さらば友よ
「俺を殺してくれ・・・」
マッシュは苦しそうに息をしながらエディに頼んだ。
エディは知っている。
イーターに噛まれてしまえば、数分後か、数時間後かにはイーターに変貌してしまうということを
マッシュをイーターにはさせない!
マッシュを今殺せば人間としてマッシュは死んでいける。
頭ではわかってる。
しかし・・・
「なぁエディ・・・
お前はいい奴だな
昨日会ったばかりの俺のために泣いてくれてる・・・」
「何言ってるんだよ!!
俺達は仲間だろ!?
会った期間なんか関係ない!!
友達なんだ・・・」
エディは震える手を押さえながらマッシュの顔を見た。
マッシュは目を閉じているが、笑っているように見える。
そして、最後の力を振り絞るようにエディに言った。
「一緒に行けなくてすまない・・・
お前は絶対に死ぬな!
こんな世界でも必ず希望はあるさ・・・
だか・・・ゲホッ!ゲホッ!
だからお前は生きろ!
もう・・・もう意識が無くなりそうだ・・・
頼む・・・俺を殺してくれ!!
人間のまま死なせてくれ!!」
マッシュはエディの服を掴み泣きながらエディに懇願した。
エディは大粒の涙を流し、マッシュを地面に寝かせて棒を握りマッシュの額に鋭く尖った棒の先端を向けた。
「お前にはまた必ずいい仲間が出来るさ!
最後まで迷惑かけたな・・・
ありがとう・・・」
ードッ!!
マッシュは額を貫かれ一撃で絶命した。
エディは棒を引き抜くとその場に崩れ落ちのたうち回りながら大声をあげて泣いた。
何も今は考えられない。
地面を転がりながら何度も何度も地面を殴った、殴った、殴った殴った!!
手の甲が血塗れになった。
ーアァァァァァァァァァ
ーオォォォォォォォォォ
イーターが7体エディの泣き声を聞き、集まって来た。
エディはイーターに気付き、ゆっくりと立ち上がって泣きながらマッシュの鉄パイプを手に取り、イーターに向かい走りだした。
ーゴガッ!!
鉄パイプをフルスイングして痩せた男のイーターの頭を割った。
続けてその後ろから来た恐ろしい表情をした老女のイーターの頭もフルスイングした。
ーグシャ!!
2体のイーターがエディを食おうと接近してくる
が、エディは左手側の男のイーターの膝を折るつもりでおもいっきり蹴飛ばした。
ーバキャッ!!
イーターの膝はきれいに折れて、まるで椅子に座ったような格好になった。
と、同時にもう1体がエディに組み付いてきたがエディはイーターを突き飛ばして間合いを取り、足を折ったイーターの頭を殴り、突き飛ばしたイーターの頭をフルスイングしてグシャグシャにした。
後ろから新手のイーターが5体、前には3体、西側の森からは10体以上。
エディはイーターに包囲された。
「俺が食いたいんだろ!?」
ードガッ!!
「腹を裂いて内蔵を食いたいんだろ!?」
ーグシャッ!!
ーズドッ!!
「だったら・・・」
ーボガッ!!
ーガグッ!!
ーボグシャッ!!
「俺が先にお前らを食ってやる!!!」
ーズシャッ!!
ードガッ!!
「ハハハハハハッ・・・
アハハハハハハハッ!!!!!」
エディは迫りくる群れから逃げようともせずに戦い続けた。
車を背にして、前から来るイーターを殺しまくった。
すでに22体のイーターの死体を作り上げた。
エディは車の運転席に入り、助手席にある鞄の中からナイフを取り出して、窓越しにいるイーターの群れに向かい合った。
運転席の窓を半分開けて、近くのイーターの額にナイフを突き刺していった。
次々とイーターが倒れていく。
イーターの数が減っても、エディはまだ満足出来ない。
「まだ足りない・・・
もっとだ!!!」
エディは右手にナイフを左手に鉄パイプを持って、次々と森から出てくるイーターの群れを殺しに行った。
3時間でエディは63体のイーターを皆殺しにした。
エディが着ていた灰色のパーカーはどす黒いイーターの返り血を浴びて真っ黒に染まっていた。
「北へ向かおう・・・」
肩で息をしながらTシャツ1枚になったエディは車に乗りこんだ。
「ありがとう・・・
マッシュ・・・」
エディは窓を開けてマッシュのために祈り、それから北を目指してゆっくりと車を走らせた。
マッシュの死体は顔に灰色のパーカーが被されていた。