だいじゅういちわ ソラさんは、ブッくん?
ぜんかいまでのあらすじ:
<ようかいブクマはがし>ブッくんのきょうりょくで……
Tくんは、なげだしていた『だいひょうさく』を、かんせいさせた!
さらにブッくんは、Tくんをあこがれのさくしゃ『ソラ』さんとめぐりあわせてくれた。
けれどブッくんは、きえてしまった……
なやむきもちをTくんは、ソラさんに、うちあけた。
それからじゅっぷんご。
ソラさんは、Tくんのへやで、ちょくせつはなしをきいてくれていました。
Tくんがはなすようすに、ただごとじゃない、そうおもったソラさんは……
すぐにはしって、Tくんのうちにきてくれたのです。
おかあさんがだしてくれた、あったかいおちゃをのみながら……
Tくんはすべてをうちあけました。
ソラさんは、そのはなしを、じいっと、しんけんにきいてくれました。
ぜんぶききおわると、ソラさんは、ふしぎなうちあけばなしをしてくれました。
「じつはね、Tくん。
オレ、目がさめずにいるあいだ、ふしぎなゆめをみてたんだよ。
じぶんのからだをぬけだして、じゆうにあるきまわる、ゆめ。
そのときにはなぜか、かべぬけも、そらをとぶのも、じゆうにできて……
うれしいことに、パソコンやスマホなしでも、とうこうサイトがみれた。
これはこれでいいかな、なんてちょっとおもったけど、すぐに、くやしくなってきたんだ。
オレは生霊になっちゃって、ひともじもかけないのに……
みんなはどんどん、とうこうしてる。
そうしてどんどんブクマももらってさ。
もういっそのこと、ようかいブクマはがしにでも、なっちゃおうか。
そんなこと、かんがえたら……
とうこうサイトで、いちばんとうこうしてるひとのところに、きていたんだ。
それがTくんだってわかって、おれはいっしゅん、すごくほこらしくなった。
なのにその作品ときたら、ひゃっぽんぜんぶエタってるんだもの。
さすがのオレも、ちょっとばっかりだまってられなくて、それで……。
でも、ブクマがつかなくって、なやんでそうしてるんだってわかったら、やっぱり、かわいそうなことしたなって……
かたをつかんでおどかしたけんは、かんぜんにやりすぎだったなあって、すごく、はんせいして……
そのあと、『もうだめだ!』っていって、はなしてくれたことに、オレはビックリしたんだ。
だって、オレが『えっ』とおもったそのじょうきょう、そもそもオレが、げんいんだったじゃん?
なんかもう、すごくすごく、もうしわけなくて……
はじをかくごで、ねむりつづけるオレのところにあんないした。
そして、『ミッドないとクルセイダーズ!』をよんでもらうようにして、むりにでも、めがさめるようにした。
……つまり、きみがおしえてくれたブッくんに、このオレが、なってた。
そんなゆめを、みてたんだ」
「ええっ?」
Tくんはソラさんを、まじまじとみました。
やさしいおかおのソラさんは、ブッくんには、あまりにてません。
でも、しゃべりかたをきいていると、どことなく、おもかげがあるきがします。
それに、ソラさんがはなしてくれた『ふしぎなゆめ』のないようには……
Tくんがはなしてない、でもたいけんしたことも、ふくまれています。
ブッくんに、かたをつかんで『かべドン』されたことは、ソラさんにははなしてません。
「ということは……ソラさんが、ブッくん……?」
「と、おもったんだけど、なぜだかちょっと、ちがう気がするんだ」
「えっ?」
「こんな話しといてなんだけど、オレね、Tくんにブッくんっていわれると、オレじゃない気がするんだ。
……うまく、いえないんだけど……
たぶん、ブクマはがしのオレは、Tくんに名前をもらったことで……
たんなるオレの分身じゃない、ブッくんというひとりの、まったく別のそんざいに、なったんじゃないかな。
だから、ブッくんはきっと、いまもちゃんとどこかにいる。
どこかでそっと、Tくんをみまもってくれてるよ」
「そっか……
もし、そうなら、あいたいな……」
「オレも、そうおもう。
Tくんとオレを、こうしてめぐりあわせてくれたブッくんがどんな子なのか。
オレもいちど、会ってみたいし、はなしてみたいし、お礼もいいたいんだ」
「どうしたら、またブッくん、でてきてくれるだろう?」
「……オレに、かんがえがある」
そのよくじつからTくんは、ソラさんにアイデアをもらった、というかたちで、あたらしいさくひんをかきはじめました。
そのタイトルは――
『うちに妖怪ブクマはがしがあらわれた件』
ジャンルはなんと、童話でした。
Tくんは、ぜんりょくでこのさくひんをかきました。
かいてかいてかきつづけ……
七日めのよる、しずかにさいしゅうわをかきはじめました。
ときどき、なみだをふきながら。
それでもけんめいにTくんは、ブッくんへのおもいをつづりました。




