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俺は勇者の嫁候補  作者: 茜空
1/5

異世界転移、親友との再会、そして女になる。何故!?

 現在進行中の別の話の息抜きに書いてたら楽しくなってきた。

 ……朝か。

 朝は嫌いだが、月曜の朝は特に憂鬱だ。また一週間仕事が待っている。こんな時いつも思う。遊んで暮らしたいと。

 いや、でもニートは嫌だ。羨ましいと思う部分もあるが、自立はしないとな。


 さて、時間にも余裕がなくなってきたしそろそろ起きるか。

 布団から出て顔を洗う。タオルで顔を拭き、目を開けると、






 視界いっぱいに森が広がっていた。



 




 は、ははは、顔を洗ったのに俺まだ寝ぼけてるのかな?

 もう一度水で顔を洗おうとして、洗面台がないと気づく。

 ほら、やっぱ寝ぼけてるんだ。そろそろちゃんと目を覚まさないとなー。

 両手で頬を軽く叩く。

 うん。視界に変化なし。

 今度はちょっと力を入れてー


「痛ぇ!」


 力入れすぎたよ。頬がヒリヒリする。

 でもこれだけやったんだ。さすがにそろそろこれを現実と認めざるを得なくなってきた。


「ぷっ、くっくっくっ、なにやってるんだよたっつん」


 俺は反射的に後ろを向く。そこにはファンタジーの冒険者チックなコスプレ男とコスプレ女がいた。

 男は遠慮なく笑っている。女は後ろを向きつつも肩が震えている。「笑ってるの我慢してます」と背中で語ってるんだよ。

 何こいつら?超失礼なんだけど。お前らに笑われる筋合いないんだけど。そもそもここどこだよ?何で数人しか知らない俺のあだ名を知って……るん、だ……


「お、おぐ、おぐなのか!?」

「おう。久しぶりだな、たっつん」


 こいつ、連絡が取れなくなってた俺の友達じゃないか!


 無事だったんだ。生きてたんだ。


 こいつの名前は小栗雄吾。俺が専門学生の頃にバイト先で知り合ったヤツだ。器用というか要領がいいというか、こいつたいていのことは器用にこなすし、人当たりがいいからたいていのヤツとは仲良くなりやがる。

 そんなんだからか、ほぼ同期だからか、俺にはこいつがすごく存在感があるように見えて軽くライバル視や目標にしていた。

 ある時、話す機会があったのだがその時に意気投合。こいついいヤツじゃないかって思うようになる。それからよく遊ぶようになり、いつの頃からから俺の最高の友、最早半身っていってもいいくらいの存在になっていた。


 しかしある日突然、こいつと連絡がとれなくなった。何度か自宅へも行ってみたが、最後まで出ることはなかった。

 もちろん心配した。でも俺もその頃ちょうど会社への就職が決まり、自分のことでいっぱいいっぱいになってしまった。

 ようやく時間を作って自宅へ行ってみた時にはもう別の人間が住んでいて、完全に音信不通になってしまっていた。



「おぐー!よかった、ちゃんと生きてた。心配したんだぞ?死ぬほど心配したんだぞ?」


 そういいながらタックルをかます。


「痛った、ちょ、待て、悪かったって。っつっても俺もお前に連絡する手段なかったんだからしょうがねぇだろ?」

「いや、俺お前のケータイに何度かけたと思ってるんだよ?」

「この世界でケータイが使えると思ってんのか?」

「あーそれ。ここどこなんだよ?つか俺自宅にいたはずなのになんでここにいるんだよ?」

「あー。そりゃオメェ俺がこの世界に召喚したからに決まってんだろ?」

「は?いやいや、今そういう冗談はいいから」

「いやマジだから。逆に今の状況で俺の言葉を冗談と受けとめるお前の後ろ向きさがすげぇよ」

「いやぁ照れるぜ」

「いや、褒めてねぇし!本気で褒めてねぇし!大事な事だから二回言ったぞ?」


 くぅぅ。このやりとり超懐かしい。おぐだ。本物のおぐだ。


「おいおい、何も泣くこたぁねぇだろ?」

「うるさい!人の気も知らないで」


 これが泣かずにいられるか。お前がいなくなってから俺の人生の面白さは半減したと言っても過言じゃないんだぞ?

 ダメだ。気持ちが暴走して涙が止まらない。くそっ、止まれ、止まれ。

 おい俺。「ダメです。信号拒絶、受信しません」じゃねぇよ。一気に気持ちが冷めてきたわ。


 ……ちょっと待て。ちょっと冷静になってきて気づいたがこいつ今「俺がこの世界に召喚した」っつったか?


「ちょっ、これお前が原因かよ!?」

「反応遅っ!」

「いやいやいや、おま、ここまでで色々ありすぎなんだよ!頭の整理が追いつかねーよ!」

「老けたのは見た目だけじゃなくて中身もか」

「うっさい!しみじみ言うな!つかお前は変わんなさすぎるわ!」


 つかこいつ、本気で変わらなさ過ぎるんだが。おかしくないか?あれから十年以上も経ってるんだぞ?


「ふっふっふっ。ここをどこだと思ってる?ファンタジーの世界だぞ?あるんだよ。不老や若返り、歳をとるのを遅らせたり寿命を伸ばしたりする方法が」

「マジで!?」

「おう、マジマジ。よし飲め!」

「なっ、んぐっ!?」


 おぐのやつ何か飲ませやがった!不意打ちは卑怯だろ?

 ぐぇぇ、まずい。超マズイ。人生でワースト3に入るぞこのマズさ。



「ぷはっ、はぁ、はぁ、はぁ、うぇぇぇぇ。おま、なんつーもん飲ませやがんだよ!」

「あっはっはっはっはっ。何?そんなにマズかった?」


 笑い事じゃねぇぞこの野郎。


「マズイ!何をどうしたらこんな味ができるんだ!?いや、それよりも俺に何飲ませた!?」

「いや、この流れからきたらもう一つしかないだろ?」

「は?この流れっつったら若返り」


 ドクン!


 急に心臓が跳ね上がる。呼吸がしづらくなってくる。体が熱くなってきた。


「ぐぅ、お、おい、これ、本当に大丈夫な、やつ、なんだ、ろうな」

「あー。大丈夫、だと思うぞ、たぶん。きっと」

「おい、徐々に、語尾が、小声でよわ、く、なって、きてんじゃ、ねぇ、か」


 ダメだ。もう自分でも何言ってるのかわかんなくなってきた。

 視界がかすむ。立っていられなくなる。気持ち悪い。もう、だ、め……




 ……朝か。いやぁ変な夢見た。昔最高の友達だと思ってたヤツに異世界に召喚される夢とか


「お、起きたかたっつん」


 夢じゃなかったよ。


「体調はどうだ?」

「んぁ?」


 そういや変な飲み物飲まされて気分悪くんったんだっけな。んー


「とりあえず気分が悪いとかはないな。お前に不意打ちでクソマズイ飲み物飲まされたって事以外は」

「根に持つなー。いいじゃん。おかげで若返ったんだし」

「マジで!?」


 その言葉を聞いた俺は飛び起きた。


 自分の手を見てみる。


「おぉー。すっげぇスベスベだ。若返りを実感するわ~っていやちょっと待て。俺の手ってこんなに細かったっけ?」


 いくらなんでもスベスベすぎるし、指とか超細い。

 もしかして小学生や中学生くらいまで若返ったとか?


「もしかして俺若返りすぎてんじゃないのか?」

「いや、十八歳になるように計算してあるぞ」

「じゃあなんで指がこんなに細」


 不意に下を向いた時、俺は言葉を続けられなかった。

 俺の視界に入る双丘。思わずそれを鷲掴みする。


「んぁっ!?」


 キモチイイ。


 じゃなくて!


「……本物?」

「おう。割といいサイズに育ってるじゃねぇか」

「うっさい!オヤジか!」

「中身はいいオヤジです!」

「威張るなぁぁぁぁ!」


 胸だ。本物のオッパイだ。


 モミモミモミモミ


「お前もいつまで揉んでんだよ」


 はっ。無意識に何やってるんだ俺は!

 いや、女性の胸なんて揉んだことなかったし、男なら仕方ないんや!

 しかし胸があって指が細くてってことは……まさか!?


「無ぇ!俺の分身が無くなってる!」

「おー。本当にねぇな。つか毛も生えてねぇツルツルじゃん」

「え?」

「お?」

「なんで一緒に覗いとるんだお前はぁぁぁぁぁ!」

「へヴんっ!?」


 思わずグーパンで殴り飛ばした。

 おぐは綺麗に吹っ飛んでいく。


「あ、すまん、ちょっと力入りすぎた!いや、でもあれはお前が悪いぞ?」


 見事ノックアウトしたおぐに一応謝罪するが、おぐにも責任はある。っつかあいつが全面的に悪いだろ?


「痛てて、ナイスパンチ!」

「うっさい!って割と大丈夫そうだな。で?この説明はしてもらえるんだろうな?」

「あー。俺の飲ませた薬な、あれ若返りの他に、性別を逆転させる効果があるんだよ」

「は?はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ?」




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