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第八話 この物語のヒロインは会長ではない

 朝、会長が目を覚ますと、自身がソファーの隣に座るハルトにもたれ掛かって寝ていたのに気がつく。ハルトは目を瞑り、腕組をして静止していた。会長は思わずハルトを殴ろうとするが、ハルトは素早く手を掴む。

「・・・なぜ殴ろうとする?」

「な、なんとなくよ」

「・・・おはよう」

「お、おはようございます」

会長はゆっくりと立ち上がり、歩こうとする。まだ体が重たく感じるが、歩くことが出来た。肩や太ももの傷も痛くない。

「すごい、昨日の疲れや傷がかなり回復してる」

「・・・秘薬の力だ」

「ふーん、その秘薬ってなんなの?すっごい怪しいんだけど」

「・・・企業秘密だ。だが、ものすごく貴重なモノだ」

「そうなんだぁ。その、ありがとう・・・」

「・・・なんだ急に」

「昨日の礼。まだ言ってなかったし」

「・・・」

お礼を言った会長は、黙って見つめるハルトに、つい外方(そっぽ)を向いてしまう。

「お風呂入ってくるっ!」

「・・・わざわざ言わないで、さっさと行けばいいだろ」

「うるさいっ!絶対に覗かないでよね、覗いたら殺すわ」

「・・・」

「フンッ!」

会長は寝室へと行き、着替えやタオルを持って風呂場へと向かった。残されたハルトはケイタイを取り出すと電話をかける。

「・・・蛇々丸か」

『兄者か!?昨日は帰ってこなかったから心配したぞ。たしか会長との再戦だったらしいが何かあったのか?』

「・・・会長との戦いの後、アサシンの襲撃にあった」

『な、なんだって!それでどうなったんだ』

「・・・撃退した。が、裏を返せば取り逃がした。多分、春原ハルトが裏の人間だということも、相手に知られた可能性がある」

『それはまずいな。兄者が暗殺される恐れも出てきたわけか』

「・・・最悪の結果だ」

『しかし、なぜアサシンが現れたのだ?昨日の時点では、兄者が忍者だとは知らないはず』

「・・・アサシンは会長を襲撃した」

『会長を?アサシンのターゲットは会長なのか!』

「・・・そうなのかもしれない」

『解せんな。娘っこの生徒会長なんぞ、いつでも殺せたはず。なぜこのタイミングで』

「・・・何か訳が有りそうだな」

『しかしてどうする?』

「・・・昨日の戦闘でアサシンの左目を潰した。蛇々丸は左目を負傷している人間を探せ。アサシンは昼間は俺と同じ学校関係者として潜り込んでいるはずだ」

『承知した。見つけられなかった場合はどうする?』

「・・・見つけ出せ」

『・・・・・・。御意御意、草の根分けても見つけ出そう』

「・・・まかせたぞ」

ハルトは蛇々丸への連絡を終わらせると、しばらくして会長が風呂から上がる。

「あースッキリしたわぁ」

「・・・俺は帰る」

「ちょ、ちょっとぉ!待ちなさい」

「・・・なんだ」

「私にもアイツを倒すの手伝わせなさい」

「・・・駄目だ」

「ま、そう言うと思ったわ。でも、私はアイツのターゲットなんでしょ?ぎゃあぎゃあと指図する気はないわ。私を駒として使いなさい」

「・・・」

「あなたの言うとおりに動くわ」

「・・・危険だぞ会長」

「どっちにしろ危険でしょ?なら、怖がりながら襲われるのを待つなんていやよ」

「・・・わかった」

「あと会長会長と呼ぶのをやめなさい。私には錦野エリンって名前があるんだから、名前で呼びなさい」

「・・・わかった・・・エリン」

ハルトはそう言って窓まで行く。

「ちょっとぉ!呼び捨てにしないでよ!私は年上なんだから、さんを付けなさいさんを!」

「・・・じゃあまた学校でなエリン」

ハルトはそう言って、窓から飛び出した。

「だから、さんを付けろって言ってるでしょぉぉ!」

会長は飛び去るハルトに叫ぶが、ハルトは気にせず消えていった。


 ハルトは自分の寝室へ帰ると、制服に着替える。そして、何事もなく居間へ行く。

「あーハルト、おはよう」

音子はもう起きており、朝食を先に食べていた。

「今日は起きるのが遅かったねー」

「・・・ちょっとな」

「いつも僕より早く起きてるのに珍しいね。ハルトの分のご飯も作っといたよ」

「・・・悪いな。今日は俺の当番だったのに」

「気にしない気にしない。一緒に生活してるんだから、持ちつ持たれつだよ。それにハルトが作るご飯は・・・ねぇ」

「・・・俺の作る飯がどうかしたか?」

「別にー」

ハルトは朝食を終えると学校へ行った。教室へ行くと普段通りに席に着き、音子や大石たちと他愛無い話をする。予鈴がなり、いつもの様にハゲ散らかした担任が入ってくる。

「・・・!?」

ハルトはすぐに気付く、ハゲ散らかした担任の左目には眼帯がしてある事に。

「あ!先生、左目どうしたんすか?」

「ん、ああこれね。物貰いで腫れちゃって」

当たり障りのない話をする生徒と教師。ハルト以外はその光景になんら不信感を抱かない。だが、ハルトは違った。鋭くハゲ散らかした担任を見つめる。

(・・・まさか、アサシンなのか?こんな堂々と俺の前に出るか?いや、あえて出たのか?)

ハルトの頭には、担任へ対する疑惑や違和感が錯綜(さくそう)する。と、ハルトは担任と目が合ってしまう。思わず視線を外すハルト。

「じゃあ、朝のホームルームはじめますよー」

ハルトはアサシンの狙いがわからなかった。なぜ表の正体を明かすのか。いや、担任は本当に左目が物貰いなのかもしれない。あるのか、そんな偶然が。教師だから容易には休めず、仕方なく出て来ざるをえなかったのか。しかし、あの優秀なアサシンが自身の不利になる事をするだろうか。

「・・・」

ハルトは思考のるつぼに陥っていく。

(・・・待て、こうやって俺を惑わすのが狙いか?)

担任がアサシンかどうかを考えるのは、まずは蛇々丸の調査が終わってからでも遅くない。本当に遅くないのか。正体を確定させるのを遅らせるのが目的なのか。

「・・・くそ」

「どうしたのハルト?」

眉間にシワを寄せて悩むハルトに音子が話しかける。

「・・・いや何でもない」

結局、ハルトは午前の授業の間、ずっと思考する羽目になる。いかに無駄な労力を思考に費やした事か。昼飯時になる頃には、ハルトは疲れきっていた。

「ハルト、何か顔色悪くない?」

「・・・いや大丈夫だ」

容赦なく購買への買出しジャンケンに勝ちつつ音子が心配そうに言った。ハルトは立ち上がると購買へ向かおうとした。すると。

「あ、ハルト君」

と、教室を出て、すぐ凛とした奏に出会う。

「・・・奏か」

「また、購買ですか?」

「・・・ああ」

「フフ、丁度良いタイミングだったかもしれませんね」

「・・・?」

奏はそう言って、手に持っていた包みをハルトに差し出した。

「これ、このあいだ購買部で奢って貰ったお返しに、お弁当を作ってきたんです。よかったら受け取って貰えますか?」

「・・・ん、え、ああ」

「あと、無理やり頼みごとをして申し訳ありません。その埋め合わせもいつかさせて下さいね」

奏は笑ってそう言った。

「・・・頼みごと?」

ハルトはしばし考え、思い出す。大石に対して奏にちょっかいをかけるのをやめるよう頼まれていたのを。

「・・・ま、任せろ。全然忘れてないぞ」

「え~と、よろしくお願いしますね。フフフ」

ハルトが明らかに忘れていた事を察した奏だが、笑って去って行った。ハルトは奏の手作りお弁当を持ってすぐに教室へと戻る。

「あれ、ハルト早かったね。って、それお弁当?僕のパンは?」

「・・・この弁当をやる」

「え、いいの?」

ハルトは音子を放っておき、大石を探す。

「・・・おい、大石。ちょっといいか?」

「ん、なんだハルト?お、もしかして俺と食堂に行きたいのか?なんだなんだ、そんなに俺と一緒に食べたいのかぁ、ははは」

「・・・いや少し話があってな。出来れば静かに話せる場所がいいと思うんだが」

「じゃあ、食堂のテラス席の端っこだな。あそこはなぜか人がいねぇんだよなぁ」

ハルトは大石と食堂へ向かった。残された音子は、ただ呆然としていた。

「あれ、ハルト行っちゃったよ。なんで?」

と、いつもの様にしれっと無我野が弁当を持って机をくっ付けてきた。

「ん、ハルトはまた購買に買出しに行っているのか?それなら俺様もデザートを頼みたかったのに」

「いや、なんか大石と二人で行っちゃった」

「何?俺様を置いてか!?すぐに追跡せねば!」

「やめなってぇ、大石となんかあるんでしょ?ほっとこうよ」

「ほっとくだと!大石と二人っきりなんて、頭が悪くなるだけだぞ!」

「あのね、京牙と二人っきりの僕の身にもなってよ。こっちは頭が痛くなりそうだよ」

「フン、それは音子の属性値が足りないだけだろ。ハルトを見習って、深淵を覗く訓練をしたらどうだ?」

「ほら、これだもんなぁ。あれ、このお弁当、ハート型のドーナッツが入ってる・・・」

「なんだそのお弁当は?」

「ハルトから貰ったんだけど・・・」

「なん・・・だと・・・!?」

「いやいや、アレだよアレ。深い意味とかないってぇー。あははは」

「ハルトは不器用な奴だと思っていたが、こんな風にアピールしてくるとは・・・」

「えぇ!?ハルトがそんな事するかな?」

「ま、そうだな。ちなみに俺様にもドーナッツ分けてくれるんだよな?」

「いやだよ」


 ハルトが大石と食堂に着き、適当にタンプトップの浅黒い肌で丸太のような二の腕をピクピクさせているお兄さんに食券を渡すと、人気のないテラス席の端に座った。ハルトは辺りを見渡す。

 なぜ、あまり人がいないのか。理由は簡単だった。数組のカップルが自分たちの世界に熱中し、甘ったるい雰囲気を振りまいていた。食堂に食事をしにきた生徒が好き好んで、この空間に来るわけがなかった。大石とふたりでこの空間へ突入したハルトは、もしや自分は危険な状態なのではと感じた。

「お、あそこなんていいんじゃないか?誰にも邪魔されずに、存分に二人っきりだぜ!」

大石は、うれしそうにウィンクしながら言った。

「・・・おいやめろ」

「なんだよ、いつもはもっとやさしいのに。うりうりぃ」

大石はハルトにくっ付き、軽く首に手を回す。

「・・・いいからくっ付くな。さっさと席にいくぞ」

ハルトは素早く席に座り、大石も向かい側に座った。

「で、話ってなんだよ?」

「・・・ああ、それなんだが。なんと言ったものか」

勢いでここまで来たハルトだったが、どうやって話を切り出すかは考えていなかった。単刀直入に言って、切って落とすか。それとも、水で薄めてやんわり伝えるか。

「・・・あのな。そのー」

「なんだぁ?歯切れが悪いなー。いっつもクールなハルトらしくないなぁ」

「・・・何というべきか。岡田奏についてなんだが・・・」

「奏ちゃん?なんでハルトが奏ちゃんの話をするんだ?なんだ俺と奏ちゃんとの進行具合を聞きたいのか!」

「・・・いや、そういうわけではないが」

「じゃあなんなんだ?」

「・・・」

「・・・」

二人の間に沈黙が流れる。と、大石が気づいたように言った。

「もしかしてハルト、お前、奏ちゃんの事を好きになっちまったのか!?」

「・・・!?」

「そ、それでライバルの俺に宣戦布告をっ!」

「・・・いやそうでは・・・」

「ハルトッ!」

大石はそう叫び、腕組をして考え始めた。ハルトはその様子を見守った。

「俺はな、女とやれればそれでいい。つまり、エッチ出来ればいいんだ」

「・・・お前はなに最低な事を唐突に言っているんだ」

「いや、重要なことだ。俺は奏ちゃんを恋愛対象とは見ていない。可愛いからエッチしたいだけだ!」

「・・・そうか」

「で、だ!男の友情が壊れるときは、好きな女が被った時だ。俺は、俺はな、ハルトとの友情を取る!」

「・・・」

「はい、チャーハンの最強いっちょぉぉぉ!(ゴトンっ!)」

「俺はまだ人を好きになるとかあんまり分からん。エロい事しか考えてないからな。だからいつもクールなハルトが、俺なんかに嫉妬して奏ちゃんを奪おうとする気持ちも分からん」

「・・・俺も分からん」

「だがな、友情は分かる。ハルトとミニバレーで遊びたし、音子をからかいたいし、京牙の奴をシカトしたい。そんな日常を奏ちゃんごときに壊されたくない!」

「・・・奏もまさか、大石にごときと言われるとは思ってないだろうな」

「ハルトっ!俺は奏ちゃんを諦める!」

「・・・つまりもうちょっかい出さないって事だな?」

「当たり前だ。友達の好きな女に手を出すなんて最低な奴だろ!」

「・・・もう十分最低だがな」

「はい、トムヤンクンの最強いっちょぉぉぉ!(ドバシャァー)」

「ハルト、俺の分も奏ちゃんとエッチしてくれよな!あとトムヤンクンめっちゃかかったけど大丈夫か?」

「・・・もうどうでもいい」

思わぬ誤解とトムヤンクンの辛味がハルトの目から一筋の涙を流させた。だが、これで奏の頼み事は完了した。


 やっつけ仕事のような展開を経て、ハルトは午後の授業へと向かった。今日は午後の授業全てを使って、マグの発動、使用を教わる。

「いやー、長かったねぁ。今まで、マグの授業は座学ばっかりで飽きてきてたんだよ」

ジャージ姿の音子がそうハルトに話しかけた。

「・・・たしかにな。だが、それほどマグは危険なのだろう。・・・半端な知識で発動して怪我でもしたら問題だ」

「って、言っても、僕たち勝手に発動して遊んでたけどね。ハルトに至っては決闘までしたし」

「・・・思い出したくもないな」

「あははは」

その授業は、ハルトたちのクラスと隣のクラスの合同で行われた。長ったらしい教師の説明の後、生徒たちは待ちに待ったマグの発動の時間へとなった。

「一番大石いきまーす!」

いつも小脇に抱える魔石を、天へと掲げる大石。魔石が輝きながら溶け出し、大石を包む。

「おお!」

大石は全身を岩の様な物質で包まれ、さながらゴーレムのような姿になる。そして、一歩まえへと進み、轟音と共に倒れた。

「うおおお、起きれなぁい!誰か助けて!」

巨大なゴーレムがじたばたと地面でのた打ち回る。

「はい、皆さん。最初はこんな物なので、気にしないでどんどん恥じをかきましょうね。使っている内に、マグはより使いやすく、より強力に成長します。授業でやりましたね。はい、彩川君、それをなんといいますか?」

「あー、なんだっけハルト」

「・・・絆とかじゃなかったか」

「はい、魔石との絆ですね。音子君、他の人に答えを聞いてはだめですよ。魔石とアナタたちは絆で繋がっています。魔石を可愛がればそれだけ答えてくれます。大事に扱ってくださいね」

「はーい」

生徒たちは生返事をして、続々とマグを発動していく。

「黄昏よりも暗き存在(もの)、血の流れよりも赤き存在(もの)時間(とき)の流れに埋もれし偉大なる汝の名において、我ここに闇に誓わん、我らが前に立ち塞がりし全ての愚かなるものに、我と汝の力を示さん!『無彩色(ダーク)の(グラ)(ファイト)』」

無我野京牙が恥ずかしい事を叫びながらマグを発動させる。

「はい、魔石やマグに名前や技名を付けるのも、とても良いことです。より絆が深まり易いです。皆さんもお前とか、おいとか呼ばれるより名前で呼んで貰いたいですよね。あと無我野君、赤眼の魔王の力を借りる詠唱はやめてくださいね」

無我野の接着剤で額に付いている魔石が黒く輝く。と、次の瞬間、無我野は物凄くカッコいい鈍く銀色に輝く黒い鎧姿になる。

「うう・・・力が・・・溢れる・・・」

京牙が、自身の力を抑えられず暴走してしまうのでは、という(てい)で演技をしていると、黒い鎧がぽろりと落ちる。

「あらら」

京牙が黒い鎧を拾おうと屈むと、違う部分が落ちる。終いには鎧の大部分がぽとぽと地面へと落ちる。

「最初は凄いって京牙の事を見直したけど、あーあって感じ」

「・・・最初はあんな物だろう」

音子とハルトがくっちゃべってると、女子たちがわいわい騒ぎ出す。

「あー、奏ちゃんのかーわーいーいぃぃ」

「触らせて触らせて」

ハルトがチラリと覗くと、奏が白いふわふわした雲のようなものを手に持ち、女子たちに囲まれていた。

「動かせたりするの?」

「ええ、動かせますよ」

奏はそう言うと、白い雲はふわふわと宙に浮く。女子たちはそれを突いたり撫ぜたりして遊んでいた。

「さて、ハルト。僕たちの修行の成果をみんなに見せてやろうか」

よそ見をしていたハルトに音子はそう話しかける。

「・・・そうだな」

まずは、音子が魔石のリボンを取り出すと軽く触りマグを発動させた。光と共に、厚さ5センチの大きく縦長な鉄板が二枚、そして体のラインがくっきりでた赤いスーツを着た音子が現れる。

「おおお!」

「体のラインがっ!」

「クッキリと!」

なぜか一部の男子から人気のある音子に歓声があがる。

「なにやら変な視線を感じるけど、僕のマグの真骨頂はこれからだよ!」

音子は鉄板を横に段違いに浮かべると、低いほうの鉄板に座った。

「一つはテーブルに、もう一つは椅子に!ドヤッ!」

「なんと!」

「すごい便利!」

「キャンプで大活躍じゃないか!」

ハルトはそんな自分のクラスの光景を見て、もしかして自分たちのクラスは馬鹿ばっかりなのではと思った。

 しかし、他のクラスもたいして違いはないのだった。生徒たちは始めてのマグ発動に大いに楽しんだ。そんな様子を離れて見ていたハルトに奏が近づいてきた。

「ハルト君、こんな所に座ってどうしたんですか?皆さんみたいにマグを発動したりしないんですか?」

奏はハルトの隣に座りながらそう言った。

「・・・俺は結構マグを使ってるからな。今更発動してうんぬんをしてもな」

「へl、そなんですか。あ、そういえば先ほど、大石君に話を聞きました。もう私の頼み事きいてくれたんですね」

「・・・さっき?そうか昼休みにミニバレーをしないで何をしているのかと思っていたが」

「それで、なぜか私は大石君に振られちゃったんですけどね。君とは付き合えない諦めてくれって。フフ、大石君ってよく分かんないですよね」

「・・・いや分かり易いぞ。あれはただの馬鹿だ」

「あと、なぜかハルト君の事をよろしくって言われたんですけど、何なんでしょう?」

「・・・色々あってな」

「そうですか。でも、これでハルト君には借りが出来ちゃいましたね、どうしましょう」

「・・・借りか。甘い物を所望する」

ハルトはドーナッツが食べたいなと思った。

「フフ、じゃあ大石君を見習ってデートでお返しなんてどうですか?なんちゃって」

奏は少し恥ずかしそうにそう言った。

「・・・甘いのか?」

「え、え~と、どうですかね。甘くなるかは本人同士の努力しだいかと」

「・・・冗談だ」

「フフ、ハルト君って冗談とかも言うんですね。あ、お弁当どうでした?」

「・・・!?」

弁当を音子に渡したハルトは焦った。

「おいしくなかったですか・・・?」

「・・・チョーうまかった。・・・マジデ」

「よかったぁ、ちなみにドーナッツはうまく出来たと思うんですけど」

「・・・あのドーナッツはマジデ最高だったぞ。俺は(ドーナツが)大好きだ」

「え、あ、はい・・・そうですか」

少し赤くなる奏に、大げさに褒めすぎたかとハルトは思った。だが、一つ厄介ごとが片付き、デートなんかも「今度呑みに行きましょうよ」と同じ日本人特有の行かないこと前提の約束だと思ったハルトは、午前中の無駄な思考による疲れが緩和された気がした。


 授業が終わり、放課後になる。と、音子が包みを渡してきた。

「忘れてたけど、はいお弁当ご馳走様。そういえばいつの間にお弁当なんて作ったの?今朝は寝坊したくせに。って、もーしーかーしーて、お弁当をこっそり作るのに、夜更かししてたのか!」

「・・・そんな所だ。うまかったか?」

「びっくりするぐらいおいしかったよ。いつもは大量の鳥のササミ焼いただけとか、よくわかんない甘いドロドロの白い液体とか作るのに」

「・・・プロテイン飯な。あとササミはタンパク質が豊富で筋肉に効く」

「あれ、プロテインだったのか・・・」

「・・・ドーナッツはどうだった」

「へ、ドーナッツ?うん、まぁ、おいしかったよ」

「・・・そうだろう。音子の事を思って、心を込めた改心の出来だったからな」

ハルトは、さも自分が作ったかの様に言った。

「あーそうなの・・・」

音子は難しい顔する。

「・・・どうした?」

「別に、僕先に帰るね」

音子はそう言って走り去って行く。

「・・・どうしたんだアイツ。っと、弁当箱、奏の奴に返すか」

要らぬ誤解を振りまき続けるハルトは、弁当箱を持って奏の所へと行こうと教室を出ると、腕組をして会長が暇そうに立っていた。

「・・・」

ハルトは無視して奏の所へと行こうとする。が、制服の後ろ(えり)を捕まれる。

「ちょっとぉ、なんで無視するのよ?普通は話しかけるでしょ」

「・・・もう、お腹一杯なんだ」

「はぁ?なぁにそれ。遊んでないでまじめに昨日のアイツの事を考えなさいよ。今日の夜にでも、また襲ってくるかもしれないのに」

「・・・たしかにそうなんだが、少し用事がある」

「あ、そぉうなの」

と、会長はハルトから手を離す。ハルトは制服の襟を正すと奏の元へと向かった。そして会長も後へと続いた。

「・・・」

「・・・」

ハルトは振り返り、会長に話しかける。

「・・・なぜ付いてくる」

「だって、この後、アイツについて話し合うんだしいいじゃない」

「・・・」

「それともなに。やましい事でも、しに行くのぉ?言っとくけど、生徒会長として悪事は見逃せないわよぉ?」

「・・・そんなことはない」

「じゃあ、別にいいじゃない。さっさと用事を済ませましょうよ」

もうどうでもよくなったハルトは奏の元へと会長を背後に付け向かった。


 教室で窓を見ながら黄昏ている奏をハルトは見つける。

「フフッ」

奏は机に頬杖を付きながら、空を見つめながら一人で不気味に笑っていた。

「・・・おい奏」

「えっ!あっはい!私が奏です!って、ハ、ハルト君!どどどうなさいましたでしょうか!」

「・・・あ、いや、大丈夫か?」

「大丈夫です、大丈夫ですよ。あはは、あんな事やそんな事なんて妄想してないですよ。あははは」

「・・・そうか。これ弁当箱、返そうと思ってな」

「あ、あー、お弁当箱!いやいや、私が取りに行ったのに。ありがとうございます」

「お弁当箱ぉ?それが用事ぃ?」

と、ハルトの後ろから会長がひょっこり顔を出す。奏の顔が露骨に嫌悪を表す。

「ハルト、お弁当なんか作らしてるの?昼に生徒会室にくれば私の豪華なランチを分けてあげるのに」

「ハルト君、なぜ会長さんがいるんですかねぇ?」

「はぁ?居たら駄目なのぉ?これからハルトと用事があるのよ。そのついでにあなたの所によったのよ」

「ハルト君、なぜ会長さんがいるんですかねぇ?あはは」

「もしもーし、あなた耳が詰まってんのぉ?今言ったじゃない」

「私はハルト君に聞いたんですけど、そちらこそ耳にクソ!でも詰まっているんじゃないですか?」

「はぁ!?こんな下品な奴のお弁当なんか食べたのハルト?さぞ、下品なお弁当で苦痛だったでしょうね」

「ハルト君は、とってもおいしいって満足してくれましたけど?会長さんにも食べさせてあげましょうか?私の拳なんてどうですか、前歯全部ブチ折ってあげますよ?」

「ほんっとに下品ねぇ、ハルトにたかるハエみたい。あーくさいくさい」

「・・・おい、暗に俺をうんちと言ってないかソレ?」

会長と奏が睨み合って口喧嘩をしていると、さらに余計な人物が現れる。

「あ、ハルトさんこんな所に!部活の時間ですよ。さあ、今日も悪巧みをしましょう」

野地崎が元気よく現れる。

「・・・野の字。またややこしい」

「あら、先日のお二人が。ハルトさん、早速女子に粉をかけて勧誘しているんですね。さすがです!」

「・・・お前にはそう見えるのか。だが、ある意味助かったかもしれん。エリン、奏、悪いが俺は部活に出なければならない。とりあえず喧嘩はやめて解散としよう」

ハルトは部活を口実に、この場を有耶無耶にしようとした。

「あー、なんだか忙しそうなので無理に部活を優先しなくても大丈夫ですよ。私は空気の読める女ですから。存分に痴話喧嘩をしてください」

「・・・いや、俺は部活に出るぞ。さあ、行こう野の字。・・・お前、あとで覚えておけよ!」

ハルトは野地崎に耳打ちしながら、その場を離れようとした。

「ちょっとぉ!待ちなさいよ」

「ま、待ってください!私も行きます」

ハルトは野地崎を押して部室へと急ぐ、なぜか会長と奏も付いてきてしまった。

「いやー、部室に人がこんなにいるとは、私は感激だなぁー。どうぞ粗茶ですが」

「お湯じゃない」

「お湯ですね」

「・・・」

ハルトを挟んで座る会長と奏に、野地崎はお湯を出す。そして忙しそうにホワイトボードを出してくる。

「それでは今日はヒバゴンについて話し合いましょう。ヒバゴンは広島県に生息すると言われる類人猿型のUMAですね」

と、野地崎はホワイトボートにヒバゴンについての写真やイラストを貼り、説明・補足を書き込んでいく。

「ほへぇー、なに言ってるの、この子ぉ?」

「ハルト君、なんでUMA研究部なんて入ってるんですか?」

「・・・分からん」

「ヒバゴンの最古の目撃例は1970年に遡ります。しかし、1974年を境に忽然と姿を消してしまうんです!不思議ですねぇ?」

野地崎は首を傾げながら、ヒバゴンについて一人で熱く語っている。

「ハルト、こんな所で油を売ってないで、アイツに対する対策を考えましょうよ」

「ハルト君、なんで会長と一緒にいるんですか?何か弱みでもにぎられてしまったのですか?」

会長と奏は、野地崎の話を聞かずにこそこそとハルトに話しかける。ハルトは今晩のご飯はなんだろうと考えていた。ハンバーグだったらいいな、と思った。

「しかし!我々調査隊の懸命な捜索の結果、なんとヒバゴンは都心に生息地を移した事が分かったのです!これが都心某所で撮影された貴重な写真なのです!ウガガガガガァッ!」

野地崎は興奮しながら写真をテーブルに叩き付ける。話を聞いていなかった三人はビクリと驚く。

「はぁ、これが、なんだっけぇ、箪笥にゴン?」

「う~ん、たしかにボードの怪物に似ているかもしれませんが・・・その」

「・・・こ、これは!?」

呆れる会長と奏、そしてなぜか驚くハルト。

「なんと、ヒバゴンは少女に擬態して、都心に潜り込んでいたのです!アンビリーヴァボォです!」

その写真には、ハルトの結婚相手であり、因果流の里最強のクノイチ、メスゴリラの可愛らしく禍々しいスカート姿が写っていた。カメラ目線で不適に笑うメスゴリラにハルトの全身の毛が逆立つ。

「しょ、少女ぉ?」

「女装した歴代最強の総合格闘家か何かに見えるのですが・・・」

「いやー、この写真を撮ったとき、私の全身に鳥肌が立って生きた心地がしませんでしたよ」

「・・・野の字、お前よく生きて帰れたな」

その後、野路崎がヒバゴンをどうやって捕獲するか熱く語り、三人は適当に聞き流し、外も暗くなり始め、部活を終わる事にした。


 野地崎は、部室の掃除を一人ですると言い、先に帰るようハルトたちに告げる。掃除を手伝うとハルトは申し出るが、野地崎はやんわりと断る。

「・・・悪いな野の字。先に帰させてもらう」

「いえいえ、痴話喧嘩は外から見る分には愉快ですが、巻き込まれるのは嫌ですからね」

「・・・」

ハルトは会長と奏を後ろに引きつれ、夕暮れの校舎を歩く。後ろの言い争いを聞かないようにしていると、偶然、左目に眼帯をしたハゲ散らかした担任に出会ってしまう。

「おや、ハルト君、まだ学校に居たんですか。これはちょどいい所に、少しお話したい事があるのですが、よろしいですか?」

ハルトは突然の出会いに身構えてしまう。後ろにいた会長が服の袖を引っ張り、こそこそと話しかけてくる。

「ちょっとぉ、あの左目・・・もしかして・・・」

「・・・」

「なに、そんなに時間はとりませんよ」

左目を眼帯で隠した担任は、ハゲ散らかした頭を撫でながらハルトを連れて行こうとした。

「先生、私もお話を伺ってもいいでしょうか?」

「ん?これは生徒会長さん。悪いのですが、ハルト君にだけ用があるんですよ。申し訳ないのですが・・・」

「・・・エリン、奏と待っててくれないか。すぐに終わる」

ハルトは会長にそう言って、担任について行く。

「ちょっとぉ!」

ハルトは会長を見ると、心配するなと目で合図した。

「えーっと、会長さん、とりあえずハルト君の用事が終わるまで仲良く待ちましょうか」

「・・・そうね」


 ハルトは教員の休憩室へと連れられてくる。担任はハルトに椅子に座るよう(うなが)し、コーヒーメーカーから二杯のコーヒーを用意する。

「ハルト君は、砂糖使うかい?」

「・・・ええ、5個ください」

「甘党だねぇ」

担任は、ハルトにコーヒーとスティックシュガー5本を渡す。

「・・・で、話とはなんですか?」

「まあ、そんなに焦らないで。ゆっくりコーヒーでも飲みながら話そうじゃないですか」

担任は笑いながらそう言って、コーヒーを飲み始めた。ハルトは砂糖を5本、ドバーっと入れてかき混ぜるが、一切コーヒーには口を付けなかった。もし担任がアサシンなら、コーヒーは明らかに罠。毒の一つでも入っていておかしくはない。

「んー、ブラックはまずいねぇ。ハルト君もたくさん飲んでね、うちメーカーと契約してて、一日100杯飲まないといけないんだよね。はあヤダヤダ」

担任は露骨にハルトにコーヒーを飲むように催促する。

「・・・」

ハルトが飲まずにいると担任は話を始めた。

「コーヒーは嫌いだったかな。まあいいや、実はハルト君に頼みたい事があってね」

「・・・頼みたいこと?」

担任は苦そうにコーヒーを飲みながら、不敵に笑うと言った。

「うん、ハルト君。キミ、モデルとかやってみない?」

「・・・はぁ!?」

身構えていたハルトに、担任は意外な事を言い出した。

「いやぁ、そんなに驚かれるとわ」

「・・・いや、なんでモデルなんですか?・・・意図が読めません」

「意図も何も、ハルト君はうちの学園の事をあまり知らないのかな?」

「・・・学園の事?」

「そうそう、うちの学園はそこら辺の学校法人とは成り立ちが違うからね。歴史はあるけど、元が学習院だとか義塾だとか寺子屋だとかじゃないんだ、うちは元織物屋なんだよ」

担任は二杯目のコーヒーを注ぎに行く。

「・・・それの何がモデルと繋がるんですか?」

「良い質問だね。言わばうちの学園は元は教育機関ではなく、商い、商売の延長で若手育成から始まった学校なんだよ。まあ、小難しい話は飛ばして言うと、国や地方自治体ではなく民間企業がトップの学校ってわけ。で、その民間企業が『クリネリ』って言う、大手服ブランドメーカーなんだけど」

世界でも有数の複合企業クリネリ。田舎者のハルトでも聞いたことがあった。最初は小さな服メーカーだったが、今や各方面にも手を伸ばし、財閥系の企業と肩を並べるほどの巨大企業に成長した、日本有数の企業である。

「つまり、ハルト君にはうちの服のモデルをして貰いたいんだよね。ほら、このファッション誌、見たことない?うちの関連企業のやつなんだけど」

「・・・あまりそういうのは読んだことが」

「あーそうなの、発行部数100万超えてるんだけど」

「・・・しかし、なぜ俺なんですか?」

「いやいや、そう謙遜しなくても。たしかにうちの学園って実はアイドルとか俳優の子とかいるけど、ハルト君はそんな子たちにも劣ってないよ」

「・・・はぁ?」

「うちの学園はね、貪欲なんだよ。商売になりそうなら、何でもやる。見てくれが良い子が居れば広告に使う、絵が上手い子は存分に描かせる、研究したい子が居れば湯水の如き金を注ぎ込む。絶対に才能は腐らせない。クソみたいな国がやらない事を、一企業の運営する学園がやっている。いや、民間企業だからこそ出来る。君たち若者を未来と見なし、未来に投資する。たとえ自社の利益に、いや自国の利益ならなくとも、全人類の利益になると考えて」

担任は邪悪な笑みを浮かべながら熱弁した。

「おっと、つい熱が入ってしまった。いやぁ、クリネリの理念が好きでね。ま、お陰で政府の連中には睨まれていますけどね。で、ハルト君には是非モデルをしていただきたいのですが。キミならそうとう良い線行きますよ!袋とじとかもどうですかね!」

「・・・袋とじ!?それは一体・・・」

ハルトはいつも温厚でハゲ散らかしている担任の意外な一面に少し引いてしまった。


 ハルトが担任の熱弁を聞いている一方で、ハルトを待っている会長と奏は玄関ホールの長椅子に座り待っていた。

「お話、結構長いですね」

「そ、そうねぇ」

会長は落ち着かない様子でそわそわしている。奏はそんな様子を見ながら会長に言った。

「会長さん、たしかに私と二人っきりなのは居心地が悪いのはわかります」

「え!?ま、まあーそうねぇ?」

ハルトの事が心配でそわそわしていた会長は適当に答えた。

「出会いが悪かったのかもしれません。ここはお互いに今までの事を水に流しませんか。私は会長さんの事を全然知りません。それなのに、いがみ合うなんて馬鹿らしいです」

「ほうほう」

「私は岡田奏って言います。会長さんの名前、伺ってもいいですか?」

奏は笑いながら会長に手を差し伸べた。

「アンタって、意外と良い子なのねぇ。驚きだわぁ、思わず好感度が上がっちゃうじゃない」

会長は奏の手をぎこちなく握る。

「私は生徒会会長の錦野エリンよ。呼ぶときはさん付けよびなさい」

「えーと、錦野さん。よろしくおねがいしますね」

「それよ!いや、エリン先輩と呼びなさい」

「エ、エリン先輩?」

「ああ、いいわぁコレー。後輩が出来たって感じぃ」

「あはは・・・」

「あのハルトには後輩感がたんないのよねぇ。無愛想なのよ、全然可愛くないのよ」

「そういえば、エリン先輩・・・ハ、ハルト君とはどんな関係なんですか?」

その言葉に、会長はしばし奏を見ながら考え込む。

「ふっ、安心しなさい奏。あなたが思ってるような関係じゃないから。まあ、ハルトの奴が土下座して付き合いたいって言うなら付き合ってやらなくもないけどぉ」

会長はやれやれといった態度でそう言った。

「あはは、そうですか。ハルト君はそんな事絶対にしないと思いますけどね」

「なんか言ったぁ?」

「いえ、別に」

と、この時、太陽が完全に沈み、一瞬あたりは暗くなる。

「あらぁ?」

そして、校内の電灯が暗闇を感知し自動で点灯する。会長は間抜けに天井の明かりを見つめており、奏も釣られて見ていた。

「!?」

ふと会長が、上を見つめる奏を見る。その右目は上の明かりを見ていたのだが、左目だけは会長を向いており、会長と目が合った。会長の背筋が凍りつく。

「左目・・・」

会長がそう呟くと、奏の右目は上からぎょろりと会長へと視線を移す。

「あ、バレちゃいました?」


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