約束(9)
「お前もう良いのか」
走るミーナに声をかけたのはジェイだった。
「ジェイ様、ロックス様はどちらです」
「ロックス様?どうしてだ」
「セイラはロックス様に会いに・・・・止めないと何処です」
「ついて来い」
ジェイは必死な表情のミーナを連れてロックスの元へと向かった。
「お願いいたします、ミーナを城から出してやって下さい」
セイラはもうすでにロビンとロックスの前で頭を下げて居た。
「ミーナはこのままではお願いいたします」
「セイラ!」
ミーナは裸足のまま庭に出てセイラに駆け寄った。
「陛下、王子、ご無礼をお許し下さいませ」
ミーナもセイラの横に跪きお詫びを口にした。
「ミーナ、顔色が悪いぞ」
ロックスは顔色の悪いミーナに気づいた。
「ミーナを」
「セイラ!」
いつもとは違う怖い声のミーナにセイラは何も言わなかった。
「私はもう大丈夫です、セイラのご無礼は私の責任、私を思っての事、罰は私がお受けいたしますのでお許し下さいませ」
ミーナは頭を上げる事無くロビンとロックスに言うとセイラは悲しそうな表情をした。
「ジェイ、お前何か知っておるのか」
ロビンは離れた場所で跪くジェイに気づいた声をかけた。
「はい、出すぎた意見だとは知っておりますが、今回、彼女が倒れたのは食事さえ出来ない程の仕事量のせいだと思われ、それをまたまだ回復していない彼女に仕事に戻る様に指示をした者も居ました、友人でもある彼女はそれが許せなく陛下の前に」
ジェイが説明するとロビンはセイラの前に立った。
「そうであったか、セイラ、詳しく聞かせてはくれないか」
「陛下」
ロビンを止めようとしたのはミーナだった。
「倒れるほどの過労、あなたが何者であっても許されない事、王である私は知っておかなければならない、今のあなたに私を止める権限は無い」
ロビンの言葉にミーナは黙ってしまった。
「ジェイ、彼女を医務室に」
「はい」
ジェイはミーナを連れて医務室に向かった。
「いったい、お前は何者なんだ、陛下の口ぶり、何者だ」
ミーナはジェイを見つめた、ロビンの言葉を思い出して居た。
「・・・・何者でも無いわ、ただの村娘、今までもこれからも・・・・私は何者でも無い」
自分が決めた事、何者でも無い村娘であることをミーナ自信が決めた事だった。
ミーナの回復は三日かかった。
「顔色も良くなった」
「先生、ありがとうございます」
「おまえさん、そのペンダント」
「他言しないでいただきたい」
ミーナは服で隠れる様にペンダントをして居る、ミーナの秘密。
「昔、何度か会った事があるおまえさんにもな」
「はい、記憶しております、今の私はただの村娘です」
コリンはミーナを見て笑った。
「よく似てる」
何も変わらない事をミーナ願いながら部屋を出た。