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タイムネメシス~二度目の人生は二つの入れモノde~  作者: あすか良一
第一章 【異世界での旅立ち】
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第18話 『反撃』

第18話


『反撃』



「レーン!」

「キュイキュイキュイー‼」

一人の少女と一匹の鳥が叫んだ。


ミスティとマリア、気が付けばロックベルも来ており、

今は一カ所に集まっている。

そして3人と1匹は、

レン、いやグレンが飛んで行った方向を見ている。


鳥はメッチャ飛んでいこうとしたが、

ミスティがギュッと胸に抱いており、

本当は彼女も行きたかったが上空の魔物の群れと

目の前の竜たちがそれを許さなかった。


そしてようやく晴れた土煙の先には、

左腕をダランとさせて額から血を流して立っている

少年の姿があった。


「勝手に終わらせてもらっちゃ困るぜ。

 まぁ俺が終わらせてやってもいいがな。」


『ちっ、思ったより痛えじゃねえか、

 腕折れてんなコリャ、だがこっからだぜ!』

内心で愚痴りながらも気分は未だ上がっている。


「ふふふふふ、そうこなくては面白くない。

 だがまぁ、やはりこれで終わりだ。」

再びバーンは俺目がけて突っ込んでくる。


『俺魔法発動』

『重力制御魔法起動』


俺は右腕を掲げ、即座にバーンに向けて

人差し指と中指を突き出した指鉄砲の様な形を

した手にして、言い放った!


「ブラスト・ショット‼」


粉々にされた俺の周りの石柱の石がまとめて

バーンに向かって殺到していった。


「こんなモノが我にきくかぁ!」

バーンは群がる石をことごとく粉砕していく。


だが、

それでいい。


元々足止めとして打った方だしな。

『くらえ!』俺は続けて魔法を叩き込んだ。


「なにっ!」

バーンはそれまで粉々に砕いてきた石に違和感を感じていた。


そこへ今度は新たな飛翔物が体を襲う。


バーンはそれを迎撃しようとしたが数が多い上に、

ソレはとても鋭く硬かった。

かなりの数の内のいくつかはバーンの拳に粉砕されたが、

その内のいくつかはバーンの体を穿いた。


「ぐぬっ」

思わず苦痛の声を漏らす。

体の各所に命中したソレはただの石では無い。


『よし!』

俺は内心でグッと手ごたえを感じていた。


俺が放った魔法は、

石をただ飛ばしたわけではない。

重力を纏わせた石と、重力で圧縮した石の矢の様な

モノを打ち出したイメージだ。

ただの石では当然ダメージは与えられないが、高密度に

圧縮されたものならばワンチャンあると考えた。


「この様なもので我がやられると思うてか‼」

フンといった感じで体を穿った石の矢というか

先端が尖っただけの円柱を体から筋肉で押し出していた。


俺はそれを見ても立て続けに魔法を放ち続けた。


圧縮された石の矢は再びバーンを襲うが、

「舐めるなと言ったはずだ‼」

バーンから凄まじい魔力が発せられ円柱の尽くがチリと化した。


『かかった!』

俺は、再び鋭い円柱を打ち出した。


「いい加減にしろ、小僧‼」

バーンは業を煮やして前にでようとするが、


俺は『ここしかねぇ!』と思い、力の限り前に出た。


俺の姿を見て、一瞬虚をつかれたバーンは

目の間に迫る円柱が全て自分の顔に集中している事に気付き

腕を顔の前にクロスさせて防いだ。


俺はその隙にバーンの懐に潜りこんで、

渾身の右をバーンの脇腹目がけてぶち込んだ。


右手にはこれでもかというくらい魔力を練り込んで…


ズドン‼


と重い音が辺りに響き渡った。


バーンは『がはっ!』と前のめりになるも

すかさずガードを解いて右拳で俺を殴ろうとする。


だが、遅い‼


俺はバーンの反応に構わず、右拳を脇腹に叩き込み続けた。

連続して何度も。

その度にバーンの表情が大きく歪んでいた。


『まだまだぁ‼』

俺はこれで絶対決めてやるとあらん限りの魔力を込めて

打ち続けた。

そして何発撃ったのか分からないが、

最後に両足に力を込め、渾身の一発を叩き込んだ!


それを受けたバーンは横に思いっきり吹っ飛んだ。


バーンは丁度連れてきた竜のいた方向に吹っ飛んでいった。


ドカン!

『グギャ』と音が聞こえて、

竜の腹にぶち当たって止まったらしく、

竜はよろめいているが生きている。


そして、バーンは…

口から血を流しながらもやはり生きていた。

脇腹に手を抑えながらもフラフラと立ち上がってきた。


『あいつの血は赤いのか』などと俺は考えつつ、

内心ではヤバいなと思っていた。

今ので倒し切るのがベストだった上にまだこの後戦った上に、

ガーゴイルやあそこの竜も控えているとなると面倒だった。


今の戦闘ではいくつかの布石があったからこそ、

俺がバーンにかませたのであって次もうまくいくかどうかは

分からなかった。


まず、石の弾丸に見立てた初弾を砕かせた。

これは元々足止め兼布石だった。

俺が撃ち出した石の塊全てに俺は魔力を注いでいた。

それが粉々にされる事によってバーンの体に降り注いでいた。

砕かれる前提で撒いていたのだ。


重力を纏った石をバーンに纏わせて動きを封じていたからこそ

あれだけ一方的に俺が攻撃を仕掛けられたのだ。

加えて顔を狙ったのも、

いくらバーンでも目や口は鍛えられないと判断したからだ。

最後の一撃はかなり手応えあったんだけどなぁ…


仕方が無い、もう一発…

そう思った俺だったが、突然『ガクン』といった感じで力が抜けた。


『なに⁉』俺は倒れるまではいかないまでも力が入らない事に気付いた。

再び魔力を練ろうとするも、うまく練る事が出来ない。


どういう事だ…使いすぎたのか?

気が付けば今まで湧き上がっていた力が感じられない。

俺はどうしたことかと思い、思わずレンに呼びかけていた。


だが、返答が無い…


そう言えば、バーンに吹っ飛ばされてからレンの意識を感じて

無かった様な気がする…


俺は内心焦りながらもバーンの方を見た。


すると、

「くははははははっは!よもや人間ごときがここまでやるとはな‼

 恐れ入ったわ!」

脇腹を抑えながら上を見上げたバーンは、

「貴様!いや、グレンと言ったか…気に入った!

 この勝負また改めてさせてもらうとしよう‼

 だが、我の建前もあるのでこのまま、ただ去る訳には

 いかぬのだが…貴様ならば問題なかろう。」


そう言って竜に跨った。


『退いてくれるのか?』

正直、逃がすのは得策ではない気もしたが今は追撃しようにも

こちらのダメージもある上に、

更に新たな手札とか出されたら面倒だしな…だが、


「待て!お前、またこの村を襲いに来る気なのか⁉」


「勿論、この神殿の力を貰いにくるが」


「なら、諦めろ!その力は既に俺が持っているからな。

 それでもまだ欲しいのなら

 次はこの村じゃなくて直接俺の所に来い‼」


「ほぅ、いいだろう。その方が我にとっても都合がいいからな。

 だが、貴様がこの村にいれば同じ事だと思うがな」


「俺はこの村を出るからな、次にこの村に来てもお前らの

 お目当てのモノはないだろう。ついでに言っておくと

 もしお前らがこの村に何かしようってんならお目当てのモノは

 絶対に手に入らなくなると覚えておけよ。」


「くはははっは、面白い。

 いいだろう、その力とやらは直接お前から奪えばいいという事か。

 いくつか疑問は残るが、まぁいい。

 とりあえずはお前の言い分を聞いてやろう。我を楽しませた礼だ。

 ただし、そのまま聞いてやる訳にもいかんのでな。

 我の手勢を倒せたのなら聞いてやろう。」


そう言ってバーンは竜の上から、

上空のガーゴイルを1匹呼び寄せると、

「残りは置いてゆく。次また相まみえられる事を楽しみしてやろう。

 当然、それまで生き残れればの話ではあるがな!」


そう言い残して、ガーゴイルの足に飛びつき去って行った。


残るは上空のガーゴイルの群れと1匹の竜。

ガーゴイルの群れが最初見た時よりも大分増えている気がするのは

気のせいか…

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