表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイムネメシス~二度目の人生は二つの入れモノde~  作者: あすか良一
第一章 【異世界での旅立ち】
21/119

第20話 『朱雀のスーちゃん』

チェックが間に合ってませんが、後で随時修正していきます。

とりあえずそろそろ文章のスペースの空け方を変えて行こうと思います。

色々試行錯誤していますが読みづらくなっていたらすみませんです。

第20話


『朱雀のスーちゃん』



「ブラストウォール」

俺は片膝をつき、片腕を地面につけながらも唱えた…


が…何も起こらなかった…

『マジか…』

今まではこれをやればこれが出来ると

イメージ出来ていたのだが、今は出来そうなイメージが

湧いてこない。

あとは避ければいいのだが、さっき撃った魔法の反動なのか

さっきよりも体の動きが鈍くなっている。

目の前に迫る炎を前に、

『熱そうだな』などと比較的楽観的な感想を持っていた。

喰らう覚悟を決めたその時、

目の前に赤い体毛をした姿が現れた。


鳥だ!


俺の目の前に現れたソレは、

「キュイイイイイイ」

と叫び、竜から放たれた炎を受けた。


『鳥ぃ!!』と頭の中で叫んだ俺だったが、

目の前の鳥は燃えてもおらず、熱がってもいなかった。

どちらかというとその輝きを増している様にも思えた。


鳥は炎が止まり、消えるとその両翼を大きく広げ、

その翼を竜に向けて羽ばたかせた。


鳥の両翼から勢いよく、光の羽の様なものが飛び出すと

無数の刃が竜を襲った。


竜は再び炎を吐き出そうとするが間に合わず、

その刃を全身に喰らった。


「グギャァアアアア」


体に突き刺さるものは貫通まではしていないが、

血を流し、右目に受けた刃に凄まじい痛みを感じたのか、

頭をくねらせながら、大きな悲鳴を上げていた。


竜は自らの翼をこれでもかというほど羽ばたかせた。


物凄い風圧が生じ、土煙が舞い上がった。

そして、ダンッ!という音がした後、

竜は一目散に空へと逃げ出していた。


追おうという選択肢は俺には無かった…

目の前の鳥は竜が飛び立った直後、淡い光を発して、

元の小さな鳥へと戻っていった。


俺はそれを見届けてから、意識を闇へと落とした。



「レン!、レン!しっかりして‼」


そんな声が聞こえて俺は再び意識を取り戻した。


目の前に涙目のミスティがいた。

『泣き顔も可愛いな』

そんな事を思いつつ、次第に意識が回復してきた俺は

とっさに辺りを見回した。


意識を失ってまだそれほど時間が経っていないのか、

周りは先ほど俺が倒れた場所と変わらないようだ。


俺の体を抱きかかえるようにしてミスティ、

左側に心配そうな顔をしたマリアとその隣にロックベル。

「キュイキュイキュイー」

とまるで忘れるなと言っているかのようにミスティの

右肩に鳥か…


「レン、大丈夫?」

俺を心配そうにのぞき込みながらミスティが言った。


前にも似たようなシュチュエーションあったよな…

俺は右腕でミスティの頭をポンポンとしたあと、

体を起き上がらせた。

ズキッと左腕が痛んだが、なるべく顔に出さないようにして

立ち上がった。


「大丈夫かね?」

ロックベルが俺に話し掛けてきた。


「あぁ。一応な。」

俺はそう一言返してから、歩き出した。


その後、4人と1匹で神殿へと向かった。

俺はマリアによって回復魔法を施してもらい、

身体の痛みだけは少し和らいだ。

完治するほどマリアには治癒魔法の技術は無く、

体力も一気に回復するような事は無かったが、

大分マシにはなった。

『仙豆とか欲しいな』


ちなみにロックベルがポーションを持ってきたが

俺は一旦、遠慮した。

匂いがヤバかったからだ。もう強烈に。

なんかドロッとした水色の液体が小瓶に入っており、

その蓋を開けた瞬間…ご想像にお任せします。

一応一段落ついてから、飲む勇気が出たらお願いすると

伝えておいた。


俺は今、神殿の一室にあるベッドを借りている。

マリアとロックベルは村にこの事を知らせる為、

一旦神殿の外へと出て行った。


ミスティは俺の事が心配らしく、鳥と共に残っている。

今は着替えの為、席を一旦外している。


俺はいくつか気になる事を確認する事にした。


まずは『おい、レン!いるんだろう!返事しろ』


返事が無い…まるで屍の様だ…


『おい!レン‼

 起きないとこれからお前の体が大変な事になるぞ‼』


『えっ⁉大変な事って何!』


ふぅ、やっぱり起きていやがったか…

俺が気を失って倒れる前と、目覚めた後で決定的に

違う点が一つあった。

力が再び湧き上がっていた事だ。

どうゆう理論かは分からないが、レンが意識を無くしてる間は

俺の力の回復がやけに遅かったのだ。

今は急激に力の回復が行われてる気がする。

最初は単に少し休んだからかとも思ったが、

言葉にはしづらいが、レンの意識を感じると共に

俺の中で魔力が練り込まれているような…


まぁ何にしても、

『お前、今まで何してやがったんだよ』


『知らないよ、あのバーンとかいうヤツに吹っ飛ばされてから

 記憶が無いんだよ。』


やっぱりか、

『じゃあ、いつ目が覚めたんだよ。』


『マリアさんに魔法掛けられてる辺り…』


なるほどな、道理で腕の痛みが急激に弱まった訳だ。

見ると治っていないはずの左腕が動く様になっていた。

ただまだ動かすと若干痛みは残っているが、

あのポーションは飲まなくて済みそうだ。


『ところで僕の体に何するつもりだったんだよ』

レンは口をとんがらせたような口調で俺に言ってきていた。


が、スルーし、

『それよりもお前に言っておくことがある。』

その後、俺はバーンとの事の顛末を説明した。


丁度説明し終えて、俺的に一区切りついた所で、

ミスティが入って来た。

レンは俺の話を聞いて呆然としていたが、

俺に何事か言おうとしたが『後にしろ』と止めておいた。

ちなみにこの部屋には扉はついていない。


「レン、ううん、今はグレン?大丈夫なの?」

左肩に鳥を乗せたミスティが俺に聞いてきた。

ミスティは残念ながら、既に巫女さん姿ではなく

いつもの服に着替えていた。


「どちらでも構わない、面倒ならレンでいい。

 それよりも、だ」

俺はミスティの肩に乗った鳥に目を向けた。


「その鳥をどうするかだが…」


そう言った所で、鳥がキュイキュイ叫びだした。

『あちしはご主人についていくよ。』

『ご主人あちし役にたつよ。』


またか…やっぱり俺にはこの鳥が何を言ってるか

分かるらしい。


すると何故かミスティが、

「レン、この子連れて行っちゃダメかな?

 わたし何でかこの子の言ってる事分かっちゃうんだよね。」


『何だって?』

ミスティにもコイツの言葉が分かるのか?

んっ?待てよ…

元々コイツは俺の魔力で出てきたわけだし、

元来コイツって巫女の魔力で封印されてきてたのか…

だったら有り得るのか?


「そうか、ミスティにも分かるのか…それで、

 連れてくどうこうの前にさっきのアレは何だったんだ?」

俺の言っている事が分からないのは

恐らくこの場ではレンくらいだろう。


「うん、私もさっき着替えてる時に聞いてみたんだけど、

 私の魔力で力の一部を使ってああなったというか、

 この子の力が解放されたというか…」


何となくは分かった。

「おい、鳥!俺たちについてきてどうするつもりだ?」


それを聞いた鳥は、

「キュキュキュキュ!キュイー‼」

『あちしはトリじゃない!ご主人名前ちょーだい‼』


と言っている。

俺は内心めんどくせーなと思ったが、


「そうよ、レンこの子だって名前で呼んであげようよ」

ミスティも言葉が分かるからスルーするわけにもいかず、


仕方がないので、レンに聞いてみると。

『トリでいんじゃない』

『あっ、トーリーとか』

うん、こいつ俺よりネーミングセンス無さそうだな。


「じゃあ朱雀すざくで」

不死鳥とかつけると何かカッコよすぎるし、

『あちし』とか言うヤツがフェニックスってのもちょっとな。


「すざくかぁ、なんでその名前なの?」

ミスティは良くわからないみたいだが、

肩の鳥はキュイキュイ喜んでいるみたいだ。


「まぁ、何となくだ。」


「ふーん、じゃあスーちゃんだね。」

ミスティはスーの頭を指で撫でながら、

微笑みを浮かべて言った。


ずいぶんと仲良くなったみたいだな、

一応『あちし』って事は雌なのか…


それはさておき、

「おい、トリ!それで俺たちについて来てどうするんだ?」

俺は話を戻した。


「キュキュキュー!」

お怒りの様だ。


「こら、レンだめだよ!スーちゃんだよ‼」

『ねぇー』みたいな感じで鳥、いやスーを覗き込んでいる。


「分かったよ、それでスー、どうしたいんだ。」

俺は話が進まないのでそう呼んでやった。


鳥、いやスーは嬉しかったのか、喜んでこう言った。

『あちしはご主人の力になる』

『ご主人の行くところに一緒についていく』

『きっとお役に立つ』


まぁほとんどさっきから言ってるのと変わらんが、

まぁ分かった。

とりあえずコイツは一旦保留だ。

確かにコイツのおかげで助かった訳でもあるし…

だがコイツの性で襲われたとも言えるが…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ