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第72話 『秘密の会議』

一部内容を修正してあります。

現在二章の修正していますので更新遅れると思いますがご了承下さいませ。

第72話


『秘密の会議』



エンリやガゼフたちが俺の部屋を訪れる前、ミスティたちの部屋では既に女同士の()()()()が行われていた。

エンリがこの部屋に様子を見にやって来る少し前のお話。


まぁ会議と言うかガールズトーク的なものではあったが、3人は至って真面目な面持ちであった。


『議題はグレンとレンは誰が好き?』


何故こんな話になったのかと言うと、初めはエルザにミスティがお説教と言うか、昨日の事について注意していたところから話が始まったのだが…


「分かったエルザちゃん?レンのベッドに勝手に潜り込んじゃダメよ!」

昨日の夜からエルザを監視し、ほとんど寝ていなかったミスティだが、朝シャワーを浴びて、少し目が覚めた後、部屋へと戻って来てから改めて話している。


リルルが食事を部屋へと持って来てくれたので現在3人は部屋のテーブルを囲んで食事をしていた。

エルザは寝起きで髪はまだボサボサだったが、パンを片手に大人しくミスティの話を聞いていた。

どうやら昨日の事はあまり覚えていないらしく、あの後、部屋に戻って直ぐに寝てしまっていた為、ミスティから昨日の夜の事を聞いて少し顔を赤らめている。


因みにスーはその後もひたすらヤタに追っかけ回されていたらしく、『あの烏いくらあちしが魅力的だからって限度があるだわさ‼』と朝帰りでヘトヘトになっており、まだ籠の中で寝ていたのでこの話には参加していない。


「エルザちゃんも女の子なんだからだから、もし一人で寝るのが寂しくなったら、わたしが一緒に寝てあげるからね。」

ミスティはエルザをまだ子供として扱っており、一人で寂しい上に媚薬の効果も相まって過激なスキンシップへと発展したものだと考えていた。


しかし…


それまで黙々とパンを齧りながら、黙ってミスティのお小言を聞いていたエルザだったが、

「エルザはもう大人だよ!それに一緒に寝るならお兄ちゃんと寝るもん‼」

子供扱いされたことに腹を立てたのか、最後のミスティの言葉を聞いて怒っていた。


「ダメよエルザちゃん、しかも()()()()()しちゃ絶対ダメだからね。レンだってああ見えて男の子なんだから‼…グレンなんてもっと危なそうだし…」

メッと叱りつける様に言いながら、後半は若干言葉を濁していた。


「そんな事ないもん!お兄ちゃんは優しいし、エルザの事もきっと好きだもん‼」

ぷくぅと頬を膨らませている。


今まで大人し目で人見知り、どちらかというと寡黙だったはずのエルザだったが、今はかなり積極的に言葉を発していた。

一緒に危険な目にあったり、お風呂に入ったり、食事をしたりしている内に打ち解けてきたという事なのだろう。


ミスティはエルザの思わぬ反論に少し驚いている様だった。


「まぁまぁ、ミスティ様、エルザ()きっとグレン殿の事が好きで一緒にいたいのでしょう。」

リルルは宥める様にして二人の会話に割って入り、

「でもエルザ、女の子は()()()()というものを持たないとダメなのよ。だから殿方のベットに潜り込むのはダメなのよ。」

分かるわね、と優しくエルザに語り掛けた。


「じゃあ、お兄ちゃんの方からエルザのベットに入って来てくれればいいの?」

エルザは如何にも子供らしい屁理屈の様な事を言った。


「い、いえそれは…」

一瞬言葉に詰まったリルルだが、


「ダメに決まってるじゃない!しかも夜遅くに男の人の部屋に忍び込んだり、あの時みたいに、じ、自分からキ、キスするなんて絶対ダメよ‼…まぁエルザちゃんはまだあんまり意味が分からずしてしまったのでしょうけど…それにしても…」

ミスティが頬を赤らめながらも『しっかり言っておかなくちゃ!』という様な決意を持ってビシッとエルザに告げたのだ。

最後の方は勢いが弱まって少しごにょごにょと恥ずかしがっていたが…


この言葉を聞いたエルザは、少し不満顔ではあったのだが、昨日の事を想像したのか恥ずかしくなったのか、若干顔を赤らめながら目を逸らしていた。


しかしこの言葉に一番動揺していたのは…そうリルルだった。

『ど、どうしよう⁉ミスティ様にバレたらマズいのでは⁉それにあんな事まで言ってしまったし…』

ボンッとこちらはエルザやミスティに比べ当社比3倍増し位で顔を赤らめていた。

しかも普段はクールっぽいリルルが動揺しているのだから結構な動揺っぷりだった。

しかし幸いにもその傍らで言い争いを続けている二人には気付かれてはいない様だ。


「お兄ちゃんの事はエルザも大好きだから、別にいいんだもん‼」

ちょっと目を逸らしていたエルザだったが、再びミスティに食いかかっていった。


そこからミスティが大人げないというか、

「で、でもレンだって本当は困ってるかもしれないし、その、きっと、他に好きな人とかもいるかもしれないでしょ‼」


「グレンお兄ちゃんはエルザの事が好きなの!エルザはグレンお兄ちゃんとずっと一緒だもん‼」

売り言葉に買い言葉、何だかお互い収まりがつかなくなりそうな気配だった。


「ぐっ、グレンはともかく、レンは別の人が好きかもしれないでしょ?」

ちょっと子供の喧嘩じみた戦いが始まりつつあった。


『そうか、ミスティ様はレン殿が好きなんだから、グレン殿の事は必ずしも好きとは限らないのでは?』

その二人のやり取りを動揺しながらも横で聞いていたリルルは、

『お会いした時もミスティ様はよく、グレン殿の事に愚痴を溢していらっしゃったし…』


「じゃあエルザはグレンお兄ちゃんの時にチューする‼」

エルザは少し唇を尖らせながら、残ったパンを口に頬張ってもぐもぐと口を動かしている。


「えっ⁉そんなのダメに決まってるじゃない!グレンだってレンなんだから‼」

ミスティは思わず立ち上がってそれに反論する。


「ちょ、ちょっと待って下さいミスティ様!」

リルルも立ち上がってそれを制止する様に間に入る。

「グレン殿とレン殿は別人格なのだとして考えませんか?」


「どういう事?」

ミスティは少し勢いを削がれたのか、キョトンとした表情でリルルを見つめる。


エルザは一度エルザを見やり、

「ですから、エルザはグレン殿が好きなんですよね?」


「んっ、う、うん…」

こちらもリルルに間に入られて、更に改めて聞かれたからか、先程までの勢いは何処へやらと言った感じで、またもや頬を赤らめてから消え入りそうな声で俯く様にして返事をした。


それに一度頷いてから、

「そしてミスティ様はレン殿をお慕い申し上げていると…」

再びミスティを見てそう告げる。


「えっ⁉な、何を言ってるのリルル⁉わ、わたしは別にレンの事を…その…お、お、お慕いなんて…」

こちらも再びボンッと先程の動揺ピーク時のリルル張りに顔を赤くし口ごもっていた。


リルルはそれを見やってから、半ば強引に話を進めるべく、

「とにかく、レン殿とグレン殿とではそれぞれでかなり性格は違っています。()()()()()()()()()()()()私には思われます。ひょっとしたらそれぞれで違う方が好みである可能性もあるのではないでしょうか?」

リルルはグレンとレンの人格の入れ替わりについて以前宿でグレンから聞いてはいる、ここまで一緒に旅をして来てそれなりに把握もしてきているつもりだった。

ただその事はあまり深く突っ込まない方がいいだろうと遠慮していたのだが、今こうなってしまった状況ではそうも言ってられなかった。


ここでその理由を知っているミスティは、

「確かにそうかもしれないけど…」

それなりに的を得ている指摘の為、それに対し言い淀む様にしていた。


そしてこの流れで先の議題が挙がる流れとなったのである。


しかしこの議題が挙がった直後、エンリが部屋へとやって来た為、3人は大いに焦ってしまったのだ。

エンリは不思議そうにその3人を見ていたが、少し話をすると部屋を出て行った。


そして女たちの戦いが今正に始まろうとしていた。


部屋には何故か黒板の様なものも用意されており、

「では、僭越ながら…わたくしが今回の議題を取り仕切らせていただきます。」


ペコリと軽く一礼してから、コホンと咳払いを入れてリルルがその黒板の前に立つ。


その前には椅子に座ったミスティとエルザ、そしていつの間にかシラッと参戦表明していた鳥が一匹籠の中でそれを見ていた。


「えーそれではグレン殿とレン殿ですが…」


『ちょっと待つだわさ!!』

まだリルルが話始めようとしたばかりの段階でキュイキュイと喚きながら籠の中から方翼を高々と上げる鳥。

『レンって誰だわさ?』


「えっ!?」

スーの言葉に思わずと言った感じで声を上げたのはミスティだ。


リルルにはスーの言葉は分からず、ただ何か喚いている事だけは分かったのだが当然その内容は不明の為、ミスティに目で訴え掛ける様な視線を向ける。


エルザはスーの言葉が分かってるのか分かっていないのかは分からないがジッと鳥を見ていた。


「スーちゃん、スーちゃんの大好きな『ご主人』の事だよ。」

ミスティはスーをまるで宥めるようにしつつ、もうスーちゃんたらぁみたいなリアクションだ。


『あちしの愛するご主人はグレンって言う名前の方でレンなんてヤツ知らないだわさ!!』

プイと羽根を組み合わせながらそっぽを向いた。


「んー、だからグレンがレンでレンがグレン何だよ…」

ミスティは困ったように説明してみるが自分でも言ってて要領を得ないのか、ちょっと戸惑っている様だった。


そこへ、

「気弱な方がレンで強くて優しいのがグレン。」

エルザがえっへんと言った感じで腕を組みながらスーに言った。


「ちょっ、エルザちゃん!それだとレンが気弱なだけになってるよ!?レンだって優しいよ!!」

ミスティはよく分からないが勝ち誇っているかの様なエルザに突っ込みを入れている。


「ゴホン、えー、()()あえず()は置いといて話を進めさせて頂きます。」

リルルにしては珍しくまたもや強引に話を進めようとした。


「キュイ!?」

『なぬ!?』

「キューキュキュキュキュー!!」

『あちしにその()()をしていいのはご主人だけだわさ!!』


まぁまぁ、とその横でスーを宥めているミスティを横目に話は進んでいった。


各自の予想というか、レンとグレンについての考察を述べてから議論する事になった。


結果、各自の主張というか思惑はこうだった。


ミスティ=この中で一番付き合いも長く、レンとは幼馴染みであり、レンの事はよく知っている。

レンの好きな人については明言しなかったが、誰を自分が好いているかは語る時に顔を真っ赤にしていたのを見れば他の者には丸分かりだった。

グレンについては確かにカッコいいとは思った事も無くは無いが、配慮に欠ける部分があり、好きな人が誰なのかは分からないと答えた。


エルザ=レンは優しいけど何だか頼りない。好きな人かは分からないけど多分ミスティお姉ちゃんが好き…だと思う。

でもグレンおにいちゃんは絶対エルザの事が好き!!というよりエルザが好きなの!!とレンの事を語る時の数倍の勢いで見事言い切っていた。


前半を聞いてミスティが顔を赤くし、後半部分を聞いて鳥がまためっちゃ喚いていた。


スー=…いわずもがな…


そして各自の話を黒板に書いていたリルルが、

「なるほど、皆さんのお考えは分かりました…」

目の前に座る顔ぶれを順番に見回した後、

「では、レン殿とグレン殿の好きなお方についてですが…」


「ちょっと待って!!」

ミスティがハイと片手を上げて話を止める。


「なんでしょうかミスティ様?」


「リルルの話をまだ聞いていないでしょ?リルルはどう思ってるの?」


「えっ!?」


「そうだよ、ミスティお姉ちゃんもワタシもスーちゃんも話したんだからリルルお姉ちゃんも話すんじゃないの?」

エルザがちょこんと首を傾げて聞く。


「い、いや、そのわたくしは…」

思いっきり目が泳いでいるリルルは、

「そ、そうです、わたくしにはグレン殿のお考えを見抜こうだなんておこがましい真似は出来るはずがありません!!そ、それに、か、仮にグレン殿がどなたを好きであったとしても、わたくしの想いは変わりませんし…あっ!?」


ジト目の二人と1匹の目がリルルへと突き刺さる。


妙な空気が漂う静寂の中、

ガチャリと部屋の扉が開く音が響いた。


一斉に皆の視線がその音がした方向へと集まる中、


「みんな起きてるか?」

と片腕で頭を掻きながら、俺が登場したのだった。



その後のドタバタは結構凄かった。

部屋の扉を開けようとした時、

『グレン、ノック!!』

と言うレンの声がわずかに聞こえた気がしたが、構わず開けてしまった俺が見たのは、3人の驚きに見開いた目。


その直後慌てふためいて、黒板の様なものに書かれていた文字をこれまでに見たことが無いくらいのスピードで消そうとしているリルル。

それを隠そうと必死にあわあわしているミスティ、物凄い勢いで俺の腹と顔に飛び込んでくる獣と鳥…


しかもその後も、ミスティには、

「もう!!女の子の部屋に入るのにノックもしないなんて信じられない!!」とか、

「グレン殿、いくらなんでもいきなり入ってこないで下さい!!こちらにも心の準備が…」

などととても恥ずかしそうにしながらリルルに言われたりした。


『うーん、レンの天然ぷりならラッキースケベも有り得るが、俺の場合は普通に怒られるんだなきっと…』

別に俺は狙ってノックも無しに入ろうとした訳ではなく、本当にあまり深く考えていなかったのだ。

より正確に言うとさっきの事とかどう話そうかとか、昨日のエルザやリルルの件をなるべく意識しないようにする為、自然に入った方がいいよなとか思っていた結果だ…


「全くレンもグレンも相変わらずデリカシーが無いんだから!!」


『何か僕まで怒られてるじゃないか!!』

ととばっちりをくったレンが嘆いていた。


ひとまず落ち着いてから俺たちは皆でテーブルの椅子に着きながら明日の話を始めたのだった。

1匹は俺の肩に当然の如く乗ってきていたが、俺はキッチリそのままテーブルの上に載る籠へと戻してやった。


「リルル、エグザイルって町は知ってるか?」


「あっ、はい…ええ、知っています…ここから南にある町ですよね。」


「ああ、そうらしいな…」

リルルが俺と話す時目を逸らして少し赤くなるのが気になってしまう。


「次はそこに行くの?」

ミスティは小首を傾げて聞いてくる。


「あ、ああ、実はここのギルマスに依頼を頼まれてな。そこの町のギルドに手紙を届ける事になったんだ。」

俺は懐から手紙を取り出してテーブルに出して見せる。


「また勝手に依頼を受けてきたの?」

ミスティが別に責めるという風では無かったが、相談してくれないんだ的なニュアンスを感じさせた。


「すまん、俺も受けるつもりは無かったんだが、目的地の途中なんだしいいじゃないかと、気が付いたら押し付けられていた形でな…」


「そうなんですか…わたしも以前エグザイルには立ち寄ろうとはしたのですが、結局その時には()()()()()()()()()()()ギルドの場所などは知りませんが、了解しました。」

リルルも少し落ち着いたのか、俺に優しく微笑みかけてくれていた。


「中には入らなかったのか?」


「あっ、はい。その時丁度何やら町の中が少し立て込んでいたらしく、入場を制限しているようでしたので…」


「入場を制限?」


「ええ、待っている者や直接門番からハンスが…いえ、従者の者が話を聞いた限りでは何かトラブルと言うか町の中で問題が発生しているらしく、捲き込まれるかもしれないから先を急ごうと言うことになりまして…」


「へぇ、それは災難だったな…」

ハンスか…確かリルルたちが村に来るとき乗っていた馬車の御者の名だったな…


「それでその手紙は一体何なんですか?」


「分からん、一応開けるなとは言われてるがちょっと位なら覗いても…」

手紙にはキッチリと蝋燭で押した印の様なものがついており、外からは宛名等も特に書かれてはいなかった。直接開けられはしないが、透かして見れば見えるかもと思い、それを手にしかざしてみようとしたが…


「ダメよグレン…」


いつの間にか気配を消したかの様に扉の前に現れていたエンリに止められた。


眼鏡をクイッと直してから、ツカツカとテーブルに近付いてくる。


「それは見ないって約束でしょ。」


「そうだったな。」

俺は思わず苦笑いを浮かべる。


今エンリがノックもせず入ってきてはいたが、実は俺は気付いていた。

その上で透かして見ようとしても止められなかったらそのまま見ようかと思ったのだが…やっぱり止められてしまった。


「明日は何時頃出発するのか聞いてもいいかしら?」

エンリは微笑みかけながら尋ねた。


「あっ、エンリさん、大変お世話になりました!!」

とミスティが改めて椅子から立ち上がり礼を述べた。


「グレンまだ話してなかったの?」

エンリはミスティの姿を見てから、俺にジト目を向けてくる。


「ああ、みんな、エグザイルの町までエンリも一緒に行くことになったんだ。」


「「えっ!?」」

俺の言葉に驚いたのはミスティとリルル。


エルザは特に反応せず、同じく無反応だったスーの頭を撫でていた。


「改めて宜しくね。」

エンリは十八番とも言えるウィンクをパチリと決めて、そのチャーミングな笑顔を皆に向けた。


その後エンリも席に着き、軽く挨拶をしてから少し談笑と言うか、雑談をしていた。

俺が気になった事の一つ、手紙の配達についてと言うか、この世界での連絡の取り方的なものを聞いてみた。


この大陸全体の事までは当然エンリは知らないが、この世界での一般的な連絡手段としてはやはり、人づて、つまりは伝言と言うか直接人から人へ連絡する形、そして次に手紙、最後に念話や魔法と言った媒体が主流らしい。

飛脚や早馬に似たものもあるらしく、貴族や王族、または一部の階級層ではお抱えの者がいて、必要な時即座に伝える事が出来る様にしているらしい。

この世界でも当然だが情報は重要で、魔法や魔道具等によって如何に早く伝えられるかが鍵になる部分もあるが、人づてだとどうしてもその情報の漏洩が心配されているらしい。

そしてそれを奪おうとする者がいた場合、より安心する為に高ランクの冒険者等に依頼する場合もあるのだと言う。

因みに大概この手の依頼が出された場合はギルド側はCランク以上で信用のある者を選ぶらしい。

まあ、それはそうだろう。

もし、ギルドに依頼して、その手紙を冒険者がパクって逃げ出しましたなんて事になったら信用問題になる事間違い無しだ。

手紙の場合は他にも使役した動物に運ばせるとかだが、この場合移動速度も早く、場合によっては確実性も高いのだが、途中で何かあった時の対処が出来ないという部分もあって、仮に奪われたり見られたりしたとしても問題が薄いものが中心となるらしい。

最後に念話や魔法と言ったものについては、使える者が限られる上、それなりに制限もつくらしい。

魔道具等と呼ばれる物は非常に高価になる為、エンリも使った事は無いらしい。

噂で、遠くの者と話が出来る水晶玉の様な対の魔道具があるらしいと聞いた事がある程度との事だった。

最後に一般的な人たちは手紙を出すのにどうするかだが、一番手っ取り早いのは商人やそこ行く予定のある人に頼むのだそうだ。他にも一応は町で物資輸送の際に配達を受け持ってくれるらしいが、その場合はえらい時間が掛かるらしく、届くのに普通に行く日数の倍以上かかる事もざらにあるそうだ。

当然無くなる事も多くあり、確実性はあまりない。


この話を聞いてミスティやレンは感心していた。

エルザはうんうんと頷いていたので、

「話分かるか?」

と俺が撫でると、

「うん、エルザなら声で伝えるよ」

と言われたので、

「まあ、そうだよな。」

と俺が笑って答えると、

「エルザは獣人族ですもんね。」

とリルルが横合いからフフフと微笑みながら補足した。


どうやら俺の認識違いだったみたいで、リルルによると獣人たちは遠吠えの様な声で遠くの者とも連絡を取り合うことも出来るらしかった。


そんな話をして暫くしてから、皆で町へと食事へ出掛け更に親睦を深めてから、エンリと一旦別れた。

そして俺たちは一度小麦亭へと戻り、明日の朝エグザイルの町へと向かうことにしたのだった。








ようやくエステル編が終わりましたf(^ー^;

予想より大分長くなってしまいましたが、ひとまず次の町へと向かいます。

引き続きお付き合い下さいますよう宜しくお願い致しますm(__)m


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