異世界生活はどうですか。
賑やかなギルドが、今日は騒然としていた。
何せ死傷者が多数出たそうで、こんな事態になるのも久々らしく、ギルド内が騒ぎになっていたのだ。
圭太は近くにいた少女に尋ねてみた。
「これってどういう状況なんだ?」
「えっ、あぁ。なんかこの街に帰ってきた上級冒険者集団が超ズタボロで帰って来たらしくてさ」
なんとも綺麗な栗色のロングヘアの美少女はその雰囲気に合わない七面倒臭そうな口調で答えた。
「へぇ、その冒険者集団はそんなに強いのか?」
「あなたあの冒険者集団を知らいの!?」
少女が驚愕の表情で叫んだ。
この街に来てから、いや、この世界に来てからまだ間もない圭太は例の冒険者集団のことに関してはいっさい知らなかった。
「あの冒険者集団は【バルアーン】って呼ばれてて、全員が上級職についている最強集団なの。それが昨日の夜、たった一人の人間に壊滅状態まで追い込まれたらしいのよ」
「昨日の夜、か」
圭太は昨日の夢で見た何かを思い出していた。
「誰なんだろう」
そう言って圭太はその少女に礼を言ってギルドの依頼掲示板へと向かっていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
寝覚めは最悪だった。頭はガンガン痛いし、なんか服はボロボロだしホコリ臭いしで、
「何なんだ?」
とりあえず異常事態だったので一階のカウンターにいる大家さんに心当たりはないか聞いてみた。
「おばちゃん!なんか服がボロボロなんだけど昨日の夜中俺が暴れてたとかあったりするか?」
そう尋ねてみると意外な答えが来た。
「そんなことは無かったけど。あんた夜中にどっか出掛けていったでしょうに。それでなったんじゃないの?」
「は?出掛けたってどこに?」
本当に素朴な疑問だった。昨日の夜圭太は晩飯が終わったあと、すぐに就寝した。それで変な夢を見て朝起きたら最悪な状態になっていたのだ。
「いや、なんでもないわ」
そう言って圭太は部屋に戻ろうとした。
去り際に大家が圭太に言った。
「寝ぼけてたんじゃないのかい?」
「そうかも知れないな」
腑に落ちないまま圭太は苦笑いで返し重い足をなんとか運ばせ、部屋に戻っていった。
「さてどうしたものか・・・」
服はボロボロ頭は痛い。今日はできれば何もしないでゴロゴロしていたかったが、「流石に今のままじゃ安定しないしな・・・」
一応寝床は確保できたものの、一ヶ月の家賃が相当な額になるので安定した金が必要なのだ。
「いくら魔攻騎士と言ってもクエストがなきゃ意味ねーっての」
ここはそこそこ大きな街で上級冒険者も数多くいるため依頼がほとんど無いのだ。
「そういえばこの街の名前ってなんて言うんだ?」
この世界に来て一ヶ月はこの街で暮らしているのに街の名前すら知らなかった馬鹿がここにいた。
「最近は稼ぐために必死だったからたまには街探検的なことしてみるか」
今日の目標を決め、圭太は身支度を始めた。
「さてと、んじゃ行くか」
そう言って部屋出て、大通りに出てみたのだがどこから行けばいいのかが分からない。
だからこういう時は、
「とりあえずギルド行ってみるか!」
圭太はギルドに向かっていった。