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いつか終わる関係の構築は


学園を歩けば突き刺さる視線とヒソヒソと話される噂話。

ラウンジのことがもう広まったらしい。女子独自の情報網は本当に怖い。

まぁ、それだけ彼らが有名人ってことなんだろうけど。

「だいたい、名前からして有名人なんだよね」

焔火、水無月、大地、五十嵐。どこも優秀な魔術師を輩出している名家だ。

しかも、元素マナを冠する彼等の家は名家中の名家。


元素マナとはこの世界に漂う魔法の源であり生命の源でもある。大きく火、水、土、風、光、闇、無の7種に分けられる。

火、水、土、風は文字通りのものを表し、光は身体に影響を及ぼす治癒魔術、闇は精神に影響を及ぼす魔術や使役魔術が挙げられる。

無は元素を使いこなせないものを指す。

多くのものは無であり、元素を使いこなせるものは多くはない。ただし、潜在能力的なもので、ある日突然“覚醒”する。それは0歳かもしれないし、死に際かもしれない。多くは5-10歳までに覚醒する。これは血筋や才能がものをいう部分でもある。


そして、魔術師は国で管理され、国の利益の為に生きることが義務付けられている。

その為、政治家や軍人、研究者、医者や教育者には魔術師が多い。

そういう点では、無属性の人は自由だといえるのかもしれない。


例えば、軍人を多く輩出しているのは火を扱うのが得意な焔火家と土を扱うのが得意な大地家。

医者を多く輩出しているのは、水を扱うのが得意な水無月家。

教育者を多く輩出しているのは、風を扱うのが得意な五十嵐家。

ほかにも色々あるけど割愛。


まぁ、そういうわけで、彼らは顔良し、家良し、と玉の輿を願う女子にとっては特上物件なのだ。


「と、言うわけで、出来るだけ接触は控えてください」

「なんで?言いたい人には言わしておけばいいでしょ。ボクは百目鬼せんぱいが好きなんだもん。好きな人と一緒に居たいと思うのはいけないこと?」

こてん、と首を傾げる五十嵐陽翔。

「それは…。」

有名人と関わりたくない。というのは私の私情であって、彼等には関係ないのかもしれない。でも、

「その気持ちはまやかしです。惚れ薬によって強制的に上げられた好意なんですから。」

わたしがそう口にすれば見るからに元気をなくしていく五十嵐陽翔。その姿になんだか申し訳なくなる。


「百目鬼が疑うのも仕方ない。惚れ薬を口にしたのは事実だからな。だけどな、今ある気持ちを否定する権利もないだろ。」

焔火隼人の射抜くような眼差しに思わずたじろぐ。

「俺は、百目鬼が好きだ。今この瞬間の想いは今の俺の想いだ。だから、否定しないでくれ。」

「焔火さん…」


「百目鬼、難しく考えなくていい。オレがお前のこと好きだってことわかってくれていたらそれでいいから。」

言葉に詰まった私をあやすかのように頭を撫でる大地亜樹。そんな私に視線を合わせて

「百目鬼ちゃん、これから長い付き合いになるんだ。気楽にいこ?ね?」と水無月智昭は微笑んだ。

「…はい」

そんな彼らを見て、私はただ頷くしかできなかった。こんなにいい人が私みたいな人に惚れるなんて彼らが憐れで、早く惚れ薬の効果が切れてしまえばいいのに。そう強く願った。



そう、だって、

メンドクサイから。



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