緒不安定なんでしょうか。手を取り、治癒魔法をかけます。あんまり変わった様子はありませんが、嬉しそうなのでいいとしましょう。最近、ニコラスのことがよくわかりません。成人したことで、責任に押しつぶされそう?強靭な心を持つニコラスにはありえません。やっぱり愛しい少女の所に行くか迷ってるんでしょうか。もしかして、場合によってはニコラスと、戦うのかな。勝てる気がしません。ディーンにニコラスの弱点を聞いたら教えてくれるかな…。


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