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無能な俺を異世界へ。  作者: 岸浦駿
異世界生活〜始まりの街編〜
7/22

ようこそギルドへ。

先刻そんなことがあり多少の疲労が溜まってはいるものの、今日のうちにギルド登録と寝床の確保はしておきたかった圭太。

まずは第一の目標のギルド登録。

「ここがギルドか・・・」

とても重圧感のある建物で、所々穴が空いた跡がある。

「まぁ行くか・・・」

そういって自分より遥かに大きい扉を開いた。

そして、目の前に広がった後継は、それはもう騒がしいの一言に尽きるものだった。

「これはまた凄いもんだな」

そんな感想を呟きながら呆然と立っていた圭太に、野太い声が聞こえてきた。

「おうあんちゃん!今日は何しに来たんだァ!?」

そう言って話しかけてきた男は、だいたい四十くらいの年だろうか。あごひげを摩りながら、にっと笑ってきた。

「あ、あぁ。俺、冒険者になりたいんだが、登録する受付ってどこにあるんだ?」「受付ならあっちの嬢ちゃんのとこいってきな!登録手数料はちゃんと持ってきたんだろうな!?」

「あぁ勿論だ。さっきそこの門番してる人に教えてもらったから助かったよ」

「ハッハッハ、まぁそうだろうな。結構それ知らない奴が多いんだよ!ちなみに若い頃俺も同じミスしてよ、急いで金持ってきたわ!」

「そうですか・・・」

またハッハッハと盛大に笑っているオッサンに、

「じゃあ俺はこれで・・・」

「おう!頑張れよ少年!」

と、そこにいた仲間らしき人間達が次々に、頑張れよと言ってきた。

「どうも」

そう言って軽く会釈をして圭太はさっき教えてもらった受付嬢のところに向かった。

「あのー、ギルド登録をしたいんですけど」

「はいギルド登録ですね?」

そう言って笑顔で応えた受付嬢に圭太は思った。

嗚呼、何で受付嬢はこんなに可愛いって相場が決まってるんだろう。どんなシステムで出来てるんだ?日本の病院とかの受付嬢もこんなもんだよな。

ボーッとしている圭太に受付嬢が、

「どうか、されましたか?」

若干引いていた。

「あぁ。いえ、なんでも・・・」

そう言ってなんとか取り繕った。

「ギルド登録ですね?それではまず、登録手数料として五百ニルを」

「あぁ、はい」

圭太はポケットから、先程稼いできた五百ニルをテーブルの上に置いた。

何故かここのカウンターは、遊園地の窓口を思わせる雰囲気でちゃんとお金を置く際に使う皿のようなあれがあった。

「はい。確かに五百ニル頂きました。それでは登録を開始します。では、そこの水晶に手を乗せてください」

「こう、ですか・・・?」

言われた通りに手を乗せた圭太。

その瞬間、水晶が七色の光を出し、圭太の体の周りを包んだかと思ったら、圭太の体に染み込んで行った。

「おぉ、なんかすげーなこれ・・・」

まぁここで、俺の以外な潜在能力が明らかになってギルド内が大騒ぎになるという展開が俺的には好ましいのだが、だいたいそういうものは貧弱能力になると相場が決まっている。よって、俺の能力は雑魚ということになるのだ。証明完了。

戻ってきた受付嬢に圭太は問いかけた。

「どうでした?どーせ雑魚ステータスなんでしょ?」

「あ、ああ・・・」

なにやら受付嬢が口をあんぐり開けて蒼白な顔を作っていたのだが、

「はは、知ってますよ。こういうのはだいたい雑魚っていうオチなんですよ」

圭太はそれに気づいてない。

「け、けけけ圭太さんですよね?!」

「あ、あぁそうですけど?」

なにやら受付嬢がかなり動揺している。

「圭太さん、落ち着いて聞いてください」

いや、お前が落ち着けよ!

「冒険者の能力値には五つの項目があり、力、耐久、思考、魔防、魔攻というものがあり、それぞれS、A、B、C、Dと、同じく五つランクがあります!」

おいおい受付嬢。顔が近い。後鼻息荒いぞ。

「は、はぁ?・・・まぁそれは理解できました。んで肝心な俺のステは?」

あまりにも受付嬢が興奮してるんで、今度は圭太が引いてしまった。

「こ、これなんですけど・・・」

おずおずと出してきたカード(だいたいサイズはクレジットカードくらいのもの)を圭太は受付嬢から受け取り、それを見てみた。

そこに表示されてたステータスは異常だった。

「力A、耐久B、思考B、魔防B、魔攻S・・・・」

一瞬思考が止まったが、それもすぐ引き戻される。

「は、はぁぁぁぁぁぁ!?ちょ、ちょちょちょっとこれどういうことっすか!?何で?何で何で何で何で何で?!」

「い、いやぁ私もびっくりですよ!こんな冒険者を見たのは初めてです・・・」

さぁ、騒ぎの時間だ。揃いに揃って冒険者共が宴とやらを始める時間だ。

と、いうかそれより・・・・

「それより職業って何があるんですか?」

「あぁそうでしたね!その説明うっかり忘れてました!」

てへぺろじゃねぇ。だいたい受付嬢がこんなんで大丈夫なのかこのギルド・・・

そして受付嬢が説明を始めた。

「えっとですね、まずこのステータスだと、どんな職業でも大丈夫なんですが、この魔力値と力、耐久なら、大魔術師、魔攻騎士、魔防騎士ですかね・・・」

「えっと、具体的には何が違うんですか?」

「そうですね。大魔術師は基本強力な魔術を駆使して戦うのですが基本は遠距離系ですね。対して魔攻騎士は近接戦闘を主にして、大魔術師までとは行きませんがそれなりに魔術を使うことができます。魔防騎士は防御系統の魔術を得意としますね。まぁあまりオススメはしませんけど・・・」

「それなら大魔術師か、魔攻騎士だな。魔攻騎士って大魔術師のどれくらいの魔術を使えるんですか?」

「えっとですね。基本は大魔術師の三分の二の魔術が使えますね。まぁ大魔術師はさらに凄い魔法があるんですが・・・」

「どっちも魅力的なんだが、俺は魔攻騎士でお願いします。三分の二も魔術が使えれば十分だしな」

「魔攻騎士ですね!まさにぴったりの職業ですね!」

そう言ってなにやら受付嬢が後ろにいる人間から荷物を預かっていた。

そしてそれを圭太に差し出した。

「はい。これをどうぞ!」

「えっと、これって」

「冒険者登録をした人には冒険者セットを贈呈しているんです。中には回復薬十個と魔力薬十個、それと剣が入っています!」

「ありがとうございます!」

そう言って踵を返し、圭太は出口に向かっていった。

帰り際に受付嬢が言ってきた。

「これからのご活躍を期待しております!」

軽く会釈ををしてギルドをあとにした。

そして圭太はそのまま帰路に着こうとしたのだが、

「いや待て。寝床がないぞ・・・」

すっかり今日の目標の二つ目を忘れていた。

「まだ昼か・・・せっかくだから少し稼ぎに行くか!」

そう言って圭太は稼ぎに行き、調子に乗って巨大モンスターを倒しに行ったのだが、死にかけて戻ってきた。無事お金を稼いで。晩飯を済ませ、寝床についた。

そして圭太はその日の夜、夢を見た。



『お前は自分が何者かを知らない』

黒い靄に包まれた何かが話しかけてきた。

「何物か、だと。だいたいお前何者なんだ。前にもこの感覚になったんだが」

『・・・・・・』

黒い靄は何も答えなかった。

そして消えたかと思ったら、

圭太の意識はあの時のように、微睡みの中闇に消えていった。

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