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冴えない俺が創竜の騎士になって、全ての世界を救うまで  作者: ベルゼリウス
The snake laughs by night ~蛇が嗤う夜~
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突然の来訪者



「はぁ……」


 朝方の、人が少ない教室で、ため息をつく。

 そして、顔を伏せた。


『……ここが学校か。 しかし、シンイチよ。 何故、そんなに不機嫌なのだ?」

「うるせえよ。 少し考えさせろよ……」


 頭の中で、ヘルディオスが問いかける。

 学校を登校する以上、ヘルディオスの姿を見せてしまったら大問題だ。 そのため、俺の中に入ってもらっていた。

 俺は無性にイライラしていた。 別にヘルディオスの声が五月蠅いとか、そんなのじゃない。

 答えは分かっている。 勝手なのは分かっている。

 しかし、この気持ちを、この苛々をどう発散すればいいか悩んでいた。

 おまけに俺の中には、ヘルディオスが頭の中で些細なことを質問してくる。

 普段の俺なら気軽に答えるのだが、今の状況ではどうすることもできない。


『まさか、今朝の事か?』

「……」


 正直、理解ができない。

 いままで悪と思っていたものが、正義の味方だったなんて俺は認めない。 ……認めたくない。

 そうさ。 本当にそうだったとしても、俺は認めない。

 両親を亡くした俺から自由を奪ったあの家が……世界を守っている守護者だとしても。


『まあいい。 しかし、竜創寺が守護者なのは事実だ。 できれば接触を取りたいんだが……』

「嫌みか、それ?」 

『……どういう意味だ?』

「あー……お前、俺の記憶を視たと言っていたが……本当に少ししか視てないんだな」

『当たり前だ。 必要最低限しか、視ていない。 他人の記憶には興味は無いし、そもそも記憶を見たのはこの世界の一般常識を知るためだ』


 そこまで聞くと、俺はフン、と鼻を鳴らした。


「まあいいぜ。 急には行けないが、その辺のつてはある。 ……そもそも、俺も行きたいと思っていたところだ」

『つて、というのが分からないが……本当か? なら、話が早い』


 ヘルディオスは嬉しそうに声を弾ませる。

 俺は今後の予定を調べるべく、携帯を開こうとする。

 と、その時、肩に激しい衝撃が走った。 とりわけ、痛くはなかったが、突然の事に俺は驚いた。


「よ、新一。 起きてるか―?」

「……前田か」


 事の犯人が前田だと知ると、俺は親の仇のように前田を睨み付けた。


「おお、怖い怖い。 そういや、知ってるか? 今日、校門前にかわいい外国の女の子がいたって話」

「……外国の? いや、知らないが」


 そんなもの見てないし、聞いてもない。

 そもそも、それに気づいていたとしても俺には関係のない話だ。


「なんでも、これまたアルビノらしくってさ。 全身真っ白だったらしいぜ?」

「へぇ……」


 どうでもいい。

 アルビノだろうが、なんだろうが関係のない話は首に突っ込まないたちだ。


「だからさ……」


 前田が話を続けようとした、その時だった。


「おーい、前原はいるかー?」


 その声は教師からだった。 廊下から顔をだし、こっちに来いと手招きしている。


「あ、はい」

「お、なんかやったのか~?」

「うるせえ」


 再び、前田に睨み付け、俺は教師のもとへ駆け寄る。

 すると、教師もめんどくさそうに視線を逸らした。


「どうしました?」

「いやな、お前にお客さんが来てるんだ」

「お客さん、ですか?」

「ああ。 それも、外国の……真っ白なお嬢さんだ」


 真っ白……まさか、前田が言っていたやつのことか?

 しかし、ここまでくると、どうも胡散臭くなる。

 だが、客として来てるなら拒否するのは無粋すぎる。


「その方はどこに?」

「会議室だ。 何でも一人で話がしたいらしい」

「……分かりました」




 俺は教師に一礼すると会議室に向かった。

 さすがに、HR前だからか、廊下の人だかりは少ない。

 おかげでスイスイと目的地に着いた。

 

「ここか……」


 会議室。

 普段なら、生徒会とか教師たちの会議などで使われる部屋だ。

 そんなものとは無縁の俺にとっては、まったく足を踏み入れたことはない。

 俺は一息つくと、コンコン、とノックした。


「……失礼します」


 まるで、面接のようだ、と心の中で苦笑しながら部屋に入る。

 その瞬間、俺は息を飲んだ。

 ……いた。

 確かにアルビノだ。

 髪の毛もまつ毛も、何もかも真っ白だ。

 ただ、それに隠れるように顔には深い傷跡が見受けられる。

 それでも、その女の子は綺麗だった。


「あなたが……新一さん、ですね?」

「え、あ、まあ……」


 驚くことに日本語もかなり上手い。

 驚きっぱなしの俺に声が響く。


『気をつけよ、シンイチ……こやつ、ただの人間ではない』

「え?」

『魔力の波長が常軌を逸している。 間違いない、こやつ魔女だ』


 それを聞いて、俺は納得した。

 確かに異様だ。 なにも感じれない俺から見ても、この女の子は何かがおかしいと感じる。

 ……でも何故、俺の元に?


「ああ、自己紹介が遅れました。 私、竜創寺家当主様に仕えております、ミコトと申します」


 ……ヘルディオスの言ったことが信憑性が高くなってきたな。

 どうやら、こいつは悪の手先らしい。 魔女、か。

 いかにもそれらしい。


「早速ですが、本題に入らせていただきます。 あなたには……この学校を休学してもらいたい」

「は、はぁ!?」


 俺の驚いた声が、会議室に響き渡った。



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