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第30話 『厄介事』

祝!30話&10万字到達♪

細々とですが頑張ります‼

ご評価戴いた方には感謝の気持ちでいっぱいです。有難うございます(*´▽`*)/

第30話


『厄介事』



『ねぇ!グレン‼ちょっと起きてよ!』

『もうちょい寝かせてくれ…』


『グレン!グレンってば‼』

俺は意識を取り戻すと目の前は既に日も昇り、

焚火(たきび)の後と思われる跡があり、周りでリルルやミスティが

馬車へと荷を乗せたり、片づけをしている様子が見えた。


俺は目覚めたばかりで眠気が残る意識を覚醒させつつ、

『もう行くのか?』


『そうだよ!グレンってば交代で寝ようって言ったのに、

自分だけ一人で寝ちゃったから‼

僕だけずっと見張りしてて、一睡もしてないんだよ‼』


そう言えば昨日、俺とレンは交互に寝て見張りをしようと、

俺からレンに言っていたなぁ…

1回目のリルルとの交代の時までは覚えていたが、

あの後、俺の寝る番になってからは覚えてないな。


『正直スマンかった』

俺はレンにそう告げて代わりに今から寝ていいと伝えた。


どうやら既に食事も終えて、これから出発する所らしい。

レンは現在ふて寝をしている。


俺が『どうして一睡もしていないんだ?』と聞いたら、

『レンが『何かあった時に両方寝てるのはまずいから、

どちらか必ず起きていよう』って言ったんじゃないか!』


言ってたな…


しかもリルルと見張りを交代する際などに、

グレンとレンの事を色々聞かれたりしたらしいので

ごまかすのに必死だったらしい。

次話し掛けられたらどう答えようとか考えて疲れてしまったとの事。


とりあえず昨日の夜はそれ以外は特に何も無かったらしい。


リルルは昨日から馬車の中に残っていた短剣を身に着けている。

正直不安だったらしいが、馬車の中にはその程度の物しか残っていなかったのだ。

町に着いたら装備を整えたいと言っていた。

ただし村ではあまり期待出来ない事なども昨日レンと会話して聞いていた。


しかし、レンの聞いた事や得られた情報を

調べられるのは便利だなと改めて俺は思った。


「出発準備は整いました。」

馬車から戻って来て、

リルルが俺に向かってそう告げる。


「こっちも大丈夫だよ!」

御者台の上からミスティが手を上げて伝えてくる。


「んじゃ、出発するか」

俺も馬車へと向かった。


馬車は順調に湖へと進んでいた。

変わった事と言えば、

御者の役がリルルからミスティに変わったくらいだ。

初めの内は少しガタガタ揺れて、ミスティもあわあわしていたが、

次第に慣れていき今は特に大きな揺れも無くスムーズだ。


道中数台の馬車とすれ違ったので、

一応と言った感じでリルルが

『盗賊には気をつけて下さいね』などと声を掛けていた。

普段俺たちに畏まった態度や口調だったので新鮮な気がした。

俺たちにもあんな感じでいいんだけどな。

まぁ命の恩人にお姫様だからな…今度機会があったら話してみるか…



そして俺たちは湖がある場所へと出た。

街道脇にある湖とその向こうに村へと続く道が見える。


湖は非常に澄んでいてキラキラと光を反射して輝いている。

かなりの大きさだ。

俺はあまり湖をじっくりと見た事が無かった。

周りに湖が無かった事もあるが、興味も無かったからだ。

所詮ただのデカい水溜りみたいなモンだろ。と。


しかし実際見てみると池などと違って綺麗だなと思った。

まじまじと馬車の小窓からそれを見ていると、

湖の先の方から人らしきものが近付いてきている。


ミスティやリルルたちもそれに気付いたのか、

『ヒヒーン』という馬の鳴き声と共に馬車は止まった。

俺は荷台から御者台へと顔を覗かせ、それを改めて見た。


見るとその人影はよろよろと歩いており、

急に『ガクン』と言った感じで倒れた。

ミスティがそれを見て慌てて動こうとするが、俺は手でそれを制し、


「俺が見てくる、リルルとミスティは馬車を頼む。」

と言って俺はその倒れた人影へと向かった。

勿論、腰の刀は装備し待機中だ。


俺は若干警戒しながら近付いて行くと、

そこにはいかにも村人です。という様な簡素な服装をした男が一人倒れている。

息はあるらしいが、よく見ると腕や足に擦り傷がいくつか見られる。

擦り傷と言うより切り傷か?


俺はひとまず危険は無さそうだと判断し、

その男の様子を一瞥してから、とりあえず背中へと…

背負わず、わき腹を軽く足でこづいた。


男は『ぐふっ!』と一声発してから、


『おい!いきなり何すんだ‼

そこは優しく『大丈夫か⁉』とか言って介抱するべき所だろ!』

男は上半身を起き上がらせ、少し咳き込みながら俺を睨んだ。


「大丈夫か?」


「おせえよ!」


「大丈夫みたいだな、それで一体どうしたんだ?」

俺は別に薄情な訳では無い。

普通、人が無意識に倒れる際は糸が切れた人形の様に倒れる。

だが遠目から見てもこの男の倒れ方は、

やけに演技の様な倒れ方に俺には見えていたからだ。

無論、まだ意識があってその様に倒れただけかもしれないが…


無警戒でうっかり近付いて、

おまけに背負ったりして後ろから刺されたりしたらシャレにならない。

そんなリスキーな事をする位ならコレで充分だと俺は思っていた。

断じてメンドクサイカラではない。ええチガイマスヨ。


「ここじゃ何だから馬車の中で話をさせてくれないか?」

男は胡坐をかいた状態で俺を見上げながらそう返してきた。

どういう状況かは知らないが、お前がそれを言うのか…

正直胡散臭い事この上無かったので、


「却下だな、それほど聞きたくも無いし

大丈夫そうだからこのまま行かせてもらう。」

俺は踵を返しそう答えるが、


「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺は別に怪しい者じゃない‼

せめて話だけでも聞いてくれ‼」

男は急に慌てだし、俺を引き留めた。


男の名前はマーレン、この先の村『エーゲ』村の住人らしい。

マーレン曰く、村から命からがら逃げて来たとの事だ。

疲れてフラフラと歩いてた所にちょうど俺たちの馬車が見えたので

倒れてみたとの事…


「それで、あわよくば介抱してもらおうとしたという事か。」


「あ、ああ、疲れているのは本当だし、

ひょっとしたら馬車にも乗せてもらえるかと思ったから…」


「それでなんで村から逃げ出してきたんだ?」


「それは…」


男は少し言いづらそうにしていたが、

「ここじゃまだ安心出来ない、あいつらに見つかっちまうかもしれねぇ。

せめてもう少し隠れた場所で話をしたい。」

と座った状態で辺りを見回しながら答えた。


俺は『あいつら?』と思ったが、とりあえず俺が見た所、

コイツはあまり信用は出来ないが、俺にとっては大した脅威も

無さそうなので、話を円滑に進める為には仕方が無いので

馬車の方へと男を連れて向かう事にした。

正直厄介事はゴメンなんだがなぁ…と思いながら…


見ると、既に馬車の方も近付いてきており、

『大丈夫ですか?』とリルルが俺たちに向かって走って来ていた。


ミスティは御台者から

『もう、レンがいきなり倒れている人を蹴ってるから

ビックリしちゃったじゃない!』と頬を膨らませていた。



「えっ⁉それじゃ今、村はその盗賊たちに乗っ取られてるの⁉」

ミスティは口に手をあて驚いている。


俺たちは馬車の後ろに移動し、現在4人で話をしている。

男に少しの水と食料を与えながら、俺たちはその男の話を聞いていた。


ちなみにスーは今この場所にいない。

御者台の方に籠ごと置いてあり、その中にいるはずだ。

とりあえず、何かあったら俺に知らせるんだぞと言付けてある。


はじめミスティが「ごめんねスーちゃん、何かあったら知らせてね。」

と言ったのだが、

『あちしもご主人と一緒がいい』とか言って駄々を捏ねてたので、

俺が一言『使えねぇ鳥だなぁ』と言ったら、

『あちし役に立つ』『ご主人のためなら喜んで』と言って急に気合を入れていた。


それはさておき、

マーレンの話はこうだ。


最近村の近くに盗賊たちの集団が現れた。

最初、村には殆どというか実際には手出しをしてこなかったとの事。

精々、盗賊数人が仕事が上手くいかなかったのか、

村に食べ物を分けてくれないかとお願いに来たりしたので、

あげていた事があった程度。

その際もお頭のモットーだかで『盗まざる者食うべからず』

という理由から、村の畑作業を手伝ったりもしていたそうだ。

村に盗賊が出入りするのを村長は嫌がったが、

『絶対にこの村は襲わない』という条件と『村には迷惑をかけないようにする』

という盗賊の頭からの言葉を信じたとの事。


『それもどうなんだ』と俺は思ったが、ひとまずスルーしていた。


盗賊の頭は非常に気さくだが規律に厳しい男だったらしい。

盗賊ながら人殺しは厳禁らしく、落とし穴に落としたり、注意を引いてる間に

荷物を盗むといった手口が中心だったらしい。

『盗賊ってヒャッハーって感じで襲ってくる』という俺の中のイメージが少し崩れた。


村をあくまで縄張りとしていただけであって物を強要される事も無かったという。

村の近くに来た馬車や旅の者たちを狙って金品を巻き上げていたらしいが、

被害もそれほど多くは無く、討伐依頼を出したりもしていなかったらしい。

小物すぎてあまり相手にされていなかったとマーレンは言っていた。


しかし暫くして、その盗賊の頭が変わり、

急にその盗賊たちが派手に暴れだして、村も襲われたのだという。


それから村は盗賊たちの棲家となり、村人も捕らえられ、

今は若い男たちは盗賊稼業を手伝わされているそうだ。


俺が何故逆らわないんだと聞いたら、

村の男は女や子供を人質に取られているからだとの事…

『なるほどな』


「それで、お前は逃げて来たのか?」


「ああ、俺も盗賊の手伝いとして村を出たんだが、

隙を見て逃げて来たんだ。」


「でもそれじゃあ、村の人質が殺されるんじゃないのか?」

俺は遠慮なくそう聞いたが、帰ってきた返答は…


「だって!このままじゃ俺のジャネットまで

アイツにもっていかれちまうじゃないか!アイツ好き放題しやがって、

俺のメルトリアだけでなくジャネットまでアイツの毒牙にかかるかと思うと…」

グヌヌヌヌという感じに呻いている。


話を整理しよう、

村にいる盗賊のお頭は昔村長の息子だった男で

大分前に女にふられて村を飛び出していったらしい。

風の噂でどこかで捕まったと聞いていたが、現在盗賊の頭として村にいる。

盗賊たちは村を襲い、子供と老人を人質に取り、

男には自分たちの仕事を手伝わせて、女たちを侍らせているとの事だ。

ちなみにマーレンがさっき言った二人は妻や娘なのかと思っていたが、

マーレン曰く『俺の恋人たちだよ』と平然と言っていた。

コイツ二股かよ…リア充爆発しろとは思ってない…ああ思ってない。


補足としては、最初に抵抗した男たちが見せしめとして

何人かは殺されたが、今の所、女子供などは殺されていないらしい。


「それで、お前はこれからどうするんだ?」

俺は話を聞き終えてからマーレンにそう聞いた。


「俺はとりあえず近くの村か町まで行って助けを呼ぼうと…」


「そうか…まぁ頑張れよ。」

俺は話はこれで終わりだなと思い、

よし、次の村はスルーするかと考えていたのだが…


「ちょっと待って下さい!」

ちょっとこの話は続きます。

一応考えてはいるのですがまとめに時間がかかってます( TДT)

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