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タイムネメシス~二度目の人生は二つの入れモノde~  作者: あすか良一
第一章 【異世界での旅立ち】
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第13話 『神殿にあるモノ』

各話タイトル考えるのって意外と大変ですね。

ちょこちょこタイトル変わるかもしれませんがご了承下さいませ。


第13話


『神殿にあるモノ』



「レーン!」


神殿の方からミスティが走ってきた。


息を少し切らせながら俺の方に走ってくる…



『うん、可愛いな』

俺は心の中で腕組をしながら

うんうんと頷いていた。

仕方がないだろう…あの姿を見たら…


ミスティの巫女服姿だ。

私服も悪くは無いが、この服装は反則だなオイ。

コスプレではなくリアル巫女さんなのもまたイイ。

『よし、俺の脳内にも鮮明に焼き付けておこう。』

俺はもはやロリコーンではないのだ。。

だって俺見た目は青年だし!(中身はおっさんだけど…)

きっと某小学生探偵でもこうなるはずだ…


神殿というより神社のイメージだが、

ミスティの袴姿?はとても良く似合っていた。

そう言えば村長もふんどしだったし、

この世界には和の習慣があるのだろうか…


俺がくだらない事に思いを馳せているうちに

ミスティはレンに話しかけていた。


「ロックベルさんたちには話しておいたけど、

 まずはどうするの?」

人差し指を顎に当てながら聞いてきていた。


「う~んそうだなぁ、まずはこの神殿の事を

 色々とロックベルさんに教えてもらいたいんだけど」

レンはあまりこの神殿について知らない。

なので当然俺も知らない。


ちなみにロックベルとはこの神殿の『神殿長』だそうだ。

神殿横に小さな茶屋の様な小屋がありそこに夫婦で住んでいる。

神官長ではなく、神殿長なのは実質管理が目的であり、

特に神秘的な力などは無くてもいいらしい。

神殿の事や伝承を引き継ぐための知識を持っている

という事である。


「そっか、確かに私よりもロックベルさんに聞いた方が

 色々分かるもんね。じゃあ一緒に行きましょう。」

ミスティはそう言ってレンの手を取って歩き始めた。


手を取られた瞬間、顔が赤くなるのを感じた。

現在身体の主導権はレンなのだが、感覚は伝わってくる。

俺とレンは感覚は共有できるが考えは共有できないので

お互いが何を思っているかは

聞かないと分からないのだが、まぁ今は分かる。


普段のミスティと違って巫女服姿なのが原因だろう。


レンとミスティは別に幼馴染だし、

手を繋ぐくらい大した事ではないだろうし、

昨日抱きついた事も特に引きずっていない様に見える。

ただ、ミスティの巫女服姿は結構レアなのである。


この神殿の巫女とは、

この神殿で行われる儀式がメインであり、

普段は神殿の掃除や、極まれにだが来る観光客や旅人に

神殿グッズを売りつける、いや…販売する手伝いなどが

主であって、毎日巫女の姿で来る訳ではない。

そもそもボランティアみたいなものだし、

毎日来なくてもいいのだ。


そして二人で神殿横にある茶屋の様な建物に来た。

『雰囲気ぶち壊しだな』などと俺は思ったが、

この世界の常識は俺にはまだよく分からんからいいか。

レンもこの村以外知らなさそうだし。


チリン、チリーン


ミスティが入口付近に置いてあるベルの様な物を鳴らすと、

茶屋の奥から襖の様な扉をスッと開けて、

品の良さそうな老婆が現れた。


「マリアさん、すみません、

 ロックベルさんにお聞きしたい事があるって

 レンが来たんですがよろしいでしょうか。」


「ええ、ロックでしたら、今神殿の書庫の方に

 いると思うのでそちらで聞いてもらってもいいかしら。」


「分かりました。有難うございます。」

ミスティと共にレンも軽く頭を下げた。

挨拶もそこそこに俺たちは神殿に向かった。


レンはこの『マリア』についてはほとんど知らない。

というか会ったのは数回程度で話もあまりした事が

ないらしい。

数少ない知識では、本当は名前は『マリア』ではなく

『マリアベル』と言うらしいという事くらいだ。


俺たちはミスティの案内で神殿の中へと入って行った。


神殿の中はそれほど広くは無かったが、それなりに

装飾が施されていた。

色彩的な派手さはあまり無いが、

格式というか厳かさというか

雰囲気的に神秘的なモノを感じさせた。


俺はあまり気にしないが、レンはちょっと

緊張しているようだ。


「ここよ。」


入口からそれほど遠くない場所に書庫はあった。


ここに来るまでいくつかの部屋があったが、

扉の無い部屋がいくつかあった。

全ての部屋の中は見ていないが、パッと見で

それほど重要なものがないからかもしれない。

今来たこの部屋は、流石に扉があり、中の様子は伺えない。


扉自体はそれほど重厚ではないが、

他の部屋とは若干違う趣で作られている。

扉は結構古いが、その上に『資料室』と書かれた比較的新しい

プレートがあった。


『この世界の文字読めるんだな』と俺は改めて認識した。

一々知識を引っ張り出さずとも読める事に少しホッとした。


コンコン


ミスティが部屋の扉をノックすると中から『どうぞ』と返事があった。

そしてそのままミスティは扉を開き、俺と共に中へと入った。


中はズラリと本棚が並んでいる。

乱雑ではないが、並んでいる様が確かに資料室といった所だ。


その奥に眼鏡をかけた初老の男が机に座って本を読んでいた。

俺とミスティが中に入って来たのを認めると、


「それで何を聞きたいのかな」

と俺たちが何をしにここへ来たのかを分かっている口ぶりで

話し掛けてきた。


「えっ、僕たちがどうしてここに来たか知っているんですか?」

思わずレンがミスティよりも先にその男に話し掛けた。


すると、その男ではなくミスティが、

「ロックベルさんはマリアさんと念話できるのよ。」

少しエッヘンと言った感じで答えてきた。


『あるじゃねえか特別な力』

俺はレンの中の知識ってあんましアテになんねーなと

思ってしまった。


「まぁ念話と言ってもこの神殿の中限定であるし、

わたし個人の力ではないのだがね。それで何を聞きたいのかな。」

初老の男は再度レンに向かって問い掛けた。


事前にこの神殿で調べる事は俺とレンで話し合っておいたので

それについてロックベルに聞いてみた。

内容はこうだ。


『この神殿の存在意義』

『魔物にとってこの神殿が何か関わりがあるのか』

『祭られている竜について』


俺の予想というかファンタジー的な観点からすると

何かこういう神殿には力があってそれを目当てに魔物が

襲撃してくるとか、魔物にとって邪魔になる存在が

あるとかが定番だからだ。


まず、『この神殿について』

この神殿は古くから存在し、

かつてこの大陸が三つの大陸に分かれる前から作られていた事。

誰が建てたのかについては詳しく分かっていない。

一説には封印した者が建てたともされているが、

封印した者は命を落としているからその仲間や

その親族かもしれない。

そして建てられている理由は竜の力を封印し、

その封印を維持する事である。


いくつか気になるのは、

この大陸がかつて一つであった事。

しかしこれは伝承で残っているだけなのでこの世界でも

事実かどうかは良くわかっていないらしい。

大陸の繋目がハッキリしなかったり、他の伝承では

違う事が書かれていたりするからだとされているらしい。


次に誰が封印したのかだが、これについてはほとんど

文献が残されておらず定かでは無いとの事…

この大量の本とかって意味なくねぇか

などと俺は思ってしまったが…

一応、この村の先祖が有力ではあるが文献には

『その勇敢なる者にて封印されし…』

とまでしか書かれていないので分からないらしい。


まぁこの時点で何となく分かってはきたのだが…


次に『魔物にとってこの神殿が何か関わりがあるのか』

これについてはロックベルは、

『おそらくこの神殿にあるご神体が目当てではないか』

と言っている。

伝承曰く、

竜の力封じせし時、その力の一端をこの宝玉に

封じせしめる事に成功した。とある。


そして竜に関しては、

身の丈は巨大にて強靭、見た目は赤く雄々しき姿也。

山にも見える巨体ながら動きはひどく機敏で、

瞳は黄金、翼はひと羽ばたきで周りのものを吹き飛ばし、

いかなるものも寄せ付けず…


『なんだそれ、最強かよ』と俺は聞きながら思ったが、

要はそのスゲー強い竜を封印するために命を懸けて、

力の一端をその宝玉に封印してその竜を追い払ったって事か。


それでその力の一端を守るこの神殿を

魔物が狙ってきたって感じかな。


因みに補足として竜は倒された訳ではなく、

別の地に去っていったとされているらしい。


さてと、やはり鉄板だが、とりあえずその宝玉とやらを

見せてもらおうかな。と思い、

レンにその宝玉を見せてもらうように伝えたのだが…


「なるほど、分かりました。

 あの…ロックベルさん。その宝玉を見せてもらえないでしょうか」

レンが一通り語り終えた後のロックベルにそう言うと、


「それは流石にいきなりすぎて無理だな。」


考える間も無く即答された。

まぁそりゃそうか…


『そこを何とか』などとレンは頼んでいたが、

埒が明かなさそうだったので俺が出る事にした。


「じゃあどうすれば見せてもらえるんだ?」


俺がそう言うと、

雰囲気が変わった事に気付いたミスティが『あっ』って

顔をしながら横であわあわしていたが今は無視して、

俺はロックベルに


「昨日魔物が村を襲撃してきたのは知っているよな、

 おそらくその魔物の目的はその宝玉だろう。

 いずれまたその宝玉を狙って再び魔物が

 攻め込んでくるかもしれない。

 いや、多分来ると俺はみている。」


『で?』といった感じで両手を組んで顎をのせながら

視線で先を促すロックベルに


「だからその宝玉を俺が調べて、

 可能ならなんとかしてみようと思ってる。」


そう聞いたロックベルは俺の物言いにピクリと眉を

動かし、怪訝な表情で俺を見てきた。

確かに物言いといい、言い分といい年長者のそれも

神殿長に対してのものの言い方ではないだろう。

しかも急に変わった口調にも不信感を持っただろう。


「何とかしようというのはどういうことだ?」


俺の口調に合わせてきたのかロックベルは上目遣いに

俺を見てきた。睨み付けられるよりはマシか…


「とりあえず見てみなければ

 それもハッキリとは言えないが、

 今ある危機を見逃すわけにはいかないんでな。」


俺は臆することなくそう告げた。


横でミスティがオロオロしてる。

『うん、可愛いな』


暫く妙な空気が場を包んでから、

何事か考えたロックベルが、ため息を吐いてから

「分かった。とりあえずおまえに

 その資格があるかどうか試してやろう。」


そう返してきた。


どうでもいい事だがロックベルってマリアに比べると

かなり若く見えるな。マリアは姉さん女房か…

とこれまたどうでもいい事を考えていた俺に、

『大丈夫なの?』とレンが聞いてきていた。

俺はなんの根拠もなく『任せておけ』と答えた。


うん、正直テンプレだからなんとかなるよきっと…

多分…ならなかったらならなかったでその時考えようと

これまた問題を先送りにしていた俺であった。




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