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『或る狂いのエッセイ集』

『ウエハースのシール狂い』

『ウエハースのシール狂い』



随分前から、食玩で、シールが付属したウエハースが定期的に、売られている。もう昔のものは中々手に入らないが、それでも、新しいシールが出る度に、皆、躍起になって、ウエハースの末路もそこそこに、シールを集めるという狂いに狂う。

シールにも種類があって、レアなものになると、特に人々はそれを欲しがるのである。自分もそれを手に入れようとして、ウエハースを購入する訳だが、時々食べると美味しいウエハースが、20枚やら30枚になってくると、流石に食べるのも大変なことになってくるのだ。



思うに、ウエハースに付属しているシールではなく、もはや、シールに付属しているウエハースの状態になるのである。そして、食べきるか、捨て去るかの狭間で、ウエハースは袋に入れられたまま、放置されてしまうのだ。何と贅沢なことをしているのか、という心の衝動から、時に手に取って食べるものの、大量に食べることはできない。体が悲鳴を上げるのだ。

それにしても、そのシールを集める時の衝動は、本当の狂いである。まるで購入時にウエハースの存在が頭から消え去ったかの様なのだ。食べ物の神様がいるなら、恐らくこういった人々には天罰が下るだろう。



しかしまた、何百円の単位で楽しめるシールの収集は、それなりに、贅沢ではない、割安な狂いであって、自分で自分の衝動を認めているかのようだ。目標の良いシールが当たれば、それはそれで、日常のささやかな楽しみになるし、その日の気分も上がるというものだ。

こんな風に自分は、ウエハースのシールに狂っているが、実質は、シールのウエハースに困っているのである。この困り様を、もしも誰かが解決に導いてくれれば、残り物になったウエハースに対する罪の意識も消えるだろうと、密かに解決に向けて、期待をし、また、願っているのである。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しそう。息子も買ってたな。懐かしい。
2019/08/29 06:57 退会済み
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