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第35話 『変貌』

眠すぎてキャラ名を間違える失敗が続いています。

ちゃんとチェックしないとダメですね…すみませんm(__)m

第35話


変貌(へんぼう)


中から出てきたのはマーレンだった。


マーレンはドシャっという感じで前のめりに地面へと顔からダイブし、

『や、やめてくれぇ!』と言いながら仰向けの体を扉へと向け直す。


その時、

ピィーーーー!


という甲高い音が小屋の中から辺りに響き渡った。


マーレンはその音を聞き、辺りを見回し、俺を見つけて一瞬驚いていたが、

そこに遅れて小屋の中から大きな体格をした男が現れた。


「た、助けてくれぇ!」

マーレンは俺に縋りつこうとしてきた。


俺はそれを左手で突き飛ばす。


ズザザザザーと音を立てマーレンは地面を滑って行く。


扉から出てきたのはドラムで、

俺に声を掛ける事も無く、いきなり斧を横凪に振るってきた。


俺は即座に後ろに跳躍し、距離を取った。

斧は空を切り、そのまま小屋の壁に突き刺さり、

グラグラと小屋が震える様に揺れている。


「おめぇわ!あん時のガキだな‼一人でのこのこ現れやがって、

オデを舐めるなよ‼」

ドラムは飛ばされたマーレンを見る事も無く、

斧を引き抜きながら俺に言った。


辺りを見ると小屋の周りへと続々と盗賊たちが集まって来ていた。

先程の笛は集合の合図か…


俺は周りを一度見回してから、

ふぅと一息入れてから腰の刀に手をかけた。


「なんだ!!抵抗しよおってのか!

そんな事しやがったら人質の命はねえぞ!!」

ドラムは余裕のある顔で顎をひき、小屋の方に視線を誘導した。


そこからは怯えた表情をした二人の女性と、

その後ろから短剣を握りしめた男が出てきた。


女の一人が首筋に短剣を当てられている。


「メル!!」

マーレンが身体を起こしながら叫んだ。


縛られたままのマーレンは近くにいた盗賊に捕まっている。


「分かったか?これでわざわざオデ様が出向いてやる必要もなくなったな。」

フン、とのけぞった姿勢でドラムが言う。


「で、だから何だ?」

俺は相変わらず刀から手を話さずに促す。


「な、何いってやがる!!この状況で分からねえのか!?

おめえ馬鹿だな?早くその腰の武器を捨ててオデ様の前にひれ伏しやがれ!!」

まくしたてる様にドラムが続けた。


「早くしねえとぶっ殺すぞ!!」


「だから、何だ?」

俺は腰の刀を抜いた。


「て、テメエ!」

ドラムが言うが早く俺は両足に力と魔力を込め、

その場を飛び出した。


あまりの速さに唖然としていた盗賊たちを横目に

俺はドラムのすぐ脇へと現れた。


ドラムはすぐさま手の斧でそれを迎撃しようとしたが

俺はその斧をかわし、

その斜め後ろで女に短剣を突きつけていた男の顔面を殴り飛ばした。


直後に振り返り、ドラムの懐へと潜り込みその巨体を思いっきり蹴り飛ばした。


家の中へと猛烈な勢いで殴り飛ばされた男はピクピクとしながらもまだ息はある。

大分加減してやったからな。


だがドラムの方には加減は必要ないと判断し、

かなり力を込めて蹴ってやったはず、なのだが…


俺の蹴りを腹へと受けたドラムは、

『ぐへぇ!!』と言って周りの盗賊たちにその巨体ごと突っ込んで行ったが、

盗賊が一人巻き添えで潰されて伸びているだけで、

ドラム本人はヨロヨロとしながらだが立ち上がってきている。


「な、舐めやがてぇ!!ゆ、ゆるさねえど!!」

腹を押さえながらドラムは呻く。


「お、おめぇらやっちまえ!!」

ドラムが周りの盗賊たちに命令する。


だが周りの盗賊たちは俺を見ながら動かない…


武器は手にしているがその武器がカチャカチャと震えている。


「おい!やってやってもいいが、今度は加減するのも面倒だから

コッチを使うがいいのか?」

俺は手元の刀に魔力を込めた。


正眼に構えた刀が瞬間に真っ赤に染まり、その刀身から炎が吹き出た。


近くいた女が驚いた様子で後ずさる。


ドラムは『なっ!?』と言う表情を浮かべてから、

「て、テメエら何やってやがる!!早くアイツをぶっ殺せ!!」


しかしそう言われた周りの盗賊たちは、ガタガタと震えながら後ずさっている。


ドラムの足元で伸びていたはずの盗賊も目を覚まし、

体を起こしながら俺の方を見てから、

『うわぁあ』と声を上げて逃げ出そうとした。


それを見たドラムは横にいたその盗賊目掛けて手にした斧を振り払った。


盗賊は『ひゃああぁ!!』と声を出した瞬間、首と胴体とをさよならしてから

ピューと血を吹き出して倒れた。


「テメエらもこうなりたくなかったら、さっさとアイツを倒すんだ!!」

ドラムは周りの盗賊たちを睨み付けながら言った。


俺は即座に踏み込みドラムの方に向かった。


ドラムは斧を俺目がけて上から大きく振り下ろして来たが、

俺はそれを振り下ろされるであろう場所から更に一歩踏み込んでから、

下から上に切り上げるようにして、その斧を持つ腕を切った。

今度は前と違って降り下ろされた斧ごと縦に一閃する様にして。


燃えた刀身で切られたドラムは、

『ぐがぁあああ』と言う声と共に後ろへ後ずさる。


回りにいた盗賊たちは『うわあぁあ』と言ってドラムから離れていく。


ドラムは後ずさった後、すぐ脇に落ちていた首の無くなった盗賊の剣を

残った腕で拾い上げ、その剣で自分の燃えた状態の腕を叩き切った。


ブシュと血を吹き出したが、すぐにソレは止まった。


「ゆ、ゆるさねえど…ゆるさねえど…オデは…」


見るとドラムの身体の周りに黒い靄の様なモノが浮かび出して来ている。


俺は面倒なことになる前に片付けるべきだと思い、

一度刀の炎を消してから、その体へとグンと力を込めて踏み込み、

その両足目がけて刀を横凪ぎにした。


しかし、足は切断されず、

俺の刀は黒い靄の様なモノに阻まれていた。


殺した方がいいのかとも考えたが、それは最終手段として、

捕らえるとしても面倒だから両足を切る位にしてやろうと思い、

炎を消したのだが…

まさか防がれるとはな。


刀を即座に引いて、一旦俺は後ろに跳んだ。


ドラムは既に濃い霧の様な黒い靄に全身を覆われていた。

そして脇に転がる死体を掴み、その腕を食いちぎった。


その表情は既に人間というより化け物と言うべき顔つきで、

口も大きく裂けていた。


それからムシャムシャと音を立てて今その食いちぎった腕を貪っている。


周りにいた盗賊たちはその姿を見て、ある者は腰を抜かし、

ある者は武器を捨てて逃げ出していた。


「ぬがあぁあああ!!!」


と言うドラムのどでかい雄叫びが響き、

みるみると無くなったはずの腕が生えてきていた。


「ひっ!!」と女の声が響く。


なるほどな…俺はもはや捕らえる事を諦めて、

意識を切り替えて戦闘体制に移行した。


『ぐ、グレン!?腕が生えてきたよ!!

何なのアレ!?アレも魔法なの!?』

ちょっとパニクってらっしゃるレンは放っておいて

俺は刀へと魔力を注いだ。


「お、オデは最強なんだ!!オデはもう二度と騙されないど!!

オデは…オデわぁああ!!」


『俺魔法発動』


俺は腰を落として刀を一旦鞘へと納めた。

そして…


「冥土の土産に魅せてやる!!」


雄叫びを上げて突進してくるドラムに向けて踏み込んだ。


ドラムが手に持つ剣までも黒い靄に包まれている。

その剣をドラムが降り下ろそうとする前に、


「絶技!炎絶斬!!」


俺はドラムの脇を通り抜け、一瞬にして抜いた刀を再び鞘へと納めた。


剣を降り上げたドラムはその姿勢のまま俺の方へと振り返り…


一瞬の間を置いてから、胴から炎を吹き出した。


『ぐがぁあああ』

と言う声と共に胴の炎が吹き出した箇所から横へとズレていき、

その上半身を地面へと倒れこませた。


下半身は燃え上がり、倒れた上半身には未だ黒い靄が立ち込めている。


『まだ終わらねぇのか、しまらないな…』

俺は振り返りながら頭の中でそう思いつつ…


『す、凄い!!ねぇ!!炎絶斬って何!?アレも魔法なの!?』


ヤバイ…刀を鞘に納めた時、終わったな…みたいな感じで

俺カッコイイと思ってたけど…前俺が泣いた。


『炎絶斬』

俺剣技の一つ。

炎を纏わせ敵を切る。

基本的にはソレだけだがインパクトの瞬間に、

更に魔力を注ぎ、切った直後に燃え上がるイメージも追加した。

名称は俺の独自(オリジナル)だ。

かつての俺の輝かしい黒い歴史が役に立ったな。


俺は再びレンをスルーしてドラムを見ると、

ドラムの上半身はもがくようにして、

黒い靄を纏わせつつ、まだ家の側にいた女の方へ向かおうとしていた。


女の傍にはいつの間にか縛られていたはずのマーレンがおり、

手にはどこからか拾ってきたのか剣を握っていた。


マーレンは二人の女の前に出て、

ズルズルと近付いてくるドラムに向かって、


「俺の女たちによくも!!許さねえぞ!!この化け物が!!」

と、ここに来て急に強気になっている。


『馬鹿野郎!!』

俺は口に出すより前に動き出そうとしたが、

マーレンは既に倒れたドラムの頭目掛けて剣を突き刺そうとしていた。


ドラムの頭部に向けられた剣は、そのままドラムの頭を突き抜けた。


『なにっ!?』

俺は思わず立ち止まってしまった。

剣は当然防がれると思っていたからだ。


『なぜだ!?』と思っていた俺を横目に、


「この化け物がぁ!死ね!!死ね!!」

マーレンが怒りを(あらわ)に何度もドラムの頭に剣を突き刺している。


ようやくそれも収まったのか、剣を抜いて、

「お、俺の女に手を出すからこうなるんだ!!」

と息を切らせながら言うと…


マーレンの下で死んでいたはずのドラムの腕が

ガシッとマーレンの足を掴んだ。


「う、うわあぁ!!」

掴まれたマーレンが足を引きずられ倒れる。


捕まれた足からマーレンの身体へと黒い靄が覆われていった。


警戒し、止まってその光景を見ていた俺は、

『またかよ…』と思いながら刀に手を置いた。


マーレンは既にその身を黒い靄で覆われてしまっており、

「ひゃ、ひゃは!ひゃはははは」

と狂ったような声をあげながら立ち上がった。


そこから一時(いっとき)間をおいて、

「……お、オデ様の力はコンナモンジャねえんだぞぉ。

オデ様に歯向かったら大変ナンダゾォ…」


この展開か、


『俺魔法起動』


「おい、ソイツはまだ生きてるのか?」

俺は一応確認のため聞いてみた。


マーレン…だった男は、

「オデ様は生きてるぞ、オデ様は不死身なんだ…

オデサマは、オデサマハ‼」


「元に戻す方法はないのか?」

俺は助ける気はあまりなかったがそれでも一応聞いてみた。


「も、モドス?お、お前何言ってんだ!?オデサマハド、ドラ…ど…ら…」

剣を持ったまま身体に黒い靄を纏わせて、マーレンだった男は

しどろもどろになりながら喋ろうとするが言葉が続かずその場に(ひざまず)く。


それを見た俺は刀から手を離し、片手を空へと掲げて唱えた。


「我の望みし者を我に逆いし者を我が意に反することわり

その力持って奪い去り、悠久の彼方へと導きたまへ」


「ブラスト・コレクト!」

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