最後の言葉
アグエリアスは放心状態でジャック達がプリンを食べている姿をじっと見つめていた。
「食った食った~!!
バハハハハハッ!!
ごちそうさん!!」
ジャック達はプリンをペロリと平らげた。
「なぁ!
ポリシェにプリンに武器。
もう俺達から盗る物は何も無いだろう!?
俺達を解放してくれないか!?」
エディはジャックに頼んだ。
だが、ジャック達は大笑いしながらエディとアグエリアスに言った。
「バハハハハハッ!!!
お前らには本当に笑わされてばかりだな~!!
いいか!!
今の世界は食うか食われるかだ!!
弱肉強食のこの世界じゃあ弱い奴は強い奴に食われちまう!
死にたくなければ殺すんだ!!
そうやってこの世界を生きぬく奴が一番強いんだ!!
勉強になったろ~!?
だがお前達が今日ここで勉強したことは無駄になる・・・
今日ここで死ぬんだからな~!!」
ジャックが拳銃をアグエリアスに向けた。
それと同時にスピナーもエディに拳銃を向けた。
エディは辺りを見回した。
エディ達の周りは4人が散弾銃を構えて立っている。
逃げ場は無い。
エディの頬を汗が1滴流れた。
どうやらヤバイ時に流れる汗のようだ・・・
「待ってくれ!!
俺達は同じ人間だろ!?
イーターじゃない!!
俺達人間の敵はイーターじゃないか!?
人間同士で争う必用なんか無いだろう!?」
「・・・確かにな
だがな、ここでお前らを逃がしてやれば必ずお前らに復讐される」
「俺達は絶対にあんたらに復讐なんかしない!!
誓う!!
だからあんたらも銃を下ろしてくれ!!」
「お前の言葉は信用しね~!!
もう諦めろ!!
まぁ俺も鬼じゃね~!
最後の言葉くれ~聞いてから殺してやるよ!」
ジャック達は大笑いしながら二人を見下した表情で眺めていた。
彼らは捕食者だ。
獲物をこれからむさぼり食う。
「お前から聞いてやるよ!!
ほらっ!!
言ってみろ!!」
ジャックはアグエリアスの顔がよくみえるように屈んだ。
アグエリアスの命乞いを見たかった。
これから殺されると悟った人間の必死の命乞いを・・・
ジャックはその瞬間が大好きだった。
「・・・俺は命乞いは絶対にしない
それからこの世界に残しておきたい言葉もあいにくだが俺には無いな・・・」
そう言ってアグエリアスは目をつむった。
「ふん・・・
ムカつくガキだぜ・・・
おい!
お前はどうだ!?
なんか言ってみろ!?」
エディは少し考える素振りをして、それから喋り始めた。
「人を殺す限り復讐の連鎖はずっと続く。
もう一度よく考えてくれ!!
俺達は互いに手を取り合ってこの世界を生きていけるはずだ!!
人としての道を踏み外したらダメだ!!
頼む!!
俺達を解放してくれ!!」
エディは床に手をついて深々と頭を下げた。
もう一度ジャック達に人としての真っ当な道に戻るためのチャンスを与えたかった。
「それが最後の言葉でいいんだな?
この大バカ共が!!
それじゃあ・・・」
「引き金を引くなら命を懸けろよ・・・」
アグエリアスがジャックを睨み付けて静かに敵意を込めて言った。
「毎日が命懸けさ!!」
ジャックはニヤリと笑ってアグエリアスの額に銃口を向けてトリガーをゆっくり引く。
ーバーンッ!!
部屋に銃の発砲音が響き渡った。