希望
エディとマッシュは真っ暗な森をひたすら走る。
途中でイーターに遭遇したりしたがなんとか逃げ切った。
「ここなら大丈夫そうだ
イーターの足音がしない」
エディはマッシュにそう言って木にもたれ掛かりながらゆっくり地面に腰をおろした。
マッシュもエディの横に座った。
「あのさ、さっきは何で戻ってきたの?
あのまま俺を見捨てて行けば俺の鞄も車も両方手に入ったじゃん?
こんな危険な目に合わずにすんだのに」
マッシュはエディの問いにハハッと笑ってから答えた。
「お前が俺を助けてくれたからに決まってんだろ!?
助け合いだよ、助け合い!!
こんな世の中でも、人間が人間らしさを忘れちまったら本当にもう救いが無くなる
俺達はイーターとは違う!
お互い人間同士助け合って行こうぜ!!」
「こんな世界になってからあんたみたいな人間と久しぶりに出会ったよ・・・
あんたいい奴だな!」
「その台詞はそっくりそのままお前に返すよ!
ところでエディ
お前はこれからどっか行く宛とかあんのか?」
「・・・いや・・・無いよ
とりあえず安全な場所を探していろんな場所に行ったけど、結局安全な場所なんて無かったから」
「じゃあよ~
俺と一緒に旅しね~か!?
そんで安全な場所を探しに行こうぜ!!!」
エディは目をつむり少し考えてみた。
『こんな世界でも必ずあなたはいい仲間が見つかる!
だから、絶望しないでエディ
私達の分まで生き延びなさい!!!』
母の最後の言葉が甦った。
(母さんの言った通りだ
マッシュはいいやつだ)
目を開けてマッシュの方を向いた。
「俺も行くよ!
一緒に楽園を探そう!!」
マッシュは大喜びしてガッツポーズをした。
「これからよろしくな相棒!!」
「あぁ!!
よろしくなマッシュ!!」
エディはマッシュと握手を交わした。
それから二人は交代交代で見張りをして、なんとか無事に朝をむかえた。
「ふあ~ぁ・・・
朝飯の調達に行こう」
エディは寝ぼけ眼でマッシュに言った。
「そうだな!
とりあえず車にもどるか?」
「俺の鞄に朝飯がある
バランス栄養食品だけど、なかなかうまいよ!
あ~・・・
オートミールって食えるかい?」
「俺はあのオートミールを固めた栄養食品が昔は大嫌いだったが、こんな世界になってから食いまくっているうちにいつの間にか大好物になった!
ありがたくいただくよ!」
二人は道路を目指して歩いた。
途中4体のイーターに遭遇したが二人は力を合わせて撃退した。
「おっ!?
あっちだ!!
道路に出たぜ!!」
マッシュは駆け出した。
「おーーーー!!!
見ろよエディ!!
1日ぶりの再開だぜ!!」
マッシュは車に駆け寄っていった。
車は無事だ。
エディの方を振り返ってOKサインを出した。
ーガブッ!!
車の下にイーターが隠れていた。
マッシュは右足首をイーターに噛まれてしまった。
マッシュは噛みついて離れないイーターの頭を鉄パイプでブッ刺した。
エディは呆然とその場に立ち尽くすことしか出来なかった。
目の前の光景がまだ信じられなかった。
「あぁ・・・クソ・・・
終わった・・・」
マッシュはその場に座りこんだ。
自分のこれからの運命を悟ったのだった。
「なぁエディ!
こっちへ来てくれ」
マッシュはエディを手招きして呼んだ。
エディは涙が止まらなかった。
マッシュは出会ってからまだ1日も経っていなかったが、この地獄のような世界で初めて仲間と呼べるような存在になれる男だった。
エディはゆっくりとマッシュの方へ近づいていった。
「エディ・・・ごめんな
お前を誘ったこの俺がこの様だ・・・
俺はもうすぐイーターになる・・・
エディ・・・
お前に嫌なお願いをしていいか?」
エディは涙を拭きながら頷いた。
「俺を殺してくれ・・・」