若さゆえの過ちというものを 前編
5話です。
あれから2ヶ月ほど経った。私のメンタルは未だに崩れ去ったままだったけど献身的な家族や使用人の皆の支えもあって普通に部屋から出て活動する位のことは出きるようになっていた。
クライ先生はあれから私のデータを研究してどうにか改善する方法はないか探ってくれているらしい。おそらく、私を気遣って家には来ないでいてくれているんだろう。
しかし、向こうから避けてくれているクライ先生とは違いこちらとしてもどうしようもない来客と言うものは訪れるものだ。
パターンとしては様々考えられるが今回のは義兄達がやってくるというイベントだった。
本妻の子供、といっても母上にとっても私達子供にとっても特に気後れするような相手ではない。ないのだが、なんというのだろうか前世で私が感じたもので言うと家におばあちゃんが来る時のような感覚であった。
そうなると流石に引きこもってもいられないし、ショックを表に出すわけにもいかずなんだか今回は疲れるだけの訪問になりそうな気がするのだ。
因みに現在は大部屋で皆さん談笑中である。私も当然そこの一員に加わっている。
そういえば今まで散々語っておいてミナとクライ先生以外の人名を紹介していない気がするのでこの場で一気に話してしまおう。
まず、私達が座っているこの長机の左奥。全員と垂直になるような位置に座っているのが当主にして父上のアンドレク・シルドレア。高貴さを感じさせる金髪にグランブルーの眼。顔立ちは整いまくっていてまず間違いなくモテル(確信)。
土地の経営をしているのもこの人で剣の腕もたつとかいう超人。
その父上からみて左側に座っているのが本妻、ルイーデル・シルドレア。紫色の髪に黒色の眼をしており落ち着きを感じさせる。なお、顔立ちはこれから先も変わらないので割愛することとする。
どうやら魔法がある程度使えるようでその姿はすごく絵になるらしい。
またその左には父上譲りの金髪に母親譲りの黒い眼の少年はレラル・シルドレア。長男であり若いながらも堂々とした立ち振る舞いをしている。どちらかというと武闘派で父上と剣の修行なんかもやっているらしい。つい先日10歳になったらしい。
更にその左には黒髪に同じく黒い眼の少年、フレディ・シルドレア。長男のレラルとは違いどちらかというと頭脳派で少し質問するだけでスラスラと知識が出てくる。その代わり家族の中では細身で大陽に弱そうな感じである。年齢は私の3つ上の8歳だ。
そしてその左に私と同い年の女の子、ミリア・シルドレア。容姿は父親のものを完全に受け継いで金髪にグランブルーの眼。明るく楽しげな雰囲気を崩さない少女だ。
で、ミリアの正面に座っているのが私。
私の左に座っているのは私の3つ上の姉、アイラ・シルドレア。クリーム色の髪に琥珀色の眼をしていておっとり系美人。年齢以上の落ち着きを感じさせる。
その左。4つ上の姉のスミラ・シルドレア。銀髪にエメラルドグリーンの眼をしており相手にも自分にも厳しい性格。だけど折れるのを許してくれないわけじゃない感じ。頼りがいのあるお姉ちゃん。
で更にその横が我らが母上リタ・シルドレア。銀髪に銀の眼。親バカだけど気品を感じさせる。
・・・・・・はぁ。
めっちゃ長かった!疲れた!家族を一気に説明するのってこんな大変なのか。もう、もうやりたくない。絶対やだ。頑張って外面には出してないけど内面では息切れしておりますので。
「ねぇ、聞いてる?フレイア?寝てる?」
「え?ああ、ごめんなさい。ちょっとぼーっとしちゃって。ってか食事しながら目を開けた状態で寝るって結構重症じゃない?」
「そういう説もあるかもしれないわね。」
今話しかけて来ているのは先程説明したミリア。正面に座っているからかやたら話しかけてくる。
「で、何の話だったっけ?」
「この近くで景色のいいところってどこかな、って話よ。」
「私正直ここの周辺のこと詳しくないわよ。基本的に屋敷の中で生活してるから。」
まあ当たり前のことだよね。貴族の令嬢なのだから花よ蝶よと育てられるのは普通のことだろう。
「まあまあそういわずに。この辺にはどんなものがあるの?」
「えーと、庭園とか?このあたりにほかにあるものといえば湖とか丘とか森とか?」
「へぇ。それは面白そうね。」
何やら悪巧みしているような顔をしているミリア。
「おとうさん!フレイアと一緒に外に出てきてもいいかしら?」
「ん?ああ、構わないよ。仲良くな。」
おおう。急な展開に置いて行かれている間にいつの間にかミリアに手を引かれて玄関から外に出ていた。
庭にはたくさんの花や木々が庭師によって丁寧に整えられている。ただその一方でそれぞれの植物をちゃんと見えるようになっているため入り込むと迷路のようにもなっている。
ミリアは私を引っ張ったまますぐさま庭の入り組んだ場所に入り縦横無尽に動き回って見せた。
「ちょ、ちょっとまって!いったいどこに行く気なの?」
「外よ!でも一回庭も見ていきたいのよ!奥の方もまとめて案内して!」
あ、はい。わかりました。てんやわんやの内に庭を回って花畑をキャッキャッと走り回ってその場でも意味のなく回って手を引かれるまま庭中を駆け巡った。
「はぁはぁ、ちょっとどこいくの?」
なんだかんだ外まで出ていたらしい。私は見ての通り息切れしまくってますがミリアはまだまだ元気らしい。
「さあさあいざ外出よ!」
「待って!森には行っちゃ」
「森?あれね!じゃあレッツゴー!!」
私の手を振り切って走って行ってしまう。あなたが握ったんだけどね~ってちょっ!
「ダメなんだけど!!ねぇちょっと!?」
聞いてねええええええええええ!!!!!
家のすぐそばにある森は普段は普通の森なんだけど最近凶悪な魔物が住み着いたとか蜂がいっぱい沸いてるとかいい匂いがするとかいろいろ言われてて近づいちゃいけないってことになってる。後半になるほどしょぼいというか最早意味が分からないけど近づいちゃいけないといわれているのは事実なのだ。
ああもう!あの活発少女はおてんば姫だったよ!人の話も聞かないで一人で森の中に行くなんて!普通の森でも危ないでしょうが!
で、でも護衛の人がいるはずだから大丈夫だよね?おーい!おーいってばー!!
・・・あれ?もしかして庭に入ったのって護衛の人を撒くため?じゃあ今私たちを守ってくれてる人っていない感じ?
それ、やばいね。うん。やばい。酔い覚めたわ。酒なんて飲んでないけど今のこの絶望感はそれに似てる。ような気がする。冷静になった。
幸い私ならまだ追跡可能な距離ではある。あるんだけどさぁ。
「仕方がない。急いで追いかけないと!」
そういうと私は全速力でミリアを追って走り出す。
この判断を下した時点で全くもって冷静ではないことに気が付くものはいない。
予約投稿に失敗しました。初めての経験です。遅れて申し訳ありません。
ブクマ、感想、その他諸々してもらえると嬉しいです。はい。
では、またお会いしましょう。骨董品でした。