第11話 『レンとグレン』
すみません、携帯が壊れてしまいデータが飛んでしまいました…
おかげで書き溜めた分が…
とりあえず頑張って続きを書いていきます…
第11話
『レンとグレン』
俺はフリージアの部屋を出てから
自分の家へと向かい、部屋に入って
ベットに横になった。
『グレン…か…』
我ながら中二病チックだなと思う。
レンだからグレンとか…
二重人格ではっちゃけるとか…
レンが光でグレンはいわば闇だな、とか…
ヤバイ!
今更ながらにスゲー恥ずかしくなってきた。
とっさの割りに俺うまい事言った『やるな俺』
とか思ってた自分が恥ずかしい。
でもまぁ俺の言えない部分はともかく、
名前以外は嘘は言ってないよな…
ミスティには悪いと思うけど
俺にだって詳しい事は分からないし…
頭の後ろに腕を組み、天井を見ながら
『これからどうすっかな…』
と考えていると、大きな欠伸と共に
強烈な睡魔が襲ってきた。
『魔族の次は睡魔か…』
などとこれまた上手い事考えたな、
と心底どうでもいい事を思った瞬間、
俺は眠りに落ちた。
「ねぇ…あの…すみません…」
目を覚ますと、
ソコはまた知らない天井だった。
そこへ、ニュッと言った感じで
突然顔が出てきた。
俺はびっくりして、
慌てて体を起こそうとしたが起き上がれない。
体が動かないのだ…
アレっ!?
辛うじて首だけは動いたが首より下は
一切動かなかった。
ヤバイと思いつつも目の前で
見つめている少年と目があった…
んっ!?こいつ確か…
『レン!?』
俺は今更ながらに目の前にいる少年が
レンであると気付いた。
今まで俺がいた身体、
着ている服はもちろん、何より
俺の直感がこいつはレンだと言っている。
「あなたは誰?ここはどこ?」
不思議そうに俺を見つめていた少年は
俺にそう話しかけてきた。
「お前、レンなのか?」
俺の口は動かせるらしく自然と口に出た。
「そうです。
あなたは僕を知っているんですか?」
たいして驚いた感じもなく、普通にそう聞いてきた。
小首をかしげる少年は
見た目より少し幼く気弱な感じがする。
赤い髪に黒い瞳、この少年の顔には
何故か他でも見覚えがあった…
確かどこかで…
「それであなたは一体誰なんですか?
ここはどこなんですか?」
再び俺に問いかけて来たが
俺にもここがどこかなんて分からない。
むしろこの状況を教えて欲しいのは俺も一緒だ。
「俺は…」
そう言って名前を言いかけた時、
ガクン
といった感じで背中から下に
落ちてゆくような感覚がした。
少年を見ると少年も驚いたような顔をしていた。
そして…そのまま再び意識が落ちた。
ゆっくりと目を開けると、
ソコは見知った天井だった。
だがやはり体は動かない…
と思っていたら、動いた!
俺の意識とは関係なく!!
『おぃおぃおぃ!!ちょっと待て!!』
俺は慌てて口に出したつもりだったが
実際は頭の中に響いただけだった。
『もぅ、うるさいなぁ。
もっと寝かせてよ!』
別の声が聞こえた…俺の頭の中で…
『えっ!?』
『えっ!?』
『『ええええっ!?』』
二人?はお互いが頭の中で
見事にハモっていた。
『ちょっと待て!落ち着け俺!!』
『俺は俺で俺は俺だ!!』
うん、全然落ち着けない。
『この声なんなの?どうなってるの!?』
相手も相手で落ち着けてない。
すると…
コンコン…
とドアをノックする音が聞こえた。
身体は勝手に、
「は、はい!」
と応えて上半身を起こした。
俺はまずは落ち着こうとしたが
状況が分からず、ただ見ているだけだった。
一応体の感覚は残っているのか
頭を掻いた時の感覚や
手で触れている感触は分かる。
ガチャリとドアを開けて入ってきたのは…
ミスティだった。
「あの…」
恥ずかしそうにモジモジしながら
入ってきたミスティは俯いている。
「どうしたのミスティ?」
俺の口は勝手に喋っている。
口調はとても柔らかく、
声も俺の声とはなんだか違う気がする。
実際自分の声を客観的に聞く
機会はあまりないのでよく分からないが…
「えっ!?グレン?いえ、レン?」
ミスティは急に顔を上げて
目をパチクリさせながら俺を見ている。
「グレン?どうしたのさミスティ、
なんか変なものでも食べたの?」
さっきまでの事は夢だと思ったのか、
それとも幼馴染みに会って
ホッとしたからなのか落ち着いている。
『こいつ切り替えが早いな…』
「その反応…人を小バカにしたような、
それでいてその事に全く気付いてないその表情は…」
「レン!!レンなのね!!」
結構な言われようだな、おぃ。
ミスティは嬉しそうに俺に抱きついてきた。
その両目には涙が浮かんでいる。
抱きつかれた方の俺はというと…
「えっ!?あれっ!?」
オロオロしてらっしゃる。
『うん、こいつきっとヘタレだな』。
自慢じゃないが俺は恋愛経験に乏しく、
多分同じシチュエーションになった
場合でも何も出来ないだろう…
だが客観的に見れば話は別だ。
今ならもっとこう上手く出来る。
例えば今なら相手の体をこうギュッとして、
「ただいま」とか…
見ると俺はミスティを抱き締めていた。
柔らかな感触が俺の身体に伝わる。
『えっ!?あれっ!?』
頭の中で声が響く。
俺に抱き締められたミスティは
顔を真っ赤にしてまさに頭から
湯気が上がりそうな勢いだ。
それから数秒…
ドンッ
ミスティは慌てて俺を突き飛ばして
ドアの外へとダッシュしていった。
ポカーンとした感じで俺はベットの上にいる…
そして再び…
『『どうなってるんだ!?』』
見事にハモった。
それから暫く天井を見ていた俺は
『これは一体なんなんだ?』
『僕だって分からないよ、
とゆうか君、一体誰なんだよ』
普通に頭の中で会話していた。
それから色々と二人?で話し合った結果…
以下の事が判明した。
僕といってる方の少年がレン、
俺といってる方の中年が俺…
とりあえずレンにはグレンと答えた。
頭の中で会話しているのに嘘はつけるらしい。
お互いの思考が読めるわけではなく、
お互いに意思がある。
レンには俺の記憶がないらしく、
俺にはレンの記憶がある。
多分体がレンのものだし、
その辺は仕方がないだろう。
俺にとっては俺の黒歴史が
明るみにならなくてホッとしているが…
それと今日起きた魔物との騒動も
レンには記憶がないらしく、
説明するのにえらい手間取った。
レンはしきりに
僕から出ていってよと言っていたが、
俺がいなかったらミスティや
ドランクやフリージア、
下手したらお前も死んでいたんだぞ。
という事を主張して、
そもそも俺だってどうすればいいのか分からん。
と半ば被害者づらをしつつ、この俺の存在権を主張した。
結局、なんやかんやで事態は平行線だったので
お互い今後の事を考えつつ、
これからの打開策を検討した…
結果…
一つは、俺とレンのこの状況を二人で考えつつ
解決するまではとりあえずは協力する事。
一つ、今日襲ってきた魔物の目的を探る事。
一応だがレンは俺の存在を認めてくれているようだった。
仕方がないと言えばそれまでなのだが、
正直俺だったらこんな訳の分からないヤツとの共存など
絶対にゴメンだが、レンはイイヤツだなと思う。
とりあえずレンと今後の事について話してみて
少し落ち着いた。
それとレンと意識を交えてから気付いた事がある…
レンには俺の知識や記憶はないが
俺にはレンの記憶と知識があった。
しかし一緒?になってからはレンの記憶や知識は
引き出さないと分からない様になっていた。
例えるなら知識は頭の中の書庫から
辞書を引っ張り出す感じだ。
記憶は更にそこからイメージする感じ。
まぁ、それでも俺だけがレンの記憶も知識も
見られる訳だから俺としては有り難い。
レンとの『俺会議』が丁度一区切りついた辺りで…
トントン
再び扉がノックされた。
「はい」
レンが返事をする。
「ちょっといいかしら」
フリージアだ。
「ええ、どうぞ」
それを聞いたフリージアはドアを開いて中に入ってきた。
「聞いておきたいことがあるのだけど…」
フリージアは恐る恐るといった感じで尋ねてきた。
「うん、なあに?」
レンは答える。
それを聞いたフリージアは
一瞬『えっ!?』といった感じで言葉に詰まるも、
「あなたやっぱりレンなの!?」
そう続けた。
先程レンと話した結果もあって、
俺とレンとの事を話すことにした。
「うん、僕はレンだよ。
って自分で言うのもなんか変だけど、
さっきグレンから話も聞いてるし」
「そう、良かった…」
フリージアは俺の側にきてそっとレンを抱き締めた。
レンも今度は抱き締め返した。
「本当に良かったわ、
さっきミスティが来てそんな様な事を言ってたから…」
どうやらミスティから話を聞いてこちらに来たようだ。
尚、ミスティは顔を真っ赤にしながら
しどろもどろで話をしたらしい。
その後、落ち着いて話を聞こうとしたら
慌てて部屋を出て行ってしまったとの事だった。
なのでフリージアがこうして直接確かめに来たと。
それから俺とレンとの事を少し話したあと、
「一応これから僕とグレンは一緒に
元に戻れる方法を探してみようと思うんだ。」
レンがフリージアにそう締め括り、
「とりあえず私も何か手掛かりがないか調べてみるわ」
「それと明日だけど村長には私の秘薬を
レンに飲ませた事にするから話を合わせて頂戴。」
どうやら俺の言った秘薬効果で誤魔化すらしい。
「ただ流石にこのままだと話を合わせるにしても
ボロが出るかもしれないから出来ればあなたの事を
もっと聞いておきいのだけど…」
なるほど…そう言う形か…
「分かった、何か聞いておきたいことがあれば聞いてくれ」
俺はレンに俺が話すと伝えて入れ替わった。
因みに俺とレンがお互いが勝手に自分で話そうとすると
言葉にならない事や、
同時に身体を動かそうとしても
あまり上手くいかない事も分かった。
「で、何を聞きたいんだ」
改めて俺がそう言うと、
フリージアは少し顔を引き締めて、
「あなた達はいつでも入れ替われるの?」
「あぁ、さっきは無理だったが
今はレンと一緒だから入れ替われる」
何故さっきレンと入れ替われなかったのかは分からないが…
「それと、あなたとレンは情報を共有しているのかしら?
さっきのレンの話だと
あなたから話を聞いた、と言っていたけど」
『鋭いな…』
俺は内心でフリージアの洞察に恐れ入りながら、
「確かにさっきまでは俺の意識しかなかったから
共有出来なかったが、今はお互いの意識があるので出来る。」
細かいことはともかく、
現状、俺はフリージアとドランクにだけはなるべく
俺たちの事を話しておこうと思ってる。
レンの事もあるが、俺もこの二人は信用出来ると判断した。
「そう…嘘をついてる可能性はこの際置いておくけど、
これからあなたがする話はレンも納得している事なのかしら?」
未だ信用されていないのは仕方がないか…
「ああ、なんならレンにも聞いてみるかい?」
俺が軽く言うと、
「いえ、分かったわ。それじゃまずは
みんなに話す内容だけど…」
その後、フリージアから村長に話す内容について
詳しく聞かされた。
おおまかに言えば、
今回の件は、
レンがフリージアの秘薬を飲んで、
力が解放されて魔物を倒した。
ただその秘薬の副作用で性格が少し変わってしまっていた。
と…
それを聞いた俺は
『うん、ファンタジーって便利だよな』としみじみ思っていた。
普通ならこんな話はこの世界でもなかなか信じられないらしい。
しかし、フリージアはかつてかなりの功績をあげていた事と
この村の者たちであればこの程度なら
信用されると言うことだとレンは評していた。
「とりあえずはそんな感じで話をしてみるけど、
いつまでもそのままと言うわけにはいかないでしょうね…」
フリージアは一通り話を終えた後にそう付け加えた。
俺は軽く会釈を入れて、
「ああ、とりあえずはその形で頼む。」
「それで、
あなた達はどうやって自分たちの事を調べるつもりかしら」
もっともな質問だ。
だがその前にやっておくべき事があった。
「まずは村長に話をしてから俺達は神殿に行こうと思ってる。」
「えっ⁉神殿に?」
「そうだ、確かに俺たちが元に戻る事も重要かもしれないが
さしあたっては今日の魔物の件を調べておく必要がある。」
俺はシリアスモードでフリージアに告げた。
顎に手をあて眉を若干寄せてキリッとした感じで。
あっ、今の俺カッコいい!とか思いつつ…
「それで、神殿に行ってどうするの?」
話を戻したフリージアに、
「あの蛇女が言っていた。
村を襲った理由は神殿と花だと…
このままにしておくとまた魔物が襲ってくる可能性がある。」
「なるほどね、確かにその可能性はあるわね。
原因が分からなければその対策も難しいものね。」
やはりフリージアは察しが良くて助かる。
「それでその花の方は?」
「分からない、一応レンにも聞いてみたが
ソレらしい事は知らないと…」
フリージアはレンという単語を聞いて何か閃いたのか、
少し考えた後…
「分かったわ、花の方についてはわたしが調べてみるわ。
それと神殿についてはミスティも連れて行くといいわね。」
フリージアは納得したのか、最後に明日の朝迎えに
来る事を告げて部屋を去っていった。
他にも聞きたい事は一杯あったのだが、
これ以上はあまり長居しても悪いのでまた明日との事だ。
一応何故ミスティを一緒に?
と思ったのだがミスティは巫女だ。神殿の…
何はともあれフリージアとの話も終わり、
部屋にいた俺は再び二人の会議を始めたが、
気が付けば二人とも寝てしまっていた。
思ってたより疲れてたんだな…
かなりイメージしていたより説明多くなりました(汗)
しかも次話から改めて一から書き直すという…更新遅れたらすみません。




