第二話 忍者
春原ハルトとして、とある学園に潜入する任務を受けた少年がいた。少年は現代に生きる忍者集団『因果流』の忍だった。少年は齢15歳にして、婚約者がいた。里一番のクノイチである婚約者は、身長は2メートルを越し、強靭な筋肉を纏うボディビル体型、闘争本能むき出しの性格から里の忍男子たちは「メスゴリラ」と密かに呼んでいた。里には15歳になると、婚約者を決める掟があり、男子たちは恐怖していた。だが、この掟は強制的に決めるのではなく、あくまで男女本人たちの気持ちが尊重される。そして、メスゴリラは言った。
「我より弱い男に興味なしっ!」
その言葉に里の男子たちは一応安堵した。彼女より強い者など里の男子の中にはいなかったからだ。
だが、事件は起こった。因果流本家が嫡男、後の春原ハルトとして潜入任務に就く少年である。彼の父は言った。
「この度、因果流十四代目の頭首を決める試合が行われる。と、言っても頭首になるのは先のことだが」
父は一切、表情を変えずに続けた。
「無論、嫡男であるお前にも出て貰う。そして、勝ち残り次期頭首となって貰う」
「・・・御意」
「これは決定事項である。負けは許されん。そして八百長なども一切ない。己が力のみで勝ち残れ。達成できなかった場合は、どうなるかわかっているな?」
「・・・御意」
「うむ」
次期頭首の戦いへと進む少年。しかし、不幸な出来事が待っていた。頭首決定戦には里一番のクノイチ、メスゴリラが出ていた。圧倒的暴力の前に、里の有望な若手たちは無残にも散った。ある者は四肢をもがれ、ある者は血尿を垂れ流しながら吹き飛ばされ。最後に残ったのは、少年とメスゴリラだけだった。
「ふんぬっ!里の若い男はどいつもこいつも軟弱っ!我を満たす男はいないのかっ!」
「・・・」
二人の戦いは、観戦していた忍者たちの度肝を抜いた。いや、メスゴリラとまともに戦える若い男子がいたことに驚いていた。しかし、徐々に少年が押され始め、いつしか死に体となった少年と、不適な笑みを浮かべ両の手を広げて構えるメスゴリラがいた。
「流石っ!因果流本家嫡男にして、我の幼馴染だけあるっ!がっ、死ねぇぇぇぇいっ!」
メスゴリラが閃光の様な正拳突きを放った。だが、血を噴出し白目になったのはメスゴリラの方だった。
「・・・っ!フ、フフッ!・・・見事だっ!我がダーリンッ!・・・ぐふっ!」
そう言ってメスゴリラは立ったまま失神した。少年は背筋がゾクリとした。そして父との約束通り、次期頭首となった。だが、少年の不幸は始まったばかりだった。
少年は予想していなかった。メスゴリラとの婚約、そして結婚、お楽しみの初夜。頭首決定戦から数ヶ月の出来事である。いや、結婚と初夜はまだ数日の猶予があった。
「クククッ、兄者、結婚おめでとう」
弟の蛇々丸はうれしそうに少年に言った。
「・・・なぜ、こんな事に!」
婚約の掟は、基本的に本人同士の気持ちが大事だった。少年もそれを知っており、まさかこんなトントン拍子にメスゴリラとの結婚が決まるとは思っていなかった。だが。
「ふむ、次期頭首の息子の嫁か。父親として里一番のクノイチである、あの子なら文句はない」
父はこう言った。
「この機会を逃せば、うちの娘が結婚できるわけない!ありがたい!」
メスゴリラの両親はこう言った。
「やったぜ!これで俺たちは結婚と言う言葉に恐怖せず済む!」
「うむ、これであのメスゴ・・・あの子に子供でも生まれれば、性格も丸くなるかもしれない」
「よし、すぐ子作りしてもらおう、そうしよう!」
里の人々もこの結婚に賛成だった。
「ああっ!我がダーリンの子を孕みたいんじゃぁぁっ!」
メスゴリラも満更でもなく、里一丸となって二人の結婚は着々と進んでいった。無口な少年は、この流れに逆らうことが出来ずに、ただただ困惑するばかりだった。
「・・・俺にも、選ぶ権利が・・・」
「クククッ、兄者よ前向きに考えろ。ほら幼馴染属性がある。それに昔は妹みたいに可愛がっていたじゃないか、と言う事は擬似妹属性もある」
「・・・属性?一体なんの話だ。それに幼馴染と言っても家が隣同士だから仕方なく・・・。可愛がったのだって、6歳ぐらいまでで、その後は突然変異の様に今の姿に・・・妹だなんて思ったことは・・・」
「兄者、運命からは逃れられない。あきらめも肝心と言う」
「・・・俺の残り人生数十年を・・・アイツと?」
しかし、そんな少年に希望が舞い込む。とある学園への潜入および暗殺任務だ。少年はその情報を聞くと、すぐに飛びついた。
「なに?お前がこの任務を?」
里の任務を総括する忍頭に少年は、すぐに任務を受けると申し出た。
「だがな、この任務は少し事情があってな。そう簡単には、任せられない。と言うより、この依頼は断る予定だ」
「・・・断る?なぜですか」
「それは言えんのだが。まあ、次期頭首で因果流本家のお前なら、話しても問題ないだろう。実は一度失敗している任務なんだよ。そして性懲りもなく、また我らに依頼をしてきたんだ。忍頭として無闇に里の忍者を死なせるわけにはいかない。正直、この依頼は現頭首か、メスゴリラの父親ぐらいしか達成は無理だと考えている。だが二人ともいい年だから、高校生として潜入するにはな~」
「・・・なら、自分が適任だと思います。・・・年だって丁度良いし・・・腕だって悪くないと思います」
「年はたしかに丁度良いが・・・。いや、だめだ。むしろお前は絶対にだめだ」
「・・・俺は絶対に達成して見せます。・・・俺はこの任務を受て、とりあえず時間稼ぎをしないといけないんです!おねがいします」
忍頭は、いつも無口で、ひたすら己を殺し、淡々と任務をこなす少年が、こんなに一生懸命にしゃべり、懇願するのを始めて見た。
「いつもは、『はい』か『任務完了』しか喋らないお前が必死になってるのは、なんとな~くわかる!だがな―」
「いいじゃないか、そいつにやらしてみろ」
そう言いながら、一人の老人が天井に寝そべっていた。
「ご隠居様!またそんな所で昼寝しておられたのですか」
「・・・お祖父様」
少年の祖父であり、第十二代目頭首の老人は軽やかに、忍頭の頭の上に乗りあぐらをかく。
「ちょっ」
「孫が必死に頼んでいるんじゃ、事情は知らんがわしからも頼む」
そう言いながら老人は徐々に重くなり、忍頭はその重さで少しずつ潰れていった。
「ちょちょちょっ!私の一存では無理なんですよ。現頭首に相談しなければ!」
「なんだ、ならわしがアイツに言っておこう。それで孫が任務を受けても問題ないだろ?」
そう言いながら老人は、忍頭を押し潰した。辺りに大量の赤い液体が飛び散る。
「はぁはぁ・・・、もうそれでいいですよ。あなたが言えば、現頭首も逆らえないでしょうし」
いつの間にか『身代わりの術』を使い、大量のトマトと入れ替わっていた忍頭は、天井に立ちながらそう言った。
「ということじゃ、頑張ってこいよ。それとお土産よろしく」
「・・・お祖父様、ありがとうございます!」
少年は、目の剥き出しにして、感謝を伝えた。
こうして少年は、春原ハルトと入れ替わり、学園の生徒として任務に就いた。任務の内容は『繰練学園理事長の暗殺』だった。だが、真の目的は結婚までの時間稼ぎであり、その結婚をどうにかする術を考える事だった。
寝室であらかたのた打ち回ったハルトは立ち上がる。
「・・・任務を続行する」
ハルトは、てっきり普通の学園生活が待っていると思っていた。しかし、入れ替わった人物は注目の的で、なぜか生徒会会長という人物と決闘することになり、いつの間にか弟が付いて来ていた。
「ガチャン」
ハルトは、誰かがドアを開けた音を聞く。寝室から出て、その音を鳴らした人物を確認する。
「あー、ハルトだ」
部屋のドアを開けたのは、彩川音子だった。
「と、言うことはー。同居人はハルトかー」
「・・・知ってた」
ハルトは、多分、同じ部屋になるのは音子だと思っていた。忍者の勘は当たるのだ。
「へぇー、知ってたって。ハルトは僕に何か感じるモノがあったのかなぁ~?運命的なものとかぁ~?」
そう言いながら、音子はニヤ付きながら小突いた。
ハルトは、音子の事を面倒くさいヤツと感じるも、頭は悪そうなので秘密裏に任務を行う自分の同居人には丁度良い木偶だと思った
「・・・そうかも知れない。運命・・・かもな」
「ま、またまたー。ハルトって意外と軽い人なのー?誰にでもそんな軽口を言うのかな?」
と音子は、ハルトが「そ、そんな事ないだろ!からかうなよー」と赤面して返してくると思っていたが、意外と真顔に直球で返してきて、ついそう言ってしまった。
「・・・」
ハルトが真顔で頭を搔いた。
それが音子が気を失う前に見た光景だった。いつの間にか音子の背後に回りこんでいたハルトは音子を絞め落とし、失神させていた。
「・・・はあ。こいつとの会話は疲れる・・・」
ハルトは、さっさと話を切り上げたくて、音子を失神させた。ぐったりとした音子を担ぐと空いている寝室へと運び、ベッドに放り投げた。
「・・・こいつ、男のくせに軽いな・・・」
ハルトは、居間にあった音子の引越し荷物を、音子の寝室に詰め込むと、自分の寝室へと戻った。ハルトは素早く黒装束になると、天井裏に潜り込み任務を開始した。
ハルトは、理事長がいると思われる教員棟へと潜り込んだ。前回、この任務に就いた者はどうして失敗したのか。ハルトの勘では、理事長の暗殺時に返り討ちにあった、そう感じていた。ハルトは、まだ日が高く、身を隠すには絶好とは言えない時間帯だったが、誰一人、ハルトの存在に気づくことは出来なかった。
「・・・成果なし・・・か」
数時間、忍者であるハルトにとっては十分な時間を使い、教員棟をくまなく探した。が、理事長に関する情報を何一つ、手に入れる事は出来なかった。
「・・・」
ハルトは、いったん自分の寝室へ戻ることにした。しかし、その帰り道だった。
「・・・!?匂いが・・・しない!」
超人的な忍者の嗅覚が、なんの匂いも感じなかった。
普通の常人ならば、普通の事であり当たり前だ。だが、どのような状態でも匂いはある、常人は感じないだけで、匂いはあるのだ。壁の匂い、土の匂い、木の匂い、空気の匂い。忍者であるハルトは常に、その匂いを嗅いでいる。だが、一瞬だが、無臭の匂いがした。
「・・・フンッ!」
ハルトは素早く風下へと跳び、身を隠した。自然界に無臭は存在しない。あるのは人為的に作り出した無臭。だが、忍者の嗅覚で無臭と感じるモノは、市販されているレベルのものでは無理であり、相当の技術を持っているモノではないと作り出すことはできない。そしてそんな無臭を使うのは、自分のような裏の人間である。
「・・・敵か?」
ハルトは蛇々丸かとも考えたが、蛇々丸はそこまでの忍者ではない。自分が無臭にしてやらないと無臭にはならない。独自に無臭になれるレベルの人物がいる。それが敵なのかはわからない。相手も自分に気づいたか?いや、運よく自分が風下にいたからこそ気づけた。風上にいた相手は、気配か目視でしか自分に気づけない。
「・・・迂回して帰るか・・・」
ハルトは慎重に、素早く、自分の寝室へと帰った。天井から床へ着地する間に、黒装束から短パンTシャツへと変わると、寝室を出た。
「あーっ!ハルト!」
そこにはテーブルに頬杖をついて、不機嫌そうにしている音子がいた。ハルトは音子がもう動ける事に少し驚いた。
「何処行ってたんだよハルト!なんかいつの間にか寝室で寝ちゃってたし、ハルトはどこにもいないし!てか、さっき見たときは寝室にいなかったのに、なんで寝室から出てくるんだよハルト!」
「・・・そんな事より大丈夫か?・・・さっき突然倒れたんだぞ、一応寝室で寝かしといたが」
「むー、やっぱりハルトが僕を寝室まで運んでくれたのか。そこは感謝するけどさ、そういう時はさ、付きっきりで看病して、おかゆの一つでも作ってくれるもんじゃない?起きたら誰もいないしさ!」
「・・・そういう事をするもんなのか普通は?」
「別に、普通はしないかもしれないけど。てか、冗談だし!なに真面目に返してんだよ、もう!」
やはりこいつは面倒臭いな、とハルトが感じた時、天井で何者かが這うような音を僅かに立てて、自分の寝室へと向かうのがわかった。
「・・・ちょっと用事が出来た」
そう言ってハルトは、寝室へと向かった。
「なんだよ、急に用事って」
「・・・用事は用事だ」
「なんだよ逃げるみたいに、僕もギャアギャアうるさくて悪かったけどさ。・・・そりゃないよ!あしらうみたいにさ」
と、騒ぐ音子にハルトは、目にも留まぬ速さで手刀を食らわせ失神させた。
「ぐえっ!」
「・・・」
ハルトはまた音子を担ぐと、音子の寝室のベッドに放り投げ、自分の寝室へと行った。そこにはうれしそうにクネクネする細長い蛇々丸がいた。
「ちょ、兄者、一般人に容赦なさすぎ。久々にワロタ」
「・・・そうか?」
「兄者はアレだな。もう少し勉強した方がいいな、拙者の漫画とかラノベとかエロゲとか貸そうか?」
「・・・なんだそれは」
「これだもんな、やはり兄者には教育が必要だな。とりあえず軽めの物から、徐々に常闇の深淵なる物へと・・・」
「・・・さっきから何を言っているんだ」
「いや、拙者は男同士への偏見はないと。だが実は女だったというオチでも。兄者にはどちらにも対応できるように教育をせねばと言う話だ」
「・・・すまない。ロシア語は俺には理解できんのだ」
「しまった! 分からない事や嫌な事があると、すぐに共産主義の所為にする兄者の悪い癖が!」
「・・・う、頭が・・・ボルシチ・・・」
「落ち着け兄者、共産主義は死んだんだ、もういない!」
ハルトは共産主義に苦しみ、蛇々丸はそんな兄に駆け寄った。
「・・・さて、茶番はもういいだろ」
「そうだな兄者」
ハルトは蛇々丸との茶番は終わらせて、任務についての話に移った。
「・・・で、どの程度調べてきた」
「2、3年男女別々の寮の地図と生徒会についての情報。これが地図だ、兄者に渡しておく。生徒会についての情報はいるか?」
「・・・話せ」
「御意御意」
蛇々丸が手に入れた情報は以下のものだった。
生徒会会長、錦野エリン。クォーターでこの学園の2年生。去年、一年生にして生徒会長になり、それなりに成績も良くそれなりに運動も出来る。人気もそれなりにあるが、全てにおいて一番というわけではない。
副会長、瓦田鉄平。この学園の3年生であり、身長193センチ、体重100キロ超の巨体を持つ。鍛え抜かれた体と鋼の精神を、趣味の裁縫に向ける普通の高校生。家庭科部にも所属している。
会計、財前京太郎。この学園の3年生。サッカー部の部員であり本来はキャプテンを務めるはずが、生徒会の会計をするために辞退。平の部員として籍を置く。中々のルックスと世話焼きな性格で、生徒たちの人望がかなり厚い。口癖は「まったく」と「しょうがねぇな」と「やれやれ」。
書記、黒木野直道。この学園の3年生。だいたいの生徒から嫌われている学園一の嫌われ者。教員からも概ね嫌われている。少し大きめのメガネを掛ける事によってメガネがずり落ち、いつでもメガネをクイッとする事が出来るらしい。大体いつもも一言多い。何か事件があったらだいたいコイツのせい。説教しても反省の色がないので嫌い。貸した金返せ。ナルシストっぽい所がキモい。実は会長の事が好きらしい。と生徒や教員たちは悪態をつく。
「と、まあこんな所だ」
「・・・役には立ちそうもない情報だな」
「まあ、慌てるな兄者。会長の『マグ』についての情報がほしかったのだろ。なにせ対戦相手の戦力は重要な情報だ」
「・・・まぁな」
「なんでも、今日から決戦の日まで、生徒会の連中は特訓するらしい。その時に拙者がちゃんと分析し、超高画質映像にも残しておこう」
「・・・そうか」
「兄者はどうする?今夜から特訓するみたいだが、一緒に見るか?」
「・・・いや、俺はやる事がある」
「ん、そうなのか。じゃあ、一人で寂しく見るとしよう」
そう言って蛇々丸は天井へと潜り込んだ。
「・・・そうだ蛇々丸。同業者がいるぞ」
そう言われて、蛇々丸は天井から顔だけを覗かした。
「同業者?我らと同じ忍者か?」
「・・・さあな、目視した訳ではないが里の者ではない。・・・だが、腕は立つ。気を付けて動け」
「ほう、しかして見つけた場合は?」
「・・・言わずもがな。里の者以外に忍はいらん」
「御意、請けたまわり!」
蛇々丸が素早く這って消えると、ハルトは自分の寝室を出た。
音子が気がついた時には、すっかり日が暮れていた。
「あれ、僕、また寝ちゃったのか」
音子がゆっくりと身を起こす。
「・・・起きたか、音子」
「うわっ!」
音子がビックリして横をみると、ハルトがベッドの横に座っていた。
「もしかして、ずっとそこに座ってたの?」
「・・・ああ」
ハルトはそう言って、音子の額に貼ってあった冷却シートを素早く剥がした。
「あいた」
額を痛そうにさする音子をハルトはひょいっと抱き上げた。
「え!なにすんだよ!」
ハルトは何も言わずに、居間へと音子を連れて行くと、テーブルの椅子に座らせる。
「・・・ちょっと待ってろ」
そう言ってキッチンに行き、少しすると何かを持ってくる。音子の前にそれを置くと隣に座った。
「・・・おかゆ、作っといたぞ」
ハルトが作ったおかゆは真っ白な上に赤い梅干が乗った。典型的なおかゆだった。音子は思わず難しい顔をする。
「ん~」
「・・・あついから、ゆっくり食え」
「んん~」
音子はうなった。
「・・・どうした?」
「なんでもないよ!」
「・・・そうか」
音子はハルトが作ったおかゆを熱そうに食べ始めた。
ハルトは、言われたとおりにしたのに不機嫌な音子を放って、もくもくと自分の分も作っておいたおかゆを食べた。
「やれば出来るじゃないか兄者」
天井から隠れて見ていた蛇々丸はそう呟いた。
「だが音子よ、照れ隠しでツンツンしていると、コミュ力0の兄者には意味はないぞ!」
蛇々丸は悶えながら続けた。
「頬を染めながら、あ、ありがとう。ってもっとストレートに行かないと!兄者はなんで機嫌が悪いんだろう?ぐらいにしか思わないんだって!」
仕事をサボっている蛇々丸がもんもんと悶える中、夜は開け、次の日の朝が来た。