君と納豆
混ぜれば混ぜるほどドロドロしていく。僕は朝ご飯を食べながら、
「まるであの時の僕と君みたいだね。」
と呟くように言おうとしたが、納豆が白米とともに口に運ばれるほうが早くて言えなかった。
僕と君は、大学で出会って二人ともサークルにも部活にも入ってなかったから、友達も少なくてずっと一緒にいた。初めて君を見た時は緑と赤の派手な髪形をしてて、ああバカそうなやつだなって思ったよ。その時僕も神はぼさぼさで服を着飾ることはなかったし、たぶん君もおんなじことを考えていたんだろうね。でも、学校には真面目にお互い言ってたし、最近の学生の中では僕らは優秀なほうで、あほそうに見めて真面目な僕のあこがれてるものに似たようなものを感じた。君と僕が付き合うまでに時間はかからなかったし、僕は一人暮らししている君の家に入り浸った。毎晩愛を確認しあっていたし、どんどん惹かれていった。
二年生の春、君は急に夢を見つけたといって、しばらく帰ってこなかった。僕はあの時君がいないと本当に一人だった。
「君には僕以外のものがあるんだね。」
なんてめんどくさいねばねばした女みたいなことをゆうと、君はすぐに額にキスしてくれた。そんな日々が卒業まで続いた。
卒業式の時、君の派手だった髪はきれいなコーヒーのような色になり、僕の髪も短く整えられていた。僕は本当は知ってたんだ、君がロックバンドをやりたかったことを、でも君は僕のように人のことがあまり好きじゃないけど好きな人を納豆のねばねばのような性格に
ダメにすることを知らなかったんだ。馬鹿だなあと思うしごめんねと思う。冷たい言葉と誤りた気持ちを先のかけたお箸で混ぜて、塩味の納豆を掻き込んだ。