表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デッドワールド  作者: ヘルシーもやし
1/17

俺は諦めない

2017年 第3次世界大戦が勃発


2019年 第3次世界大戦終結


2030年 太陽光発電の技術が大幅に進歩


2040年 太陽光発電が進歩し、電気を必要としない生活に


2053年 癌の特効薬が開発される


2054年 8月14日 死者が突然甦り生者を食い殺す事件が全世界で発生


2054年 8月18日 甦った死者をイーターと名付ける。

死者が甦る原因は謎のウィルスによるものと断定。


2054年 10月20日 イーターにより全世界の60%の人間が死亡しイーターに変貌



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


2055年 4月2日 アメリア合衆国 ルーマンの山奥


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・

撒いたか!?」


エディ・アルメール19才はイーターにより世界が崩壊してから今日までずっと一人で生き残っていた。

彼の目の前で両親がイーターに食い殺されてしまった瞬間から、彼は一人になってしまった。

行き場がなく、地獄に変わってしまった世界を一人でさ迷い続け

た。

エディが一番つらかった時期はやはり冬場だろう。

空き家に入りイーターに見つからないようにクローゼットで毛布にくるまって寝たり、物資を求めて寒くて危険な雪道を何十キロと歩いたこともあった。

彼はこの厳しい世界で誰の手も借りずにたった一人でイーターと戦い生き残ってきた。

そして、彼は先日ここより7キロ離れたオリベイラの町で物資の調達中にイーターの大群に襲われ、追われてルーマンの山奥に逃げ込んだ所だった。


ーガサッ


「・・・!?」


何かの足音が聞こえた。

エディは手に持っていた杖状の木の棒を構えた。


アァァァァァァ・・・


土色の生気を失った顔、食欲に支配され生き物ならば何でも貪り食う怪物、服装からして男のイーターが木々の間からエディを食おうと近づいてくる。


「・・・しつこいな

もう鬼ごっこにも飽きてきたよ!

今度は・・・」


エディは背負っていた登山用のかばんを地面に置くと173㎝の小柄な体でイーターめがけて疾走した。


「俺が鬼だ!!!」


エディはイーターに近づくと手に持っていた杖状の木の棒をイーターの左頭めがけて横に凪ぎ払った


ーグシャッ


イーターは頭部をくだかれ地面に崩れ落ちた。

エディの茶色い肩までかかりそうな長さの髪の毛にイーターの黒い返り血がかかった。


「うぇ~!!

最悪だ!

また町に行ったら服を調達しなきゃ」


エディは鞄を拾い再び歩きだした。

1時間くらい南東に向かって歩いていると、道路が見えてきた。


「おっ!!

道路だっ!!

やっと森から出れた~!」


エディは道路に出て、辺りを見回した。

どうやらイーターは近くにはいないらしい。

道路には車が何台か乗り棄てられている。

エディは停まってあったワゴン車にイーターがいないことを確認してから乗り込んだ。


「ちょっと休憩していこう」


エディは鞄から飲料ゼリーを1つ取り出して、一気に飲みほした。


「あと1時間もすれば暗くなるな・・・

移動はまた明日にして今日はこの中で寝るかな」


エディは車のかぎをしめて後部座席に移動して座席に寝ころがり

目を閉じた。

どのくらい寝ていただろうか、エディは外から聞こえてくる人の声で目を覚ました。


「・・・れか・・・けて

・・・いか・・・れ・・・」


うまく聞き取れない。

声の主はけっこう遠くにいるみたいだ。

エディは声が聞こえた方に行くか行かないか迷ったが、行ってみることにした。

エンジンをかけて車の窓を全開にしてから声が聞こえた方に向かった。

しばらく直進していると森の方から声がした。


「誰かーーーー!!

助けてくれーーー!!!」


男の声が聞こえた。

森の奥からだ、エディは車から下りて声のする方に小走りで向かった。


「ハァ・・・ハァ・・・

誰かいないのかーーー!!!

頼む・・・

頼むから誰かいたら助けてくれーーー!!!」


声の主を発見した。

だが、イーターに囲まれているようだ

男の顔は暗くてよく見えないが、がっしりとしたたくましい体格で、タンクトップと迷彩柄のズボンをはいている。


「オラーーッ!!

くそ野郎!!」


男は鉄パイプを振り回してイーターの群れと戦っている。

彼の足下にはすでにイーターの死体が4体転がっていた。


「加勢するよ!!」


エディは棒で男女のイーターの頭部を叩き潰しながら男に加勢した。


「助かったぜーー!!

オラッ!!」


男が鉄パイプの先っぽで女のイーターの右目を深く突き、脳に達して絶命した。

包囲網の抜け穴が出来た。

すかさずエディは穴を広げるため近くにいた男のイーター2体の頭部に向けて棒をおもいっきり振り回した。


ーグシャッ!!


「今だ!!

早く!!

今殺したイーターの所から包囲網を抜けれる!!

そしたら真っ直ぐ走れば車があるからそこまでいくぞ!!」 


群がってくるイーターを殺しながら包囲網をなんとか突破することが出来た。

二人は走った。


前から2体イーターがきたが二人はイーターの頭部を正確に殴打して絶命させた。

車まであと100メートルくらいだろう。


ーアァァァァァ・・・


「俺はエディ!!」


棒の先で前方から新しく来たイーターの頭部を貫きながら自己紹介した。


「さっきは助かったぜ!!

サンキューな!!

俺はマッシュ・・・だっ!!!」


鉄パイプで横から来たイーターの頭部を殴打してマッシュも自己紹介した。

二人はなんとか道路に出た。


ーアァァァァァ・・・


ーオォォォォォ・・・


車のすぐ近くにイーターが7体いる。


「マッシュ!!

俺が囮になるから車のエンジンをかけてくれ!!」


キーをマッシュに渡してエディは車から離れてイーターを大声で引き付けた。

その隙にマッシュは車の助手席から運転席に乗り込み、エンジンをかけた。


「よしっ!

あとは乗り込むだけだ」


ーアァァァァァァァァァァァ・・・


エンジンの音に引き寄せられたのか、エディの声に引き寄せられたのかはわからないが、イーターの群れが森の中からぞろぞろとやって来た。

数は30体くらいだろうか、エディはワゴン車のマッシュにハンドシグナルで車を前進させるように指示をした。


(車を取り囲ませる訳にはいかない)


車に向かう奴とエディに向かってくるイーターもいる。

エディは囲まれないように近くのイーターを殺しながら少しずつワゴン車に接近していく。

しかし、イーターがワゴン車に向かってくるのが早いのでマッシュは車を少しずつ前進させながらエディを待つ。


「まずいぞ・・・

どんどん奴等の数が殖えてく・・・」


10体ずつくらいのイーターの群れが車を進めるごとに次々とやって来た。 


「エディ!!

早く車に来ーーーーい!!!」


マッシュは思わず叫んだ。

しかし、エディの状況をみて悟った。


(無理だ・・・エディはここまで来れない・・・)


エディはそこら中からやって来るイーターを交わすのがやっとで、どんどん車から遠ざけられていく。


行けっ!!!


エディは自分の今置かれている状況を理解してマッシュに目で自分を置いて先に行くように合図した。


ここまでか・・・


エディは自分の運命がここで尽きようとしているのを悟った。


悔いはない。

もうこの世界で生きている理由がない。

両親もいない、友達も、恋人も・・・

でも、最後に人助けをして無事にマッシュを助けることが出来た。

これで俺は天国に行けるかな・・・

またみんなに会えるかな・・・


エディは涙が止まらなかった。

死を間近に感じて恐怖で震えが止まらなかった。

イーターがエディのもとへとどんどん接近してくる。

おそらく、50体以上はいる。

エディは棒を力強く握りしめた。


「どうせ死ぬんなら、最後くらい大暴れしてやるよ!!!

かかって来い!!!

最後の最後の本当の最後の時まで俺は足掻いてやる!!!」


エディは棒をイーターの頭部めがけて力強く振り払った。


ーバキッ!!

ーゴキッ!!


端にいたイーターの頭部を砕き、返しの刀でその横のイーターの頭部も砕いた。

その時だった。 


ージリリリリリリリ!!


エディが音の方を確認するとキッチンタイマーが西側の道路で鳴り響いている。

その音に釣られてエディを囲んでいる30体以上のイーターがキッチンタイマーの方へ向かった。


「エディーーーー!!

こっちだーー!!」


マッシュが東側のイーターを殺しながらエディを呼んでいる。


「お前を絶対に見捨てない!!!」


エディは涙が止まらなかった。

涙を左手で拭いて右手の棒をイーターの右目に突き刺してマッシュのもとへと進んでいく。

そしてついにエディは包囲網を再び抜けてマッシュと森へ駆け込んだ。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ