だいななわ つながったせんろ、つながったて
ぜんかいまでのあらすじ:
ていへんさくしゃのTくんのおへやに<ようかいブクマはがし>があらわれた!
『ブクマをよこさないと、しぬよりひどいめにあわせるぞ』『あすまでに、なにかいちぎょうでもかかないと(いかしょうりゃく)』と、<ブクマはがし>はTくんをおどしていった。
じみにおいつめられたTくんは、しらないまちまできてしまうが、そこで<ブクマはがし>につかまってしまった!
<ブクマはがし>にスマホをみられたTくんだが……
「えっ、いや、これっ……」
でんしゃのなかでかいてみて、やっぱこれはないよねと、けしてしまったぶんしょうです。
みれば、Tくんのゆびが、がめんの「やりなおし」ボタンにふれていました。
≪ほーうほーう……そういうことな!≫
「いいじゃんいいじゃん、そんなんでいいんだよ!
それどころか、タイトルいれてさんぎょうもかいてるじゃないか!
やっぱりおまえは、やればできるやつなんだ。
おれがみこんだとおりだよ、T!」
<ようかいブクマはがし>は、うれしそうにTくんのあたまをなでます。
わしゃわしゃわしゃ、、ちょっとらんぼうだけど、<ブクマはがし>はうれしそう。
むじゃきなそのえがおをみていると、Tくんもなんか、うれしくなってきます。
「……ぼくのさくひん、そんなにうれしい?」
「うれしいさ!
オレたちにとっては、ブクマがいきる糧。
そのみなもとになる作品は、オレたちにとってだいじなだいじな、たからものだ。
たとえそのとき、ブクマがつかなくったって、それがなんだってんだ。
……オレたちには、作品をうみだすことはできねえんだよ。
どんなにねがっても、できないんだ」
<ブクマはがし>のかおが、かなしいものになります。
Tくんはそっと、ひざまくらからおきあがります。
すわりなおした<ブクマはがし>は、Tくんをまっすぐみつめて、ふかく、あたまをさげてきました。
「だから、たのむ、T。
オレを、たすけてくれ。
オレにできることなら、なんだってする。
全力で、がんばるから」
「ぼ、ぼくで、いいの?
かってに『だめだ』とおもって、かってに、にげだしちゃうような……
そんな、たよりないぼくなんかでも、ほんとにいいの?」
「いや、おまえは、そんなやつじゃない。
ほんとににげだすつもりのやつが、なんで山手線なんかのるんだよ!」
ブクマはがしは、わらっていいます。
山手線は、せんろのさいしょとおわりがつながって、
わっかになってる電車です。
とうぜん、これにどれだけのってても、けっきょくはもとのところにもどってきちゃいます。
じっさい、Tくんがいるのは、いつもおりるえきの、となりのとなりのえきでした。
それは、ただたんに、Tくんがぼーっとしていたからかもしれません。
でも、ブクマはがしにとってはそうだったし……
Tくんも、そういわれれば、そうなのだなあとおもいました。
だから、Tくんはうなずきました。
「……わかった。
ぼくでいいなら、ぼくのさくひんでいいなら。
ぜんりょくで、かくよ。
がんばろう、えっと……ブッくん!」
「なんだよ、そのへんなあだな!
ま、いっか。ありがとう、T」
Tくんは、ブクマはがしにてをさしだします。
ブクマはがし、あらためブッくんは、ふきだしながら、それをにぎります。
かたく、かたくあくしゅをして……
ふたりはなかよくいっしょに、Tくんのうちに、もどっていくのでした。
≪ブクマはがしで、ブッくん……
ああ……すがすがしいほどひねり0……!≫
それからふたりは、さっそくさくせんかいぎです。
「おまえは、やればできるやつなんだよ。
ぜんぜんだめなやつが、ひゃくもはなしをかんがえられるか。
まあ、ぜんぶエタっちゃいるけどさ」
「あ、あはは……」
エタとは、エターナル(=えいえん)のりゃく。
エタるというのは、そのはなしがエターナルにつづいていく……
つまり、ほうりだされて、えいえんに、おわらなくなる、ということです。
≪こんなんていねいに説明されると……む、むねがっ……≫
「いまのおまえには、エタさっかのらくいんがおされてる。
これをばんかいするほうほうは、ひとつ。
ひとつでも、はなしをおわらせることだ」
「じゃ、じゃあ、さっきのを……」
「いや、だめだ。
『Tのはじめたはなしは、かならずとちゅうでほっぽりだされる』
オレいがいのみんなが、そうおもっているんだぞ。
そんななかで、あたらしいはなしをかいたって、だれもよみになんかこない。
おまえがかくべきは、こいつだ」
ブッくんがゆびさしたタイトル。
それは、Tくんの代表作、というべきさくひんです。
「『ミッドないとクルセイダーズ!』……?」
「そうだ。おまえのはじめての作品で、唯一ブクマとポイントと、感想をもらえてるこいつ。
いけるとしたら、こいつだろう。
いまのじてんであるていど、はなしがすすんでるから……
かんけつまでのみちのりも、ほかにくらべてみじかいはず。
まずは、こいつをかきあげるんだ。
ラストまでかきためておいて、つづけて、とうこうする。
もちろん『かつどうほうこく』で、どくしゃさんにあやまっておくことも、わすれるなよ。
それで、このさくひんはぜんぶ、かんせいさせてある、ていえば、みてくれるひともでてくるはずだ」
Tくんは、なんともいえないかおで、だまりこみました。
でも、すぐに、わらってうなずきました。
「……わかった。
なんとか、がんばってみる!」
のこりじかん あと 4か