最強集団壊滅。
圭太が今いる宿からギルドまでは徒歩一分という非常にいい物件な訳なんだが、その分新人冒険者には痛い金額だそうだ。
ギルドに着いたがなんか今日は様子がおかしい。ギルド内がやたら騒がしく大怪我をしている冒険者までいた。
「何があったんだ?」
不思議に思ったので、近くにいた栗色の髪の少女に話しかけた。
「あのー。これって一体何があったんですかね?」
そう尋ねてみたら少女が長い栗色の髪をなびかせてその完璧な美少女っぷりを魅せてきた。
「なんかこの街に帰ってきた上級冒険者集団がズタボロで帰って来たらしくてさ」
美少女だったのだが、その容姿に似合わぬ七面倒臭いものを見るような顔と声が彼女を台無しにしていた。
「へぇ、その上級冒険者集団ってのはそんなに強いのか?」
まるで何も知らない圭太に彼女がバンっと机を叩いて立ち上がり声を荒らげて言った。
「あなたあの冒険者集団を知らないの!?」
「あ、あぁ・・・」
そんな何も知らない圭太に彼女が丁寧に説明してくれた。
「あの冒険者集団は【バルアーン】って呼ばれていて、全員が上級職についている最強集団なの!それが昨日の夜、たった一人に壊滅状態まで追い込まれたらしいのよ」
「昨日の夜、か」
「ん、どうかしたの?」
「あぁいや、何でもない。しかしそんな強ぇ奴らが何でそんなになったんだろうな」
「それがね。相手が魔王クラスだったらしいのよ。まぁ団長の奥義でその魔王クラスも逃げてったらしいんだけど、その逃げた方向が」
「この街、の方なのか・・・?」
「そうなの。それでギルド内がこんなに騒がしいってわけ」
「あぁ、ようやく理由がわかったよ。ありがとな」
「いえいえー」
圭太が礼を言うと、彼女はまた笑顔で返してきた。
圭太はそのままギルドをあとにして、街探検に向かおうとしたのだが、
「そういえばまだ装備を揃えて無かったな」
今の圭太の装備は軽装。まぁ軽装でもそれなりに値段がするやつを買っていたので、防御面では申し分ない性能を発揮してくれる優れもので、さらに魔力値の上昇までしてくれるのだ。
装備の名前、というよりシリーズ名は【常闇】で、この街を東に行ったところにある遺跡で出るレアモンスター《ダークアストラル》の霊魔粉をふんだんに使ったものだ。
あとは足だけで揃うわけなんだが、
「街探検は装備揃えてからにするか!」
もう一度ギルドに戻り、人混みを抜けようやく掲示板にたどり着いた圭太は手頃なクエストをいくつか取り、受付嬢に確認を済ませてからクエストへ出発した。