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拝啓お父さんへ

作者: 幸芽

拝啓お父さんへ


七月の昼頃

お父さんが新しい人と結婚式を挙げると

新しい人と話し合って決めると

機械のほんの数行で送られて来たね。


十三年前わたしの目の前で母を殴った貴方が大声を出した貴方が

ふとした日常で思い起こされて、手が震えたり、涙がとまらなったり、息がうまくできなかったことがありました。


貴方は知らないでしょう

私を捨てた貴方は知らないでしょう


それでも、私はお父さんが好きでした。


私が十歳になるまで毎月一回

優しくいろんな所に連れて行ってくれた

頭を撫でてくれた

抱っこをしてくれた

一緒にお風呂に入ってくれた


そんな大好きなお父さんとも月に一回から二ヶ月に一回、三ヶ月に一回、今では半年に一回の旅行ぐらいでどんどん会えなくなってしまいましたね。


それでも、毎回毎回お父さんと会うのが楽しみでした。


「次いつ会える?」


とお父さんに会ってる最中に聞くぐらい私はお父さんと会うのが楽しみでしかたがありませんでした。


お母さんが今月も教育費が入ってないとか

姉が他の人がお父さんに対しての悪口を言っても、私はお父さんの見方でいたかった。

だから、毎回毎回フォローを入れていた。


でも、高校一年生の夏

それが、難しくなってしまいました。


そう、貴方が新しい人達を私に紹介した時からです。


母より若い綺麗な女性と私より二個上のお姉さんと一個下の女の子。


久々にあった帰りの車の中で、伝えられた言葉


「お父さん、彼女ができたんだ。結婚も考えていてね。その人には娘がいて……」


ほんとはショックで何が何だかわからなくて、涙が出そうだった

息が詰まった

でも、お父さんにも幸せになる権利はあると思った

だから


「よかったね!どんな人なの?」


なんて、明るい笑顔でちょっと上ずった声で聞いたんだ

お父さんは気づいてなかったかもしれないけどね


それで、家について

一人で泣いたんだ

もし、このまま家族ができたら私はどうなるのかな

新しい家族を優先するのかな

一人ぼっちにされたような気がして

お父さんにまた捨てられたような気がして

泣いた


後日、


「お父さんは私を捨てるの?」


って電話で聞いたのを覚えてる?


お父さんは


「そんなことないよ。」


って言ってくれたけど、私は信じられずにいます。


だって、結婚は養育費をちゃんと払うとかやることやってるならいいよって、私とお姉ちゃんに約束したじゃない


その日を境に母の「また教育費一銭も入ってないんだけど、これでどーやって子供が育つのよ」という愚痴や今まで聞いていたけど聞こえてないふりをしていた言葉がたくさん聞こえてきました。


私は思うの


「子供が欲しい」


といって母に産ませた貴方


なのに、私が産まれて四年も経たずに捨てた貴方


貴方はまた、私も捨てるのね


自分勝手で自分が可愛い貴方はとても残酷な人


大好きだったお父さん

本当はね

授業参観や運動会に来てほしかったんだ

みんながね、お父さんの話をしてる時、私もそれに加わりたかったんだ


でも、それはもうできないね


お金が全てではないけれど

結婚をするお金があるのなら、唯一の血の繋がった娘である私に少しでも何かしてくれなかったのかな

なんて思うのは、私の我が儘なのかな


こんな思いをするぐらいなら産まないでほしかった


祝福できない私は悪い子かもしれません

いい子で入れなくてごめんなさい


お父さんが大好きだった娘より

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[一言] お父さんが大好きだった娘さんが、幸せになれるよう祈念致します。
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