誰?このロリっ子。
懐かしむかのようにその少年は言った。
圭太は気づいた。コイツが夢に出てきたあの人だと。
その中性的な声音が圭太の記憶を呼び覚ました。
圭太が少年を見つめていると、少年はいきなり倒れた。
「う、うぅ・・・・」
少年がいきなり発光し始め、その姿が変わった。ただ変わった訳では無い。すべてが逆転した。
目の前に倒れているのはさっきまでの少年とは全く別人の・・・・美しい少女だった。
「なぁ未央よ。コイツは助けた方がいいだろうか?」
「まぁ私は助けた方がいいと思うよ?」
「そうか・・・・・・んじゃ置いてく」
圭太が踵を返し、そのまま王国の方向へ歩き出した時、
「まっ、まって!行かないでください、置いてかないでください、ご主人さまっ」
少女が必死に言ったら、圭太の運んでいた足がピタリと止まった。
圭太は疑った。コイツは今俺のことをなんて呼んだ?と。ありえない。いや、でも確かにこの少女は俺のことを―いや、ありえない。しかし・・・・・・なかなか悪くないなこれ!
圭太の顔が段々とキモくなってきた所で、しばらく存在を忘れられていた未央が口を開いた。
「圭太くん。私はこの子助けた方がいいと思うな。だって飢え死になんてしたら圭太くんだって嫌でしょ?」
「まぁそうだな・・・だが断わる」
一瞬考えたフリをした圭太は即答した。
「そいつは、前に俺の夢に現れて、自分だけ俺を知ったように言って、自分は名乗らなかったんだぞ?」
「そんなこと気にしてたの?!」
あまりの心の狭さにガッカリした未央は思った。
まだ年端もいかない少女を置いてくだなんて私には出来ないよ・・圭太くん。
「圭太くん。今日の遠征は後日にしよ?今回はこの子の面倒を見るのが先だわ」
「むぅ、まぁわかったよ。んじゃとりあえず宿に戻るぞ〜」
圭太自身、初めての遠征はかなりワクワクしていたのだ。まぁそこはやはり男の子なのだと思わせる。
数時間後、圭太はベッドで横になって寝ようと思っていた。
数時間前に圭太が少女を負ぶさって宿まで歩いた。圭太はてっきり、助けたいの!とか言ってたやつが自分で運ぶものだと思っていたのだが。
「しかしあいつが起きたら質問することが沢山あるな・・・」
そう呟いて圭太は静かに瞼を閉じた。




