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タイムネメシス~二度目の人生は二つの入れモノde~  作者: あすか良一
第二章 【エリス王国へ】
28/119

第27話 『試したいコト』

一部話の流れがおかしかったので修正させて頂きました。

言い訳すると設定データが消えてしまった性で作り直した為です…すみません。


第27話


『試したいコト』



『ねぇ、これから向かう先ってミスティのお母さんがいる所なんだよね』

レンが頭の中で話し掛けてきた。


『お母さんのお姉さんはメンドイからもう女王でいいだろ』


『じゃあその女王様のいる所にミスティのお父さんとかもいたんだよね』


『まぁリルルの話だと既に死んでいるみたいだがな…』


『そっかぁ…でもその、他に家族とかはいないのかなぁ?』


『んっ⁉、そうか…そう言えば…』


俺は気になった事は即座に確かめるのが基本となっている。

もちろん興味のある事限定だが。


「おい、リルル。一つ確認しておきたいんだが、

女王様には他に子供はいるのか?」

先頭をスタスタと歩いていたリルルに尋ねる。


すると、一度ピタッとその足を止めたリルルは、


「そ、そのお話は道すがらではなく、どこかもう少し落ち着いた場所で…

 そう、今夜にでも改めてお話させて頂きますので…」

と俺とミスティの方を見て『宜しいでしょうか』と言った感じで返した。


ミスティも気になったのか、少し間をおいてからコクリと頷いた


「分かった。あと次の村ってのは、このまま街道に沿って進んで行けば着くのか?」


「は、はい、とりあえずはこのまま街道に沿って進み、

その先にある湖を過ぎて、少し街道を外れた所にあるはずです。」

リルル曰く、村の名前は覚えておらず、

地図で場所は覚えているが、来る時にはそのまま寄らずに進んできたとの事だ。


レンやミスティはあまり、というかほとんど山からは出た事は無く、

昔何度かドランクやフリージアと一緒に東にある村に行った事がある程度だそうだ。


当然南にある村の事なども知らないみたいだ。


さてと、このまま歩いていくのは面倒だな…と俺は改めてそう思ったのだが…


『レン、一つ試したいコトがあるんだが聞いていいか?』

俺はレンに聞いてみた。

『なあに?』


『お前確か風の魔法が使えたよな、

それってただ物を動かしたり飛ばしたりする事って出来るか?』


『うーん、一応出来るけどそんなに重い物や大きい物は無理だけど…

それがどうしたの?』


『よし!ならやってみるか』

俺はレンの疑問には答えず、さっそく試してみる事にした。


使う魔法は俺の『俺魔法』とレンの『風魔法』だ。


レンの魔法の内容は知識で引っ張り出せるし、

万が一の時でもこの魔法なら大丈夫のはずだ。多分…


「おい、リルル、ちょっとコレ持っててくれ。」

俺は少し前を歩いていたリルルに声を掛け、

振り向いた彼女に右肩に掛けていたバッグを軽く放り渡した。


『俺魔法発動』


『重力制御魔法起動』


俺が自らの体に魔法をかけると、


『ちょっ、ちょっと、何やってるのさ⁉』

レンが頭の中で呼び掛ける。


『面白いコトさ』


そう言ってから俺は大地を蹴る。


重力を無視した俺の体はグングンと上へと上がって行った。


隣にいたはずのミスティは慌てて俺のいた場所を見ている。

リルルは『えっ⁉』と言った感じで突然渡されたバッグを持って慌てている。

そして二人で揃って空を見上げた。


俺は調子に乗って飛び上がりすぎたので、

再び重力魔法で下へと重力をかけて止まった。

そう空中で…


正確には徐々にだが高度が下がってきている。

『調整が難しいな…コレ』


イメージ的には上と下へのバランスをとる形で重力をかけてはいるのだが、

初めてでまだしっかりと制御出来ていない感じだ。


当初は『無重力空間』をイメージしようとしたが、

それでは空中で足場も無い状態だとうまく止まれない可能性が捨て切れず、

下手をしたらどこまで飛んで行くか分からない危険があった。


それとさっきガーゴイルの時にジャンプしてみて分かったのだが、

俺は上下には重力をかけられても左右にはうまく重力がかけられなかった。

というか、左右に移動していくイメージが湧かなかったのだ。


多分、俺の知識で『重力』とは上下に作用しているイメージが強いのだ。

固定概念と言われればそれまでだが、現状ではそう考えてしまっている。


魔法とは俺の中ではイメージだ。

つまり俺の中の概念や知識に大きく影響しているという事だ。


なので、空中に足場があれば問題ないのだろうが、

何も無いような状態では横や斜めといった方向にはうまく動けない。


そこで…

『風よ』


俺は空中でバランスを取りながら、右手の掌から後ろに風を放出した。


すると俺の体は勢いよく前へと進んだ。


『やべっ!』

ちょっと風を出しすぎたのか予想以上のスピードだ。


『ちょ、ちょっと、ちょっと!何なのさコレ‼』

レンはパニクってる。


俺は頭の中で『風よ』と唱え、今度は左手の掌から風を放出し、勢いを止めた。

レンの使える風の魔法はいくつかあったが、

今コレに使えそうなのは、

『エアウィンドウ』という風の壁を作る魔法と

『エアガスト』という風を巻き起こす魔法だ。

ただ、壁を作って飛ぶのは方向操作する上で滑らかに飛ぶのは難しいし、

風を操るにしてももう一方の魔法だと一方向に一直線に向かってしまいそうなので、

俺は『風を吹き出す』というイメージと放出するだけでいいので

『エア』、つまり風の詠唱のみを頭で考えている。

具体的には手から風を放出するだけに抑えている形だ。



下を見るとミスティたちと結構距離が離れていた。


『やっぱコレ難しいな…でも練習すればイケそうだな』

俺はコレは使えると再度実感しながら、改めて周りを見た。


それほど高くはないが、気持ちのいい青空と清々しい風の中、

周りには広大に広がる大地が見えた。

これぞまさにファンタジー‼


そして後ろにはエクシル村のあるスフィア山、前方には…


『んっ⁉アレ…なんだ?』


『もう‼早く降りようよぉ!僕こんな高い所やだよぉ‼』

レンは泣きそうに訴えている。いや既に半泣き状態だ。


俺はそれより前方に見えるものの方が気になったので、

『おい、レンあれは何だが分かるか?』


『えっ、アレ?』

『うわぁあああ高い、高いよぉお‼落ちる落ちるぅ‼』


『ダメだ、コイツやっぱ使えないな』

俺は仕方がないので少し風を放出させながら、近づいてみた。


近付いてみると街道から少し離れた場所に

馬車がポツンと1台止まっているのが見えた。


いきなり空から声を掛けるのもどうかと思った俺は、

一旦ミスティたちの所に戻るかと思い、

そのまま風を操りバランスを取りながらミスティたちの元へ戻った。


ミスティたちの元へと戻った俺は、


『突然飛んで行かないでよ!』

とミスティに怒られ、

『レ、レン殿今のは一体何なのですか⁉』

とリルルに詰め寄られ、

『キュイキュイキュキュー‼』

(ご主人今度あちしと一緒にツーリングするだわさ‼)

とか、

『グレンいきなり何てことするのさ‼』

とレンにも珍しくガチ切れ気味に言われた。


『おい鳥!お前何でツーリングとか知ってんだよ』


それはさておき、

レンはどうやら高い所が苦手のようだ。

前に崖から落ちたのが不味かったのだろう…


俺はミスティとリルルにこの先で馬車が止まっている事を告げ、

とりあえずはそこに行ってみようと提案した。


うまく行けば便乗させてもらえるかもしれないし、

早く行かないと行っちゃうかもしれないしな。


歩きながら俺は、ミスティにいきなり飛んで行かない様に

前向きに善処すると伝え、リルルには俺の魔法だけど何か?と言っておいた。


リルルは助けられた事もあるし、俺の魔法を一度見ているだけあって

『わ、分かりました』と意外とすんなり?退いてくれた。


そうして暫く行くと街道から大分離れた所に馬車が見えた。


馬車を見つけて、


「あれは‼」

リルルが叫んだ。


それまで先頭を早足程度で進んでいた俺を追い越して、

リルルが馬車へと走って行った。


俺とミスティはお互い顔を合わせて『んっ⁉』と思ったが、

とりあえず一緒に小走りになってリルルを追って行った。


馬車へと近付くと、

馬の『ブルルル』という声と、


「ハンス!」

というリルルの声が聞こえた。


俺が馬の足元辺りを覗き込むと、

そこにはちょっと小太りな男が一人倒れていた。

そのすぐ側にはリルルがいて、

「ハンス…」

と悔し気に呟いていた。


その男の頭には矢が刺さっていた。


既に物言わぬ男の傍で

二頭の馬が『ブルルル、ブルルル』と繰り返し哭いていた…

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