ウェルカム
エディは民家の2階の部屋で着れそうな服を物色していた。
イーターとの戦いで着ていた服はドス黒い血で汚れていたので、ちょうどいいサイズの服を探していた。
「おっ!
これなんかいいんじゃないの!!」
エディは赤と黒のチェックのシャツと、緑の迷彩柄のカーゴパンツを着てみた。
「おー!!
ピッタリだ!!」
エディは他に着れそうな服とズボンを何着か部屋にあったリュックサックに入れてリビングに戻った。
「アグエリアス!!
気持ちの整理はついたの!?」
「あぁ!!
あいつらのためにも俺は死ねない!
この世界で生き抜いてやる!」
アグエリアスは力強い眼差しをエディに向けた。
もうアグエリアスは大丈夫だとエディは思った。
さっきまでのアグエリアスは死んだ目をしていた。
生きることに疲れ、この世界に絶望している。
そんな目をしていた。
エディも両親とマッシュを亡くした時はきっとアグエリアスと同じ目をしていただろう。
あの活力に満ちた力強い眼差しなら、アグエリアスはこの世界を生き抜いていける。
エディは確信した。
「なぁ、アグエリアス!
俺と一緒にイーターのいない楽園を見つけにいかないか!?」
エディはアグエリアスに右手をつきだした。
「・・・楽園か・・・
そんなとこがあるかわからないが、お前と一緒に行くのも悪くないかもな!」
アグエリアスはエディの右手をしっかりと握り、仲間になるという意思表示の握手をエディとしっかり交わした。
「よし!
決まりだ!!
これからのことはめしでも食って考えよう!
俺はいったん車取りに行ってくる!」
エディは充電していた車を取りに戻り、アグエリアスの車の横につけて、民家に戻った。
「ほらよ!」
アグエリアスが缶詰めを投げて渡した。
「おっ!
豚足じゃん!!
もらっていいの!?」
「あぁ!
俺はこれがある」
アグエリアスは魚の缶詰めをエディに見せた。
二人は缶詰めを食べながら地図を広げた。
「とりあえず、物資集めが最優先かな~
武器や食糧も集めておきたいな」
「人もな!
人数が多ければ多いほど出来ることも多くなるし、それこそ町を造ったりも大人数ならば可能なんじゃないか?」
「確かに!
じゃあ物資の調達も兼ねてここを拠点に人探しをするってことでどう!?」
「賛成だ!
じゃあまだ日も暮れてないから、とりあえずこの町で物資を集めに行くか!」
エディとアグエリアスは物資を集めに行くために民家を出た。
「1人で大丈夫かエディ?」
アグエリアスが心配してエディに聞いた。
「平気平気!
アグエリアスも平気そうだな!」
「あぁ!
銃もあるし、とりあえず自分の身は自分で守れる!」
アグエリアスは銃をエディに見せた。
「まぁ俺は基本的に刀を使うから、銃はめったに使わないがな」
「それは頼もしい」
エディはアグエリアスをからかうように言った。
二人は別々に物資の調達のために出掛けて行った。
二人が物資の調達に出て2時間が経過していた。
日が暮れ始めてきたころ、2台の車がダンハに入ってきた。
車はアグエリアスとエディの車の横に止まった。
ーバタンッ!
車から6人の男が降りてきた。
全員散弾銃を肩にかけている。
「おい!
ジャック!!
これ見ろよ!!」
散弾銃を肩にかけた40代くらいのライダースを着た髭面の男がスキンヘッドの黒人の男に話しかけた。
「ほ~!!
こりゃあすげ~な!!
限定デザインのポリシェじゃね~か!!」
ジャックはアグエリアスのポリシェを眺めていた。
ーガチャ
「・・・う~む
こいつぁ最高の車だ!!」
ジャックは満足気に頷いていた。
「カッコいい車だぜ~!!
なぁキー付いてるか!?」
二人はキーがついていないことに気づいた。
「おーーーい!!!
ジャックーーー!!!
スピナーーー!!!
こっち来てみろよ!」
仲間の1人がジャックとスピナーを呼んでいる。
二人が民家に入ってリビングに向かうと、食べ終わった缶詰めの空がテーブルに置かれていた。
「これを開けたのはついさっきだな!!
見ろよ!!
缶切りだ!
しかもここに缶詰めを開けた時の汁がついてる!!
まだ新しい
生きた人間が居やがるな!!」
ジャックは、缶切りを舐めながら邪悪な笑みを浮かべた。