救助される
誘拐されちゃった!犯人は!?
『ん~んっ?』
そういえばっ!
クインスさんの知り合いの獣人について行って
変な物か嗅がされたんだった!!
バッと起き上がると
『いったい!』
頭がズキズキする。
天蓋ベッドの上?
『なにこれ?』
手首には手錠が・・・
『なんなの?外れない!!』
ガチャガチャ、カチャ
「お~目が覚めたか。
最初みたときも思ったが
本当に珍しい瞳の色に肌の色だな!
いいね、いいね~気に入ったよ!」
『あなた誰?ここはどこなの!?』
「まあまあ、そう怒るなよ。
ここは王都。俺の根城だ。」
『なんで私を・・・』
「あの街でたまたまクインスを見かけたと
思ったらお前みたいに
珍しい女が一緒だったからな。
クインスには色々借りがあるし、
お前の事も気に入ったからよ~」
『今すぐ帰して!』
「それはできねぇーな~
お前はこれからずっとここにいるんだ。
俺だけに抱かれて、俺の子を産む」
『いやよ!!』
「そんなに嫌がるなよ」
ギシッギシッ
ベッドに男が上がってくる。
『いや!やめて!』
太ももを男の手が
「おぉ~スベスベだな!」
『嫌だってば!やめて!』
ジタバタ抵抗する
「このっ!」
バシンっ!!
『っ!!』
「暴れるんじゃねーよ!」
泣いたらダメ、泣いたらダメ
泣いたら涙が宝石になっちゃうっ
「はじめから大人しくしてりゃ
痛い思いしなくて済んだのによぉ」
『やだやだやだ、助けて!』
クインス視点
馬を飛ばして王都を目指す。
全然見当たらないな、もう王都に入ってるか。
「くそっ!」
王都に入る、むやみやたらに探すより
弟達に手伝ってもらった方が早いな!
とにかく、家にいこう。
2人とも今日は休みだと言ってた。
バン!!
家につき、扉をあける。
「スノウ!!ハルス!!」
「なに!?なに!?
兄さんどうしたの?今日は
アキちゃんと買い物でしょう?」
「兄さんどうかしたのですか?」
「アキが街で攫われた!
獣人の男が王都の方に連れてったらしい」
「!!なんてことです!」
「俺、すぐ、偵察隊に行ってくる。
なにか情報がはいってるかもしれない。」
「頼む」
「私も知り合いの情報屋のとこに行ってきます」
「俺は王都をまわってみる。
アキは目立つから誰かみてるかもしれない」
「じゃあ、また後で合流しましょう。」
それぞれが動きだし、俺も外にでる。
「クインスさん~
そんなに慌ててどうしたんすか?」
王都の住人が声をかけてくる。
「茶色の髪で
珍しい肌の色の女をみなかったか?」
「いや、みてないっすね~
「そうか・・・」
くそっどこだ!?
あれから何人にも
声をかけたが誰も見てないと言う。
王都にいないのか?
「兄さん!!」
「ハルス!スノウ!」
「わかったよ!アキちゃんの事
見かけてる奴がいた!!」
「どこで!?」
「王都のはずれだよ!
昔悪さを働いたやつらが住んでるとこ!」
「いくぞ!!」
走りながらスノウが
「兄さんへの逆恨みでしょう。
アキさんを運んでたのは
ヴァーグという男だったそうです。」
「ヴァーグ?」
「兄さん昔、ボコったじゃん。
女を襲ってた獣人!女の旦那ボコボコにして
レイプしようとしてたやつ!」
「あぁ、あいつか・・・」
「とにかく早く王都のはずれに
行きましょう!」
王都のはずれに来ると、柄の悪いやつらが
ウロウロしている。
「おーおー
こんなとこになんのようだ?」
「ヴァーグはどこだ?」
「はぁ~?しらねーな!」
ブチッ
「ゴホッ!」
「ヴァーグはどこだ、と聞いてるんだ」
ボコッ!
「ウッこの先の屋敷だよ!」
「あーあ、兄さんキレてるよ」
「私もキレそうですよ。
こんな場所に彼女を連れ去るなんて」
「まあ、俺ももうキレそうだけどね~」
バン!!
「なんだ!?」
「げっ!クインス!!
スノウもハルスも!」
「ヴァーグはどこだ!」
「早く答えたほうがいいよ~」
「そうですね、早く答えなさい」
ボコッバコッバチーッ
「ウゥ・・・二階に…女といる」
バタバタバタ、『助けて!』
バン!!
中に入るとアキが
ベッドの上で手錠をつけられ
ヴァーグが太ももを触ってる。
頬は赤く腫れ唇は切れてるのか血が出ている。
「なんだよ!良いところだったのによう!」
「お前っ!!」
「なんてことを!!」
ブチブチブチッ
俺の中の何かが切れる・・・
走ってヴァーグに掴みかかり
掴んだまま二階の窓から飛び降りる。
『クインスさん!』
アキの叫び声が聞こえるが
もう止められない!
こいつを殺さなければ気が済まない!
「お前、彼女に手をあげたな!!」
「はっ良い触り心地だったよ!
まるで吸い付くようでな!!」
「殺してやる!」
ヴァーグを殴りまくる。
ボコッボコッボコッ
「ヴァッッ」
「死ね!」
アキ視点
バン!!
いきなり、扉が開いて
クインスさん、
スノウさんハルスさんが飛び込んできた。
獣人の男が
「なんだよ!良いところだったのによう!」
「お前っ!!」
「なんてことを!!」
するといきなりクインスさんが
獣人の男を掴み窓から飛び出していった!
『クインスさん!』
「アキちゃん大丈夫!?」
「血が出ていますね。殴られたのですか?」
『はい。』
「あのやろう!!」
クインスさん、スノウさんハルスさんを
見たら気が緩んだのか
ボロボロと涙が零れ宝石になっていく。
「もう大丈夫ですよ。」
パキンッ
スノウさんが魔法で手錠を外してくれる。
「お前、彼女に手をあげたな!!」
外からクインスさんの声が聞こえる。
「ハルス、兄さんを止めてきなさい」
「了解~アキちゃんもう大丈夫だからね?」
『ごめんなさい。迷惑かけちゃって』
「大丈夫~迷惑なんかじゃないよ?
まっとりあえず兄さん止めてくるわ~」
ハルスさんは出てった。
「アキさん立てますか?
こんな所、早く出ましょう。」
『はい、あれっ?』
「どうしました?」
『脚に力が入らなくって』
「あぁ、腰が抜けてしまったんですね。」
そういうとスノウさんは
「失礼・・・」
『わっ!だめです!私、重たいから!』
「大丈夫です。
これでも多少は筋肉あるんですよ」
『本当にすみません。』
「気にしないで。役得ですよ」
『えっ?』
「いえ、さぁ行きましょう。」
そういうとスノウさんは私を抱えたまま
古い屋敷を出て行く。
「あ~スノウずるいよ!」
ハルスさんが駆け寄ってくる
「俺が抱える。」
クインスさんがそう言ってくれるが
クインスさんの手、血まみれだ・・・
「兄さん、そんな手で彼女に触れるのですか?」
「ッち」
「とにかく家へ帰りましょう」
「あっ俺忘れ物した!先帰ってて~」
ハルスさんがまた屋敷の中に戻って行った。
「帰るぞ」
スタスタ
クインスさんは先に行ってしまった。
怒ってるよね。
勝手に騙されてついてっちゃって。
迷惑かけちゃって・・・
涙が溢れてくる。
「アキさん大丈夫ですよ。
ただ、その涙と泣き顔、
人にみられると困るので隠れてて下さいね」
そう言ってスノウさんは私の顔を
自分の胸に押し付けた。
しばらく歩くと大きなお家に着いた。
「着きましたよ。」
『ここは?』
「私たち兄弟の家です。
中に入って治療しましょう」
クインスさんはもう家に入ってしまった。
私もスノウさんに抱えられたまま
家に入る。
リビングのような所のソファにおろしてくれた。
「まずは、唇と頬の傷をみましょう」
パパッとみて
「唇の血は口の中が切れてるみたいですね。
薬は塗れないので
治るまで少し我慢してくださいね。
頬はこれで冷やしましょう」
そういって氷を包んだ布を頬に当ててくれる。
『ありがとうございます』
「いえ、すみません。私は治癒魔法は使えなくて。
おや、手首も擦り傷になっていますね。」
『あ、手錠を外そうとしたり
抵抗した時に擦れたみたい。。』
「そうですか、消毒しますね」
『お願いします』
治療が終わり、ホッと一息つくと
バタンッ
「ただいま~」
ハルスさんが帰ってきた
『お帰りなさい。』
「なにをしてたのですか?」
「あ~ヴァーグ達の後始末とこれ!忘れ物!」
そう言って、袋を差し出してきた
『これ、涙の宝石』
「そう!こんなキレイな宝石
怪しまれるし。ま、それだけじゃないけど
アキちゃんから造られたものを他人に
触られるなんてムカつくじゃん!
しかもあんなゲス野郎たちに」
『えっ?』
「まあ、同感ですね。」
「とにかく少し休んでください」
『あっでも、子どもたちの所に帰らなきゃ』
「あ~それなら大丈夫!
さっき偵察隊のやつに実家に手紙頼んだから~
今日はここに泊まって?子どもたちに会いたいだろうけど
そんな怪我した君をみたらきっと心配しちゃうよ」
『大丈夫かな・・・』
「きっと大丈夫ですよ。子どもたち
かなり父さん達に懐いてますし、安心して下さい」
『はい。わかりました。
すみません、今日1日お願いします』
「じゃあ、私は部屋の準備をしてきます。
ハルスはアキさんについていてあげなさい。」
「了解っ~」
バタンっ
『すみません、お仕事大丈夫ですか?』
「大丈夫~
ちょうどスノウ兄さんも俺も非番だったんだよ~
今日の街への買い物、俺たちも一緒に行きたかったんだけど、
午前中、急に俺とスノウ兄さん仕事が入ってさ!」
『そうだったんですか。お家にも急にお邪魔してしまって』
「もうっさっきから謝りすぎ!!
俺たち不本意だけどアキちゃんが家にきてくれて
嬉しいんだからさ!気にしないの!」
『ふふっハルスさんありがとうございます』
「あ~もう可愛いなっ!」
ギューッとハルスさんが抱き締めてくる
『きゃっハルスさん!』
「ほんとそれくらいの怪我で済んでよかった」
ハルスさんがボソッと喋る
『はい。ありがとうございます。助けてくれて』
「助けたのは兄さんだよ。
俺はさ、兄さんみたいに強くないし
魔法も使えない。ただの人間なんだ。」
『ハルスさん?』
ガチャ
「なにしてる?」
シャワーを浴びたのか
ラフな格好で
髪の毛もまだ濡れたままのクインスさんが入ってくる。
「いや~もうアキちゃんが可愛すぎて!!」
「離せ」
「は~い」
「少し話せるか?」
「ちょっと俺、スノウ兄さん手伝ってくるね~」
『クインスさんっごめんなさい。
勝手に騙されてこんなことになって!』
涙がまた溢れてくる
『ごめんなさいっ』
クインスさんが隣に座った。
すると、抱き上げられ
クインスの膝の上に乗せられた。
「顔をみせてくれ」
両手で私の顔を包み
「すまなかった。こんな怪我をさせて。
守れなかった」
『私が悪いんです。勝手についていったから
それにクインスさん達は助けてくれました。
あのままだったら私・・・』
ギュッ
クインスさんに抱き締められる。
「好きだ」
『えっ?』
「俺はお前が好きだ。
この世界をまだ受け入れられてないのは知ってる。
こんなことになって尚更かえりたいだろう。
だけど、好きなんだ。」
『クインスさん・・・』
急展開!どうするの~主人公!!