さらっと異世界トリップしました
いつもと特に変わらない日だった。
子ども達が夏休みに入り、
今日は何をして遊ぼうか
昼ご飯は何しよう
買い物にも行かなければ
そんなことを考えながら朝ご飯を食べた。
外でプールで遊ばせ、疲れたので
クーラーで涼しい部屋で
一緒にお昼寝タイム。
30分くらい気持ち良く寝て、起きた、ら、
ここはどこでしょうか??
大きな桜の木のような
ピンクの花びらがヒラヒラ落ちてくる。
横をみれば我が子がまだスヤスヤ
眠ってる。
起き上がって辺りを見渡す。
夜だ。かなりでかい月が空にある。
『どうなってるの?』
今まで、スマホで大量の異世界トリップ小説を
読んできたが、子供連れでトリップする小説は
なかったはず。
妄想しすぎでまだ夢の中だろうか?
とりあえず、定番のほっぺたつねりをやってみる。
.......普通に痛い。うん。
うーん、どうしよう。
子ども達をゆすってみるが
かなり熟睡してるのか全く起きない。
さすがに7歳と3歳を抱えてウロウロはできない。
今まで読んできたトリップ小説は
危険な生き物も出てきた。
むやみやたらに動くのは危険。
『うー、どうしよう!』
ガサガサ、ガサガサ
木の後ろの茂みから何かくる!!
子どもを背中に隠し冷や汗がでる。
「誰かいるのか?」
出てきたのは、白髪混じりの外国人のおじさん
腰には剣が備えてある!
でも、言葉が日本語!
「女!?しかも後ろにいるのは子どもか!?
こんな時間にこんな場所で何してる!?
夜は危険だ!」
おじさん、凄い怒ってる?
『えーと!何でここにいるのか、目が覚めたら
ここにいて。』
おじさんは眉間にシワをよせて、
「うーむ。とにかく、こんな時間に外にいるのは危険だ。
すぐ近くにわしの家がある。ついてきなさい。」
どうしよう。どうしよう。
悪い人じゃなさそうだけど、子ども2人かかえて
逃げるのも無理がありそう。。。
そんな私の思考に気づいたのか
「心配するな、家には妻もおる。こんなとこに子どもを
夜、寝かせとくのは可哀想だ」
そう言って、上の子を抱き上げて歩き始めた。
『え!ちょっと待ってください!』
慌てて下の子を抱いてついて行く。
五分ほど森の中を歩いたくらいだろうか
開けた草原にでた。
そこに大きなお家が建ってる。
家の周りには、畑、牛や馬、羊などの家畜もいる。
おじさんはそのままスタスタ
家の門を通り、玄関を開けた。
「入りなさい」
『お邪魔します。』
恐る恐る中に入ると、パタパタ、パタパタ
「あなた?お帰りなさい!
まあ!まあ!女の人!?それに小さな子どもまで!」
出てきたのは、面倒見の良さそうなふくよかなおばさま。
「この子たちを客間に。」
「わかりました!さあ、どうぞ入って!」
そう言うと奥に入って行く。
ノソノソついていくと大きなベッドがある部屋につき
子どもを寝かせる。
「その子もここに寝かせてあげなさい」
言われるがまま下の子もベッドに寝かせる。
『すみません、いきなりお邪魔して
ベッドまでお借りして、、、』
「とりあえず、ここでは子ども達が
起きてしまうかもしれないわ。隣の部屋に行きましょう」
『わかりました。』
隣の部屋にくると、アンティークのソファに座らせてもらい、
目が覚めたら、あの木の下にいた事を
改めて話した。
「まあ!そんなことが。。はじめてきいたわ!
あなた生まれはどこ?肌の色や眼の色、今まで見たことないわ」
『え?日本です。小さな島国なんですが。』
「日本?聞いたことないな。ここはサブジーナスのセラススだ」
『サブジーナス?セラスス?』
「サブジーナスもわからないか?」
『はい、聞いたことないです。』
「。。。サブジーナスはこの大陸、世界の名だ。
この世界の者なら
みな知っているはずだ」
『ここは私のいた世界ではない?』
「...そう確信するにはまだ早いが、
サブジーナスがわからないとなるとな。
かなりの田舎者か、この世界の人間ではないか。」
『そんな、どうしたらいいの?』
「まあ、大丈夫よ。私たちが力になるわ。
自己紹介がまだだったわね!私はダリアよ!
彼は私の第一夫のロータス!」
『第一夫?』
「ええ、そうよ!私には夫が3人いるの!」
『えぇ!旦那さんが3人!?』
「あら?どうしたの?そんなに驚いて」
『いえ、、私の世界は一夫一妻だから』
「そうなの!?じゃあ女性の数と男性の数はどちらが多いの!?」
『えーっと、あまり詳しくないですが
男女比は同じくらいだったはずです、、』
「まあ!そうなのね!ここサブジーナスは女性が凄く少ないの!100人の間に10人女の子が産まれればいいほうね」
『だから、一妻多夫』
「そうよ!ところでそろそろ、あなたと子ども達の名前を教えてくれない?」
『あ、ごめんなさい!
私は、アキ。栄山アキといいます。子ども達は
上の女の子がユメ、下の男の子がユヅキです。』
「アキにユメにユヅキね!
それにしても一人目に女の子を産むなんて
あなた凄いわね!!」
『え?どうしてですか?』
「さっきも言ったけど女性がかなり少ないの。
5人産んでも10人産んでも女の子が産まれないって当たり前なの」
『.......10人。。。』
「だから、一人目で女の子が産まれるなんてかなり
凄いことよ!」
『そうなんですね。私の世界では全然普通の事だったので
びっくりです。。。
そういえば、
ロータスさん以外の旦那様はいらっしゃないんですか?』
「いるぞ、食事室で飯でも食べてるだろう」
「そうよ!
それより今日は休んだほうがいいかしら?
色々あって疲れてるでしょう?また明日、あなたのお子さん達にも改めて自己紹介させてちょうだい」
『ありがとうございます。すみません、部屋お借りします』
「ゆっくり休め」
「おやすみなさい!」
バタン。。。
ダリアさん良い人だったな。良かった。
ロータスさんも無口だけど、子ども達の心配して
優しい人なんだろうな…
「はぁ、これからどうしよう。
なんで異世界にきちゃってるんだろう。。。」
モソモソと子ども達の眠る布団に入り
「あ、旦那心配してるかな?いや、興味ないか~」
なんて考えてるといつの間にか眠りについた。
明日からどうする?子ども達を育てていけるのか?