表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能な俺を異世界へ。  作者: 岸浦駿
異世界生活〜始まりの街編〜
18/22

魔王。

 目を覚ますと先ほど自分が倒れた所に圭太は横たわっていた。無残なまでに貫かれた体はまるで時が逆再生したかの様に戻っていた。これは恐らく魔王の力か何かだろうと圭太は察した。体が元に戻っていた。しかしそれはあくまで体の話だけであって。貫かれた防具が元に戻っているわけではなかった。

 惜しいことをしたと圭太は防具を見て思った。

「よし、とりあえず生き返ったな・・・そんじゃさっきのドラゴン御一行を抹殺しますか!」

 そう言って視線の先に見据えた殺人犯にそう言ってやった。

「んー。どうやって魔王になるんだ・・・?」

ゼウスによって魔王化を果たした圭太、しかしその使い方がわからなければ意味がない。そう思った瞬間

『魔王の力を開放するには君自身が自分の思う魔王を顕現するんだ』

「ゼウス?!」

『先ほどぶりだね。圭太、「魔王」と言葉にするんだ。今の君ならすぐに顕現できるだろう』

「なんでそんなことがわかるんだ・・・?」

『君はこの世界に来る前から魔王の存在を知っているだろ?』

 そう、圭太はこの世界に来る前から魔王の存在を知っていた。なぜなら、圭太は幼少期に「イーズ」にあっていたのだから。

「そういうことか・・・わかった、ありがとなゼウス」

『いいやこれは当然の義務だよ。僕が魔王の力を与えたんだから』

 そうだな、と圭太は頷き魔王化するための「鍵」の言葉を口にした。

「魔王」

 圭太がそう言った途端、圭太の周りだけが漆黒に包まれた。そして圭太は今、だれもが認めざるを得ない完璧な魔王となったのだ。

「へぇこれが魔王か・・・」

 そういって圭太は軽くジャンプをしてみた・・・つもりだった。圭太は一瞬で上空一万メートルまで跳躍していた。

「まじかよ?!魔王すげぇなおい!」

 圭太は眼下にいるドラゴン御一行めがけて空気を蹴った。みるみる距離が縮まる。圭太は自分の腰に携えてあった剣を抜刀した。その瞬間まるで時が止まったかのようにドラゴンたちの動きが止まった。否、正確には圭太自身が加速したため周りが止まった様に感じるのだ。圭太はその瞬間にドラゴンを一太刀で両断した。

 そして圭太が納刀した瞬間世界の動きは戻りドラゴンたちはそれぞれ血しぶきをあげて落ちていった。

 そして圭太が今目の前にしている現実。それは・・・超加速によって迫りくる地面。取りあえず圭太は自分の態勢を整え、着地した。まるで隕石が降ってきたかの様に。

「いっててて・・・・」

 落下した衝撃で飛んだ瓦礫が音を立てて聞こえずらかったが遠くからかすかに声が聞こえた。少女の声だ。凛として澄んだ声。懐かしむかのように圭太はその声に耳を澄ました。

(なんか雑音が混じってるな・・・)

 圭太は察した。それはその少女が読んだ衛兵であり雑音の元はその足音だろう。

「圭太くん!どこにいるのいるなら返事してよ!」

「やっべ!この格好見られたらまずいことになる」

 そういって圭太は魔王状態を解除した。

 服は転生時のジャージ姿に戻っていた。

(やば・・・なんだこの脱力感・・・)

 そう思った時には圭太は倒れていた。しかしその身を支えたのは先ほどまで必死になって声を振り絞っていた少女本人だった。

「よかった・・・圭太くん無事だったんだね!」

「これのどこが無事に見えるんだ・・・?未央」

 まだそんなに時間は経っていないのに、しかしそれはとてつもなく長い時間のように感じられた。

 そんなことを思いながら、圭太は未央を見て目を閉じた。

「帰ろうか」

「あぁそうだな・・・」

 圭太は微睡にその身を委ね、ゆっくりと深い眠りについた。

 圭太が眠りについたのを確認した未央は、衛兵たちに謝罪した。

「すみませんお騒がせして!」

 未央がお辞儀をして申し訳なさそうに言った。

 衛兵たちにそう言い残して未央は圭太をおぶって街に帰って行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ