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激戦!自己紹介!

11話です。

センジメ先輩のお話が終わってからは特筆すべきことはなく入学式は終わった。しっかし学園長の軽いノリには驚かされた。女性だってことは知ってたんだけどこれだけ大きくて国にとっても重要な施設のトップならちょっとしわの入った位の女傑って感じをイメージしてたもんだから若々しくアイドルみたいなテンションに度肝抜かれた。


ミルナ先生に再び連れられて教室に戻ってきた私たちは先ほど座っていた席に戻り正面に立つミルナ先生の方へ向き直っていた。


「はい!入学式お疲れ様でした。講堂の中はどうだったかな?あそこはこの学園の中でもかなり気合の入った造りになっているからね。初めて見たときは圧倒されるのが正しい反応だぞ。まあそんなことはいいんだ。これからしばらくの間一緒に過ごしていく仲間と顔を見合わせたばかりなんだ。さっきも言ったけど自己紹介をやっていくよ。」


始まってしまった・・・。コミュ障の苦手なものランキングでは大体上位にランクインする『自己紹介』だ。


「やる順番は名前順でいっか。名前とかなんか適当に言ってね~。」


あまりにも軽いノリで高度な技を要求する先生。しかし幸い名前順でやるなら私の発表までには少し時間がありそうだった。


そんな中。最初に立ったのは焦げ茶色の女の子。


「アイル・クーリエです。一応貴族ですが切れ端のようなものなのであまり遠慮しないでかかわってくれると嬉しいです。え、えーと。趣味は刺繡や読書です。す、好きな食べ物は私のメイドさんが作ってくれるお茶請けのお菓子です。あと、えーと、そのー。もうそろそろいいですか?」


かわいい声をして礼儀正しいアイルちゃんは偉大なことをやってのけた。このような紹介系の発表においてトップバッターが何よりも大変な理由は何についてしゃべるかを前の人の参考なく何となくで考えなければならないところだ。


その点彼女は自己紹介のフォーマットを完璧に制作して見せたわけだ。この子は信用できる。さらに加えて、境遇とそれに対する受け止め方が私とかなり似ているように感じるから気が合うんじゃなかろうか。


自己紹介を聞いて是非お近づきになりたい候補第一位だ。まだ自己紹介一人しかやってないんだけどさ。


「アインズ・ガイン。家の爵位は子爵。趣味は音楽を聴くことだ。他には・・・特別言うことはないな。よろしく頼む。」


アイルちゃんに続いたのはアインズ君。黒髪の毛をつんつんさせているかっこいい系の男の子だ。強敵とかを相手に「行くぜぇ?」とか言ってほしい。今はまだしも将来絶対絵になる。


それに意識してか無意識か好きな食べ物の話をしないことでアイルちゃんが食べることが大好きな子みたいな印象を付けてるところもポイント高い。友達になったら楽しそうだね。なれるかは別として。



・・・・・・・


さて。家族一斉紹介の時に人物紹介の大変さを思い知った私はクラス全員の紹介に対してリアクションは取らないよ。同じ失敗は繰り返さない。成長する女、フレイア。私は成長期なんだ。


あ、クラスの合計人数は20人だからあっさり私の番もめぐってきた。


「私はフレイア・シルドレア。貴族だけどアイルちゃんとかキーラ君と同じような感じだと思うよ。趣味は魔法について調べることかな。みんなと仲良くできたらいいなと思っています。これからよろしくね!」


決まった。多分、決まった。アイルちゃんが作ってくれた流れに全力で乗っかっただけだけどとにかく私は解放されたんだ!


あー緊張した。表情武装とかの技術は前世と今世の両方で学んだからちゃんとできるんだけど内側では心臓バックバクですよ、ほんと。


「マイル・ブライト。家の爵位は伯爵。趣味は読書。よろしく。」


あ!さっき私に言葉で殴り掛かってきた赤髪ではないか!飄々とした雰囲気はイケメンが纏うそれであることも私を苛立たせる要因である。因みにそんなに苛立ってもないし怒ってもいない。むしろ的確かつ切れ味の良いツッコミは好感が持てる。


赤髪の少年改めマイル君は少年漫画とかライトノベルとかだとかっこいいライバルキャラって感じの雰囲気がある。片手剣とかに魔法付与して優雅に力強く戦いそう。前述のアインズ君と戦うのも映えそうだ。


まあ全部私の妄想なんだけどさ。皆かっこかわいいから妄想が捗る捗る。


そんなこんなでニヤニヤと楽しみながら名前順で最後のワゴル君の自己紹介が終わった。


「うんうん。いい感じじゃないか今年の子たちも。元気と賢さとフレッシュさがある。そうだな、じゃあ折角皆に自己紹介してもらったことだし、先生としてもう一度しっかり自己紹介をしてみようじゃあないか。では、私の名前はミルナ・ケール。この学校の教師をやっている。専門分野は魔法学で得意な魔法は闇と炎。私の魔法、入学祝にちょっとだけ見せてあげるよ。」


そう言うとあまりにも長すぎる髪をちょっとだけ翻してターンする。途端にまだまだ昼前だというのに部屋一面が暗黒に包まれた。


その異常な状況に混乱しながらも私は懸命に闇の中に目を凝らした。すると、頭上に一つの炎がぽっと現れる。


ふわふわと浮かぶその明かりはゆらゆらと揺らめきながらほのかに辺りを照らす。


突然。席と席の合間、人のいない足元に小さな炎が生まれ宙を舞っていく。


暖かみのある炎の光が暗闇の中を縦横無尽に動き回り幻想的な光景を描き出す。


どれくらいそのまま見惚れていただろうか。いつしか動き回っていた小さな炎は私たちの目の前に一人一つずつ留まっていた。


どういう原理なのか熱を感じないそれにそっと手を伸ばすと最初に現れた炎が膨れ上がって・・・。


眩しさに目を閉じてしまった私が次に目にしたのは元通りの明るさに戻った教室に舞い散る幻想的な光のかけらと伸ばした手の中に入っていた一つのバッチだった。


「楽しんでくれたかな?そのバッチは学生の証だから大切にしてね。」


誰もが引き込まれるような超常現象を起こした張本人はそう言って悪戯が成功したかのように嬉しそうに笑うのだった。

風邪をひいてしまって投稿が遅れました。申しわけありません。


ブクマ、感想等頂けましたら体調がよくなります。よろしくお願いします。


では、またお会いしましょう。骨董品でした。

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