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俺は勇者の嫁候補  作者: 茜空
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これが俺たちの日常だった

 今回、ちょっと短いですけどキリが良かったので。

 それと今回、漫才会話多いです。

「魔方陣を抜けると雪国であった」

「違う違う。魔法陣はトンネルじゃないし雪なんてどこにもねーだろ?」


 言われた通り雪なんて欠片もない。いやさ、何かを通り抜けるとどうしても言いたくなるんだよね。


「雪国知ってんのか。つっこまれるとは思わなかったぞ」

「いやそこしか知らん」

「知らんのかい!」

「そう言うたっつんは?」

「ふっ。愚問だな」

「んじゃ続きを」

「俺も知らん」

「お前も知らねーんじゃん!」

「知ってるなんて言ってないしぃ〜?」

「言い方が腹立つ!」

「ふははは。どうだすごいだろう?褒めてくれてもいいんだぞ?」

「いやすごくねぇよ!いや一周してすげぇよ」

「すげぇんなら褒めろよ」

「くっ、ガッツが足りない!」

「いるんかそれ!?で、そのガッツとやらはいくつくらい必要なんだ?」

「500?」

「無駄にたけぇ!」

「二人共その辺でやめなさい。先に進まなくなるから」

「「はーい」」


 さて、おふざけはこの辺にしておいて、改めて回りを見渡してみる。うん、さっきまでいた森とあまり変わらない。っていうか本当に転移したんだろうか?


「んじゃ行こうか」


 ま、俺は土地勘さっぱりだしついていくしかないか。


「ん。案内を開始されます」

「ナビか!しかも立場逆だし」

「タツキちゃんモノマネうまいね」

「こいつ変なモノマネのレパートリー持ってるんだよ。ニワトリとか超うまい」

「ニワトリなー。もう何年もやってないから腕は落ちてるぞって確かにやってたけどよく覚えてるな。それとお前が言うか。動くモノマネはうまいっていうか最早鏡レベルのくせに」

「はっはっはっ。それほどでもあるぞ」

「くそう、下手に褒めると図に乗りやがる」

「はいはい、もう大通りに出るよ。そこまで行ったらあとはその道に沿ってすぐだからね」


 センパイの言う通り、大きな通りに出た。この先に異世界の町があるのか。めっちゃワクワクしてきた。


「異世界の町かー。どんなところなんだろうな」

「え?俺との会話もう終わり?早くね?」

「え?フツーじゃね?」

「えー寂しいこと言うなよーもっと構えよー」

「小学生か!しょうがない。忙しい俺がお前のために時間を作ってやろう」

「いや忙くねーよな?ぜんぜん忙くねーよな?大事なことだから二回聞いたぞ?」

「一秒だ。おっと、もう一秒経ってしまったよ」

「聞けよ!しかも短っ!」

「また始まった。それにしても二人共生き生きしてるね。特にユウゴなんて初めて見るはしゃぎっぷりだし」

「言ったろ?最高の友だって。今は嫁だけどな」

「嫁言うな」

「顔、笑ってるよ?」

「不可抗力です」


 最高の友って言葉で油断した。決して嫁って言われて喜んでるんじゃない。


「ほら、見えてきた」


 歩きながらセンパイの指さす先をじっと見てると、結構頑丈そうな壁が見えてきた。嫁呼ばわりされて落ちこんだ俺のテンションが再び上向きになる。


「おぉぉぉ、異世界っぽい!すっげ。あれはやっぱ魔物とか入ってこないようにするためか?」

「人間もな」

「まーこんな世界だからね。敵は多いからある程度大きい町は必ず壁に囲まれてるね」

「聞いておいてなんだが血生臭い話だな」


 俺のテンションがまた下がった。魔物相手に忌避感は薄れたけど、やっぱり人同士っていうのは嫌なものがある。治安の悪い世界だ、そんなこと言ってたら命がいくつあっても足りないんだけどな。

 ま、思うところは色々あるけどみんな仲良くしようぜって思う。


「ラヴアンドピース!」

「どうしたたっつん!?」


 やべ、つい声に出た。


「いやなに、人間同士仲良くしようぜ、って思ってさ」

「たっつんらしいな。ラヴアンドピース!」

「なんだが鳴き声みたい」

「よし、今日から俺たちの鳴き声はラヴアンドピースだ」

「餌を与えないでください」

「注意、噛み付きます」

「嫁二人がヒデェ!俺は動物園の猛獣か?」

「野獣ではあるな」

「まあ肉食でケモノだよね。特に夜は」

「センパイ、頬を染めて可愛く言っても下ネタですから。ツッコミ辛いです」

「何言ってるの?タツキちゃんもこれから美味しくいただかれちゃうんだよ」

「絶対に嫌だぁぁぁぁ!」


 おかしい。どうしてこんな話になった?


「まぁ据え膳食わぬはって言うしな」

「あれだけ用意周到に外堀埋めておいてどの口が据え膳言うか!断固拒否する」

「俺が獲物を逃すと思うか?」

「ヒィ!やっぱり野獣じゃねーか!」


 ていうかこの話題続けるのはヤバイ!マジでヤバイ!


「そ、そういやだいぶ近づいてきたけど立派な壁だな。ウォールマ◯アと名付けよう」

「なんだそりゃ?」

「あー、知らなくて当然か。俺がこの世界に転移してくる前に流行ったアニメに出てきたんだよ。かなり堅牢な壁だぞ」


 最早俺にはでっかい巨人型モンスターに破られる未来しか見えないけどな。


「へぇ。俺たちが転移してからの日本って興味あるな」

「ね?タツキちゃん色々聞かせてね」

「偏った知識と説明の下手な俺の話でよければ」

「やたっ」

「いいね。今日は宿をとったら酒でも飲みながら話そうぜ」

「構わんがお前が絡むとさっきみたいにぐっだぐだになる可能性が」

「それはそれで楽しいし、そうなったらまたどこかで機会を作ろ?」

「よっしゃ決まりだ。んじゃ早く行こうぜ?エールが俺を待っている」

「お、おい、引っ張るな、エールってビールのことか?ビールは別に逃げねぇぇぇ!」





 俺は台詞を最後まで言えず、加速(ブースト・オン)した二人に連行された。

 




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