ツンデレ属性が付与されたようです。
そして未央は入居の手続きを済ませ部屋に行った。部屋は綺麗に整えられていてとてもいい感じだった。
部屋を見渡していると未央はふと思ったのだ。そういえば、隣の部屋が圭太の部屋だった筈と。
あいさつに行こうと思った未央は圭太の部屋の前まで行った。
恐る恐るノックをしてみたが返事がない。いないとわかって部屋に戻ろうとした時、後ろから声が掛けられた。
「おぉ、未央じゃん。どうした、こんな所で何やってんだ?」
圭太が何やら大きな荷物を抱えて廊下に立っていた。
「こんにちは、圭太くん。ノックしてみたのだけれど、買い物に行ってたみたいね」
そう言って未央は圭太の方に歩み寄っていき、
「私これからここに住むことになってひゃう!?」
突然奇声を上げたかと思ったら未央は何も無いところで躓き、そのまま圭太目掛けて転んだ。
「痛た・・・・ごめんなさい圭太くん、大丈夫?」
圭太に謝りつつ見上げて顔色を伺おうとしたら、圭太の下半身にある筈のものが無かった。男性に必ずあるあれではなく、それを隠す衣類が無かったのだ。
未央は恐る恐る自分の手を見てみると・・・ズボンとパンツを握っていた。
「あ、あ」
みるみる未央の顔が真っ赤な林檎の様に赤くなっていった。
「キャーッ!!」
未央はそのまま一秒もかからないスピードで部屋に戻って行った。
一人下半身を露出させられ取り残された圭太は、
「違うよね。それは俺が言う場面だよね。そもそもこう言う展開って俺に起きるもんじゃないのかよ?!」
姫騎士がオークにレイ〇される時の様な辱めを感じ圭太はいそいそとパンツとズボンを履いた。
「全く、あいつはエロゲの主人公か」
そう嘆き、圭太は部屋に入って行った。
こんな事件があり未央に対する見方が変わってしまった圭太は、
恋をした→パンツを剥がれた→息子を見られた→あいつは変態痴女
という感じな見方になった。
そしてついさっきまで寝ていた圭太は、眠い目を擦って欠伸をして、
「さて準備すっか」
未央がわざわざ起こしに(人の部屋に勝手に入って腕ひしぎ逆十字固めをして)きてくれたので目覚めがよく、素早く身支度をして部屋を出ることが出来た。
部屋を出て階段を降りて行くと、ロビーのテーブルに突っ伏してグズっている未央を見つけた。
「おーい未央。準備できたぞ」
返事はない。もう一度呼んでみた。
「あのー未央さん?準備ができたので行きましょう?」
「・・・・・・どい」
「土井?」
「ひどい!ひどいよ圭太くん。私がせっかく起こしに行ってあげたのに怒るなんて!」
うえーんとわざとらしく泣いているのにそれに気づかない圭太はとりあえず謝った。
「いや、別に怒ったつもりはないんだが・・・まぁ悪かったよ」
と圭太が真面目に謝るとさっきまでの泣き声(嘘泣き)が止んだ。
「ふん、今更謝ってももう遅いんだからねっ」
「は?」
「まぁ許してあげなくもないけどねっ」
うわぁ、コイツめんどくせぇタイプだ!
圭太は確信した。
コイツはツンデレ要素が入ったとんでもない女なのだと。
更に美少女ときたものだから余計タチが悪い。
「はぁ。ほらさっさと行くぞ日が暮れる前に王国に行くんだろ?」
「そうね。じゃあ出発しましょうか!」
そうして圭太は未央のかなりめんどくさい性格を知ってしまった。そして今回の遠征はただの遠征ではなく、ただの観光だったのだ。
「あぁそういえば行くときはお前の魔法で移動短縮を頼むな」
「えぇ任せてちょうだい!」
宿を出て間もなく門に着いた。
圭太は目の前に見える後継に目を疑った。
何やら門番らしき二人の騎士が一人の少年に剣を向けていた。
「どうしたんですか?!」
圭太は駆け寄って行った。その後に続き未央も。
「冒険者さん!気を付けてください。相手の魔力値が―」
そういった門番が次の瞬間後方に、正しくはその少年の後方に吹き飛ばされていった。
「は?」
圭太は素っ頓狂な声をあげた。
「どいつもこいつもくだらない奴ばかりだ」
底冷えした声音でその少年は言った。
「見つけたぞ圭太」
目の前の少年が口元をニヤつかせたところで圭太感じた。
俺はこいつを知っている。この声に聞き覚えなんかないのに、こんな少年見たことがないのに。なんで俺は分かったんだろう。
「お、まえ・・・・」
愕然として圭太はどうにか声を振り絞った。
「あぁ。久しぶりだな・・・我が依り代」




