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第九話 気持ち

 ハルトが担任の話を聞き終え、会長と奏を探していた。てっきり教員の休憩室の前や、玄関ホールで待っていると考えていたが、二人の姿は何処にもなかった。

「・・・待ってろと言ったのに。冷たくないか?」

ハルトは会長に電話をする。だが、一向に出なかった。仕方ないので奏に電話する。

『あ、ハルト君』

「・・・奏、待ってろと言っただろ。どこに居るんだ?」

『あー、私は先に帰らせて貰いました。用事のある会長さんがどうしても先に帰っていろと言うので・・・。本当は私も待って居たかったのですが。何も言わずに帰ってしまってごめんなさい』

「・・・いや、いいんだ。しかし会長の奴、そんな事を言ったのか。気を悪くしないでくれ、どうせ何も考えずに言っただけだ」

『いえ、私は気にしてませんから。ところでどうかしたんですか?』

「・・・いや、奏に帰れと言っておいて、あいつも帰ったみたいなんでな」

『あはは、そうなんですか。ひどい事をしますね会長さん』

「・・・いや、酷過ぎるだろ。イジメかと思った。それじゃあ、明日学校でな」

『ええ、また明日』


 奏がハルトからの電話を切ると、目の前に縛り上げた会長を見る。

「はあ、もう少しスマートにやりたかったのですが、思わぬ失態をしてしまいましたね。でも、ハルト君が間抜けで助かりました」

奏はケイタイをしまいながら、会長の魔石のイヤリングを指でいじる。

「こんな魔石さえなければ、ただの非力な少女を縛り上げなくても済むのですが。この前の事も合わせて謝罪させてもらいますね」

奏はそう言って、会長の口を塞いでいたガムテープを剥がした。

「いたっ!・・・っ」

「そう睨まないでください。アナタには聞きたい事があるだけですから。本来ならこんな手荒な真似をする必要はないんです。ただ、先輩のマグの実力は相当ですからね。下手に抵抗されては返り討ちになってしまいます。だから、今回も前回も仕様がなかったんです」

奏は不気味に笑いながらそう謝罪した。会長は奏を睨むつけるが、内心は恐怖で一杯だった。

「き、聞きたい事ってなによ」

「アナタの祖父、この学園の理事長についてです。理事長は今どこに身を隠しているのですか?」

「はあ?お祖父ちゃんについてぇ?・・・あんた何言ってるの、お祖父ちゃんがこの学園の理事長なんて、私は知らないし。それにお祖父ちゃんはもう死んでるわよ・・・」

「理事長だと知らない?・・・ああ、父方の祖父ではなく、母方のほうですよ」

「お母さんの・・・?そんなの会った事もないわよ!」

「・・・。あんまりつまらない冗談は言わないでくださいね。拷問とかはしたくないので」

「ご、拷問って・・・。馬っ鹿じゃないのぉ、知らないったら知らないのよ!」

奏はただ笑いながら会長を見つめた。その目は笑っておらず、不気味に曇っていた。

「それに、なんで理事長を探してるのよ!分けわかんないわぁ」

「探している理由を言うと思ってるんですか?でも、特別に教えてあげますよ。私の目的はこの学園の理事長を殺すこと。つまり、クリネリのトップの暗殺です」

「あ、暗殺とか馬っ鹿じゃないの。どこの馬鹿に頼まれたら、そんな馬鹿な事しようと思うのよ!」

奏の笑みが少しずつ消えていく。

「誰でもない、私自身の意思です。あと、馬鹿な事をしている自覚はありますので」

「わかってるならなんで、そんな事するのよ」

「理由が知りたいんですか?あまりオススメはしませんよ」

「人を殺す程の理由が有るなら言いなさいよ!人殺しを正当化する理由なんて有るわけないじゃない」

「正当化?なぜ正当化する必要があるんですか。人殺しに善悪をつける時点で、おかしな話ですよ」

「あんた何言ってんのよ!」

と、奏は会長に息がかかるほど顔を近づける。その目は真っ直ぐに会長を見つめていた。

「うっ!?」

「人殺しが悪いと思える人生を歩んで来たんですね。私も、最近そう思えるようになってきたんです。だから、私は頭がおかしいんです」

「な・・・」

「だから、あいつらを全員殺してやったんです。でも、頭を潰さないと意味がないんです。理事長を殺さないと意味がないんです」

奏は無表情で淡々と言った。

「なんなの・・・あなたはなんなのよ・・・」

「私は暗殺者です。生まれてからずっと」


 ある所に少女がいた。彼女の仕事は人を殺すこと。親は小さい頃に死んだらしい。弟は、物心が付いた頃に、自分の目の前で頭に電動ドリルで穴を開けられて殺された。アサシン集団に育てられた彼女には、別段脅える様な事ではなかった。

「お前も、ああ成りたくなかったら逆らうな」

そう耳元で暗殺者の一人に囁かれる。

「はい」

彼女の仕事は、要人の子供を攫う事が多かった。子供なら相手も油断し、ターゲットの子供もすぐに心を開いてくれた。子供が助かる確率は高く、殆どが親の要人へと帰された。だから、彼女はあまり人を殺す事はなかった。もっぱら子供の指を切り落としたり、痛めつける事が多かった。

「おい、あいつらまだゴネる気だぞ」

「なら、一日起きに子供の指を一本ずつ送りつけろ。ちゃんと素敵な映像も添えてな」

そんな話があると、彼女の出番だ。暗殺者たちは、子供の彼女が要人の子供を傷つける様を嬉々として映像に収めた。

「最高だな。あいつ笑いもしないで、機械みたいに。楽しんでやってる俺たちより、狂ってるな」

彼女に転機が訪れるのは、今より一年前であった。

 いつもの様に子供を攫ってきたのだが、相手との連絡が付かず、脅す事が出来ずにアサシンたちは途方に暮れていた。

「まいったな。これじゃあ、殺すわけにもいかねぇし。おい奏、連絡付くまでそのガキの面倒見とけ。痛めつけたりするなよ?電話越しで子供の悲鳴を聞かせたやりたいからな。壊れて悲鳴も上げなくなっちゃ台無しだ」

「わかりました。さあ、こっちです」

まだ10歳程の子供の世話を任せられた彼女は、数ヶ月のあいだ子供の世話をした。

 初めての仕事だった。子供はすぐに彼女に懐いた。目をギラ付かせた狂人しかいない空間では、機械の様な彼女でもまともに思える。彼女もまた、初めて常人と長い間一緒に生活した。

「奏、やっと連絡がついたぞ。さて、仕事に取り掛かるか」

いつもの様に要人は抵抗した。悪には屈しないだの、要求を呑むわけにはいかないだのと常套句をほざく。彼女は言われた通りに、一緒に生活してきた子供の指を切り落としていく。だが、一本、二本、指を切ると同時に心がなぜか痛んだ。

 子供の指が全てなくなっても相手の要人は、頑なに要求を拒んだ。

「強情な奴だな。おい、子供の首を送りつけるぞ」

業を煮やした暗殺者たちは、これ以上の脅しは無意味と感じ、本人を暗殺する事にした。その前に、プレゼントとして子供の首を送る粋な計らいをしようとする。

「殺さなくてはだめですか?」

彼女はそう聞いた。

「・・・?いま何て言った」

「あの子を殺さないといけないんですか?もう十分じゃないですか」

「手足の指もなく、全身傷だらけで、顔なんてパンパン、精神も壊れてるんだぞ?狂ってる俺だって、生きてるよりは死んだほうがマシだとわかる」

「でも、生きてます。なぜ殺すんですか?もう本人を殺すことにしたんですよね。なら、この子を殺す理由はありません」

「話が噛み合わないな。死んだほうがマシだって言ってるんだよ。殺す理由とかじゃなくさあ」

暗殺者たちは困惑した。人を殺すことになんら躊躇しない狂った自分たちでさえ、奏が狂っていると感じた。

「なら、裸になって土下座でもしろ。そうしたら子供を生かしてやるよ」

暗殺者の誰かがそう言った。奏は服を脱ぎ土下座した。

「ぷっ!マジかよ、こいつ頭イかれてるぜ」

「おいおい、大丈夫かコイツ?」

「あははは!次は四つん這いになって犬の真似しろよ」

狂った暗殺者たちは、より狂った彼女を見て笑った。ひとしきり彼女で遊んだ後、隊長格の暗殺者が右腕を真っ赤に血に染め、子供の頭を持って入ってきた。

「お前ら、コイツを新鮮な内にラッピングしとけ。それとクリスマス用の箱あっただろ、あれに入れよう。綺麗に飾り付けてプレゼントだ。ん、お前ら何やってんだ?」

隊長格の暗殺者は首を投げ渡し、そう言った。

「なんで・・・?なんで殺したんですか?」

彼女は信じられないといった顔で言った。

「は?なんの話だ。それより奏、服を着ろ風邪を引くぞ。今度はこいつの親を暗殺しに行くんだから、くしゃみなんかしたら大変だろ」

「・・・」

彼女は素早く隊長格の暗殺者に掴みかかると、懐から魔石を奪った。本来なら他人の魔石は発動しない。しかし、その時は違った。彼女は黒い機械鎧に包まれると、その場の全ての暗殺者を殺した。そして子供の頭をやさしく持ち上げると、どこかへ消えてしまった。


 会長は奏が何を言っているのか理解できなかった。

「あ、暗殺者ぁ?そんなの・・・居るわけない。ちょっとぉ、漫画や映画の見すぎじゃないの。病院行った方がいいわよ」

「・・・。あー、なんと言うか。そちらが何者かと聞いといて、理解せず、信じもしないで、相手を否定するのは良くないと思いますよ」

「な、なんで私が説教されなきゃいけないのよ!」

「いえ、そんなつもりは・・・。ただ、私は穏便に済ませたいんですよ。情報さえ貰えればそれで良いんです。理事長の居場所さえ教えて貰えれば・・・もう人は殺したくないんです」

「だから、知らないって言ってるでしょ!」

一向に話は進まず、奏も会長もストレスが蓄積していく。

「はぁ、仕方ないですね」

奏はため息を付くと、ケイタイを取り出しいじり始める。そして会長に見える位置に置いた。画面には、数字が時間を示していた。

「5分ごとに、指一本です。全部なくなる前に話してくださいね」

そう言って、奏は普通のナイフを曲芸の様に取り出した。

「はぁ?それ、冗談で言ってるのよね・・・?」

会長は、素晴らしい手つきでナイフを取り出した奏に言った。

「大丈夫です。大抵は無くなる前に言いますから」

「・・・それ、言いたくても、知らないから言えない人はどうなるのよ・・・」

「さあ?今までそんな人はいませんでしたから。素直に言った人と強がって死んだ人しかいませんよ?」

「なによ・・・それ・・・」

「エリン先輩は強がって死なないですよね。こんなの痛いだけで、意味ありませんから。で、理事長はどこにいるんですか?」

会長は悲鳴を上げ暴れるが、会長の体は紐でがっちりと固定されており、無駄な抵抗だった。そして5分経過の音が鳴る。


 ハルトにとって会長の優先度は低かった。任務の内容は『理事長の暗殺』であり、いち生徒に過ぎない会長を暗殺者から守る事は、まったくの無駄。暗殺者の始末も、本来は任務を遂行する上では必要なことではない。ただ、邪魔なだけだった。だが、校舎に一人残されたハルトは、そう頭で考えていても会長の痕跡を探した。

「・・・クンクン」

ハルトは会長の僅かな残り香を辿った。犬のように真剣に床を嗅ぐ。

「・・・玄関ホール。ここにある程度留まっていたようだな。この長椅子に座った痕跡、隣は奏の匂いか」

ハルトはどこに行ったか匂いを辿る。が、会長の匂いは玄関ホールからは動いていなかった。

「・・・玄関に向かった匂いはないか。空気中の香りはもうないし。地面に付いた匂いはここから動いてはいない」

ハルトは周囲を見渡す。だれもいない、いたって普通の玄関ホールだった。だが、忍者特有の鋭い眼が、一つだけ鍵の掛かっていない窓を見付だ。窓に近づくとほのかに奏の匂いがした。

「・・・窓に向かって奏の匂いが続き、窓のふちにも匂いが。奏はここから帰ったのか?・・・おちゃめだな」

ハルトは窓を開け、外に出る。そこの地面も奏の匂いが付いており、匂いはそこで終わっていた。

「・・・ほうほう」

ハルトは考えた。ここから匂いを残さずにどこかに行くにはどうするべきか。

「・・・上か」

ハルトは上を向く。そこには足を掛け易そうな突起物があった。

 それを確認するとハルトは、窓から校舎の中に戻った。

 あくまでハルトは会長を探しているのであって奏を追っているわけでない。ハルトは玄関ホールに戻ると直ぐに、地面へ這い蹲り、匂いを嗅いだ。

「・・・なるほど」

ここでハルトは気が付いた。僅かだが、奏の足跡の匂いがズレていることに。それは雪道で足跡が付き、その足跡を使って来た道を後ろ向きに進むことで、あたかも行きの足跡しか残さない。そんな事をしたような匂いのズレ。まるで犬並みに匂いのわかる人物を巻くような行動。しかし、忍者の嗅覚は犬以上だった。

「・・・さっきの窓はわざと匂いを残し、外に行ったと惑わせる罠なのか?・・・そうなると奏は、匂いを付けた後に、会長を担いで後ろ向きで戻っていったと。・・・おちゃめすぎるだろ」

ハルトは、奏の足跡の匂いを床を這ういながら嗅ぎ、追った。途中でハゲ散らかした担任に会ったが、宗教上の理由でしていると言うと、何も言わずに生暖かい眼差しで見送ってくれた。

「ピピピッ、ピピピッ」

ハルトは近くの備品室で、何かが鳴る常人には絶対に聞こえない僅かな音を聞いた。

 床に伏せた居たハルトは、素早く身を起こすと備品室まで行き、忍具(ピッキング道具)を使いドアの鍵を一瞬にして開錠した。

「・・・!?」

血の匂いがハルトの鼻を突く。ハルトが音を立てずに備品室の奥へと行く。


 そこにはぐったりとした会長と、その会長の指を切り落としている奏がいた。

 余りの痛さに気を失ったであろう会長の右手にはもう指がなく、いまは左手の薬指を切っている最中だった。

「・・・奏。さすがにおちゃめでは済まされないな、それは・・・」

ハルトが後ろから言葉をかけると、奏はビクつきながらこちらを見た。

「ハルト君、どうしてここに?」

「・・・それはこっちが言いたいな。あと、気絶している相手の指を切断するなんて、素人の拷問以下だな」

奏は手を止めて立ち上がった。

「ハルト君、これには色々と事情があるんです。出来れば見なかった事にしてほしいのですが。そうすればお互い幸せになると思います」

奏は照れ笑いをしながらそう言った。

「・・・そうか。なら、会長を置いてどっかに行け。俺が処理しておいてやる」

「あー、そう言う訳にはいかないんですよ。この人には聞きたい事がありますので」

およそ常人では正気を保てない空間で、二人は陽気な午後の他愛無い談笑のように会話した。

「・・・そうか」

「なので、お引取り願いたいのですが。嫌だというのなら、それ相応の対応をするまでですが」

「・・・悪いが、目の前で殺されそうになっているソイツをほっとく訳にはいかない」

「大丈夫です、私は殺す気なんてありませんから。答えさえ貰えれば、この人には用はないです。まあ、答えないで勝手に死ぬかもしれませんが。それはそれで困るんですよね」

そう奏が困ったように言い終わった瞬間、ハルトは疾風の如く奏との距離を詰めた。もちろん奏もハルトの動きを完全に(とら)えており、迎撃する。ハルトの手刀は奏の首に食い込み、奏の一本突きがハルトの腹へと突き刺さる。と、ハルトの手刀の衝撃で、奏の左目球がポロリと床に落ちた。

「あー、左目の義眼が」

奏は空の左目を触りながらそう言った。ハルトは素早く距離を取る。そしてハルトはやっと相手の正体に気がついた。

「・・・左目。視力を奪う程度の傷だと思っていたが」

「ああ、これはバレない様に刳り抜いて、義眼にしたんですよ。負傷した目を隠せば一発でバレちゃいますからね」

奏は首を痛そうに触りながら、落ちた義眼を拾った。

 ハルトは手加減をして攻撃した事を悔いた。てっきり頭がイカれた一般人だと思っていた。だが、相手はあのアサシンだった。

「・・・治療すれば治る傷だったはずなのに、自ら刳り抜いたのか。信じられん馬鹿だな」

「なぜ馬鹿にされなければならないのですか?」

「・・・普通、聞くか、敵にそんな事」

この時、ハルトは内心焦っていた。先程の奏の一本突きでハルトの腹部には穴が開いており、先日の足の負傷も相まって全力で戦える状態ではなかった。

「ハルト君、アナタが只者ではない事がわかりました。今の動きといい、前に戦った時の動きといい。普通の人じゃ無理です。まるでアイツらみたいです」

そう言って、奏の顔付きが変わる。確実にこの場で始末すると覚悟を決めた顔だった。ハルトは奏の言うアイツらが誰のことかはわからなかったが、殺したい程憎んでいることだけは伝わった。

 奏は魔石を二つ取り出す。一つは白い丸石、もう一つは黒くゴツゴツとした小さな岩の様な魔石だった。

「サバトラ、シベトラ」

ハルトはただその様子を見ているしかなかった。傷のせいもあるが、何よりも奏の殺気で動けなかった。メスゴリラと戦って以来の緊張。おもわず生唾を飲み込んでしまった。

「ぁぁぁぁああああ!」

黒い鬼の様な機械鎧に全身を包まれた奏の周りに、白い雲がふわふわと浮かんでいた。奏はその雲を掴むと、咀嚼(そしゃく)し始めた。ゴクリと雲を飲み込むと、奏は準備体操をするように首を鳴らし始める。

「・・・これは・・・まずいな」

ハルトはその光景を見つめながら思考した。あの黒い機械鎧は蛇々丸から聞いた話しで身体能力を異常に高めるものだと推測していたが、あの白い雲がどんな効果を持つのかは検討もつかなかった。一体あの雲を食べて何になるのだろうか、ハルトが危機感もなく考えていると。

 ハルトの顔面に奏の拳が食い込んだ。

 ハルトは無様に回転しながら壁へと叩きつけられる。あまりの強烈な打撃に、まともに食らう前に衝撃で吹き飛んだ。お陰でハルトは一命は取り留めたが、鼻はへし折れ、口の中はズタボロだった。

「・・・は・・・へ・・・い」

忍者の目を持ってしても、拳が一瞬で拡大したように見えるだけだった。蛇々丸程度では到底勝てる相手ではなかった。アサシンの超人的な肉体を、さらにマグで強化する。恐ろしい話である。だが、ハルトはこれと同等かそれ以上の相手と戦ったことがあった。メスゴリラである。

「・・・ふんっ!」

ハルトは格好付けて起き上がると、素早く忍刀を逆手に持ち、姿勢を低くして両手を手を交差する独特の構えを取る。奏は追撃もせずにその様子をただ見ていた。

「・・・いい事を教えてやろう。この前はそこの会長が居たから忍術を使わなかった。だが、今日は存分に使わせてもらう。・・・死ねっ!」

奏はまったく反応をせず、ただハルトを見つめた。

「・・・忍術『四方霧中』」

ハルトがそう言うか言わないかの次の瞬間、備品室は一瞬にして煙に包まれた。視界がなくなった奏は首を挙動不審に動かし、辺りを探る。いたる所から物音がする。奏は直ぐにこの煙に紛れて、攻撃をしてくると気づき、あえて攻撃を受けてからの反撃をする態勢へと移る。

「っつ!?」

が、しばらくして煙が晴れるとハルトの姿はなく、ぐったりとしていたはずの会長とその指も消えていた。


 ハルトは情けなくも撤退を成功させ、会長とその指、そして会長のマグを持ち去ることが出来た。

 校舎から離れた園芸部の管理する自然公園の茂みへと隠れると、会長の傷の手当を始めた。ハルトは会長の指に残り少ない秘薬を塗ると、丁寧にくっ付けて包帯を巻いていく。そして最後に、会長の耳にマグのイヤリングをつけてやった。

「・・・秘薬を全て使ってしまったか。・・・くそ、コイツに全部使ってしまうとは何をしているんだ俺は・・・」

ハルトは自分の腹の傷や顔に塗る前に秘薬を使い切ってしまう。痛そうに血の滲む腹を摩りながら、立ち上がると耳を澄ませた。

「・・・逃がしてはもらえないか」

ハルトは茂みを飛び出し、広場へと躍り出る。と、同時に黒い塊が地面をえぐりながら、轟音と共に着地した。

「ぁぁぁぁあああああああ!」

咆哮を上げる奏に、ハルトはビビる。

「・・・ふぅー」

とても人の目とは思えない、獣のようにギラついた目がハルトを捉える。

 ハルトは覚悟を決め、折れ曲がった鼻を元の位置に戻すと、左手と左足を前に、右腕と右足を後ろに引いたシンプルで素直な基本的の構えをする。ハルトは左手の平を奏に向けると、また深く息を吐く。

「・・・ふぅー」

ハルトが息を吐き終わらない内に、奏は攻撃を繰り出した。

 文字通り目にも留まらぬ速さで近づき、弾丸の様な速度でハルトの顔面に向けて拳が放たれる。

 ハルトはその攻撃が見えてはいなかった。が、左の手の平で感じる風で、反射的に攻撃が来たことを体が感じ取り、顔面へ攻撃が届く前に避ける。と同時に、引いていた右手の掌打を奏の腹部へと叩き込む。

 だが奏は、その攻撃にまったく動じずに追撃を続けた。

 ハルトは、奏の一撃一撃を命がけで避けた。時折右手の掌打を奏に入れたが、奏にダメージを与える事は出来なかった。

 そして決死の攻防の末、ついにハルトは奏の攻撃を腹部に食らってしまう。駄々をこねた子供が投げ捨てた人形のように、ハルトは吹き飛び地面に叩きつけられる。

「あああぁぁぁっ!」

奏は咆哮と共に、すぐさまハルトへと追撃をするため飛んだ。

 ―だが。

「『シャイニースプラッシュ』!」

その叫び声と共に茂みの中から、まばゆい光が走る。

 そして跳躍して空中にいた奏は、無数の光の弾丸に飲み込まれる。

 茂みの奥から、黄金に輝くドレスの鎧を身にまとった会長がゆっくりと姿を現した。


 会長は吹き飛ばした黒い機械鎧に更なる追撃を行った。

「『サンシャインストライク』!」

頭上の巨大なクリスタルから放たれるマッハ5弱の黄金の弾丸が光る線となり、黒い機械鎧に直撃する。土煙を上げて吹き飛ばされる黒い機械鎧を見つつ、会長は倒れるハルトのもとへとゆっくりと歩いていく。会長は少しずつハルトとの距離を詰め、その間も頭上から追撃の弾丸は放たれ続けた。

「はぁー・・・はぁー・・・。ハルト、大丈夫なの?」

息を乱しながら、会長は倒れるハルトのもとへ辿り着き話しかけた。ハルトはその声を聞きゆっくりと立ち上がる。

「・・・かなり・・・やばい」

「そう・・・」

ハルトが会長の顔を見ると、今にも泣き出しそうな顔をし、手足を震わせていた。

 当たり前の反応だ。つい先程まで、一般人として常軌を逸する体験をしたばかりなのだから。立ち上がり、その怨敵に立ち向かうなど、どれ程の恐怖だろうか。

「あれって、奏よね?」

「・・・そうだ」

「っ!?」

会長の全身が震える。先程の拷問が脳裏をよぎる。会長を恐怖が包み、口の震えを抑える事が出来ずにガタガタと音を鳴らす。だが、会長は追撃の手を緩めず、奏に弾丸を当て続けた。

「ああああああ!」

突然、けたたましい咆哮が上がる。黒い機械鎧の奏は立ち上がっており、怒り狂うように鳴いていた。会長がそこにマッハ5弱の弾丸を撃ち込むが、奏はソレを手で掴み取る。

「うそ!?」

「・・・見せすぎたか。・・・俺の後ろに下がれ」

ハルトはよろよろと会長の前へと出る。

「ちょっとぉ、どうするのよ?」

「・・・遅かれ早かれ、接近戦に持ち込まれる。その指じゃ剣は使えないだろ。接近戦になったら俺がやる」

会長は先程まで離れていた、今は動かない指を動かそうとする。

「うっ・・・。その通りだけど、あんただってボロボロじゃない」

「・・・安心しろ。俺はコイツより強い奴を倒した事がある。その時はこんなものではなかった」

「わかったわよ。あんたを信じて任せるわ」

会長はそう言って、追撃し続けた。


 奏が会長の容赦ない攻撃に、少しずつ体力を削られていた。余りの速さに光の線のように飛ぶ弾丸。しかし目が慣れれば掴み取れた。だが、腕には着実にダメージが蓄積していく。

「なんで?」

奏はそう誰にも聞こえない声を呟いた。

 たしかに会長の魔石は自分が奪い無力化したはずなのに、なぜ目の前でマグを使う会長がいるのか。皆目見当も付かなかった。

 それに、指を切り落とされてなお、泣きそうになり、震えながらも会長が立ち向かうのか。それも奏には理解できなかった。

「ああああああ!」

だだをこねる子供のように、奏は地面に当り散らした。自分の思い通りにならない苛立ち。今までの戦いで初めてだった。いや、人生で初めてだった。これ程までに清清しい苛立ちは。理事長へと向ける気持ちは偽善からくる正義の怒り。窮屈な使命感が付きまとう息苦しい物。だが、今の気持ちは違う。純粋で素直な人間として醜い感情。

『ムカツク』

腹の底からそう感じた。

「アアアアァァァァッ!」

黒い機械鎧の頭部の口が獣の様に変化する。体には無数の血管のような筋が走る。

 そこに会長の弾丸が突き刺さり破裂するが、奏は一切の痛みも衝撃もなかった。

 より魔石との絆が深まった。そう奏は感じた。黒い機械鎧が心地よく奏を締め付けたからだ。奏の醜く愚かな部分に黒い魔石は大いに喜んでいる。

「やっと、わかりました。アナタがあの時から私に味方してくれるのは・・・」

奏が黒い魔石に言い終わる前に、奏の憎悪は爆発し、無意識のまま二人へと突っ込んだ。


 何かもを吹き飛ばして突っ込んでくる黒い塊に、会長は素晴らしい反応をした。二つのクリスタルから毎分6万発、マッハ1強の光の粒が放たれる。

 だが無意味だった。まるで豆鉄砲をあしらう様に奏は構わず進み、ハルトと会長の前まで行き急停止する。一瞬の静寂。と次の瞬間、衝撃と爆音がハルトと会長を襲う。会長は吹き飛ばされた。ハルトは忍者特有の体術を使い何とかその場に留まる事が出来た。

「・・・」

奏はハルトを上から睨みつける。元々長身で、ハルトより少し小さいぐらいの奏は、黒い機械鎧を身に着ける事によってハルトを見下ろせるくらいになっていた。

「ハァァァ」

奏は怒りを抑えられないと言ったように、吐息を漏らす。

「・・・ふぅー」

ハルトは深く息を吐き、両の手を前に軽く出す構えをする。

「・・・ハンデをやろう。レディファーストで一発殴らせてやる」

ハルトは初めて笑顔を見せながら、奏を挑発した。

 奏は思いっきり右腕を引くと、体から軋む様な音を出し始める。尋常ではない威圧感が黒い瘴気と共に奏から放たれる。

「アアアァァァァ!!!」

咆哮と共に一撃必殺の突きが、ハルトの顔面目掛けて放たれる。初速で音の壁を簡単に破る突きに、ハルトの体は追いつく事は出来なかった。だが心は追いついた。

「・・・秘技『因果応報』」


 因果流に伝わる3つの忍奥義のひとつ。現在、この技を使えるのはハルトと十二代目の祖父だけである。そして、メスゴリラ戦で勝利を掴み取った技である。

 その正体は、必殺のカウンターである。

「!?」

放たれた必殺の突きがハルトの顔面に当たる。だがその感触はまるで無かった。次の瞬間、ハルトの体が反応する。柔らかな手付きでハルトの両手が、突き出された奏の腕をやさしく折り曲げる。そして吸い込まれるように、奏の腕が奏自身へと突き刺さった。

「ウゴアッ!?」

奏の体に、奏の拳がめり込む。それは奏の渾身の力とハルトが軌道変える際の柔らかな力が合わさったものだった。黒い機械鎧の全身にヒビが入る。

 因果応報。それは自身の攻撃が、そのまま自分に返って来る恐ろしい技だった。


「・・・スゥッ」

ハルトは息を吸うと、素早く停止する奏の腹部に蹴りを叩き込む。奏の体から黒い機械鎧はボロボロと崩れ落ちていった。そこには右目だけ白目を向き、立っているのが限界の奏が現れる。

「惜しかった、・・・ですね」

奏の右目がギョロリとハルトへ向く。奏の体が限界を超えて動き出し、ハルトに対して一本突きを放つ。

「・・・動けるのか!?」

 ハルトは防ごうと両腕を上げる。が、肘から先の骨が粉々に砕けており、ぐにゃりと曲がる。先程の秘技の際に、粉々に砕けていたのだった。

「・・・お見事」

ハルトがそう呟いた瞬間、奏の一本突きがハルトの胸に突き刺さる。


 その光景を吹き飛ばされた会長は、唖然として見ていた。

「そんな・・・」

ハルトの胸に奏の指が深々と突き刺さり、ハルトは力なくその場に崩れ落ちる。

 会長は恐怖に震える体に渾身の力を込める。逃げ出したかった。だが自尊心と正義感がそれを許さなかった。

「ふざけんじゃないわよ・・・」

ここで逃げ出せば、ハルトは殺されるだろう。

「私が・・・」

奏には絶対に勝てないだろう。それは分かっていた。

「ぶっ倒す!」

だが、勝てないと分かっていても、会長は立ち上がり、奏と戦う覚悟を決めた。


 奏は崩れ落ちたハルトを見下ろして、とどめを刺すかどうかを考えていた。

「なぜだか、とても清清しい気持ちです。どうしてなんですか?」

もう動かないハルトに奏はそう問いかけた。

「・・・」

もちろん返事は返ってこなかった。奏は倒れているハルトを覗き込む。

「どうして、先程までの感情の高ぶりが無いんですか?私はまたあの頃に戻ってしまったのでしょうか」

奏がハルトを抱え起こそうとした時、奏の全身を強い覚悟を秘めた波動を感じた。

「!?」

奏が視線を向けると、そこには黄金に輝くドレス姿の会長が仁王立ちしていた。

「ぶっ倒す!」

会長はそう奏に言い放った。奏はすぐに黒い魔石を探した。

「あれ?」

奏の黒い魔石は粉々に砕け散っており、一番大きいものでも小石程度だった。

「まあ、これで十分でしょう」

奏はその小さな黒い魔石を拾うと立ち上がる。

「サバトラ・・・」

奏は黒い瘴気に包まれ、一瞬にして黒い機械鎧姿になる。

 会長はその姿を見て、生唾を飲み込む。しかしもう気の迷いはなかった。奏を倒して、ハルトを助ける。もうそう決めていたのだ。会長のそんな気持ちに、マグのイヤリングが共鳴する。

「なんだか知らないけど!力が沸いてくるわ!」

会長の全身に力が漲ってくる。そして黄金の輝きが増した。

「だから?」

奏はそう呟くと、問答無用で会長に突っ込んだ。


 もちろん奏は一撃で会長を(つらぬ)くつもりだった。しかし予想外の事が起こる。なんと会長も奏に突っ込んだのである。

「!?」

奏は先程の戦い方から、会長は遠距離射撃戦を仕掛けてくると考えていた。しかし、あえて奏に接近戦を挑んできた。

 二人はそのまま衝突する。驚くことに会長は奏の突進を受け止め、更には奏の一本突きも掴んで止めた。

「ンギギギギィィ!」

会長は切断された指に力を込めて奏の腕を掴んだ。本来なら動かないはずの指だったが、会長のゴールデンドレスが動くように補助していた。

 奏は掴まれる腕に力を込め、会長の目をくり貫こうとする。

「あー忘れてました。そう言えば私、先輩に聞きたい事があったんでしたね」

「だから知らないって言ってるでしょうがぁ!」

そう会長は叫ぶと、掴んでいた奏の腕を放す。奏は目玉をくり貫こうと突くが、その攻撃は会長に避けられる。

 会長は素早く手をかざすと、何処からとも無く大剣が会長の手に治まる。

「『ゴールデンラッシュ』!」

会長は大剣の乱舞を奏に叩き込むが、すべての斬撃を受け止められる。お互いに引けを取らない攻防が続く。


 ハルトは会長の叫び声で目を覚ました。直ぐに体の負傷箇所を確認する。肋骨は砕け、内臓も破裂。腹と胸には指が刺さった穴。鼻には血が堪り、両腕は粉砕されている。とても戦える状態ではない。

 だがハルトは素早く立ち上がり、会長と奏が戦っている様子を目視した。そして会長と目が合う。お互いにまだ目に光がある事が分かった。


 会長の大剣乱舞を潜り抜けて、奏は拳を叩き突けていた。

「うげっ!」

だが会長の攻撃が止まる事は無く、奏を攻撃し続けた。

「やめてください。見苦しいだけですから」

「そっちこそさっさと倒れなさいよぉ!」

会長の攻撃は奏に受け止められ、奏の拳は会長の腹部にめり込む。

「うっ!」

会長の顔が歪む。だが会長は痛みを堪え、手に持つ大剣を離すとそのめり込む腕をガッシリと掴んだ。

「?」

奏はなぜ腕を掴んだのか理解できなかった。だが会長はにやりと笑う。

「『シャイニースプラッシュ』!」

会長がそう言うと、いつの間にか奏と会長の周囲に飛んでいた二つのクリスタルが輝き、毎分6万発の光の粒が二重にかさなり二人を襲う。

 奏はその場から退避しようとするが、会長はその腕を離さず、二人は光に飲み込まれる。たった数秒だろうと、およそ数千発の光の弾が飛んでくる。マグの武装で防御を固めた二人だったが、浴び続ければ死ぬ恐れがあった。会長は歯を食いしばり耐え、奏は咆哮を上げた。

「アアアアアァァァァァァ!」

奏は一発一発は大した事は無いが、自分がもってあと数十秒だと感じた。会長は、己を犠牲にして自分を倒すつもりだと分かった。この腕を掴んでいる自己犠牲野郎を、一撃で葬る。簡単に答えは出た。

「ァァァァアアアッ!」

奏は必殺の一本突きを渾身の力で、会長目掛けて放つ。目の前は光に満ちており見えないが、掴まれている手の感触で何処に居るか手に取るように分かった。

 だが。

「?」

奏の一本突きが当たる前に、目の前の光が無くなる。そして会長が自分の腕を掴む感触が無くなる。

「っ!」

奏が気付いた時には、目の前に会長は居なくなっており。代わりにハルトが立っていた。

「・・・『因果応報』」

奏は渾身の一本突きをハルトに放ちつつ、己の失態を悔いた。もし、ハルトが相手ならこの攻撃は絶対にしなかった。もうそのカウンター技は知っているからだ。自分の攻撃がそのまま返って来る。会長相手だから渾身の力を込めたのだ。ハルトが相手なら絶対に、絶対にしなかった。そう会長相手だから―

「アアアアアア!」

止まらぬ攻撃と奏の咆哮。ハルトは砕けた両腕に力を込める。砕けた骨を、鍛え抜いた筋肉で無理矢理固める。そして、奏の攻撃を優しく包みお返しする。

 奏に自身の一本突きが突き刺さる。と同時に、ハルトの両腕が肘からグニャリと下に垂れる。

「ウゴッ!?」

「・・・」

ハルトはもう本当に限界だった。あの光の弾の中、会長と入れ替わり。砕けた両腕を無理矢理動かし、本日二回目に『因果応報』。ハルトは気力だけで立っていた。もしまだ奏が動けたなら、本当に何も出来ずに死ぬだけだった。

「・・・」

奏の黒い機械鎧が崩れ落ち、奏が現れた。奏は目を見開き、真っ直ぐにハルトを見ていた。

「・・・」

「あと、少し・・・」

奏はそう呟くと、ハルトに向かって一本突きを放った。ハルトは全てを諦めて目を瞑る。

『グキッ』

奏の指は力なく折れ曲がり、ハルトの体に優しく当たっただけだった。そして奏はそのままハルトに向かって倒れ、ハルトもまた、そんな奏を支える事が出来ずに倒れた。

「ぐえっ!?」

二人の足元には会長が倒れており、二人は重なるように会長に倒れたのだった。ハルトの意識は徐々に薄れていき、最後には無くなった。



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