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タイムネメシス~二度目の人生は二つの入れモノde~  作者: あすか良一
~プロローグ~
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プロローグ 『終わりと始まり』

第0話~プロローグ~


『終わりと始まり』


俺は比屋定ひやじょう 時也ときや37才。

極々平凡?なサラリーマン…だった…はず…

正確に言うと昨日までは…

俺のいた事業部が、親会社の経営悪化だか何だかで

急遽撤退するとの事で先月末に言い渡された。

退職までの猶予期間は有休消化での1ケ月。


元々危うい事業部であった為、社長の思い出したかの様な

「こんな事業部あったか…うん、要らんな」

というテキトーな一言であっさり決まったらしい。

まあ平たく言えば、世間一般で言うところのリストラだ。


俺は自分で言うのもなんだが、元来は面倒くさがり屋だ。

ただ、集中した時は凄まじいまでの集中力を発揮するのだが

興味がある時と無い時の差が激しい…

そこまで欲しくないものは歩いて1分のコンビニでも

行かなかったりするが、興味のあるものなら全国どこでも

向かってしまう様な行動力を発揮する。


俺は、元は他の会社に勤めていたのを

数年前にこの会社にスカウトされて来た。

しかし運悪く他の事業部でそこそこの結果を出していた

はずの俺が、仲の悪い上司に目を付けられ、

半ば強引なご指名によりその事業部に移されたのだ。

その課長いわく大抜擢らしいのだが…

まあ、前の事業もさほどやる気があったわけでもなかった

ので実際それほど抵抗があった訳ではないのだが…


因みに俺が前にいた事業部は今も残っている。

その時俺を移動させた上司は、

当時俺が行っていた企画を引き継いで

成功させたとの事で課長から部長に昇格している。


あの企画は俺が一から立ち上げて、

ほぼまとまりかけていた所で引き継ぎという名の

乗っ取りする形でGETしてはずだが…

まあ、それは別にいいんだけど、

後になって元同僚と一緒に食事した時に聞いた所、


「私が一から手掛けた事業が成功してホッとしています」


「難しい案件でしたが、なんとか形に出来ました」

等と社長にのたうちまわっていた事が発覚し

俺をイラつかせた。


当時はこの企画を立ち上げた時の俺に


「君はこんな企画が成功すると本気で思ってるのかね」


「まあ、なめてるとしか思えんがやってみたまえ。

勿論、失敗した時はわかってるとは思うが…」

と、企画書をペチペチしながら

後半はニヤニヤして言っていたのを覚えている。


それから途中色々と他の仕事を探してはみたが、

やはりこの歳での就職活動というのは厳しい。

特に俺の場合は興味の無い事にはトコトン興味がなく、

やれるがやりたくない等と他から見れば

なめているようにしか思われないだろう。

しかも中途半端にプライドが高く

「俺が本気を出せば…」

「明日から本気出す…」

みたいな引きこもりが口にしそうな事を半ば本気で

思ってたりするから尚更である。


そしてこの猶予期間でもあった1ケ月間も

あっという間に過ぎ…

リストラされた同じ事業部の者たちと

お互いの愚痴を語り合いながら飲んで帰ってきて

今に至る。

俺は普段、酒はあまり飲めないが、

最後ということもあって若干ハメを

外したこともあり、少々盛り上がりすぎた反面、

帰ってきた後の部屋では

かなりナーバスになってしまった。

実際明日からの事を考えれば

ナーバスにならざるを得ないのだが…


俺には両親はおらず、今は一人暮らしだ。

今はというのは現在は独身だが、

バツイチだからである。

子供はいない。彼女もいない…

あっ、やばい、ちょっと左目から汗が出てきた。

俺が今モテないわけでは無くて、

今たまたま俺が興味のある女がいなかっただけで…

決して俺が…断じて…

あっ、右目からもナミ…汗が…



気ままと言えば気ままだが、

逆に言えば養うべき者も守るべきモノもいない。

とくに何も無く、ただ生きているだけだ。

生き甲斐も無く、遣り甲斐までもなくなった

今は何もする気が起きない…


布団の上でただ漠然と明日からどうするべきかを

考えながら瞼を閉じた。。。

目を閉じて暫くした頃、色々とあーしておけば

良かっただとかこーしておけば変わったんじゃないか

などと今更ながらに後悔の念が押し寄せていた。


いつもは後悔しても

「人間何時からでもやり直せる」とか

「まだまだ人生はこれからだ」などと

言い訳にも似た考え方。

ポジティブといえば聞こえは良いが現実逃避にも

似た考え方をしていた俺が、こうもネガティブになるのは

この1カ月就職活動にも似た行動で

現実を思い知ったからだろう。


実際、俺はこれまで就活した記憶と言えば

大学の時と勢いで辞めた20代後半位で

あとはどうとでもなっていた。

それまでは、面接して落ちた事は1回も無かった。

アルバイト含め面接で落ちた事が1回も無いのが

俺のささやかな自慢でもあった…


まあ大学は1回おちてるけども…

アレは面接じゃないからノーカンでオナシャス。

しかしこの歳になるとそれは難しく、

この1カ月で幾度も落ちた経験が影響していた。


そんな中で『もう一度時を戻せたなら…』


そんな思いが強く頭に響いた。

おそらく誰しもが一度はおもうことだろうが…


本当にどうにもならないのか…

想いは時を超えるとかよく聞くけど

実際にはそんな事有り得ないよな。

でも小説とかに出るタイムリープとか…

いや、せめて今と違う人生を歩めたら…


そんな様などうにもならない事を考えながら

『今とは違う人生を歩みたい』

と強く強く願った。


頭の中で今までこれほどまでに

強く願った事は無いんじゃないかという位、

強く願った。脳が痛くなるくらい一心に…

………

……

…『やっぱ無理か…』

などと当然の如く思いつつ目を開けた直後、

突然天井の照明が動き、地面が激しく揺れ出した。


『地震か!?』


慌てて身体を起こそうとしたが、

そのまた次の瞬間には…俺の意識が…落ちた。

最後の俺の視界には

黒い何かが上からせまってきている光景。


そして今、俺は闇の中にいる…

目は開けているはずだが何も見えない。


あたりを見回してみるがやはり真っ暗だ…

少しして、はるか遠くに光の点が見える様な気がした。

ただその点があまりにも遠すぎて

光なのかどうかすらも分からない。


惹かれるかの様にその場所に向かって行こうとするが

前に進んでも全く近付いている気がしない…

他にどうする事も出来ず、

一瞬ここはどこなのかと考えたが意識がハッキリしない。

まるで夢の中にいるみたい…


『そうか、これは夢だ』

と思い当ったが夢の中で夢と意識した事は今までなかった。

たとえ夢の中であったとしてもこんな状況どうすれば…

とりあえず目をつむって眉間に皺をよせながら瞳を強く閉じた。


するとその時ふと、頭の中に音が響いた。

耳からでは無く俺の脳に直接響くような途切れ途切れで

うっすらと…


『な…時を…くぐり……モノよ…時の狭間にて

……をのぞむか…』


正直何を伝えたいのか分からなかった。

夢だからかと思いつつも妙に引っかかった。

『時の狭間か…』

そう思った直後に肌にうっすらと風を感じ、

思わず『んっ?』と思って目を開けると

すぐ目の前にさっきまでは

遥か遠くにあると思っていた光の点が近付いて来ていた。


俺は何を思うでもなくその点にふと手をかざすと、

突然目の前の光の点が大きくなり

その光に包み込まれた…


あたりを見回すと小さな部屋にベットが一つ。

その上には見知らぬ少年が一人寝ていた。


『なんだここ?』

『誰だこの子?』


そう思いつつ、その少年に声をかけるべく

ベットの側へと近付いた。

少年は赤みがかった髪に比較的整った容姿で

外国の子かと思った。

俺的には一瞬、某ゲームタイトル「○ース」の

主人公が思い出された…


年齢的には見た目は若干童顔なのか中学生くらいに

見えたが、なんとなく高校生くらいかなと思った。

まあ外国人は、日本人の見た目と

年齢合わなさそうだし分からんが…


「おい、ちょっと起きてくれないか?」



いきなり部屋に入ってきて知らない人に

起こされるとかどうなんだろうとも考えたが

今はまずこの状況を知ることが先決だ。

そして日本語で通じるのかなとも思ったが、

俺は英語はしゃべれん!

とゆうか日本に来たら日本語でしゃべるのが

マナーだろ常考!!

と俺的暗黙のルール上、ソコを譲る気はない!

海外行った事無いし、これからも行く気は無い。

日本最高。


「おい…」


そう言って彼の肩口に手を触れた瞬間、


ゴゥ!


という音と共に地面が大きく動き出した。


横に、おもいっきり。


俺は思わず体勢を崩して倒れた。


横に、おもいっきり。


ビタン!!


と顔から見事にダイブした俺は

ガバッと顔を上げ少年を見た。

すると少年は身動き一つせずに寝ている。


不思議と顔の痛みは気にならず、

次に、この部屋に窓があることに気付き

すかさずその窓の外を見た。

近くに行きその窓を開けようとしたが

びくともしない。

外は物凄い速さで移動しているみたいだった。


景色は真っ暗な中にいくつもの光の点が横に流れ…

まるで宇宙みたいな…

うん、まぁ夢だとしたら何でもありか…


とにもかくにも少年を起こそう。

起こさないと話が進まないだろうし、

ここはどこなのか気になるし。


夢の中だとしても好奇心は抑えられず、

先程の顔ビタンで少し意識がハッキリとした俺だったが、

考えるよりもまず行動していた。

再び彼に触れた。

今度は両手で両肩をガッチリと…

その瞬間、またも移動した…

…上に…


バコン!!!



しかも何故か一旦下に沈んだように感じてから

上に移動した為、

身体が浮き上がった途端、少年から手を離し、

バランスを崩して後ろにのけ反った所に

上から押し付けられた形になり、

見事に後頭部から再び地面にダイブするハメとなった。


今までも横に移動していたのは感覚的に分かったのだが、

初動以外はほとんど揺れていなかった。


しかし今度はまるで地面に貼り付けられたかの様に

体が動かなくなった。

俺はなんとか顔を窓の方に向けた。

すると外にはまばゆいばかりの光が見えた。

それが近付いて来たと思った次の瞬間、

意識が途切れた…


そして…


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