なにやら圭太がやるそうです。
圭太は夢を見ていた。まだ未熟だったあのころの夢。今だって決して成熟したわけではないが。
圭太は何かと人に左右される性格だった。長い物には巻かれよ、これは人間の定義であるが、しかし残念ながらそうではない人間もいる。
圭太には虐めにあった時期があった。しかしそれが虐めだったのか今の圭太はそれについて判断することはできない。
まぁこんな小難しい話は置いておいて、結論から言うと圭太は長いものに巻かれやすかった、という話だ。
・・・だった、過去形なのだ。だから今は違う、と圭太はそう思う。
そして長い夢を経て、圭太はゆっくり瞼を開け、覚醒した。
「未央~今何時だ・・・・?」
「目覚めて第一声がそれとは、ほんと呆れちゃうわ」
圭太は軽く苦笑いをし、軽く挨拶をした。
「色々迷惑かけちまって悪かった、未央」
「いいんだよ。圭太君が無事なら」
そうか、と圭太は苦笑いした。誰かに大切にしてもらうことは嬉しいのだと、そう感じた。
「しかしどうしたものか、身体が重いな」
「仕方ないよ、あんな龍と闘ったんだからそれ相応の疲労は出てくるよ」
(それ相応か・・・・)
圭太は未央に、自分が魔王になったことを話すか話すまいか一瞬だけ悩んだ。そして先刻の戦闘が脳裏を過った。
そして圭太は結論を出した。
(今はまだいいか。いずれ必ず話すべき時が来るだろうしな)
先刻の出来事は今は自分だけ認識していればそれでいい。それが圭太の出した結論だった。
しかし、しかしだ。もし仮に魔王になったという事実が未央にバレたらどうなるのだろう。圭太はそんなことをふと思った。果たして未央はその事実を受け入れてくれるだろうか、果たして自分を遠ざけたりしないだろうか。そんなことを考えてしまった、未央を”疑ってしまった”。
(最低だな、俺)
そんな疑念を未央に対して抱いてしまった自分に圭太は自嘲した。
そして軽く伸びをして、圭太は考えても限がない思考を振り払った。
「これからどうするか」
「どうするって・・・この街から出ていくの?この街に住み続けないの?」
「住み続けないのって、お前ずっとここに住んでても俺らにとっちゃマイナスだぞ?」
当たり前のこと言って圭太は苦笑い。
それを言われた当の本人未央は、
「あ、確かに・・・」
こいつの脳は何でできているのか知りたくなる、レベルだった。決してバカなわけではないのだが、未央は時々どこか抜けているところがある。
「でもでもどこに行くの?行く当てはあるの?何か”目的”はあるの?」
「うっ・・・行く当てとかはこれから考えるとして、行先は決まっている。それと目的もな」
「じゃあそれを聞かせて」
「まず行先はここから南に進んで行ったらある王都だ。それと目的だが・・・」
一つ間を置き圭太は壮大なその計画を口にした。未央を、人類あるいは動植物をも敵に回すかもしれないその目的を。
「この世界を掌握してやることにした」
どーも岸浦駿です!
今回は小説の書き方を変えてみました。いろいろな作家さんの小説をみて参考にさせていただきました(笑)
さぁ次回は、いえ次回からは異世界転生物語の定番王都編がスタートします。
乞うご期待!!




