認めたくないものだな 後編
4話です。ちょっと短いです。
ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってどういうこと?つまり私は魔力的にも適性的にも不自由しないレベルで魔法が使えるにもかかわらず出力する力が弱いせいでおそらく普通レベルである中級魔法ですら使えない可能性が高いってこと?
・・・やばくね?
混乱しながら硬直していた私は焦りの表情を浮かべている母上が入ってきたことで再起動した。
「クライさん。フレイアの将来に関する緊急事態と言われて来たのですが一体何があったのですか?」
先程と同様の説明をするクライ先生。
「こういった魔道具に魔力を通しにくい特異な魔力な可能性もありますが。そうだとしてもこのレベルの検査ではこれ以上はどうしようもないですね。仮に魔法の道を志すのであればより正確に測定する必要があります。原因の中には治療可能であったり成長とともに解消されるものも存在しますので。」
「私としてはそうしていただきたいですが・・・。フレイア、あなたはどう思う?」
「私は、やっぱり魔法について学びたい、そう思っています。できるだけ詳しく調べていただきたいと、考えています。」
だめだ。動揺が隠し切れない。思考がまとまらない。言葉が途切れ途切れになって上手く話せない。
「わかりました。そうでしたら少しの間だけ時間を頂けないでしょうか。より正確に原因を追究するために仲間とそれぞれの専門の魔道具を連れまた訪問させていただきたい。はやくて明日、遅くても数日後には到着するかと。」
それでも、クライ先生にはしっかりと伝わっていたようだ。
「よろしくお願いします。この子はずっと昔から魔法を使いこなしたいと言っていたんです。親として、出来るだけその願いを叶えてやりたいのです。」
横に座る母上も真剣に頼んでくれる。
「では、すみませんが一度失礼します。急いで集めてできる限り早く戻ってきますので。」
そういうと早足で帰っていく先生。部屋の中にはどんよりとした空気が漂う。その後、私は何もすることなくベットで眠った。なにか話したいような気分にもなっていたが詳しいことはもう一度先生に検査してもらわない限りわからない。
結果的にクライ先生は言葉通り翌日に訪ねてきてくれた。
周囲には頭のよさそうな人が何人も。もってきている道具も昨日とは段違いだった。
昨日と同じ条件での検査から始まり、それこそ病院の検査のようなことが矢継ぎ早に行われた。
話している内容を盗み聞きしたところどうやらかなり判別が難しい状態であったようでクライ先生のような腕の良い人でなければ気付かなかった可能性が高かったようだ。運が良かった、と素直に喜ぶこともできないような状況であるが実際に気が付かなかった時のことを想像するとやはり運が良かったと喜ぶべきだと思う。
なにせ私は冷静ではないのだ。今でも頭の中ではどうしようどうしようと思考がループしている。
そんな私だからこそ検査は早く終わったのかもしれない。フラフラといわれるがまま動いていた自覚がある。
その結果・・・。
「結果から言わせていただくとまだ育ち切っていないころから魔法を使ったことが原因である、ということですね。数値としても、反応としても間違いはないと思います。しかし・・・。」
「もちろんですが、そんなことはさせていませんよ!?学びたいというのも数年我慢させていたほどです。」
あああああああ!!!!
思いっきり心当たりがあるよ!その原因には!!駄目ですか。駄目でしたか!
「しかし身体的に問題があるわけではないようなのです。正直フレイア様が魔法を使われたとしか考えられません。無いとは思っているのですが。」
いえ、その通りですね。先生達は本当に優秀な人材のようだ。何も間違っていない。
「改善方法はないのですか?治療方法といったようなことを先日おっしゃられていたと思うのですが。」
「残念ながら分からない、ですね。魔法を使わないことぐらいでしょうか。」
はい。わかりました。大変申し訳ございません。小説の中の情報を信じ切って私は大きな、大きすぎる過ちを犯してしまったようだ。
結局、そこから私はふさぎ込むことになる。もちろん魔法の循環も結晶も全く触れることはなく、姉やミナや他の使用人、そして母上が心配してくれていることはわかっていたが私が調子に乗ってやってきたことが全て逆効果であったと気が付かされたショックは大きかった。それだけの時間と労力をかけていたということもある。
しかし、あることがきっかけで事態はまた変化していくのだった。
そろそろ力尽きてきました。頑張ります。
感想、ブクマなどしてもらえると嬉しいです。
では、またお会いしましょう。骨董品でした。