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タイムネメシス~二度目の人生は二つの入れモノde~  作者: あすか良一
第一章 【異世界での旅立ち】
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第1話 『レン』

一応区切りのいい所までの連続投稿になります。


説明多くて読みづらいかもしれませんが、

お付き合い頂けると幸いです。


第1章

【異世界での旅立ち】


第1話

『レン』



次第に意識が戻ってきて目を開けると、

目の前に見えたのは知らない天井。

首を捻って横を見ると、これまた知らない部屋。

病院では無く、なんかログハウスっぽい木の造りの部屋。

そして頭が少しボーっとしてる中で

なんとなくここどこだろうと思っていたら…


ガチャ、

と扉が開いた音がした。

その方向に顔を向けると…


「レン!!」


自分とは関係のない名前を呼ばれた。



目を見開いてこっちを見ている少女は何かを

こらえるようにしていたかと思うと、


「おじさん!レンが目を覚ましてる!!早く来て」

と大きな声で扉の外に叫んでいた。


それからおもむろにこちらに走ってきて、


「もぅ!レンのバカ!!」

と泣きそうな顔をしながら俺の顔を胸に抱き寄せた。


『えっ!?』

『ええっ!!』

俺は思わずびっくりしすぎて内心ドキドキだったが、

驚きのあまり逆にキョトンとしてしまっていた。


そこへ、


ズダダダダダダダ

と凄まじい足音と共に、


「レン!!」

と今度は力強い男の声が聞こえた。

というか響いた。


少女はその声を聞き、ハッとしたように

俺の頭を慌てて放り出した。


少女も喜びのあまり思わずやってしまったのだろう。

若干頬を赤らめながらモジモジしている。


少女は薄い茶色の髪をショートカットにした活発そうな子で、

年の頃は俺の見た感じでは中学生くらいに見える。

見た目はスレンダーな割に…意外と胸はありました…

ありがとうございます。


さっきまでの胸の感触を思い出しちょっと?大分?ニヤついて

しまっていただろう俺は、

イカンイカンと思い、視線をあらためて向け直した。


「もう、本当に心配したんだからね」

女の子が心底ホッとしたような感じで、

少し頬を膨らませながら言った。


「レン、お前大丈夫なのか。体や頭は痛くないか?」

さっき入ってきたであろう、

これまた見知らぬおっさんが俺に向かって

先ほど同様、聞きなれない名前をつけて声を掛けてきた…

のだが…


近い!近い!

近すぎるわ!!


身を乗り出して聞いて来たのだが、

正直おっさんの顔が近付いてくるのは怖すぎる。

おっさんは俺より少し年上で、髪は…みどり…

緑!?

いい歳したおっさんで髪が緑で

マッチョないかついおっさんって…ヤバイ…


「どうしたレン!?」

心配そうに話しかけてくるが俺は声を出せない。

いや、より正確にはなんと言えばいいのかわからず

何も言えなかった。


「やっぱりまだ目を覚ましたばかりで

意識がハッキリとしていないのか…」


「もうしばらく安静にしていろ」


そう言って部屋から一旦出て行った。


「全くなんであんな所で…もう…」


少し涙を滲ませながら茶色の髪を軽く

掻きあげる仕草で目を擦りながら少女は呟いていた。



「ごめん…」


とりあえず状況は全くわからないが、

何やら彼女を悲しませてしまったのは

事実なようなので一言そういった後、

ちょっとの沈黙が流れた…


俺は思わず聞いていた。

いや今の今まで聞かなかったのが不思議なくらいだが、


「ここは一体どこなんだ?」


と彼女に問いかけた。


「えっ!?やっぱり頭を打ったのね!

ここがどこって…あなたの部屋じゃない」


慌てた様子で俺を心配げに覗き込んできた。


まぁそうなるか…


『俺の部屋…ここが…俺は…』


過去を思い出そうとしてふと自分の手を見ると…


『んっ!?ちょ!ちょっと待て!』


『これ、俺の手じゃない!!…とゆうかこれはっ!!』


俺は彼女よりもさらに慌てた形で自分の顔を手で触り、


「鏡!鏡はないのか!?」


と周りを見回しながらかなり混乱しつつ、

起き上がろうとしたが腰にピリッとした痛みが走り、

顔をしかめた。


「つっ!」


「無理しないで!今おじさんが

フリージア先生を呼びに行ってるから」

彼女がこれまた慌てて

俺の肩を掴むようにして落ち着かせる。


そこでふと俺は考える。

これは夢だ。そうに違いない。

まだきっと覚めて無いだけだ。


でなければ…

俺は強引にそう考えようとして、

ふとまた自分の現状を思い出そうとした。


と、その瞬間、目の前がチカチカして

頭がぐわんぐわんしだした。


『な…にが…』


「レン!本当に大丈夫!?今おじさんたちを

呼んでくるから!!」


少女は大慌てで部屋を飛び出して行った。


そして不思議な感覚が俺に訪れた。

頭の中に今まで無かったはずの光景が

一瞬でフラッシュバックの様に、

凄まじい速さで駆け抜けていく感覚…


俺は唐突に理解した。




ここはエランドール国の北西に位置する山村で

エクシル村。

俺が…レン、レン・マクラーレンが

5歳の時から住んでいる家の中だ。


今ここにいるのは…



『全部思い出した…いや、なんで

今までおれは…ぼくは…』


俺、いや僕はレン。

年齢は15歳、いや多分もう誕生日を

過ぎてるから16歳だ。


なぜ僕が今こうなっているかは覚えている。

正確には倒れた理由を覚えているといった所だけど。


とある理由でとあるモノを探しに

村の外れにある岩壁に向かった僕は

見つけたソレを取り損ねて山壁から転落した。


端的に言えば死にかけたのだ。

ぶっちゃけ落ちた瞬間死んだと思ったし。

視界はずっと真っ暗で体も全く動かなかったけど、

誰かの声だけは聞こえていた気がする。


でも生きてた!!

僕生きてたよ。

超ホッとした。


なんか身体のあちこちが痛いけど…


ズダダダダダダダダダダダダ…


バン!!!


物凄い勢いでドアが開かれて、


「おいレン!!」


そこには僕のよく見知った顔があった。

額に汗を滲ませたドランクおじさんが

少し息を切らせながら近付いてきた。


その後ろには幼馴染のミスティと

この村唯一のお医者さんでもある

フリージアさんがいた。


「ちょっとドランク落ち着きなさい。

心配なのはわかるけど」


フリージアさんはおじさんをなだめるように

僕との間に入ってきて診察を始めた。


「レン、私が誰だか分かる?」


僕の瞳を指で開きながら小声で『ライティング』と唱え、

もう片方の指先に灯った小さな光の玉を

行ったり来たりさせている。


「この村一番のお医者さんで

昔おじさんと一緒にパーティーを組んでいた事もある

『フリージア・パーシバル』さん。独身…」


スパコーン!


瞬間フリージアは僕の頭を

物凄く小気味いい音とともに叩いた。


「うん、この余計な事言っちゃう子は

間違いなく私の知ってるレンだね。」


不思議とそれほど痛くは無かったが

ちょっと目が怖かった。


後ろでおじさんは『アチャー』みたいな顔をして

額に手をあてている。

ミスティも『ハァー』と息を吐いている。

しかしどちらもホッとした感じだ。


「それでなんであなたはこんな事になっているのか

覚えているかい?」


改めて僕の身体の各所を確かめるように触りながら

フリージアさんは聞いてきた。


あの日の夜、

村の外れにある山壁に行って、

登って足を滑らせて落ちてしまった事…


より正確には、

誕生日の前日、満月の夜の日にだけ咲くと

言われる花を探しに

夜遅くに村の西側にあるスフィアの山壁に行って…

下から上を見上げた時、青白く光るモノを見つけた。

ソレを取ろうと山を登り、

細い崖道を通ってその近くまで行き

手を伸ばしたが、微妙に届かなかったので

くぼみに足をかけて

さらに手を伸ばしたら…落ちた…


ほんとあともうちょっとだったのに…


因みになんでその花が欲しかったかについては秘密だ。


フリージアさんにはその部分は隠しながら話をした。



僕の誕生日は幼馴染のミスティとは1日違いで、

僕の方が1日だけ早い。

年齢も僕の方が1つ上で、ミスティは今年で15歳だ。

毎回いつも同じ日に誕生日を祝っている。

今年も僕の誕生日にミスティの家で祝う予定だった。



まぁお祝いと言ってもプレゼントをもらって

食事がいつもよりちょっとだけ豪華な感じに

なるだけだけど、今年はちょっと意味合いが違った。


この国では男の成人が16歳、女の成人が15歳と

まさに二人が共に成人になる年だった。


僕は今年はいつもと違うプレゼントを

ミスティにあげようと考えた。


去年は僕がミスティのお母さんの

アリスティママからくつを貰い、

ミスティはドランクおじさんから

かばんを貰っていた。

いつもはお互いの親がそれぞれの相手に

プレゼントを渡す形だった。

因みにお互いの親の誕生日には僕がアリシャママに

ミスティがドランクおじさんにプレゼントしようと

途中からミスティが言っていたりもした。


僕から今までミスティにプレゼントした事があるのは

小さい頃に花で作った髪飾りくらいだった…


今年はミスティに最高のプレゼントを渡すために、

色々と考えていた。

色々と考えてはみたがなかなかイイものが

浮かばなかった。


そんな折、

ドランクおじさんの部屋を掃除している時に

おじさんの机の引き出しにあった1冊の本の中に

それは書かれていた。

それは本というか辞典あるいはメモがわり

だったのかもしれない。

勝手に読んだらマズイとは思ったが、

それが非常に気になったので

ちょっとだけ、と思い読んでしまったのだ。

タイトルみたいなのは読めなかったけど、

なんかやたらと古そうな感じだった。


適当にページをめくってみると、

『エクシル村のフルムーンスフィア』

という欄が書かれていた。

別名:魔草美花

効用=若さを保ち、伝承曰く

この花を贈った相手と結ばれる…


曰く『エクシル村の西にあるスフィアの崖には

満月の夜、1日だけ咲く花あり』


『その花美しく、光り輝き見る者を魅了す』


『その花を得し者に至上の美を与えるモノなり』


下にはその花の煎じ方や処方といったものも

書かれており、僕は『これだ!』と思った。

因みに下の方は擦り切れていて

文字がほとんど読めなかったが

大体の内容は解かったのであまり気にしていなかった。


曰く『その花は争いを生むモノなりて…』

『……これソレを記すものなり…』


最後の方は少し気になったが、

多分相当珍しいモノで競って皆が求めたのだから、

秘密にされているんだろうと。


そして其処に記されたのが『満月の夜』という事で

それからは満月の夜は必ず西側に行って探していたのだが、

まさに誕生日前日にそれを発見するとは思っていなかった。


それが見つからなかった時はどうしようかとは思っていたけど…


結果、こうなったわけだ…

落ちた後、今の今まで何か夢のようなものを

見ていた気もするがあまりよく覚えていない。



「なるほどね…」

フリージアさんは一通り身体を確かめ終わってから

僕の話を聞いて応えた。


「まぁ、大体事情も分かったし、

何であんな所にいたのかもわかったわ。」


んんっ!?

これはもしかしてバレてるの?


内心ドキドキしてしまったが、

なるべく表情に出さないよう努めた。



「はぁ、一応身体は大丈夫そうね。

まだ2、3日は安静にしてなきゃならないけど

意識も戻ったし、心配はないでしょう。」


フリージアさんはため息と共に

おじさんやミスティに向けてそう言った。


「たくっ、お前は何考えてやがんだ。

誕生日に死にかけやがって」


おじさんは頭を掻きながらめんどくさそうに言った。


「あらっ?あなた私の所に駆け込んできたとき

何て言ってたかしらねぇ?」

ニヤニヤしながらフリージアさんは

片手を口にあてながら言っている。


「う、うるせい!」

と顔を赤くしながらおじさんはバツが悪そうに

つっこんでいた。


「でも本当に無事で良かった。

けど何であんな所に夜中に行ったの?」

少し不思議そうにミスティが尋ねてきた。



……言えない!

特に伝承の部分については言えない!!


「あっ!頭が…ちょっと痛い…」

わざとらしく僕はそう言うと

腕で顔を隠しながら横になった。

多分顔は真っ赤に違いない…


フリージアさんはそれを見て、

パンと一度軽く手を叩いて、

「さぁ、一応・・レンも頭を打ってるかもしれないし

もう少し休ませてあげましょう。

また明日来るからちゃんと大人しくしてるのよ。」


そう言って部屋を出て行こうとして、


「あぁ、あとお腹減ってるだろうけど

一気に食事を取ろうとしないでゆっくり食べなさいね。

それと消化に良いものを中心にね。

間違っても肉ばっかりとか

偏った食事にならないようにね、ドランク」


最後は明らかにおじさんに向かって言っていた。


「まぁミスティちゃんがいれば大丈夫かしらね」


最後にそう言って、ウィンクしながら出て行った。


「じゃあ私はお母さんとご飯作ってきますね」


ウィンクされたミスティは

少し慌てた様子でおじさんにお辞儀して、

「レン、何か食べたいものある?」


と僕に聞いてきたので、

腕の隙間から横目で見ていた僕は目を反らして

「いや…べつに…」


「ミスティの作ったものなら何でもいいよなレンは」

横からすかさずニヤついた雰囲気丸出しで

おじさんが割って入ってきた。


場が変な空気を醸し出したので

僕はわざとらしく咳き込んで反対側の方を向いた。

『ぐぬぬぬ…おじさんめぇ…まぁ本当の事だけどもぉ…』


「もぅ、おじさんったら」

ミスティがちょっと恥ずかしげに

頬を染めて部屋から出て行った。


そして部屋に残ったのはおじさんと僕の二人になった。


『ドランク・マクギリス』

おじさんは僕と血は繋がっていない。

僕が5歳の時に母親が亡くなって、

行き場のない僕を引き取ってくれた。

なんでも昔、母とパーティーを組んでいた事もあり

旧知の仲だったみたいだ。

その繋がりで面倒を見てくれているそうだ。


僕には母や父の記憶がほとんど無い。

父は僕が3歳の時に死んでしまい、

母の事もうっすらとしか思い出せない。

唯一思い出せるのは、母に抱かれた僕を

かばってくれた父の背中くらいだ。

なんでそんな状況だったのかも、

本当にそれが父親だったのかもわからないが…


以前、おじさんに母や父について聞いたことが

あったが教えてくれなかった。

その時はなんとなく聞いてみただけだったのだが、

おじさんの顔をとても悲しい顔を

していたのを覚えている。

以降、そういった話は聞いていない。


おじさんの話も

実際はフリージアさんから聞いたので、

その時母の事も教えて貰おうかと思ったけど、

悲しい感じになるのはヤダったので

聞かなかった。父の事はあまり気にならなかった。

薄情かもしれないけど、僕の父親はある意味で

おじさんだと思っている。


「誕生日おめでとう」

おじさんはそう言って僕の頭に手を置き、

乱暴に髪をくしゃくしゃっと撫でてくれた。


僕はベットに横たわりながら少し恥ずかしながらも

嬉しかったので、

「ありがとう…」

と返して、布団を顔まで上げて

顔を見られないように隠した。


「んじゃ、俺も用事を済ませてくるから

お前は大人しくしてろよ」


おじさんはそう言い残して

部屋を出ようとドアノブに手をかけた所で…


ドガーン!!!


何かが爆発したような音があたりに響き渡った。


読んで戴き有難うございます。


まだまだ投稿した時のスペースの入れ方が分かっていません(汗)。

読みづらいと思いますが、ひらにお許しを…



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