第115話 『ミネルバ・アリシャ』
第115話
『ミネルバ・アリシャ』
『とは言ったものの今の言葉は…』
ミネルバは内心ではグレンの言葉を疑っていなかった。
恐らく切り札を温存してグレンとやり合えるとは思っていなかったのだ。
端から見れば攻撃してダメージを与えたのはミネルバだけなのだが、それがそのままでないのはミネルバ自身が一番良く分かっていた。
『ミネルバ・アリシャ』
唐突ではあるが、彼女はこの国の出身ではない。
この国の冒険者としてはBランクとされているがかつては某国にて、名を馳せた人物でもあった。
ここまでくるのにはそれなりに理由もあり、それなりの者たちと戦ってきたという自負もあったのだ。
年齢は現在20代前半程度に見えるが、実際の所は違う。
冒険者登録の際には虚偽の記載が成されていたが、それを知る者は少ない。
そしてその素性を知る者も今となっては極限られた一部のみとなっている。
ミネルバがこの模擬戦を引き受けた理由は無論、グレンの実力を見る為だ。
それをどうして知りたいのかという理由については今の所は不明だが、一つにアニーとの模擬戦を知ったからという事がある。
そしてどうしてもそれを自分自身で確かめたかったのだ。
『こりゃ出し惜しみは出来ないね』
ミネルバもグレン同様その決意を固めた。
すぅと大きく息を吸い込み、グッとそれを吐き出すのを堪えるかの如く、その代わりとばかりに魔力を右拳へと巡らせ集中させた。
僅かに光る右拳をより強く握り締め、
「アースブロー!!」
地面へと叫び声と共にその拳を自分の足元に広がる大地へと叩きつける。
ドンと僅かな地響きと共に叩きつけられた拳からまたも放電される光。
勢いよく叩き付けられたその拳から、地面へと広がった波紋の直後、その反動とも取れる程の勢いで下から競り上がる土塊、ミネルバの前方から隆起する土の塊は先方が拳の形を模っており、打ち込んだ拳がより大きなものとなって昇って行く。
そして半径2メートル程はある大きな握り拳付きの腕が瞬時に伸び上がる。
『面白いな』
それは依然空中に位置しているグレンへと向けて隆起しながら迫り行く。
「す、すごい」
イリアはミネルバの魔法に驚いていた。
発動の速度といい、その規模といい自分の魔法よりも圧倒的に速く強いと。
確かに同じ様な魔法を使えなくは無いが、スピードも強度も今の自分では遠く及ばない。
横にいたカッツは口を半開きにしたままそれを見ており、レミアもゴクリと唾を飲み込みそれを凝視している。
どちらも目の前の状況にすぐさま言葉が出てこない。
ミネルバの得意とする魔法は土魔法だ。
それは発動速度だけでなく、ある一定の強度も誇っていた。
しかしミネルバの魔法で最も重視すべきはその多様性。
一つの魔法を使い方次第で様々な用途で使用し、その効果を発揮する事が出来る。
今の魔法も元は『アースウォール』という土の壁を作り出し、攻撃を防ぐ為に使用される事の多い魔法だったが、ミネルバはそれを攻撃に転化させているのだ。
だが一応説明しておくと、これは別にミネルバのオリジナルの魔法では無い。
アースウォールでも似た様な使い方は可能だ。
単に攻撃用として区別する為に名称を変えているにすぎない。
拳の形はミネルバのアレンジではあるので全く同じではないのだが、魔法の公式的に見ればさほどアースウォールと変わりは無い。
構築に若干のイメージが加えられる事により強度と威力が増しているのが特徴とされる。
しかしてその速度と強度はかなりのものであるのはイリアの驚きからも分かる。
そのまま天井近くまで浮き上がったままでその光景を見下ろすグレンは、
『折角の模擬戦だしな、派手に行くぜ‼』
グレンは一度右手を握り、胸の手前でパンと左手の掌に打ち合わせ、自らに迫りくるそれを避けるという選択肢を敢えて排除した。
右手に魔力を注ぎ、グググと手の平をより強く握り込むと同時に、更に練り込まれた魔力と己の物理的力をも込めたその拳を、直下に迫る巨大な拳へと振り下ろす。
「グラビティ・ブロー‼」
土の拳とグレンの拳とがかち合う。
ズドンという大きな音が訓練場に鳴り響く。
『避けないのか⁉』
ミネルバが頭上で行われたその行為に目を見開く。
当然ミネルバはグレンがそれを避けるものだと考えていた。
勿論タイミング的には当てるつもりで放ってはいたのだが、他の者ならばいざ知らず、グレンならばそれすらもかわすのは可能だろうと…
そして仮に受けるとしても間接的に防ぐだろう、魔法による障壁で防がれた場合には直ぐに追撃を行う手はずではあったのだが、
『正面から迎え撃つとはね』
『グラビティ・ブロー』
魔力を込めて身体強化を行い、それに重力魔法の概念を乗せたというグレンの拳による一撃に付けた名称。
名前はたった今グレンが考えたもので特に深い意味合いは無い。
しいて挙げればミネルバの名称をパクった感が否めない。
ちょっと安易すぎるかもと考えたがほとんどノリで言っている。
因みに『グラビティ・ハンマー』と唱えるか一瞬考えたが、グレンはハンマーというのがあまり好きではない。
ハンマーやこん棒と言った鈍器系は武器として使いたくないという個人的考えの結果である。
某ハンティングゲームであっても絶対にハンマー系の武器は選ばないという拘りもあった。
グレンの魔法である『俺魔法』にとって重要なのはイメージであり、ノリが良ければその効果もより大きくなるのであるから間違ってはいないのだが…
閑話休題
そうしてその効果は発揮された。
グレンの拳とミネルバから放たれた土塊の拳。
大きさの違いは明白なれど威力の違いはそれに反比例していた。
ズドンという大きな音の後、ドゴ‼という鈍い音が地面へと伝わり振動と共に土煙が舞った。
そして地面へと落ちてきたのは粉々にされた土の塊の霧散成る姿。
そして元の土へと戻ったそれはただ崩れ落ちるだけの土砂となってミネルバの眼前へと落ちてきた。
『とんでもないね』
ミネルバは頭上に振りかかる土塊を見るまでも無く、笑みを浮かべて、
『アースドーム!』
地面へと今度は掌を叩きつけて唱える。
直後にミネルバの周囲に土の膜が出来上がり、そこへと肉付けするかのようにして土砂が集まり始め、今度は厚さ50センチ程の土の壁がドーム状に形成されていく。
パラパラと舞い落ちる土塊を今も空中で見下ろしながら、ミネルバによって作り出されたそのドームが形成される様を見てから、再び自分の拳を握ったり開いたりしながらグレンは思う。
『意外といけるもんだな』
『ちょっと何で避けないの?』
『いやそれじゃ何かつまらないだろ』
『いやいや今の別に面白くないよ!むしろ心配しちゃったよ‼』
『折角の模擬戦なんだから色々試してみたいじゃないか、それに…』
『それに?』
『地味な展開より派手な方が面白いだろ』
『………』
「おい、今あいつ何したんだ…あれってお前でも出来る事なのか…」
カッツは正面に顔を向けたまま、横にいる者へと呆然とした様子で言葉を投げ掛ける。
「あんな事私には出来ないわ…いえ、万全の状態ならば出来る…かもしれないけど…空中でなんて…踏ん張りもきかないはずなのに一体どうやって…イリア…あれも魔法なの?」
同じくレミアは顔を空中へと向けたまま、隣の自分の妹へと問い掛ける。
「分かりません…ただ僅かに魔力の波動を感じたので魔法に近いモノだとは思うのですが…」
ほんの少し顔を左右に動かしながら今のが魔法なのか只の技術によるものなのかも分からないイリアは姉の質問にハッキリと答える事は出来ない。
少なくとも自分には知らない魔法である事だけは確かだった。
もはや3人はここで行われていたのが自分たちの昇格試験であるという事を忘れてきていた。
いや正直言ってグレンと同じランクであるのが不思議であり、ミネルバと同じランクに自分たちが上がれるという望みが薄れてきていたのである。
「やっぱりおかしいだろ…」
カッツは改めてそう呟くのだった。
『それじゃこっちからも行かせてもらうか』
防御態勢と見て取れるミネルバのドームを見下ろしながらグレンは攻めに意識を向けた。
『このまま重力魔法でケリをつけても…いや、危険だな』
『危険って?結構マズいの?』
レンはグレンが弱気になったのかと聞いてみるが、
『ああ、ミネルバがな』
返ってきたのは相手の心配だった。
俺の魔法だけでは些か不安がある。
物理的な力の方がまだ加減は効くが…
グレンが今懸念しているのは相手をどうすれば倒せるかでは無く、なるべくミネルバに怪我をさせない様にした方がいいだろうという事だけだ。
『なら…』
グレンはそのままミネルバのいるドームへと頭から降下していく。
「アースアロー!」
ドームの中からくぐもった声と共にそこから沸き出るかの様に撃ち出されたのは、棒状に伸び、その先端が尖った物体。
その名の通り土で出来た矢がドーム表面から次々と生み出されてはグレンへと向かって飛んで行く。
幾本もの土の矢が飛来する中、そのドームへと降下したグレンは、
『予想通りすぎるな』
その名称からも即座に判断出来る魔法な上に、相手が反撃するならばそれだろうと考えていたグレンは、全く慌てる事無く、むしろ次の手を考えていた。
そして目の前に来た矢を手刀で叩き落とし進んで行く。
回避する必要も無いという様に一直線へとドームへ斜め前方へと降下した。
「ブラストウォール‼」
間近に迫ったドームの内部から声が発せられたと同時に、目の前のドームが弾け飛んだ。
中にはミネルバが両手を掲げた状態で立っていた。
「アースサンドロック‼」
ミネルバは掲げた両手を詠唱と共に頭上でパチンと叩き合わせて音を出す。
すると先程四方へと飛び散ったはずのドームの土達がその行動に呼応したかの様に、一斉にグレン目掛けて集まって行く。
一瞬ピタリと空中で止まり、その様子をその場で黙って見守ったグレン。
土の塊が波となって上空へとやって来ていたグレンへと覆いかぶさろうとする。
そしてそれに包み込まれる様にしてその姿を隠したグレン。
上空で止まったそれを見て取ったミネルバは、頭上の手を組み合わせ自分の眼前へと持っていく。
更にその手の中に魔力を練り込む様にして強く握り締めようとする。
それに合わせてその頭上へと集まり合わさる土達も密度を高める様にして内側へと圧力を掛けて行った。
「お、おい!これ模擬戦だよな?」
カッツがその光景を見て、額に浮き出た汗と共に言葉を発した。
「………」
レミアは答えずに黙ってその光景を見守っている。
目を逸らす事無く見つめるその先には空中に浮かぶ土の塊。
「確かにこれは模擬戦ですが、多分それでもあの人なら…」
イリアが言葉を発したその瞬間、土の塊に動きが生じた。
モゴモゴと内側へと圧力を掛けていたはずの土の塊がドバっと一斉に外側へと弾かれた。
それは内側からの圧力に耐えきれず、またも空中でも四方へと発散させられていく土。
「ぐっ⁉」
バチッと組み合わされた両手を強制的に弾かれたミネルバが苦痛の表情を浮かべる。
パラパラと吹き飛ばされた土の中、空中に留まっているのは無傷のグレン。
ダメージは勿論、土で穢される事すら無かったのか、服に汚れも無く、平然とした様子で佇むその姿に焦りも一切見られない。
『参ったねこりゃ…』
今の魔法はミネルバにとってはかなりの自信を持っていたはずの魔法であった。
この魔法で幾度となく相対する魔物や敵対するもの達を倒してきたという自信があったのだがそれも今目の前で土と共に瓦解されてしまった。
土の檻に閉じ込めて圧縮していくこの魔法はかなりの技術と魔力を要する魔法だった。
ミネルバは連発した魔法、そして今の反動からか額に汗を流しつつも、
「これならどうだい‼」
地面へとその両手を叩きつけた。
「アースウェーブ!」
ミネルバの周囲から吹き出す様にして土が湧き上がる。
それはそのままグレンとミネルバの眼前に舞い上がり、今度は土の塊からうねる波となってグレンへと向かう。
『次から次へと多種多様だな』
グレンは土魔法、いやミネルバの技量には流石だなという称賛があった。
『やはり伊達じゃなかったみたいだな』
確かに威力は自分にダメージを与えられないかもしれないが、それでもこれだけのバリエーションがあれば戦いを優位に運ぶ事も出来るし、場合によってはいい足止めにも成り得るだろうと。
何よりその発想の豊かさから学ぶべきものがあると。
自分にとっても魔法のイメージの重要性を理解しているグレンにとっては見習うべき点がある事だとある意味でミネルバを認めていたのだ。
グレンは目の前の波へと浮いたままの状態から半身を引いた構えをとってから、その右足で蹴りを放つ。
当然その右足には魔力が込められており、腰を起点に振り切られた足が横一線に放たれると、そのままの軌道に沿って綺麗に横一閃されていく波。
いや、正確にはそこから更に大きな衝撃が発せられていた為に蹴りによる影響の範囲はその範囲を超えていた。
そしてその波はグレンの足から放たれた衝撃に大きく切り離されていく様に発したそれを避ける様にしてパックリと上下へと飛び散った。
重力に引かれて沈み込む様にして、自分を越えて去って行く土の波を背に眼下を見下ろしたグレンの先に、そこにいたはずのミネルバの姿は消えていた。
しかし、それに驚く様子はグレンには無かった。
『目くらましか…』
次の瞬間、浮かび上がったのはグレンの後方、それは片手を異様に巨大化させたミネルバの姿。
突如グレンの背中から落ちて行く土の波の上方に残っていた部分からそれを突き破って、潜んでいたその中から現れたミネルバが、その右手には大きな土の塊を纏った拳で今まさにグレンへとそれを叩きつけようと渾身の力を込めていた。
「あああああああああ‼」
雄叫びと共にグレンの背中へとその一撃を放とうとした。
『もらった』
ミネルバはこれで仕留められるのではとも思っていなかったが、流石にこれならばダメージは与えられるはずだとそう考えていた。
幾らこれまで自分の魔法では大したダメージを与えられなかったとはいえ、不意打ちの一撃に、自分にとっての最大の一撃であるこれならばと…
しかし…
振り切ったミネルバのその拳の先に手応えは無かった。
轟音と共に放たれた自身の拳は空を切っていた。
そこにあったグレンの残像を切り裂き、掻き消すのが精一杯であり…
「ウィンド」
僅かに自分の耳元に聞こえた声に振り返る事なく、首元へと強い衝撃を受けて下方へと身体ごと弾き飛ばされていった。
「がっ!」
ミネルバはそのまま頭から地上へと落下するも、地面へとぶつかる直前で、態勢を回転し反転させ、そのまま向き直った後方へと足をつけたまま滑っていった。
「何だ今の…」
「見えなかったわ…」
「あれも魔法?」
カッツたちはミネルバがいきなり現れてグレンへと巨大に見える拳を振るった所までしか見えていなかった。
そしてその次の瞬間にはミネルバが地面へと吹き飛ばされている姿。
実際にはミネルバの拳を、グレンは魔力による下半身への身体強化と風の複合魔法でかわした直後に、そのまま回り込んだ際に手に風の魔法を生じさせ、ミネルバの首元へと振るっただけだ。
言葉では簡単だが、それを行うのはかなり難しい。
多分グレンにとっても、これが初めてすんなりと行えたと言えるものであった。
魔力による身体強化がこれまでは一部分だったのに対して今行ったのは、下半身全般だった。
それによって速度は更に上がっていた。
筋肉の動きというのは一部分のみで行っているものでは無く、連動して行われている。
それにより威力や速度が増すのは構造的にも理に適っているが、魔力操作によってそれを行うのは本来ならば体にも相当な負荷がかかるはずなのだが、グレンの体にはそれが可能であった。
『うまくいったな』
グレンは元より接近戦でケリをつけるつもりではあったが、加減が難しいので自らの攻撃は直接的にでは無く、間接的に行う予定だったのだ。
そして身体強化を試してみようとも考えていた。
それが見事に決まった。
圧倒的な威力で捻じ伏せるのもありだが、それでは流石に目立ち過ぎると考えたのだが、これでも充分に目立ってしまっている事はグレンとしてはあまり考えてはいなかったのが問題ではあるのだが…
最後に放った拳の一撃も裏拳を首元で寸止めした形だった。
手に纏わせた風の魔法は本当に只の風の膜を張ったものだ。
それを拳の拳圧で圧縮して放たれたものがミネルバの首へとぶつかった事により吹き飛ばされた。
実際に寸止めするよりもそれは一種のクッションにもなっていたのは、グレンの計算が逆の意味で功を奏していた。
実際あのまま寸止めで放つよりも風の魔法のお蔭でダメージが減じられたのは、グレンの思う所では無かったのだ。
グレンの自分の力の過小評価により相手に怪我をさせなかった結果として見れば、お互いにとって良かった事であると言えよう。
『よし、それじゃもう一つ試してみるか』
グレンはそのままスーと地面へと、ミネルバが滑って行った方向の前方へと降り立ち、着地すると共に、片足を後ろへと滑らせ、右手を腰の横へとひき、力を込めた。
ふぅ~と大きく息を吐き出しながら、四つん這いの状態から体を起こしたミネルバはそのまま立ち上がると、正面のグレンを見た。
ゴクリと喉を鳴らしたのは一歩前へと無意識に踏み出していたカッツ。
そして未だ目を凝らして見つめるイリアとレミアと少し後ろにいたクルトだったが…
「参った」
両手を上げてそう声を発した。
「全く、あんた半端ないね、見た通りお手上げだよ」
首を左右に振りながら、ゆっくりとグレンへと歩み近付いて行くミネルバ。
「おい、おい、もう諦めるのかよ」
それを聞いて構えを解いて、少し拍子抜けしてしまったグレン。
内心では、もう一撃放ってみたかったのだが仕方が無いかと軽く息を吐いていた。
グレンにとってはその名の通り模擬戦として訓練したかったのだが、相手のやる気がなくなってしまったのであれば仕方が無いという結果だった。
「馬鹿言わないで欲しいね。これ以上は死んじまうよ」
今度は片手を頭に置いた状態で、やれやれと言った様子で半ば溜め息まじりだった。
「俺の力を見たいんじゃなかったのか?」
「…呆れたもんだね全く、正直ここまで差があるとは思わなかったよ」
グレンの正面で立ち止まり、頬を掻きながらグレンの言葉を受け止めるミネルバ。
『こりゃアニーでも厳しい訳だ』
「それにしても、なんであんたがBランク試験なんか受けてるのかあたしは疑問だよ」
方眉を上げたまま全くのノーダメージの様子で息すら切らせていない様のグレンを下から上へと視線を向けていく。
「それで、俺は合格か?」
「…あんたが不合格なら、あたしはどうなるんだよ全く」
ミネルバは盛大な溜め息を吐き出しながらも、そこには僅かに見て取れるほどの笑みを浮かべていた。
更新が不定期になりつつあり、申し訳ございません。
せめて1週間に一度は更新していきたいと思ってます。
新しい職場で現在四苦八苦してます( ノД`)




