パーティー組んだけど。
それは、ある梅雨入り前の日の事だった。
何処にでもいる普通の高校生の容姿をしていて、髪は所々茶髪が混じっており・・・こいつの説明は面倒だから以下省略。ザ・凡人元はひきこもり、今は異世界冒険者の浦野圭太。
そしてその隣に佇んでいる、まるで野山に咲く一輪の花の様な可憐さを思わせる、栗色の長い髪のそれと同色の瞳が特徴的な美少女、佐々木未央。
この二人は先日パーティーを組み、こうして共に行動している。
そしてその二人は現在かなり面倒なイベントに巻き込まれていた。
目の前に倒れている女の子。それが今目の前の現実だった。
「ぅ・・・ぅん・・・」
目の前で倒れている少女は唸り声をあげた。
「おい、未央よ。これはどうすべきだと思う?」
「そ、そりゃあ助けてあげないとかわいそうだと思う・・・な」
「あぁ、大抵の人間がそうするだろうな。けど知ってるか?これは非常に面倒なイベントなんだ」
そして圭太は未央にこのイベントの面倒さを教えてやった。
「うーん、それでも助けてあげなきゃかわいそうだと思うなぁ」
「はぁ、わかったよ。お前がそうしたいなら俺もそうする。一応パートナーだしな」
そう言ってこの少女を助けたのが本当に面倒なイベントの始まりだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
小鳥たちがさえずってる。
圭太はそんなことを思いながら思い瞼を開けた。
「まだ、朝か・・・」
二度寝しようとした圭太に、
「何がまだ朝かよ。早く起きて今日はミニ遠征に行くんじゃなかったの?」
「あぁ、そんな約束してたっけな・・・」
未央が起こそうとしてきてが、適当に聞き流した。
そしてそのまま再び眠りについてしまった圭太。
それを見ていた未央は、
「全くこの人今までどんな生活してきたの?」
そんなことを呟いていると、
「あぁ、だらしない生活に関しては自信があるぞぉ・・・・」
そう言って圭太が寝返りをうってうつ伏せになった。
「むぅ・・・・・」
そうしたら、どこで知ったか分からないが、未央が腕ひしぎ逆十字固めをやってきた。
「痛い痛い痛い痛い痛い!ちょっ、マジでやばいから!」
そうだよ!痛いけどなんか当たってるんですよ!腕は太股に挟まれて、肝心の手はなんか柔らかい双丘に押し当てられてるんですけど!やばいから、マジでやばいから。俺の息子が覚醒しちゃうから!
「わかった!起きるからもうやめてくれっ」
理性が保てるか不安になった為、ギブアップ。
「やっと起きたわね!」
「あぁ、起きた。して、何故にお前は俺の部屋に入って来てるんだ?」
「起こそうとしたからに決まってるじゃない」
「いや、理由としては十分だが、理解が出来ない」
「じゃあどうすれば理解してくれるの?」
「今後、一切、勝手に、俺の、部屋に、入るな!」
「な、何でそんなに怒ってるのよ?」
「当たり前だろ!年頃の男子の部屋に勝手に入ってくる女がこの世に存在すっか?!いや、いない!」
圭太の熱弁を理解してくれたのか、未央は顔を真っ赤にして「バカ!」と言って出てった。
「ったく、一瞬でもあいつに惚れた俺が馬鹿だった」
一度はその笑顔に魅了されたものの、とある事件が起こった事によって、そんな恋心なんて木っ端微塵に砕かれた。
未央は圭太に引越しの話を持ちかけられ、引越しを決意した。それは圭太と未央が出会ってからの次の日の事だった。




