おはようございます
目覚めの瞬間は水中から這い出る感覚に似ているとよく言われる。
ずっとこのまま浸っていたい。でも、なんだか私を呼ぶような声が聞こえるような気がする。
起きなくちゃ・・・起きなくちゃ・・・。
あぁ、息が苦しい。自覚した途端体の節々が空気を求めて痛みだす。
あとちょっと・・・あとちょっとだから・・・。
ほらもうそこに・・・!
「オギャーーーーーーー!!!!」
・・・・・・私、転生したみたいです。
は?
いやいや。
は?
私死んだんですか?そんな記憶ないんですが。いやまあそれは最悪どうでもいいですよ。いいんでございますよ。よくないけど。
なぜに私赤ちゃんなんですか?いや多分生まれたばっかなんで目とかちゃんと見えてないんですが、時間がたつたびにそうじゃないと言い切れる証拠が薄くなってきて・・・。
でも、でもですよ。転生ですよ!数多のオタクのあこがれの元でありながら青春を謳歌出来る間か社畜になって過労死しなきゃ叶わないといわれるあの転生ですよ!
後はこの世界が剣と魔法のファンタジー世界だったらオタク目ラノベ科転生属なろう種の皆様から欲望と尊敬の念を集められる可能性が・・・!
剣と魔法のファンタジー転生のテンプレといえば幼いころから魔力を動かす練習をして圧倒的魔力量とロスの少なさで無双!みたいな、そういうのですよねぇ。
動かないかなぁ、魔力。起きないかなぁ奇跡。
ないだろうなぁ。私不運って程でもなかったけどとんでもない豪運の持ち主ってわけでもなかったし。
私の二回目の人生は一体どんな人生になるのだろうか。
・・・え?周りの状況だって?赤ん坊がそんなもん見えるわけないでしょ。なんかどことなく気品を感じたり嬉しそうにしてるなってことぐらいでね。
じゃあ私眠んで眠ります。おやすみ。
――――――
転生してからそこそこ経過したと思うのですが、今日はちょっと皆さんに聞いてほしいことがあるんですよ。
この世界、魔法ありました。いや、ほんとに。
最近少しずつ目が見えるようになってきたんですけどね。我が母上と思われる女性の方のまわりに数人の人が出入りしてるんですよ。その時母上のおなかに触って何かしてるんですね。で、もちろん私も最初は普通の医療行為だと思いましたとも。ええ。ですけどすっごい光ってるんですよ、手が。
何やら光の玉みたいなものがふわふわ漂いまくってるんですよ。これはもしかするんじゃないかと期待する反面、光がぼやけてるだけかもなって。でも何日見てもその玉はふわふわ浮いてるし何なら手から水も出てました。
これはありますわ、魔法。最悪魔法じゃなかったとしても似たような技術が確立されているってことが私の中で確定しましたわ。
となればやらざるを得ないのが魔力循環。名だたるチート持ちの先駆者も最初はみんなこの地道な作業を繰り返してきたんだから私だって挑戦しない理由がない。
ふんぬ!ソイヤッ!動けってんだよ!ぐぬぬぬぬぬ~!
・・・あ。なんか今動いた気がする!なんか体の中でちっちゃな何かが反応したような?くすぐったいような感覚があったような感じがした!
よっしゃこれを手繰ればいいんだよね!?えと、あれ?どこいったんだろう。確かに何かそれっぽいのがあった気がしたんだけどなぁ。ま、初めてでここまで行ければ大健闘かな。明日からも継続的に頑張っていこう!それではみなさんまた会いましょう。おやすみなさい!
・・・虚しい。一人言って結構続くものだね。
――――――
どうもお久しぶりです。魔法があるんじゃないかという話になってからしばらく経ちました。
実はあれから毎日魔力循環を練習してたんですよ。そしたらラノベで書いてあった通りにどんどん成長して今ではかなりのスピードで流せるようになってきましたよ!まあかなりのっていっても体一周させるのが限界なんだけどね。
それ以外のことだと赤ん坊のあまりにも優秀すぎる学習能力に任せていたところこの世界の言語が少しずつ分かるようになってきました。どうやら私が産まれたお家はそこそこの格式を持った家のようなのですがそれにしては皆さんどこかフランクといいますか、なんとなく仲良さげな感じな感じだった。
調度品とかの感じからしても出入りしてる人数からしてもいいお家柄ってのは間違ってないと思うんだけどなぁ。
因みに母上も使用人?の人たちもみんないい人っぽい感じだった。なんかこういうファンタジー転生の貴族って家族間冷え切ってそうなイメージだったんだけどそんなことないようでよかった。
さて今日もチート目指して頑張りますか!
ここからしばらく言語の練習と魔力の循環だけを行う日々が続いていった。転機が訪れたのは実に数年先のことである。
読んでいただきありがとうございます。そこそこの頻度の更新を目指しています。
感想、レビュー、その他もろもろしていただきますと更新頻度が上がる気がします。
ではまたお会いできるのを楽しみにしております。骨董品でした。