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タイムネメシス~二度目の人生は二つの入れモノde~  作者: あすか良一
第一章 【異世界での旅立ち】
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第17話 『剛腕バーン』

投稿していける分まで投稿していきます。

間隔が空く事もあるかもしれませんが、ストック出来たらなるべく早く投稿していきます。

お付き合いただけると嬉しいです♪

第17話


『剛腕バーン』



俺は半身をとり片手を構えて前にし、

反対側の手は脇に添え、腰をやや落とし

ゆっくりと相手を見据え呼吸を整えた。


やべぇ、キタキタきたー!

これぞ俺のバトル。俺の中の格闘戦。

気分は益々高まり、俺の中で何か言っている

レンは一切無視した。


「貴様、名を聞いておこう。」


左腕を下した状態であったバーンは

『ビキキ』とその腕に力を込めると、

ダランとした状態から一気に腕を元通りにさせた。


「てめぇに名乗る名は無い!と言いたいところだが…

 聞かせてやろう!!俺の名はグレン、

 今からお前を屠りし者の名だ!」


心の中のドヤ顔と俺の中の暗黒神が顔を出した…

そうひょっこりと…


レンは…『これ絶対悪いヤツのセリフだよね』、

『なんかとってもいたたまれないんだけど』とか…

気にするな俺!!

そう名乗った直後、再び俺は地面をけり、

バーンへと肉薄した。


バーンの顔面目がけて振りかぶった俺の右拳は、

空を切った。

すぐさま俺の後ろに回り込んだバーンが

俺の後頭部目がけて拳を振り下ろす。


俺はとっさに上体を捻らせ、その勢いのまま

再び回し蹴りを放とうとするが、

「甘いな小僧!」


バーンは上半身を反らし蹴りを避けてから、

逆側の拳で俺の顔面目がけて殴りこんできた。


『マズイ』と思った瞬間、

上体が流れたままの俺は避けられないと悟り、

とっさに両手をクロスさせてその拳を受けた。


凄まじい衝撃が俺の両腕を襲い、

俺は大きく後ろに吹っ飛んだ。


俺はヤツの拳を受ける寸前、

俺魔法を発動させたが当然イメージは間に合わず、

効果は受けた後に起動した。


おそらくそのまま受けていれば両腕は折られ、

体は凄まじい勢いでどこかに叩き付けられていただろう。


ヤツの拳のインパクトの瞬間、

俺は自分の体に重力制御魔法をかけた。

呪文などは特にない、イメージとしては

『軽くなれ』だ。


衝撃を受けた時に無理に受け止めず

後ろに反らすように意識したのだが、

体が浮いた状態で完全には受け流せず、

当然軽くなった俺は吹っ飛ばされるはずだったが、

そこで再び重力制御で

『重くなれ』とイメージした。


俺は数メートル先に一回転して着地した。


ぶっつけの割には思いの外うまくはいったが、

俺の両腕はかなりジンジンと痺れていた。

動かせないほどではないが、危なかった。


「ほぅ、俺の拳をくらってその程度のダメージに抑えるとは、

 ますます面白い。

 当てた瞬間、手応えが消えたが何かしたのか…」

自分の拳を見ながらバーンは呟いた。


やべぇな…調子に乗って肉弾戦仕掛けたのはいいが、

戦闘経験も場数の違いもハッキリしてる上に、

身体能力は上がっても格闘能力が上がった訳じゃないからな。

しかも今更だが、俺もダメージ受けるんだって事忘れてたぜ。


俺は急激に湧き出る力にこれまで頼りっきりだったが、

よくよく考えれば力の使い方や考え方は学んでおらず。

ほとんど全てが即興である。

しかも俺はいかに敵を捻じ伏せるかを考えていたが、

倒されるような事はあまり考えていなかった。


今更ながらに

『やれるのか』という考えがよぎった…

『やれるかじゃねぇ、やるしかないんだ』


『重力制御式魔法起動』


「グラビティ・ブラスト‼」


痺れた右腕を顔の前方に掲げ、

左腕を右腕の肘を支える形で

俺は高らかに叫んだ。

それはもう高らかに!


俺の掌の上に磁場が形成され、

それと同時に

バーンの周りにも重力場が出来てきた。


バーンは『ぬっ』といった感じで

自分の周りを見回している。


俺は掌を握り込むように縮めようとするが

中々に抵抗が激しい。

ゴブリンもどきの時と違って

すんなりとはいきそうにない。


自らの体に黒い霧の様なモノが巻き付いて来ているバーンは、

何やら右の拳に力を込めていた。

そしておもむろにその拳を地面に叩き付けた。


バーーーーーーーン‼


という音がして土煙が上がった。

その直後俺の手の上に形成されていたはずの磁場が散った。


俺は思わず『なっ⁉』

と思ってから土煙の方を見た。


「ぬはははははは!

 この剛腕のバーン様にその様な魔法通用せぬわ‼」


土煙の中からは地面に拳を突き立てて、

立ち上がるバーンの姿があった。


「今度はこちらの番だな!」


そう言うとバーンは全身に力を溜めるように

両手を腰に添え、中腰で、

「ぬぁあああああああああ!!!!!」

雄叫びをあげていた。

恐らく魔力を高めて全身に纏わせてるんだろう。

まるで界○拳とか使いそうだな…



しかしコイツはマズいな…

『剛腕のバーン』か…

二つ名とは恐れ入る。

この場合、流石に羨ましいとは思えないが…


奴には俺の魔法が効かないのか?

多分魔力を腕から拳にかけて集めて、

それをぶち当てて強引にかき消してるんだろうが…

魔法が効かなくて格闘戦も向こうに分があるとなると、

剣も無いし、銃でもあれば…いや、いけるか!


俺は思いついた瞬間それを実行すべく即座に動き出した。


だがそれより先に全身に禍々しい魔力を纏い、

凄まじい勢いでバーンが向かってきていた。

スピードが先ほどと段違いだ。

本当に○王拳使いやがったのか!


俺は後ろの目的の物を横目に入れて

バーンに向かい合ったが、どうやら簡単に

目的を果たさせてはくれそうにない勢いだ。


俺は先ほど同様ヤツの攻撃を受け止める準備をした。

この場合、準備というより覚悟か。


バーンは右拳を俺に放ってきた。

今度はストレートではなくフックで、

かわそうとした俺の視界に既にヤツの左の拳も見えていた。


タイミング的に右の拳をかわせば左の拳はかわせない、

右の拳を受けて左にカウンターは合わせられるが、

おそらくどちらの拳も受けきるのは難しいだろう。

ならば、

俺は先ほど同様、重力制御を行いながらバーンの

右の拳を左腕でガードした。

当然先ほどの比じゃない衝撃が俺の体を襲った。

俺は受ける寸前、体の向きを変え、

飛ばされる方向をある程度定めた。

ただダメージを受け流すことは出来ず、俺は見事に

吹っ飛ばされた。


神殿入口の石柱にぶつかり、見事に柱は粉砕され、

土煙をあげていた。

向こうの方でミスティの叫んでいる声が聞こえる。


「ふん、今度は手応えもそこそこあった。

 人間風情にしては中々に楽しめたぞ。

 だが、もう終わりだ。」

勝利を確信したのかポキポキと指を鳴らしてから

ゆっくりとグレンが突っ込んでいった柱の場所へ向かう。




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